ふしぎなガーデン/ピーター・ブラウン・作 千葉茂樹・訳/ブロンズ新社/2010年初版
一本の木も、ちいさな草もない町にすむリーアムという外遊びのすきな少年。
ある日リーアムがやってきたのは、今では使われなくなった高架鉄道。
そこで枯れるすんぜんの草木を目にします。だれかがたすけてあげなきゃと、草木の面倒をみることに。
庭師になったようなきがしたリーアムは水をやり、剪定します。
やがて雑草とコケが線路の先まで伸び始めます。
冬の間は、春に備えて準備、準備。
冬の眠りから覚めた草木は、線路の外にも伸び始めます。
やがて町は緑のおおわれるようになるのですが・・・。
リーアムは、まるで人形のように描かれています。
街の人びとの意識も変わり、長い年月をかけて、街のようすがかわっていきます。
結婚したリーアムは、子どもといっしょに廃墟となった高架鉄道の草木の手入れも続けます。
面白いのは草木が擬人化されて、知りたがり屋の草木が、線路の先へ先へ、線路の外に動いていくあたりでしょうか。
はじめに動くのは雑草やコケで、あとをおっておしとやかな草花が動くのもよく目にする風景です。
最初のページは、煙突の煙がモクモクするとても味気ない町の風景。
それが最後のページでは緑におおわれた住みよい街に変貌しています。
空気のにおいもやさしく思わせます。