Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

昭和レトロの動員労働者

2012-07-19 | 歴史・時事
カルシュテン・ゲルミスが「さよなら原発・代々木」を「赤い太陽、握られた拳」と題して伝えている。フクシマ以降世界からなぜ起こらないかと不思議に思われていた大抗議行動、先週の金曜日の流れでデモ行進など経験の無い普通の市民が集合して十七万人を超えた大集会。日本のマスメディアは、中立の筈の公共放送NHKまでが七万人と伝え、明らかに過小評価して、これまでの反原発行動への無視を継承しているとする。

さらに八月に出される将来のエネルギー政策への公聴会ではやらせが疑われ、細野環境大臣が中断しなければいけなかったこと、七月に出た国会事故調査報告で指摘された事故を回避できたかもしれない警告を無視した姿勢が、そのまま野田首相の再稼動の決断においても世論に耳を貸さなかったこととして継続されていることを紹介している。

さよなら原発のIWJ中継録画から幾つかのアーカイヴ映像を見た。その中で特に秀逸だったのはチバレイレポートのそれだった。チバレイとは、その映像の最後で親爺が語るように官邸前の抗議行動で「野田出てこい」と口汚く合いの手を入れてシュプレッヒコールを盛り上げている福島市出身の女性タレントである。

その出だしの交差点に乗り付けたタクシーで表れるところからして、まるでハリウッドの上質な映画を見ているようで素晴らしい臨場感である。そして旗を掲げた労組みへのインタヴューを試み、最初から拒否されて、今度は最前列を行進するフクシマグループに取材の白羽の矢を立てる。そこからカメラともども走り出して最前線に至るまでの様子が、その長さを伝えつつアクティヴで躍動的な取材となっている。走る取材である。

フクシマグループへのインタヴューがよそ者のそれとは異なる内容になっているのは当然のことであるが、その後の終了点での定点観測もとても興味深かった。最終的に労組動員者への直截なインタヴューを交えて、その実像を暴き出して、労組の参加者を二種類に分ける。一つは、動員されて全く脱原発などには感心のない者の集まり、一つは、自らも関心があってそれどころか金曜日にも自主的に行動をしているような人々。総じて、赤い旗を掲げ「エイエイオー ― ヤングオーオーではない」と勝ち名乗りをあげる親爺たちの群れを指して昭和レトロと表現して、明らかな金曜日の市民の運動との差異をその視覚上も明確にする ― 今回のデモへの警備の弱さを指摘していたが、これも九条の会や労組が体制のロールプレーを演じていることを示している、そもそも朝日新聞などから金を貰っている奴が言論するな、恥を知れ似非文化人。

これはとても秀逸な観察で、主催の「九条の会」自体がレトロなイデオロギーのロールプレーを演じてきた50年体制の生き残りであり、田中龍作が苦情する「記者クラブによる会館の使用は120年の歴史」よりは少しだけ短いだけのレトロなのである。



参照:
Rote Sonne, geballte Faust, Carsten Germis, FAZ&NZZ vom 17.7.2012
千葉麗子 さようなら原発7/16 俊逸レポ後半 IWJ (YouTube)
仮処分申請 国会記者会館を無料独占の記者クラブに法の裁きを (田中龍作ジャーナル)
原発をめぐる攻防戦 (虎哲徒然日記)
徹底的に打破する市民の声 2012-07-14 | アウトドーア・環境
教訓劇「フクシマ後の日本」 2012-07-08 | マスメディア批評

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