Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

リースリングの賞味期限

2014-05-29 | ワイン
バーデン・バーデンへの途上、いつものようにスーパーに寄って買い物をした。冬でもないのでピノノワールへの気持ちは薄かったが、新しいものが出ていた。オーコートドニュイはなぜか高価で、前回購入して気に入ったフィクサンに並んでサントネがあった。価格も若干安いぐらいの2012年ものである。これを購入した。当然の事ながら安い南仏のロゼを二本購入。

その他はいつものようにキッシュやチーズを物色。魚のテリーヌはアイスを持ってきているが暑さが怖くて今回は止めにした。同様に生の魚類も遠慮した。そこで焼いた細い伝統パンも他のバケットなどと並んで僅か1ユーロ、手作り商品ではないが安くて結構明くる日も楽しめた。〆て30ユーロほどであったので、通常の買い物と変らない程度の出費だった。

やはり、フランスのワインは生産量が多いので、ドイツのそれに比べて安い。質は、ある程度の価格まで居たらないとあまり良いものは見つからないのだが、それでも良いものにあたる可能性は低くない。

さて、地元のヴァッヘンハイマー・リースリングが出た。瓶詰め二週間後の評価は、2013年産はこの十年間で可也上位であることが確認された。まだまだ開ききっていないリースリングであるが、その味筋の微妙さは、例年の酸が勝っていて新鮮さと硬さを感じるものとは大分異なっていた。直ぐに印象したのが上質のフランスのシャルドネである。それも手練手管の粋を集めてのたっぷりと内容の詰まったそれである。しかし、リースリング自体は果実味が豊富で、エレガントな清涼感が充満している。まだ開いていないので香りは足りないが、このワインのいつもの上に突き上げるそれとは全く異なる落ち着いた品の良さはどうしたことだろう。フランスの仲間に飲ましてやりたくなったぐらいだ。

結論からするとビュルクリン・ヴォルフ醸造所の2013年グーツリースリングは培養酵母と鋭い酸で魅力的に飲ましていたが、この天然酵母と木樽も使ったオルツリースリングは2013年のその成果を的確に表していた。味筋も今まで感じたことのないものでその2013年の特別さを示していた。酸とアルコールと残糖などのバランスも良さそうで、完全に期待出来る年度となった。

もう一つ今年からこのオルツリースリングもグーツリースリングと同様にコルクからスクリューキャップとなった。これは少々事件であり、要するに寝かしてリースリングを飲みたい者は、最低ピュリミエクリュを購入せよと言うVDPの非公式方針に近いものだ。実際にこの手のリースリングを二年以上寝かしたことのない我々からすれば当然のことで、そうした正しい瓶熟成のあり方を広く一般にも示唆することになる。

JJピュルムのリースリングなどを飲んでも認識を新たにしたことだが、甘口であれば五年過ぎたあとの清涼感のなくなった味の劣化は分りにくいだけであり、何年経っても飲めないことが無いだけで、リースリングの熟成の本質はその液体が開くことに尽きる。要するに色々な要素が御花畑のように咲き乱れ香り始めるのが瓶詰め後五年ほどで、その後酸や残糖の助けでフィルンのように急激に落ちてしまわないことだけが狙いである。十年後、二十年後も液の色もあまり変らないで綺麗に熟成していればそれが素晴らしいだけで、実際には味の質はその時点から向上するということはないだけである。反対に言えば四五年の時点で駄目なワインはいつまで経っても悪くなるだけだと請合う。



参照:
乾いて動的な爽快感 2014-05-14 | 試飲百景
質の独、量の仏の13年 2013-11-22 | ワイン
後ろ向きに考えてみれば 2014-01-26 | ワイン

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