ヒマヤラのふえ/A.ラマチャンドラン・作絵 きじまはじめ・訳/木城えほんの郷/2003年初版
「昔 ヒマラヤのふもと クマオンというところで うたわれていた物語」とはじまります。
ラモルとプリンジャマテイには、ちょっぴりの畑しかなく、どんなに働いてもそこは岩だらけの不毛地帯でした。
ある時、一晩泊めてくれるよう訪ねてきたおじいさんに、こころよく食事をだしてあげると、あくる朝、おじいさんは、お礼にと竹の笛をくれました。
それから何日もたってからラモルが笛のことを思い出し、口に当てるとすばらしいひびきがきこえだします。そして不思議なことに、不毛の大地に岩だらけの土地に花が次々と咲きだします。
ラモルは夜にも竹の笛を吹きならします。山々、谷間にこだまするひびき。
笛の響きは三ツ星のところまで届きます。三ツ星はフクロウにはやがわりして、ラモルの笛を聞きにいきますが、その響きに魅惑され、夜が明けるのにも気が付きませんでした。笛の響きに縛り付けられた三ツ星は、笛をふいているラモルをまるはなばちにかえてしまいます。
ラモルがいなくなって、プリンジャマテイが泣き叫び、あちことさがしていると、笛をくれたおじいさんが、ラモルははちにかえられたが、心配することはない。三ツ星は三日月の夜に3びきの銀色の魚になって、この池にあらわれるので、三ツ星をつかまえ、モラルをかえすと約束するまで、網からでられないようにするように話して、消えていきます。
特徴ある人物の描き方が他にはみられません。人形のイメージでしょうか。花も、おじいさんも、三ツ星の顔も楽しいですよ。
この絵本を出版している木城えほんの郷というのは、はじめて目にしました。
宮崎県の木城町にあり、日本や海外の絵本たちと絵本原画を蒐集・展示しているほか、森のほんやさんと森のコーヒーやさんがある『きこり館』、毎夏北欧など海外からの劇団公演などが行われる『森の芝居小屋』、秋の新月か満月の夜年に一度コンサートが行われる『水のステージ』と『森のステージ』、また宿泊施設の『森のコテージ』が、点在しているとHPにありました。
地方に頑張っている素敵な施設があるのですね。