サブカルチャーマシンガン

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リクドウ 1巻/松原利光

2014-09-21 | 単行本感想









こりゃまた難儀な主人公ですねえ・・・。












本誌で読んで面白かったのでコミックスも購入
したらやっぱりまとめて読んでも面白かったしキャラも魅力的だな~と改めて感じる事が出来ました
まず主人公のリクが物凄く悲惨な人生を送ってる男で意図せずに子供時代に殺人を犯し(完全に正当防衛だけど)
その後施設に入れられたりそこでまた事件が起きたり、後々人殺しとして忌み嫌われる存在になったりと
多分周りも正当防衛とか詳しい事までは知らないんだろうからそういう事になっちゃうんだろうけど
まあ正直物凄くハードモード全開の作中観ですよね
展開もこの世の膿をひねり出すような残酷な展開が多いです
だからこそ時折挿入されるほっこりするような温かいシーンが活きている、とも言えます
江原先生の優しさに包まれてリクがぽろっと涙を流すシーンだったり苗代ちゃんの恋心だったり・・・
ただ前者はそれが更に残酷なシーンを引き立たせる結果にもなっちゃうんですけどね

そういったハード過ぎる人生の果てにリクが辿り着いた結論とは「強くなる事」
肉体的にも精神的にも誰よりも強く、誰にも負けず、誰かを守れるような
そういう人間になる為に一心不乱に努力し勝ちあがっていく過程が物語の中心になっていきます
子供時代に様々な経験を積んだおかげ・・・っていうか所為でリクは他人をあまり信じず強くなる事=ボクシングに夢中になり
まるで薬を使うかの如くひたすらトレーニングに励む事で心を落ち着かせるというある種の格闘中毒に陥って行きます
またその様が気持ち泣けるというか
好転は勿論してるんだけど、人生狂わされたんだなあ、、、って感じがしてね。
でもだからこそ彼の切実さが胸に響く漫画になってるのも間違いないとは思います
この修行僧のようなストイック過ぎる生活が後々リクの人生をどう変えていくのか、
中々に今後の展開が気になる漫画だと思います
その他にも江原先生の現在や所沢さんの過去、苗代ちゃんとの進展等も個人的に凄く気になってますし
最近の、今年に入ってからのヤンジャンの新作の中でもゴールデンカムイと並んでピカ一の作品じゃないかと
私的にそう思っています(「もぐささん」も今年から本誌で連載になったけど元々派生媒体からの連載という事で別枠)。

個人的に気になってるのが苗代ちゃんとの関係性で
苗代ちゃんは子供時代からリクのが気になってるようなんですけど(またその苗代ちゃんのいかにも子供らしい恋慕模様が微笑ましい!)
リクの方は未だに江原先生を引きずってるのか、それとも完全に格闘ジャンキーになってしまったのか、他人を信じられないのか
割とそっけないそぶりが多いんですよね
でも過去を顧みればリクにだって恋慕の感情はあった訳ですし
そういう“人間らしい感情”を再び苗代ちゃんが引き出してくれるのに期待してたりします
っていうかこのままだと確実に殺戮マシーンと化しちゃう可能性が高いので是非そういう展開も欲しいですね
でもそれは未だなくとも苗代ちゃんの恋心を垣間見せるような描写の数々だけでも全然ニヤニヤ出来ちゃうのでした
しかも結構ウブですし、江原先生が処女だったのを含めて松原さんの描く女性は純朴なのが多くて実にイイですね(笑)。
苗代ちゃんの躍進(?)にも密かに注目している今作です。


今は高校生のクールで冷徹なリクが中心ですけど、
子供時代はネガティブだったり可愛らしい表情も見せたりと
子供時代のリクは実に可愛いなあ、とも改めて感じられた1巻でした
性的な事に照れてたりするのもある種今のリクには観られない光景ですね(笑
そういう中で切実過ぎる懇願を乞う号泣してる姿のリクも
本当は悲しかったのに涙を我慢していたリクも
江原先生に恋心を抱くリクも、
読めば読むほど密度の濃い人生を送ってるなあ・・・って感じがして非常に面白かったです
凄くふしだらでもある爛れた街の情景を含めて正に青年誌ならではのハードな作中観の旨味に加えて
少年誌さながらのウブな恋愛感情の表現も同時に楽しめる良いバランスの一作だなと最終的には。

しかしリクは苗代ちゃんよりも所沢さんLOVEですな現時点では。
そっち方向にも道を外さないようにしっかりリクのキープをお願いします!













ちなみにレイプシーンや(女性へのを含む)暴力シーンが多いのでそういうの苦手な方は注意です。
でもまあ「悲惨な生き様とそこからの再生を描く」物語ですから必要なシーンだとは思いました。
リクはここまでの逆境に負けずに、呑まれずに、最終的には笑顔になれるといいなあ。