Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

雨降りの日の室内生活

2014-05-02 | 生活
久方ぶりに連続的な本格的な降雨である。これで完全に湿るが、埃なども一掃されるに違いない。天窓がここ三ヶ月ほどとても汚れていたので有り難い。空気も澄んでくるだろうか。

先日注文した本が序に発注したCDとともに届いた。先日亡くなったジェラール・モルティエのフランスで出していた本に書き加えた独訳本「ある情熱のドラマテュルギー」である。氏の支配人としてのオペラ上演の仕事の一覧表などがあり、その多くを体験している者にとっては必読の書籍であろう。

今日は一日中部屋に篭って恋文の執筆である。ネットでノウハウを探す。なるほどと思わせる記述もある。基本的には著述一般に共通することではあるが、例えば書くことによって初めて表わされる感情やその視線などを発掘するような作業はとても面白く、それは受け取る側の読み手にとっても同じだということだろう。誰も褒められて気を悪くする人はいないが、ご本人が意図したり意図していない点を巧く表現できると効果があるのは当然であろう。

それは具体的には、彼女の美しさをどのように表現するかと言うことであって、それは内面や外見に関わらず、ご本人の視点を考慮する一方、書き手自身があまり意識していなかった面も発掘すると言うことになるかもしれない。勿論期待される効果には、思い掛けない反映による感情的な揺れがある。

実際書き始めると、自分は一体彼女のい何処に魅了されているのかどうかが、厳しく問われることになって、なるほど今まで何回と無く繰り返してきたような必然性が問われることになるのである。

交換張りのMCカートリッジAT33PTGIIのエージングは粗終わった感じだ。色々なLPをとっかえひっかえ出して鳴らしてみた。最初の印象通り「優秀録音は更によく、それほどでもない録音は批判的」に鳴る。結構驚いたのは首吊り自殺をしたデヴィット・マンローの録音の幾つかで、中古で購入した傷だらけのLPが素晴らしく鳴ったことで、その演奏と言い録音と言い珠玉の録音だと改めて感じた。LP当時とは異なり、ルネッサンス音楽を中心に盛んにCDを集めたので、昨今の録音の質は知っている。当時大変評判の良かったターナー指揮プロアンティクアのシリーズが意外に面白くなく - 珠玉の録音も少なくはないが、明らかにヒリヤードの録音に取って代わられた反面、当時とても失望したオックスフォードのザ・クラークスのそれが意外に今日的に面白いのを発見した。これは演奏実践の変遷の歴史でもあろう。そのカリオペレーベルの録音はアナログ最晩年に評判の良かったものであるが、なるほどこうした分析的な鳴らし方をすればオルガンの録音などもとても優れている。

その他、オペラの優秀録音はステレオの定位感が素晴らしいので実況録音も含めてとても楽しめる。但しアバド指揮のシモン・ボッカネグラのスタジオ録音は、デジタル録音などに比べると明らかに繊細さに欠けていて、アナログで録音されたのが残念である。最も失望したのはベルリンのフィルハーモニカーのカラヤンサウンドである。先頃からのブルックナーの演奏実践に加えて、多くのカラヤンサウンド録音は聞くに堪えないほど大雑把なマスの管弦楽演奏に聞こえるようになってしまった。実演でのブラームスツィクルスも同じだったのだが、R・シュトラウスももはや古色蒼然としてしまっているので、録音の問題ではなく、カラヤンサウンドと呼ばれるものが三十年も経たないうちに価値を失っている。しかし「指輪」のヴァルキューレもジ-クフリートに負けぬぐらい素晴らしく室内楽的で圧倒的な精緻さを再確認する。

こうした歌の押さえた響きはシュヴァルツコップのそれだと思って、ジョージ・セル指揮のシュトラウスを鳴らす。この歌手の拘りが良く分るが、管弦楽団も音が出る前のアインザッツの感じがよく伝わるのは周波数的に合わせてあるからだろう。尚且つ空気感に対応するだけの反応のよさが備わっているようだ。だから、弦楽器などでもアウフタクトの感じがよく分るので、カラヤンサウンドにおけるベルリンの管弦楽団のコントラバスなどの低弦の横着さが鼻につくに違いない。

反対にベーム指揮のバイエルンの放送管弦楽団のシュトラウスなどは、今まで以上に録音制作の苦心も分かって、ドレスデンでの「バラの騎士」と並んで貴重な録音であることに気がついた。

さて、問題のMCカートリッジのドイツでの価格を調べてみると580ユーロほどになっていて、その通り新規購入リスト価格なのだが、それでも評判は「この価格では敵無し」と絶賛されている。だから日本に態々注文する好事家もいるようだ。中古市場も終わっていて、今更LPを購入する気持ちはないのだが、手元にあるLPを資料として吟味するには十二分過ぎる再生が出来るのでとても価値がある。



参照:
耐え忍ぶ愛の陶酔の時 2014-04-21 | 音
頭の悪い人達が集まる業界 2010-02-11 | マスメディア批評
彼女のお母さんに出会う 2014-04-29 | 女
知らなかった奥を覗く 2014-04-28 | テクニック

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2 コメント

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昇圧トランスにもよると思いますが (Saar Weine)
2014-05-02 00:24:57
pfaelzerwein様、こんにちは。


このカートリッジはそちらの評価も高いようですね。


僕は宝くじでも当たったら(ワインを嗜むものとして当然ですが)完全禁煙のアナログメインのジャズバーなんてやりたいと考えています。


ある意味これも一種のクールジャパンでしょうか。
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完全禁煙のアナログメインのジャズバー (pfaelzerwein)
2014-05-02 04:31:55
一時名曲喫茶とかジャズ喫茶も流行りましたね。上のカートリッジで初めて運転コストを計算しましたが、それだけでもなかなか経費が掛かる割には売り上げが伸びなそうですね。

日本ではデノンの時は昇圧トランスを使ってましたが、上にも書いたようにプリアンプを使って、AUXに突っ込んでいます。ですから通常のPHONOとトランスの組み合わせより質が高く、将来的な応用の可能性も高いです。
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