どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

黄金りゅうと天女

2023年10月30日 | 絵本(昔話・日本)

    黄金りゅうと天女/代田昇・文 赤羽末吉・絵/BL出版/2018年

 

 1974年の復刊。舞台は沖縄慶良間(けらま)諸島。

 身分違いの夫婦は ならぬと、きびしくいわれ、毎日思案に暮れていた若い男女が、ふしぎな夢にみちびかれ、慶良間の慶留間(げるま)にすみつき、やがてうまれた女の子。島のしゅうは、可愛(かなー)とよんで、だいじにしていた。
 若い夫婦は、毎朝毎朝 拝所(神をまつってあるほこら)にもうでていたが、ある朝、とつぜん、「ようきけ、可愛は、天の神子じゃ。だいじに だいじに、そだてるがよい」というお告げ。
 可愛は、ひとから かたりきけば、ぴーんぴーんと なんでも おぼえるかしこい子でしたが、七つの誕生日の朝、とつぜん、「わたしは、天にいかねばなりませぬ」と、いいのこし、オタキ山に向かって、走りだし、黄金色の竜をてまねきすると、その背に飛びのり、ぱあっと、きえてしまった。
 
 やがて 可愛がきえた ふしぎなできごとも、そろそろ むかしがたりに なりはじめたころ、慶留間と阿嘉(あか)に、とつぜん、大和の海賊が押し寄せ、略奪がはじまる。そこにオタキ山のあたりから黄金竜があらわれ、海賊船を きゅるきゅるっ と まきあげ、ぐるんぐるんと ふりまわして たちまち こっぱみじんにしてしまった。
 島のしゅうは、黄金竜の背に、うつくしい天女のすがたをみて、「可愛が わしらを すくってくれたのじゃ」と、くちぐちに さけび、両手を合わせ いつまでもおがんでいたそうな。
 
 見どころは、竜が、大和の海賊を蹴散らす場面。竜巻がおこり、海が波立ち、海賊が空に巻き上げられます。赤い竜、緑色の海。赤羽さんならではの迫力ある絵です。

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