入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「冬ごもり」 (6) 

2016年11月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                                                      山室川第2堰堤(芝平)

 SHIMEさんは御年82歳、現役の「NPO法人みろく山の会」の会員である。毎年、冬の入笠山行に参加するが、決して誰にも引けをとらない。先日も今冬の合宿の荷揚げで、メンバーの一人としてやってきた。その日はテイ沢を下り、さらに高座岩に登り、本家・御所平峠を経て小屋に帰ってきた。翌日も入笠山に登り、その後は特別の許可を得た秘密のコースをたどって、元気一杯で森の中から戻ってきた。
 SHIMEさんのお得意は、もちろん山登りだが、その他にもう一つある。歌だ。若いころは合唱団にも入っていて、今でも鍛えた喉で澄んだ美しい声をしてウグイスのように歌う。それも、懐かしい山の歌が得意で、夜の宴会ではいつも過ぎし日の山の思い出を歌に込めて切なく、優しく、静かに歌う。手にしている古い歌集はSHIMEさんのお手製であるのが、またいい。
 森の中でもSHIMEさんは歌う。歩くのと同じように歌う。少し太り目の体躯で、先頭には立たずみんなの歌声の中を幸福そうに、自らも喉をふるわせて、歌う。
 戦中、そして戦後の厳しい時代を生きてきて、恋もあった・・・、だろう。もしかすれば手痛い失恋を経験した人かも知れない。80年を超える人生には、どんなことがあったのだろう。しかし、SHIMEさんは歌うだけであまり語らない。あの夜も、いつものように厚着せず、少し顔を赤らめ、座の端に腰を落ち着けて遅くまでずっと、歌手だけを続けていた。

 昨日も、葉の落ち尽した森の中を歩いている人たちがいた。薄日の射す、初冬の静かな山の雰囲気とよく合っていた。

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