Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

条件付の理念などとは?

2009-10-30 | マスメディア批評
忙しくて読んでいなかった週前半の新聞や読み忘れた昨週のそれに目を通した。何よりもアジア共同体構想のニュースは重要だろう。

中国が奨めている経済構想はなるほどその利は最も早く稔るだろうが、既に各国間で個別の条約が結ばれている限りどれほどの意味合いがあるのかは分からない。もちろん合衆国を排除してアジア内の覇権を不動のものにしようとする中共の立場は明らかで、インドなどの諸国が警戒するのは当然であろう。

その合衆国の立場を最も気にしていると言われる鳩山首相の構想は、なるほど長期的な構想としてもEUを手本とする限り、自由民主主義における人権や環境が前面に押し出されるのは至極当然なことである。中共のタイへの援助と日本のインドネシア援助で覇権を争うのは良いが、先ず何よりも人権や環境などで中共と朝鮮半島に強い圧力を掛け続けるのが肝要であろう。

もちろんその前に日本国内の環境を整備しなければいけない。報道されるように法務大臣の死刑執行への慎重な姿勢などは評価出来ても、更に無闇に死刑囚を増やさないような抜本的な解決が急がれる。

オーストラリアの折衷的な環太平洋構想は、その意味では現実的かもしれないが、これも中共の考え方と同じように、現状を固定化するのみでなんら将来に好影響を与える施策ではないだろう。段階的に構想を進めていくにしても明確な理念が示されていない限り意味を無さない。

それに大きく関連する問題が、チェコのリスボン条約調印問題であろう。ここ暫らく話題となっていたのがクラウス・チェコ大統領の条約調印問題であり、要するに条件付の条約承認を開催中のブリュッセルの会議で求めるとされている。先週から自らの調印をチェコの最高裁で諮ったりとありとあらゆる方策で政治的に動いていると伝えられて、緑の党などは不信任案を提出するとかの動きがあったようだ。

その条件自体が、少数民族であったドイツへと追い遣られたドイツ系民族への一筆という、人権問題のみならず財産権などの制限に繋がるEU憲章の根幹に関わる問題なのである。メルケル首相が今年になって何度も繰り返したように、「はじめたのは我々である」のは当然であり、戦争責任は紛れもなく、終戦後のチェコ人による強奪や奪略にも時効が成立していると見るのが当然であろう。しかし、こうした根幹に関わる条項に制限をつける事こそが問題なのである。小国とはいえチェコ人はなぜそれほどまでに脅えているのだ?

歴史的な視点で、朝鮮半島や満州の植民地政策を最評価することも ― 日本政府は特殊外国人の参政権を議論する前に、日本の北方領土問題やシベリア抑留などの対ソヴィエト問題同様に、アジアにおいて重要な事は言うまでもない。それに触れずして友愛などの理念は生まれない。



参照:
欧州のユダ、ユダヤの欧州 2009-10-28 | 歴史・時事
安全に保護される人質 2007-07-30 | 歴史・時事
市中で鬩ぐ美術品 2006-08-29 | 文化一般
環境世界的発展史観 2007-10-25 | 歴史・時事
ライカ社のエルンスト二世 2007-03-12 | 雑感
ケーラー連邦大統領の目 2008-01-02 | マスメディア批評
民主党に求められる“人権的・社会的市場経済へチェンジ” (toxandoria の日記)

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