Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

肌に馴染む雑色砂岩

2006-05-14 | アウトドーア・環境
地元名物の雑色砂岩層の奇岩を攀じって来た。ジュラ層よりも古い地殻なのだが、砂が流れて押し固まった層なので小石などがところどころに埋め込まれている。それが地上に奇岩として突出している。比較的新しい上部の層は石のテーブル状になっていて、下部はざらざらの押し固められた砂でボロボロしている。断層がいくつかあって、西に行くほど新しい上部地層が突出しており、ライン側に方向に行くほど古い下部地層が表面に出ている。

今回訪ねた地域は、最も東側に位置するので、最上部に岩のテーブル状の地層が乗っかっている。嘗て、試したことがある岩場であるが、当時は砂岩と言うものをほとんど知らなかったので、三回目とは言いながら馴染むまでに至らなかった。そして今回久しぶりに触ると大変手に足に馴染んだ。ほとんど懐かしいぐらいである。

これほど頼りなく砂がざらざらと剥がれる嫌な岩質も無いと思ったのだが、今やかなり良い感じで、親近感すら感じた。普段は石灰岩などを登り、手掛かりの確りした石灰岩などを攀じり、ずるずるとした手掛かりや穴の空いた砂岩に慣れない登攀者は、通常の難しさの何倍もの印象を持つのであるが、慣れると非常に友好的な手触りを与えてくれるのであると確信した。

元来は摩擦係数が高い筈なのだが、その表面が薄く削がれるのでそれほど高くはならない。そして、明白な角の立った手掛かりは、テーブル状の薄い層か、埋め込まれている小石以外はあまり多くは無い。多くは丸く角が取れている。そうした丸まった角を掴みながら、所謂砂時計と言われる抉れた丸く穿たれた間の岩柱を掴んだりしながら、登っていく。岩の摂理が縦に割れるよりも横に割れているのも特徴である。

こうして、岩肌に馴染みが出てくると嘗ては不可能と思えたような、登攀困難度7級とか8級のルートも筋力さえ鍛えれば可能性があるのではないかと思えてくるから不思議である。少なくとも、それらに興味を持たなかった時期からすると、それだけでも喜ばしい。

ここ一週間ほどは、花粉アレルギーからか風邪気味の頭痛や気管の炎症に弱っていたが、思わず自然の岩肌から元気を貰った様で嬉しい。岩肌に触れてどこかシックリと来ない違和感を得ている内は何も得ることは無いのだが、こうした太古の自然は何かを齎してくれるのだろうかと、原始宗教のようなことを考える。アニミズムの様でもあり、スピノザの自然観の様でもある。アスパラガスや竹の子の初物を食するのにも近い感覚なのだろう。

参照:
花崗斑岩の摂理に向き合う [ 文学・思想 ] / 2005-06-21

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4 コメント

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古代の感性 (magnoria)
2006-05-14 08:50:53
はじめまして(^^)。やいっちさんのところから参りました。私もここ数日、宝石のことを考えていたのですが、本を読んでいて、「宝石が神秘的な匂いを放つのは、宝石に刺激されて私たちの心の奥底で古代の感性が甦るからだ。何億年もの昔にあり、今もある地球の意識を輝かせてみせる。そればかりでなく、人は「伝説の時」を今ここで生きることができる」という記述を見つけ、子供の時に私があんなに深く宝石に魅せられていた理由が理解できた気がしました。紀元前の古美術に惹かれるのも同じ理由なのでしょう。
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宝石・鉱物はそのもの (pfaelzerwein)
2006-05-14 12:27:18
magnoriaさん、こちらこそはじめまして、ご訪問ありがとうございます。昨日帰って来て、早速思うままに綴りました。宝石・鉱物は、なるほどそのものですね。嘗ては水晶取りなどと言う職業がアルプスにあったことも想い浮かびます。2006/01/29に触れられていますね。



http://magnoria.at.webry.info/200601/article_13.html



スピノザの自然観なども面白そうです。地質学などにほとんど興味を持たなかったのですが、なるほどこうした魅力もあるのかなと思いました。



お蔭で興味が広がりそうです。また宜しくお願いいたします。

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Unknown (magnoria)
2006-05-14 22:16:20
pfaelzerweinさま、いろいろ教えていただき有難うございました(^^)。pfaelzerweinさまはドイツにお住まいなのですね。私は以前はあまりドイツには興味がなかったのですが、ドイツのメルヘン研究家の方と偶然お知合いになったことでドイツに興味がわき、白アスパラの料理を自分で作ったりもしました。白樺の花粉症があることはこちらのブログで初めて知りました。花粉症は日本だけではなかったのですね。早く良くなるといいですね。それから、pfaelzerweinさまは精神分析を研究されていらっしゃるのですか?
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漠然と感じる何かを説明 (pfaelzerwein)
2006-05-15 14:44:19
お恥ずかしい限りです。適当な調べで書いております。ネットの内容の多くは、こういったものと居直っています。書籍よりも、その点おかしな権威が無い分面白いです。平行した情報が幾つもある方がそれらしいのですが、実際は情報が収斂していて、これも興味深いです。



精神分析はあまり興味がなかったのですが、漠然と感じる何かを説明するのに便利なことが多そうです。メルヘンや民話などもこの範疇ですね。



風邪気味のような症状の人もチラホラ居て、植物だけでなく動物も昨今の天候の影響を大きく受けているようです。ありがとうございます。
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