Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

山小屋の朝の味噌汁に舌鼓

2009-07-31 | アウトドーア・環境
ドイツアルペン協会の機関誌2009年八月号の第二特集は日本アルプスである。圧倒的に有名で多くの外国人が訪れる、信仰登山の対象となっている過密な富士山よりは静けさの味わえる北アルプスに矛先が向う。日本におけるアルピズムの発祥地である上高地から唐沢山荘に一泊して穂高岳山荘に入り穂高・槍縦走を目指すのはなぜかスイス人夫婦のようである。

岩肌に書かれる標識を見てまるで書道のようだと感動する。道標ばかりか地図も日本語で書かれていて、分からない者には標高線が頼りで心細く進むが、暫らくすると彼らの日本語程度の英語を使う登山者に出会い、それは左の捲き道であった事を教えて貰う。手振り身振りのコミュニケーションにも慣れて、「こんにちは」と「ございます」の挨拶にも慣れて漸く小屋に着くと、そこでは便所のスリッパでの食堂入りなどと外国人が起こし易い間違いを経験しながらも、今は巾が広くなった畳で寝泊りする。翌朝食欲旺盛に、予想外の朝食に、納豆を除けて、舌鼓を打つ風景が綴られる。

面白い観察は、日本人の登山者の多くが首に汗吹きタオルを巻いていること以外にも白い手袋をしているというのである。軍手の事かと思われるが、今でも人気があるのだろうか?一度も使った覚えはないのだが。そして、小屋の周りには有料のテント場が用意されているのを見て、アルプスの山小屋に比べて日本のそれは料金が高くテントが多く利用されているのを知る。そこで多くの登山者がその大きさといい重さといい押しつぶされそうな荷物を担いでいるのにはこうした背後事情があったのだと悟る。

またゴアテックスに全身をかためてというのは理解出来たが、立派な雨具にキャハンというのはあまり理解出来なかった。どちらかといえば、キャハンを上手に使っているのは氷河の発達したアルプスの登山者だと思っていたが、今冬にハイキングにキャハンを使っていたら興味を持たれた。やはり何処の地域でも装備や知識は主にその地域で活動する人種によって偏りがあるのだろう。正直な話、上の地域で壁や冬山は登っていても夏山ルートを辿ったことがない私の感想であるからこれも大変偏っている。

天候の急変によって、穂高山荘小屋にてなにもしない一日を過ごすよりも逸早く下山して、「飛騨高山」見物に駆けつけたというのは正しい決断に違いない。下山して直ぐに温泉に浸かるという代わりに、飛騨国分寺の庭の蝉時雨に芭蕉の俳句の真髄を感じて、西国や四国の札所巡りを考えるというのもそれはそれで間違いではなかろう。



参照:
"Panorama - August 2009" Magazin des DAVs, von Karin Steinbach Tarnutzer

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4 コメント

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最低限英語くらいは……と思います。 (Saar Weine)
2009-08-01 00:30:11
pfaelzerwein様、こんばんは。そうですか、北アルプスのほうでは21世紀のこの時代になっても英語の表記すらないとは!やはり外国の方は来るとは思えないのでしょうね。でもその麓の白馬村ではオーストラリアの人達がわんさと訪れるので英語の表記は大分多くなったそうです。

その点富士山は各登山道で英語表記は当たり前で英語どころか中国語やハングルの表記もある看板もありました。山小屋でも働いている人は英語は勿論のこと、中国語や韓国語、ポルトガル語等も話せる人も多かったです。

外国からの方は初めての方が圧倒的に多く勝手が分からず下山道を登ってしまう人もいて僕も山梨側の登山道で拙い英語でですが注意したことがあります。
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秘境が方々に隠されている (pfaelzerwein)
2009-08-01 02:12:21
富士山はやはりインターナショナルなのですね。白馬村の方はスキー場絡みですから理解出来ます。

上の記事はその点では山そのものも含めて山岳地方の奥深さに関心を提起して、永平寺などの観光地などを組み合わせるようなアイデアです。

その意味から富士山週辺にはない秘境が方々に隠されていることも事実なのです。
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Unknown (matsubara)
2009-08-02 15:24:12
日本アルプスの西穂高、焼岳に登ったのはもう45年も前ですが、そのころ登山者同士必ず「コンニチハ」と挨拶していました。ヨーロッパはそんな習慣はあるのでしょうか。
その頃は外国人は無論皆無でしたが・・・

是非飛騨国分寺の樹齢1000年の銀杏の木を見て欲しいものです。内外問わず・・・
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挨拶はその地域によって (pfaelzerwein)
2009-08-02 16:00:45
樹齢1000年の銀杏ですか、機会があれば訪問したいです。

西穂も暴風で冬に独標までしか行かれずに引き返してきた覚えがあります。

アルプスの場合は場所によっては国際色豊かですが、挨拶はその地域によって特にドイツ語圏は様々です。余程過密なところを除いては挨拶するのが普通ですね。
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