風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『伊賀忍法帖』昭和57年(1982)

2015-09-20 23:27:42 | 時代劇





                     



「角川三人娘」といえば、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子。


この3人の中で一番地味な(ゴメンナサイ)渡辺典子のデビュー作です。


デビュー作にして一人三役。まあよくやりましたと言う感じ。可も無く不可も無し。


原作は山田風太郎。脚本、小川英。撮影、森田富士郎。

監督、斎藤光正。


ストーリーは、謎の妖術使い、果心居士(成田三樹夫)が、三好義興(松橋登)の家臣松永弾正久秀(中尾彬)に近づき、天下盗りをそそのかす。

果心は弾正に、5人の妖術使い(浜田晃、佐藤蛾次郎、ストロング金剛、福本清三、風祭ゆき)を付け、弾正を動かします。

伊賀忍者、笛吹承太郎(真田広之)の恋人、篝火(渡辺典子)はその野望の犠牲となり命を落としてしまう。

弾正は義興の正室、右京太夫(渡辺典子・二役)を我が物にせんと画策し、天下を窺わんと益々野望を募らせる。

その野望を阻止せんと立ち向かう承太郎。それを助太刀するのは柳生新左衛門(千葉真一)。



この5人の妖術使いと承太郎との対決シーンが見せ場なわけですが、なかなか凝ったつくりになっています。私好みの「アナログ」な撮り方が実に楽しい。


特に蛾次郎さんが池の中で「やられる」シーンはワン・カットで撮影されており、細かい効果が随所に盛り込まれていて、一か所でも間違えたらまた最初からやり直さなければならない大変なシーンです。

少しでも面白い時代劇を見せてやろうという、スタッフの意気込みが感じられる、素晴らしいシーンです。


それとなんといっても福本清三さん!私が福本さんを最初に意識したのは、他でもないこの作品だったんです。

その第一印象は「スゴイ顔つきの人がいるなあ」でした(笑)

セリフ回しも今一つぎこちない。でも殺陣の動きはキレがあって素晴らしく、真田広之もこの方のことを信頼しているようで、この方相手の殺陣では遠慮なしに想いっきりいってるのが見て取れたんです。

JACの人?いやそうでもないみたいだ。段々気になってきて、テレビの時代劇でもこの方を無意識の内に探すようになった。

そうやって探してみると、出てる出てる!(笑)色々な時代劇にちょっと出ては斬られ、出ては斬られしているのを発見して喜ぶ私がいたわけです。

その他、映画『柳生一族の陰謀』に、結構アップで映っているのを発見したり、映画『蒲田行進曲』で、後の方にいるのを発見したり(蒲田行進曲の主人公は福本さんがモデルとも言われています)、福本さん探しがすっかり「趣味」になってしまったのは、この映画がキッカケだったんです。




なんだか「福本さん話」になってしまいましたね(笑)。映画の話も少しはしましょう…って、少しかよ!(笑)。



観ていて印象的だったのは、映像の素晴らしさです。画がちゃんとした「時代劇」になっているんです。

映像の説得力といいますか、奥行きの深さといいますか。この時代はまだ、時代劇の撮り方を分かっていらっしゃるスタッフさんが大勢おられましたから、その点は安心して観ていられます。

細かいところの画作り、役者さんたちの所作、立ち回りの際の動き方、立ち位置。

すべてがちゃんとした時代劇になってる。

当時はこれが「当たり前」でしたから、特に意識もしていなかったのですが、今こうして観てみると、

「良い時代だったなあ!」

と、しみじみ思います。

これ、笑えませんからね!


無くしてみて、はじめてわかる ありがたさ。


ホントに、時代劇の現状はヒドイ……。





映画としては、特につまらないわけでもなく、さりとて特別面白いわけでもない……どっちやねん!


みどころとしては、やはり福本さん!意外なほどに出番が多いし、その分セリフも頑張ってます。失礼な意味ではなく、本当に一生懸命に演じておられますので、これ一番の必見!


あとは、果心居士を演じられた成田三樹夫さんの、他作品では観られない“怪演”ぶりですかね。これもなかなか面白いです。


渡辺典子デビュー作!と銘打っている割には、御本人の印象はあまり残らない。その点、ちょっと可哀そうでしたね。


上映時間も1時間半強。丁度いい長さです。とにかく福本さんファンは必見!と強く推しておきましょう。それ以外の方々には……。


ご自由に。













『伊賀忍法帖』
原作 山田風太郎
制作 角川春樹
脚本 小川英
撮影 森田富士郎
音楽 横田年昭
監督 斉藤光正

出演

真田広之

渡辺典子

松橋登
田中浩

浜田晃
佐藤蛾次郎
ストロング金剛

福本清三

美保純
風祭ゆき

中尾彬

千葉真一


成田三樹夫

昭和57年 制作・角川春樹事務所
      配給・東映

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