どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

とくべえ と おへそ

2018年05月27日 | 田島征三


     とくべえとおへそ/作・桂 文我 絵・田島 征彦/童心社/2004年


 上方落語「月宮殿星の都」よりとあります。

 大うなぎを釣り上げたのはよかったが、うなぎに釣り上げられ雲の上までのぼってしまったとくべえさん。
 そこであったのは、かつて助けたカミナリのごろぞうはん。

 ごちそうにだされたのは、虹のそうめん、どじょうのカバヤキ、あられのみぞれあえ、はるさめのしぐれ、いわしぐものしおやきと天上でしか食べられないレアもの。

 ちょうどこの日は月宮殿というお屋敷のお祭りの日。変装したカミナリの格好でいってみると、王さま、お妃さまが、カミナリが集めたおひそを蓮池に舟をうかべて食べるという。

 とくべえさん、義を見てせざるは勇無きなりとばかり、おへそを盗み出し、蓮の葉っぱの水玉に落として地上の人間に返しはじめます。

 「おへそが かえってきたあーっ」と喜ぶ声。そりゃそうですねん、おへそがないと人間、力がでませんもの。

 困ったのはコック。そこでブタのおへそを代用にすることに。

 王さま、お妃さまがおへそ料理を食べようとすると・・・。

 関西弁でテンポよく、とくべえさんとごろぞうはんの掛け合いが続いていきます。

 カミナリがおへそをあつめるのは、王さま、お妃さまの料理にするためだったとは!

 カミナリ様の世界に蓮池があるので、もしかすると、ここは極楽を模したものか?。

 祭りやカミナリがブタからおへそを集める場面など、田島さんのなんともいえない絵が楽しい。