ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ミンスクにある長崎の鐘について(3)

2016-10-29 | 放射能関連情報
 こうしてこのような姿になった長崎の鐘を私は2015年夏にも見たのですが、特におかしいと思うようなことはありませんでした。

 ところが、今年、2016年8月末、ベラルーシ人の知人が、最近長崎の鐘を見たけれど、おかしなことになっている、知っていますか?と撮影した画像を見せてくれました。

 それは、長崎の鐘に新しく、アメリカの土が埋められ、しかもそのことを示す金属板が、日本のプレートの隣に取り付けられ、しかも日の丸と星条旗が並んでかかげられているということでした。

 しかもアメリカの土と言うのは人類史上初めて原爆の実験が行われ、そして成功したニューメキシコ、アラモゴードの近くの土、という説明が金属プレートにベラルーシ語と英語で刻まれています。

 これはトリニティ実験の土ということですね。詳細はこちらをお読みください。
 ここにも以下のような記述があります。

 トリニティ実験は爆縮型プルトニウム原子爆弾の爆発実験で、同型の爆弾『ファットマン』が、後に日本の長崎県長崎市に投下された。

 つまり核実験の歴史としては輝かしいスタートである実験です。

 その実験場の土を、核の犠牲者の慰霊のために建立された鐘の足元にいっしょに埋めるというのはどういうことなのでしょうか?

 長崎や広島で被爆された方々がこれを見たらどう感じるのでしょうか?

 ベラルーシ人の知人からは
「日本に原爆を投下したのはアメリカでしょう? その二つの国の国旗が並んでいるのを見て、日本人のあなたはどう思うのか?」
ときかれました。

 これが例えば同じアメリカの土でもスリーマイル島原子力発電所事故で、放射能が漏れ出た被害のあった地域の土なら、理解できます。

 しかし原核被害者の慰霊のための鐘の下に核実験の成功地の土をいっしょに埋めるのは、私はおかしいと思います。
 そしてベラルーシを訪れる日本人がこれを見たら、どう思うだろうと考えると恥ずかしくなりました。

 画像はプレートの部分を撮影したものです。
 2013年に12月に土を埋めたとありますが、おかしいです。
 ネットで検索しても2013年に長崎の鐘にアメリカの土を追加したので記念式典を開催したといったニュース記事はヒットしません。

 ちなみに2016年4月26日はチェルノブイリ原爆事故が起きてちょうど30年。そのころ日本から視察団やマスコミが大勢来ていましたが、8月末に私が4月にミンスクを訪れていた日本人に尋ねると
「長崎の鐘なら見ましたよ。確かに星条旗がついていた。」
という証言を得られました。

 つまりチェルノブイリ30年という、国内外から注目が集まる時期には、すでに星条旗が掲げられ、土も埋められていた、ということです。

 (続きは「ミンスクにある長崎の鐘について(4)」をご覧ください。)

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