Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

偉大な2013年屑篭ワイン

2014-07-02 | 試飲百景
2013年産PCを試した。予想に違わず熟成した酸が素晴らしく、その量感が輝かしい。2001年、2010年と比較して、特にその後者の林檎酸の割合よりもワイン酸の質の高さを認めたい。そして2010年産で石灰風呂を使わずに上手に減酸出来た醸造所などは指を折るほどしか存在しなかったのであるから、下手な除酸をしているワインはそろそろ石灰土壌産のリースリングのように丸くなってきている筈だ。つまり将来に亘って価値の出てくる2010年産などは希少品なのである。

その点、2001年の方が価値はあるだろうが、あの当時からすると天然酵母の扱い方などは大きく変わってきていて、2013年産の方が将来を期待できるに違いないのである。つまり、グローセスゲヴェックスでは二十年は間違いないものも出てくるだろう。PCつまり今年からドイツ読みでエルステラーゲと呼ばれるものもある程度期待できるのだ。

天然酵母と一部木樽でいつもより長い時間をかけて醗酵させられたビュルクリン・ヴォルフ醸造所のPCから先ず五種類が紹介された。ルッパーツベルクのホーヘブルク、ヴァッヘンハイムのゴルトベッヒャエル、レッヒベッヒャエル、ゲリュンペル、ボェーリックである。昨年まであったダイデスハイムのランゲンモルゲンはGCに格上げされ、アルテンブルクはまだ木樽の中で醗酵・熟成中である。

殆ど購入した覚えのない酸の弱く円やかなホーヘブルクも酸が美しく驚いた。これならば購入しても不満はないであろう。そしてゴールトベッヒャエルを試すと、その辛さの差を如実に感じる。そしてその果実風味は全く別なのだ。やはり間違いなく後者を選ぶ。そしてその黒胡椒のような鋭さは、この醸造所で最も辛口のこの地所のよさを示している。同じようにあまり惚れ込んだことが無いレッヒベッヒャエルも酸が果実味よりも感じられて清々しい。しかし最も驚いたのは、ゲリュンペルの柑橘系の味筋の余韻の深さと高級感である。これだけでも熟成した酸とその後の長い時間をかけた醸造熟成と五週間を置いた瓶詰めから紹介までの時間を享受可能となるのだ。

不思議なことに2013年はゲリュンペルは以前のように大量生産のリースリングではなくなって、ファン向きのアイテムとなっている。その理由は、良い健康な葡萄を一番用区画に限って摘み取ったようで、その他はオルツヴァインなどに流れたようだ。だから今までに無い高品質感で、価格も20ユーロを超えてしまったが、もはや普通のリースリング愛好家には渇望のワインとなってしまった。店売りが500本しか無いと言うから貴重品である。

お陰さまで地元民価格で入手できたのだが、GCが50ユーロを越える中では、このクラスのワインでも五年間ぐらい熟成を期待することになるかもしれない。そのような理由で、2012年度からすると完全に価格とともに底上げが為されていて、普通のリースリング愛好家はオルツリースリング、高級ワインを試してみたい人にはグーツリースリングで十分だろう。エルステラーゲンヴァインはもはや通向けの商品である。

2013年はプファルツに限らず、ザールやナーヘなども開花が疎らであったので生産量は落ちているが、その分押しつぶされる葡萄も少なく、健康な葡萄が収穫できた地域が多い。その反面、摘み取り時期の降雨などで、腐りも進んでいった。ザールなどでは一部を甘口にして醸造してしまったのはこの為である。

2014年は既に押し詰まった葡萄の房を見ても分るように、天候が悪ければ直ぐに破裂してしまう危険性が強い。2004年のようにある程度の成果が出ればよいのだろうが、可也難しい年となりそうである。十年に一度ぐらいの良年を逃す訳には行かないが、需要と供給で価格が高騰している。特に健康な葡萄と天然酵母の近代的な醸造法でもはや一人勝ちの感のあるビュルクリン・ヴォルフ醸造所であるが、2012年に供給が需要に追い付けなかったために大幅な価格高騰を齎した。



参照:
初の13年ラインガウ試飲 2014-05-31 | 試飲百景
2007年に鼻を突っ込む 2014-01-07 | ワイン
ひさびさのドイツ その14 (6) (モーゼルだより)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 索引 2014年6月 | トップ | 焦らずにこつこつと片付け »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿