どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

シカとサルの畑づくり・・インドネシア、「さるかに合戦」

2013年10月12日 | 昔話(外国)
          シカとサルの畑づくり/大人と子どものための世界のむかし話8/松野明久・編訳/偕成社/1990年初版


 子どものころの話で、いまも記憶に残っているのは、「さるかに合戦」。
 はるか前にさかのぼっても、忘れていないというのは作品のもつ力かもしれない。
 「シカとサルの畑づくり」は、この話に似た昔話。

 「さるかに合戦」では、カニがおにぎりを持って歩いていると、サルが柿の種を植えれば柿がたくさんなってずっととくするというので、カニはおにぎりとその柿の種を交換します。
 カニが種を植えるとやがて、赤くてうまそうな柿がたくさんなります。
 そこへサルがやって来て柿が取れないカニの代わりに自分が取ってあげようと木に登るが、自分が食べるだけでカニには全然やりません。カニが早くくれと言うとサルは青くて硬い柿の実をカニに投げつけますが、カニはそのショックで子供を産むと死んでしまいます。

 やがて、おおきくなったカニの子供たちが、親の敵を討とうと、栗と臼と蜂と牛糞の助けをかりて、サルのもとへ。

 地域によって題名や登場キャクターがことなっているようであるが、インドネシアの話は、カニではなくシカが登場します。柿の役割を果たすのは、お国がらかバナナ。

 サルとシカが人間のつくった畑から作物を食べようとするたびに、人間においかけられ、ころされそうになるので、自分たちで畑をつくり、すきなものを植えようと、バナナを育てます。
 サルはバナナのわかい芽がでるたびに、つみとって食べてしまうのでバナナはなかなか大きくなりません。
シカはバナナの手入れをよくしたので、やがてたくさんの実をつけます。しかしシカは木にのぼることができないので、半分やるからと言ってサルに頼みます。するとサルはバナナをとっては食べ、とっては食べ、皮だけをかごに入れてシカにわたので、シカはかんかんになってくやしがります。

 それからバナナがまた実をつけたとき、サルが木にのぼってバナナを食べはじめますが、シカは木の下で大声でサルの悪口をわめきたてます。
 おこったサルがバナナの皮を投げつけるが、シカが悪口をいいつづけるので、今度は手当たりしだいにバナナをなげつけると、シカはそのバナナをひろい集めます。

 やがて木の上のバナナはのこりのこらずなくなって、サルは、はじめて自分がだまされたことに気がついて、逃げていってしまう。

 「さるかに合戦」の後段部分がないが、十分に楽しめるお話。

この記事についてブログを書く
« ぐうぐうぐう | トップ | ジャックと豆のつる(私家版) »
最新の画像もっと見る

昔話(外国)」カテゴリの最新記事