どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

長くなった鼻・・中国

2018年10月17日 | 昔話(アジア)

       銀のかんざし/世界むかし話 中国/なたぎりすすむ・訳/ほるぷ出版/1979年


 鼻が長くなるといえば、日本の昔話だと長者の娘の鼻を長くする、ヨーロッパだとお姫さまの鼻を長くして、それを治す見返りに、大金などを手にします。

 この中国の話は、二人兄弟の弟が長くなった鼻を元に戻そうとして、欲をだし、鼻が顔の中にへこんでしまうというもの。

 兄弟がでてくると、弟の方をがメインとして物語が進行するのが多いのですが、この物語では兄がメイン。

 世間にでて、一旗揚げようと出かけた兄弟、弟は兄が路銀にもっていた巾着の袋が重いだろうと、荷物を交換し、しばらくいくと、今度は、具合が悪いから少し休みたい、どこかで熱い湯をもらってきてくれないかと兄に頼みます。

 弟の心配をした兄は、道ばたの畑で働いているおばあさんを見つけ、お茶をいっぱいもらって弟のところにもどりました。ところが弟は金をもって、どこかへいってしまいます。

 がむしゃらに先を急いだ兄が、あずまやをや見つけ、一晩とまることにします。このあずまやは「遊仙亭」とよばれ、二階が見晴らしになっていました。石に横になって休んでいると、ふと何人かで話すこえがします。

 毎年8月15日には、仙人があつまって宴会をするのです。

 ひとりは、一度叩けば、いろいろなごちそうがでてくるこんぼうのことを話します。もう一人は、苦泉の苦い水がでるのは、泉のそばのマツの木の下にいる青ヘビを殺せば、真水にかえることができると話し、西の村の橋が12年たってもできあがらないのは、橋の下に金貨の詰まったかめが四つに、銀貨の詰まったかめが四つもあるのが原因だと話し声がしました。

 これを聞いた兄は、それぞれのところで解決方法を教えます。

 こんぼうを持ち帰った兄は、食べものを出してもらってはくらしはじめます。

 苦泉が真水にかわり、西の村の橋がついにできあがったのを聞いた皇帝は、さっそく大臣を兄の家に使わせ、金銀財宝をおくります。人民の苦しみをすくった兄にほうびを与えるというのも、よくできた皇帝です。

 ある日、弟が兄の家の前をとおり、自分もと「遊仙亭」にでかけますが、仙人に鼻を一丈二尺もの長さに ひっぱられてしまいます。

 大金もちになった兄は、こんぼうをかえし、弟の鼻をなおす方法をおしえてもらおうと「遊仙亭」にでかけます。
 仙人は、「こんぼうで12回打って、12回名を呼び、12回「はい」と返事すれば、鼻はしっかりもとどおおりになる」と、話をしていました。
 これを聞いた兄がいそいで家に帰り、こんぼうを12回うって、12回弟の名前をよび、弟が12回「はい」とこたえます。ところが、弟は、何を思ったのか、もう一回たたいてくれといいだします。

 もう一度叩くと・・・・。

 一丈二尺は45cmほど。白髪三千丈のお国にしては、遠慮気味です。