(1)半年近くになるガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘は軍事力に勝るイスラエルがガザ地区北部から南部へ戦線拡大、侵攻をしているが、ハマスによる253人の人質のうちまだ100人近くがハマス側に拘束されたままとの報道で、イスラエルが依然ガザ地区でのハマス壊滅に手こずっている様子を伺わせる。
(2)ガザ地区に広く張り巡らされたハマスの地下トンネル網に手を焼いているとみられて、狭いガザ地区内で100名近いイスラエル人質がどこにいるのか、拘束されているのかがわからない不思議だ。イスラエルでは戦闘よりは人質解放優先のネタニヤフ政権批判の国民抗議デモが続いているといわれて、米国バイデン大統領も大統領選を控えて米国民のイスラエルとハマスの長引く戦闘への批判を受けてガザ地区での民間人の犠牲者が増える事態の中で、人道状況の悪化の改善を要求をして米国のイスラエル支援の変更もあると警告した。
(3)中東から撤退し影響力が後退した米国に代わり、イスラエルは中東諸国との独自の関係強化を構築しており、これまでのように米国の意向に従わなくなってきており、なかなか事態の改善に向かわない。
国連は停戦を決議しているが、ハマスにまだ100名近い人質を拘束されているイスラエルとしては停戦、休戦に応じるわけにもいかない戦況といえる。
(4)上述したようにイスラエルがガザ地区のハマスの張り巡らされた地下トンネルに手を焼いている状況が読み取れて、ハマス本部、幹部壊滅、人質解放が進まないうちはイスラエルのガザ地区ハマス攻撃は収まらない状況で戦闘から半年たってもまだ100名近い人質がハマス側に拘束されているのは、そう簡単には戦闘が収束に向かわずに避難民、民間人の犠牲者が増える人道危機が増していくばかりだ。
(5)米国バイデン大統領もイスラエルに警告、介入するだけでなく、パレスチナそれを支援するヒズボラなど過激組織を抱えるイラン、シリアへの停戦、休戦に向けた働きかけをもっと具体的に強めることが必要だ。
(6)米国はベトナム戦争で北ベトナム軍ゲリラの地下トンネル抗戦(resistance of subterranean tunnel)に手を焼いて共産化が進むベトナムからの撤退を余儀なくされた苦いトラウマがあり、ハマスの地下トンネルによる執拗な抗戦に停戦、休戦を阻まれている。