もうすぐ来日講演される元ゴメリ医科大学学長のユーリー・バンダジェフスキー博士が『「ベルラド」 ステイトメント』をジャーナリストの木下黄太さんに送り、その日本語訳が木下さんのブログ「放射能防御プロジェクト 福島第一原発を考えます」で公開されています。詳しくはこちらです。
「バンダジェフスキー博士の「ベルラド」への見解。また、放射性物質に関するペクチンの限界について。」
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/a53b086fbec77b1e20f403651d1c8b0c
この文章だけ読むと、バンダジェフスキー博士がベルラド研究所に対して冷たいような態度を取っているように思える人もいるかもしれません。
またペクチンについても
「私は、ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができると
は、思いません。これらの補助剤は短期間しか使用できません。」
とバンダジェフスキーさんの言葉を聞くと、
「ペクチンは効果がないのか。今まで飲んでいたのに。」
と憤慨する人もいるでしょう。
実際私のほうにも「これについてどう思いますか?」という複数の日本人の方からのメールがきました。
私もバンダジェフスキーさんのこの文章を読みましたが、とても納得できるものでした。どうしてか・・・はこの記事で書いてみます。
・・・・・
この文章の最後のほうに
「私は、現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」
とバンダジェフスキーさんが書いていますが、これだけ読むとベルラド研究所を冷えた関係にあるような印象です。しかし文章の最初のほう、
「当時、私は、ゴメリ国立大学学長であったと同時に、病理学部学部長でもあり、この研究を監督していました。つまり、これらの研究における放射能測定の研究は、ゴメリ国立医科大学で行なわれた、と言う事実をここに明記しておきます。」
という部分をあわせて読むと、どうやら多くの人がバンダジェフスキー博士の研究とベルラドの研究を一緒くたにして誤解しているのではないか? と私は感じました。
つまり、バンダジェフスキー博士は医師の立場でゴメリ国立大学としての研究を行っていたのに、それをベルラド研究所の研究だと勘違いしている人(最近は特に日本人)が多くなってきて、博士は不愉快に感じているのではないか? と思いました。
それはそうですよね。心血注いで研究をしてきたのに、他の研究所が行った研究と勘違いされてたら、
「いや、それは違う。ゴメリ国立医科大学で行なわれた、と言う事実をここに明記しておきたい。私は、現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」
と言いたくなるでしょう。
それで
「1990年代に、「ベルラド」は、食品や物質に含まれる放射性核種の測定機器を製造していました。ゴメリ国立医科大学は、これらの機器を「ベルラド」から購入しました。」
・・・・だったので、ゴメリ国立医科大学で研究をしていた昔はベルラドと関係があったけど、今はウクライナの病院で働いているのだから、「現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」と発言するのは、そのとおりだし、事実を語っている、と思います。
バンダジェフスキー博士が投獄されていたとき、ベルラド研究所の前所長ワシーリイ・ネステレンコ博士は釈放を要求する運動をしたり、(おそらく生活が困窮したと思われる)奥さんのガリーナさんをベルラド研究所で働けるよう雇ったりしました。
(でも現在ガリーナさんはベルラド研究所を退職しています。確かに現在はベルラド研究所とは関係のない人になっています。)
ガリーナさんがベルラド研究所で働いていたとき、ベルラド研究所はバンダジェフスキー博士の論文を奥さんの協力の元、出版しています。
また文章中の
「「ベルラド」は、かつて、そして現在も、組織として科学的な地位を持たない民間企業です。」
というのも本当のことです。
ゴメリ国立医科大学は国立ですから、国立大学と民間企業の研究の規模などが違う、というのは当然で、そのことを博士は強調したいのではないか、と思いました。
さらに「「ベルラド」は、1990年から1999年の間にゴメリ国立医科大学で行われた子供と大人の放射能測定に参加した事はありません。」「また、ベルラドは、ゴメリ国立医科大学で行われた子供と大人の死亡後の放射能測定調査を行ったり、実験研究に参加した事はありません。」
これらも本当です。ベルラドは測定機材を大学に売っただけですから、実際の測定作業をするのは大学側で、販売した企業側ではないです。
それにベルラド研究所は医学的なテーマを研究する機関ではありません。
この研究所で働いている人のほとんどは物理学などが専門の人で、医者や医学者は働いていません。法律的にもまた人材や機材の環境を見ても、専門的な医学のテーマを研究できるような条件は全くそろっていません。
WBCで測定して、体内放射能値がどれぐらい、とか増減の推移を研究していますが、これは医学的なテーマではないでしょう。
「自分と子どもを守るには」の本の中に出てくる医学的な内容は全て他の(ゴメリ医大を含む)専門機関の研究結果に基づいています。
ベルラド研究所で大勢の患者を相手に研究した結果ではなく、公式な統計などを元にしているのです。医学的な内容については引用であることもちゃんと明記してあります。
副所長のバベンコさんに日本人の方から病気について(特に自分の身の上に起こった症状について)問い合わせる人もいるのですが、バベンコさんは
「私は医学は専門ではないから。」
と回答されていません。
ご自分の専門の範囲、つまり責任の範囲をわきまえているから、安易な答えはできない、という態度です。研究者としては当然でしょう。
それからバンダジェフスキーさんの文章中の
「ベルラド独自の研究が始まったのは、もっと後になってからです。」
これも本当で、測定作業は設立当初から始まっていましたが、ペクチンに関するベルラド研究所の研究が本格的に始まったのはビタペクトを開発してからなので、2000年以降になります。
「私は、1992年から1998年の間、ゴメリ国立医科大学において、ペクチンを含む多数の吸着剤についての膨大な数の研究を行い、1996年から1999年の間、解剖の対象の測定結果を発表し始めました。「ベルラド」は、これらの研究に参加していません。
これらの研究の結果は、いくつかの書籍で発表され、その時に初めて、ベルラドはこれらの研究に興味を示し始め、私の投獄中に、「ベルラド」は私の書籍をいくつか出版しました。」
これも本当です。
ベルラド研究所のほかベラルーシの専門家たちが最初にペクチンに興味を示したのはウクライナのペクチンサプリ「ヤブロペクト」が開発・販売されてからです。
そこでベルラド研究所も独自のペクチンサプリであるビタペクトを開発して、それを使って自分たちで研究・データ集めを行っています。(現在もそうです。)
ベルラド研究所のビタペクトを使った研究は、それはそれで独立したものです。
ゴメリ医科大の研究もそれはそれで独立したもので、両者をごちゃまぜにしてはいけない・・・とバンダジェフスキーさんは言いたいのでは? ・・・と私は思いますし、私自身もごちゃ混ぜはよくない、と思います。
バンダジェフスキーさんはご自分の名誉、ゴメリ医科大の名誉、研究をいっしょにしてきた仲間たちの名誉を守りたいのだろうなあ、と感じました。あれだけの研究をされてきたのですから、そう思うのは当然だと思います。
同じベラルーシ人だから、と言って国立と民間、大学と研究所を一緒くたにされては困るでしょう。
来日を前にしてこの点について、あらかじめ日本人の方々に言っておきたかったのではないでしょうか。
それから
「これらの補助剤(ペクチン)は短期間しか使用できません。」
についてですが、これも正しいことを言っていると思います。
ペクチンサプリが短期間しか使用できないのは本当です。長期間使用すると、体に必要なビタミン・ミネラル類も排出されるので、摂取の仕方には決まりがあります。
ビタペクトで言うと、ベルラド研究所も
「1年に4回(クール)の摂取が望ましい。」
としています。つまり1年のうち1ヶ月飲んで、2ヶ月休み・・・を繰り返しなさい、ということです。
しかもこれは放射能汚染地域に住み続けている人を対象した飲み方です。
また摂取する量についても一度に飲みすぎると、下痢や腹痛を起こすのでいけません。
SOS子ども村では少量ずつ2ヶ月かけて飲む、ということになっています。
これもちゃんと体内の放射能を測定して、その数値を見て決めていることです。
(今まで経験はありませんが)もし測定結果が体重1キロあたり数百ベクレル、というような子どもがSOS子ども村に保養滞在している場合は倍の量を1ヶ月かけて飲む、というように指導します。
「短期間」がどれぐらいの時間のことを表しているのか、人によって受け取り方はさまざまですが、私も2ヶ月が一定の連続摂取限度、とすれば短期間しか使用できない、という表現は正しいと思います。
バンダジェフスキーさんが
「ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができるとは、思いません。」
と発言しているのは少々疑問です。
ご本人が自身の論文「放射性セシウムが人体に与える 医学的生物学的影響」で
「体内に取り込まれたセシウムを体外に除去するための治療として、粘土質を加えたペクチン製剤のペクトパルはもっとも有望な製剤のひとつである。」
と述べているからです。
また
「ベラルーシで比較的普及しているビタペクト(アップルペクチン)の有効性について、妻のガリーナ・バンダジェフスキーは、研究論文をバンダジェフスキーとベルラド放射能安全研究所の所長ワシリー・ネステレンコとの共著で発表し、経口摂取されたペクチンは消化管内でセシウムと結合して体外への排出を促進する効果があると考察している。」
ということもしています。
詳しくはこちらをご覧ください。ウィキペデイアのバンダジェフスキー博士のページです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
ついでにネステレンコ博士のページもありますのでどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3
ペクチンについての作用についての見解について詳しくは講演会でどなたか直接バンダジェフスキー博士に質問してください。
ただ私がこの発言について感じたのは、確かに、ペクチンが排出に有効な放射性核種はセシウムだけだし、ペクチンが最高で完璧な排出方法である、とは言えないな・・・ということです。
そういう意味ではバンダジェフスキーさんの、ペクチンは問題解決につながらない、というのは正しいと思います。
ペクチンは食物繊維で、放射能の万能薬ではないです。
チロ基金でチェルノブイリの子どもたちにビタペクトを渡し続けている私としては、バンダジェフスキー博士がこのような発言をしたからと言って、
「じゃあ、支援活動をするのはいっさいやーめた。」
とは思いません。
ペクチン以外にもっと有効で(できたら安価な)放射能排出の方法があれば、チロ基金はそちらに切り替えるつもりです。
・・・と思いながら10年経過しましたが、いまだにベラルーシ国内ではビタペクト以上によい方法が見つかっていません。
それでずっと支援活動の内容を変えることなく続けています。
またバンダジェフスキーさんは「ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができるとは、思いません。」と言っているのであって
「ペクチンは全く効果なし。飲むだけ無駄。無意味。」
と言っているのではありません。
裏を返せば、それだけ人体から放射性核種を取り除くと言う問題は厳しく、簡単に解決できるものではない、と言いたいのかもしれません。
私も
「ペクチンは効く。だからこれさえあれば放射能なんて怖くない。家の前に原発が経っても平気。ペクチン以外の被ばく対策なんてしない。放射能がたくさん含まれている食品だってどんどん食べられる。基準値なんてわざわざ作らなくてもいい。」
とは思いませんし、このような考えを日本人に言うつもりも全くありません。
排出する前にできるだけ被ばくしないように努力するのが当然です。
それから私はこのブログでビタペクトやペクチンについて何度も紹介していますが、ベルラド研究所からお金をもらって、日本人向けに日本語の宣伝をすることを依頼されているものではありません。
(そういう意味では私も「ベルラドとは関係ない」人間かもです。)(^^;)
あくまで私はベラルーシ国内でベラルーシの子どもたちの支援活動をしているボランティアの人間です。
しかし日本でこのような原発事故が起きた以上、
「私はベラルーシの子どもさえ健康になればそれでいいの。それだけが私の役目。日本人の健康なんて知ったことではない。」
などと日本人として言えるわけがありませんし、全くそんなことは思いません。
10年になるベラルーシでの支援活動から得た情報を、日本人の方々にこのブログを通じてお知らせしたい、伝えたい、というそれだけの気持ちです。
ベラルーシ発の情報がもしかしたら日本人の誰かのために役立つかもしれないからです。
また「ペクチンは効果があるのだ。飲め飲め。」と強要するつもりも全くありません。
飲むかどうかは個人の自由です。
ペクチン以外にもずっと有効な方法が日本にはあるかもしれませんし、これから研究も進むと思います。
ただ言いたいのは
「バンダジェフスキーというベラルーシの医者がペクチンでは問題解決につながらないと言っている。今までペクチンサプリ飲んできたのに損した。」
と思わないでほしい、ということです。
なぜならベラルーシで支援活動をしてきた私はペクチンの効果を実感しているからです。また保養所であるSOS子ども村でもペクチンを支持しています。
バンダジェフスキー博士の意見も一つの意見、私やSOS子ども村の意見も一つの意見として聞いたうえで、どのような被ばく対策をされるのか、皆さんご自身が判断してください。
・・・・・・・・・・・・・
ここから先は3月19日の書き込みです。
18日に医学関係者向けに行われたセミナーでペクチンに関する質問にバンダジェフスキー博士が答えました。
それによると・・・
「(冤罪で)投獄されている間にペクチンの研究が進んだが、公式機関はペクチンの効果を認めていない。ペクチンが万能薬だというのは大きな間違い。」
・・・だそうです。ペクチンが万能薬ではない、というのは本当にそのとおりです。放射性核種で言うとセシウム137しか研究結果もありません。
ストロンチウム90などはペクチンでは排出されません。
ベラルーシの医者の中にもペクチンは効き目がない、としている人もいます。
しかしベラルーシのある企業がベラルーシ国内のスーパーマーケットでペクチン入りセルロースを売っていて、その説明書きに「放射能を排出します。」と堂々と書いています。
これがベラルーシの公式機関も認めていない真っ赤な嘘だというなら、この企業は法律に触れていることになりますが、今でもこの商品は普通に売られています。
さらにバンダジェフスキー博士は
「私はベラルド研究所とは関係ない。また、健康を守るのは医療関係者が行うべきであって、ビジネスにすべきでない。」・・・とベラルドを批判したそうです。
私はバンダジェフスキー博士にがっかりしました。
ベルラド研究所はあくまで研究所であって、ペクチンサプリを販売して儲けている企業ではありません。
ベルラドを民間の健康食品会社だと勘違いされている日本人がいますが、ベルラドがしているのは研究や調査です。
研究所は汚染地域の住民に対しては、無料でWBC測定を行っており、無料でビタペクトを渡しています。さらに無料で再測定もしています。
非汚染地域の住民には有料で測定をしていますが、1回の料金は日本円にしてわずか160円です。
ビタペクトTも販売していますが、これも1瓶160円です。
またビタペクトの大量生産も全く行っていません。基本的には汚染地で無料配布できるだけの量が作れればそれでいい、というスタンスです。
(それどころかこの半年、諸事情からビタペクトの生産が止まっています。1個も作られませんでした。仕方なく子どもたちへの支援のためにペクチン入りセルロースを代用していることはチロ基金の活動報告をご覧ください。
しかし来月から製造再開されるそうです。ベラルーシの子どもたちが待っています。一日も早い製造再開をチロ基金の人間としては祈るばかりです。
ちなみにビタペクトは100%ピュアなペクチンサプリではありません。このブログをずっと前から読んでくださっている方にとっては周知のことですが。
またベルラド研究所はビタペクトの宣伝をテレビのCMなどで流したことも全くありません。
ベルラド研究所は利益を追求しなくてはいけない企業ではないので、宣伝などしなくていいのです。
もちろんビタペクトを放射能の特効薬のように言っていることは全くありません。
逆に長期連続摂取はしないように説明しており、1年間に4クールの摂取をするよう勧めています。しかもこれはWBCの測定結果がよくなく、さらに汚染地域に住み続けている人対象の回数です。
とてもベルラド研究所がビジネスライクなことをしているとは思えません。
じゃあ、研究資金はどうしているのかというと、西側ヨーロッパ諸国の慈善団体などから寄付を受けて行っているのです。
それにWBCによる測定は医療行為ではありません。でも健康を守ることにつながります。それを医療関係者以外の人間は絶対してはいけないのでしょうか?
日本でも民間が測定作業を始めていますが、それも医療関係者以外の人間だから絶対するな、と言いたいのでしょうか?
もちろん法外な測定料金を取るのは「ビジネス」に走っていることになるでしょうが、そうでない検査機関もあります。
チロ基金がビタペクトTを購入することでわずかながら、ベルラド研究所を応援していること、SOS子ども村の子どもたちに渡していることも健康につながることだからしているのですが、それも医療関係者だからしなくていい、ということでしょうか?
それから感情論だよ、と批判されるの覚悟で書きますが、バンダジェフスキー博士が投獄されていたとき、釈放のための運動をしていたのはベルラド研究所初代所長のワシーリイ・ネステレンコさんですよ。お二人は親友だった、ということになっていますが・・・。
事件のせいでゴメリ医大をやめさせられてからは、ネステレンコさんはバンダジェフスキー夫妻にときどきお金を差し入れていました。
お金も大事な生活の要素の一つですよ。お金が全くないと、生活ができない。研究もできない。ボランティア活動もできない。(予算0円でできるボランティア活動もあると言う人もいるでしょうが、電話1本かけるのにもお金はかかりますよ。)
これでも
「ベルラド研究所はビジネス第一の組織だ。」
と批判するのですか?
そんなに民間がやっていることはいけないことなのでしょうか?
国立や国営、あるいは政府がしていることだけがビジネス第一ではなく、信用できるのですか?
日本の民間測定所もやってはいけないことなんですか? 無意味なことをしているのでしょうか?
確かに明らかに法外に高い測定料金を請求するのは、よくありませんが、ベルラド研究所が儲け主義なことをしているとは、私にはとても思えません。
平均の月給が3万円ほどのベラルーシ人ですら、ベルラドのWBC測定料金は安い、と話しています。
また「犯罪者で服役中の夫を持った」奥さんをベルラド研究所が雇っています。その後、協力し合ってバンダジェフスキー博士の論文を出版しています。ベルラド研究所がこうしていなかったら、服役中の人間の論文を出版するような会社はベラルーシにはなかったでしょう。
それともこの親切がかえって気に入らなかった(何かのトラブルの元になった?)のでしょうか?
私のような外側にいる立場の人間には分からないような事情があるのかもしれません。
しかし私からすれば、健康を守るのはビジネスにすべきでないという理由で、自分が困ったときは助けてくれたベラルド研究所を批判するバンダジェフスキー博士の態度は、医学の専門家と言う前にまず人としてどうなの? と思いました。
さらに被ばく対策としては
「汚染されていないきれいな食品を食べることが必要。ペクチンは意味がない。できるだけ食事からの蓄積を防ぐ。一番難しいけど一番大事。」
と何度も強調していたそうです。
本当に一番難しいですね。今の日本の体制では・・・。
それができれば完璧なのですが、この1年の間に被ばくしてしまった人はどうしたらいいの? と思いました。
そしたら同じことを考えている人がちゃんといて、3月19日に国会議員会館にて行われた記者会見&特別勉強会で議員さんが
「Cs137をいったん取り込んだ場合の治療法は?」
と質問していました。それに対しバンダジェフスキー博士は
「いったんCsを取り込んだ場合、1ヶ月半で排出される。一部は体内で崩壊して蓄積され、それが生命維持に必要な臓器に影響を与える。安定バリウムという非常に有害な物質になる。」
と答え、つまりセシウムを取り込んだら、ほとんどは時間が来れば排出されるが、どうしても一部は有害物質となって体内に残ってしまい、それをなくすことはできない、ということです。
要するに質問に対し、絶望的な答えが返ってきただけです。
さらには
「ベラルーシの人々はチェルノブイリ事故が起こる前、'60年代から放射能汚染の影響を受けていた。」
ということも講演会で話したそうですが、日本でもそうでしょ?
核実験による影響で、60年代は日本でも放射能の線量が高かった。でも、その影響なんか出ていない。だから放射能を怖がるのはやめましょう、と言っている学者も日本にいます。
横浜のマンションの屋上でストロンチウム90が見つかると
「それは福島第一原発由来のものではない。60年代の核実験によるものだ。」
と説明していましたね。
要するに日本もベラルーシも60年代は放射能がすぐ目の前にある状態で、さらに原発事故が起こって大量の放射能が拡散したという共通の経験を持っている、ということです。
そして博士が語る健康被害のデータは恐怖そのものです。ベラルーシと日本の取り巻く状況がこれだけ似ている、ということは、日本も将来こういう健康被害が出る、と言っているのと同じです。
しかし、それに対してペクチンは意味がない。セシウムは完全に排出されない、と言っており、解決方法はただ一つ・・・
「汚染していないものを食べましょう。」
・・・なのですから、聞いているこちらは大変です。
今の日本でこれはまだ完璧にはできない、しかももう被ばくしてしまった人は、解決方法なし、と言われているようなものです。
解決方法なんかない・・・そのような感想を持った参加者も多かったのではないでしょうか?
悲しい講演会でしたね。私は絶望、とまではいきませんが、希望の光が小さくなったような気持ちがしました。
でもベラルーシに住んでいる私は、とにかく自分の信じる方法で、できる限りベラルーシの子どもたちにビタペクトを配っていこう、と思いました。
バンダジェフスキーさんの話は話で尊重するけれど、全てを真に受けていたら、暗闇の世界に落ちていくだけのように感じます。なので、私は気にせずこれからも前に進みます。
「バンダジェフスキー博士の「ベルラド」への見解。また、放射性物質に関するペクチンの限界について。」
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/a53b086fbec77b1e20f403651d1c8b0c
この文章だけ読むと、バンダジェフスキー博士がベルラド研究所に対して冷たいような態度を取っているように思える人もいるかもしれません。
またペクチンについても
「私は、ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができると
は、思いません。これらの補助剤は短期間しか使用できません。」
とバンダジェフスキーさんの言葉を聞くと、
「ペクチンは効果がないのか。今まで飲んでいたのに。」
と憤慨する人もいるでしょう。
実際私のほうにも「これについてどう思いますか?」という複数の日本人の方からのメールがきました。
私もバンダジェフスキーさんのこの文章を読みましたが、とても納得できるものでした。どうしてか・・・はこの記事で書いてみます。
・・・・・
この文章の最後のほうに
「私は、現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」
とバンダジェフスキーさんが書いていますが、これだけ読むとベルラド研究所を冷えた関係にあるような印象です。しかし文章の最初のほう、
「当時、私は、ゴメリ国立大学学長であったと同時に、病理学部学部長でもあり、この研究を監督していました。つまり、これらの研究における放射能測定の研究は、ゴメリ国立医科大学で行なわれた、と言う事実をここに明記しておきます。」
という部分をあわせて読むと、どうやら多くの人がバンダジェフスキー博士の研究とベルラドの研究を一緒くたにして誤解しているのではないか? と私は感じました。
つまり、バンダジェフスキー博士は医師の立場でゴメリ国立大学としての研究を行っていたのに、それをベルラド研究所の研究だと勘違いしている人(最近は特に日本人)が多くなってきて、博士は不愉快に感じているのではないか? と思いました。
それはそうですよね。心血注いで研究をしてきたのに、他の研究所が行った研究と勘違いされてたら、
「いや、それは違う。ゴメリ国立医科大学で行なわれた、と言う事実をここに明記しておきたい。私は、現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」
と言いたくなるでしょう。
それで
「1990年代に、「ベルラド」は、食品や物質に含まれる放射性核種の測定機器を製造していました。ゴメリ国立医科大学は、これらの機器を「ベルラド」から購入しました。」
・・・・だったので、ゴメリ国立医科大学で研究をしていた昔はベルラドと関係があったけど、今はウクライナの病院で働いているのだから、「現在「ベルラド」とは一切関係ありません。」と発言するのは、そのとおりだし、事実を語っている、と思います。
バンダジェフスキー博士が投獄されていたとき、ベルラド研究所の前所長ワシーリイ・ネステレンコ博士は釈放を要求する運動をしたり、(おそらく生活が困窮したと思われる)奥さんのガリーナさんをベルラド研究所で働けるよう雇ったりしました。
(でも現在ガリーナさんはベルラド研究所を退職しています。確かに現在はベルラド研究所とは関係のない人になっています。)
ガリーナさんがベルラド研究所で働いていたとき、ベルラド研究所はバンダジェフスキー博士の論文を奥さんの協力の元、出版しています。
また文章中の
「「ベルラド」は、かつて、そして現在も、組織として科学的な地位を持たない民間企業です。」
というのも本当のことです。
ゴメリ国立医科大学は国立ですから、国立大学と民間企業の研究の規模などが違う、というのは当然で、そのことを博士は強調したいのではないか、と思いました。
さらに「「ベルラド」は、1990年から1999年の間にゴメリ国立医科大学で行われた子供と大人の放射能測定に参加した事はありません。」「また、ベルラドは、ゴメリ国立医科大学で行われた子供と大人の死亡後の放射能測定調査を行ったり、実験研究に参加した事はありません。」
これらも本当です。ベルラドは測定機材を大学に売っただけですから、実際の測定作業をするのは大学側で、販売した企業側ではないです。
それにベルラド研究所は医学的なテーマを研究する機関ではありません。
この研究所で働いている人のほとんどは物理学などが専門の人で、医者や医学者は働いていません。法律的にもまた人材や機材の環境を見ても、専門的な医学のテーマを研究できるような条件は全くそろっていません。
WBCで測定して、体内放射能値がどれぐらい、とか増減の推移を研究していますが、これは医学的なテーマではないでしょう。
「自分と子どもを守るには」の本の中に出てくる医学的な内容は全て他の(ゴメリ医大を含む)専門機関の研究結果に基づいています。
ベルラド研究所で大勢の患者を相手に研究した結果ではなく、公式な統計などを元にしているのです。医学的な内容については引用であることもちゃんと明記してあります。
副所長のバベンコさんに日本人の方から病気について(特に自分の身の上に起こった症状について)問い合わせる人もいるのですが、バベンコさんは
「私は医学は専門ではないから。」
と回答されていません。
ご自分の専門の範囲、つまり責任の範囲をわきまえているから、安易な答えはできない、という態度です。研究者としては当然でしょう。
それからバンダジェフスキーさんの文章中の
「ベルラド独自の研究が始まったのは、もっと後になってからです。」
これも本当で、測定作業は設立当初から始まっていましたが、ペクチンに関するベルラド研究所の研究が本格的に始まったのはビタペクトを開発してからなので、2000年以降になります。
「私は、1992年から1998年の間、ゴメリ国立医科大学において、ペクチンを含む多数の吸着剤についての膨大な数の研究を行い、1996年から1999年の間、解剖の対象の測定結果を発表し始めました。「ベルラド」は、これらの研究に参加していません。
これらの研究の結果は、いくつかの書籍で発表され、その時に初めて、ベルラドはこれらの研究に興味を示し始め、私の投獄中に、「ベルラド」は私の書籍をいくつか出版しました。」
これも本当です。
ベルラド研究所のほかベラルーシの専門家たちが最初にペクチンに興味を示したのはウクライナのペクチンサプリ「ヤブロペクト」が開発・販売されてからです。
そこでベルラド研究所も独自のペクチンサプリであるビタペクトを開発して、それを使って自分たちで研究・データ集めを行っています。(現在もそうです。)
ベルラド研究所のビタペクトを使った研究は、それはそれで独立したものです。
ゴメリ医科大の研究もそれはそれで独立したもので、両者をごちゃまぜにしてはいけない・・・とバンダジェフスキーさんは言いたいのでは? ・・・と私は思いますし、私自身もごちゃ混ぜはよくない、と思います。
バンダジェフスキーさんはご自分の名誉、ゴメリ医科大の名誉、研究をいっしょにしてきた仲間たちの名誉を守りたいのだろうなあ、と感じました。あれだけの研究をされてきたのですから、そう思うのは当然だと思います。
同じベラルーシ人だから、と言って国立と民間、大学と研究所を一緒くたにされては困るでしょう。
来日を前にしてこの点について、あらかじめ日本人の方々に言っておきたかったのではないでしょうか。
それから
「これらの補助剤(ペクチン)は短期間しか使用できません。」
についてですが、これも正しいことを言っていると思います。
ペクチンサプリが短期間しか使用できないのは本当です。長期間使用すると、体に必要なビタミン・ミネラル類も排出されるので、摂取の仕方には決まりがあります。
ビタペクトで言うと、ベルラド研究所も
「1年に4回(クール)の摂取が望ましい。」
としています。つまり1年のうち1ヶ月飲んで、2ヶ月休み・・・を繰り返しなさい、ということです。
しかもこれは放射能汚染地域に住み続けている人を対象した飲み方です。
また摂取する量についても一度に飲みすぎると、下痢や腹痛を起こすのでいけません。
SOS子ども村では少量ずつ2ヶ月かけて飲む、ということになっています。
これもちゃんと体内の放射能を測定して、その数値を見て決めていることです。
(今まで経験はありませんが)もし測定結果が体重1キロあたり数百ベクレル、というような子どもがSOS子ども村に保養滞在している場合は倍の量を1ヶ月かけて飲む、というように指導します。
「短期間」がどれぐらいの時間のことを表しているのか、人によって受け取り方はさまざまですが、私も2ヶ月が一定の連続摂取限度、とすれば短期間しか使用できない、という表現は正しいと思います。
バンダジェフスキーさんが
「ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができるとは、思いません。」
と発言しているのは少々疑問です。
ご本人が自身の論文「放射性セシウムが人体に与える 医学的生物学的影響」で
「体内に取り込まれたセシウムを体外に除去するための治療として、粘土質を加えたペクチン製剤のペクトパルはもっとも有望な製剤のひとつである。」
と述べているからです。
また
「ベラルーシで比較的普及しているビタペクト(アップルペクチン)の有効性について、妻のガリーナ・バンダジェフスキーは、研究論文をバンダジェフスキーとベルラド放射能安全研究所の所長ワシリー・ネステレンコとの共著で発表し、経口摂取されたペクチンは消化管内でセシウムと結合して体外への排出を促進する効果があると考察している。」
ということもしています。
詳しくはこちらをご覧ください。ウィキペデイアのバンダジェフスキー博士のページです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
ついでにネステレンコ博士のページもありますのでどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3
ペクチンについての作用についての見解について詳しくは講演会でどなたか直接バンダジェフスキー博士に質問してください。
ただ私がこの発言について感じたのは、確かに、ペクチンが排出に有効な放射性核種はセシウムだけだし、ペクチンが最高で完璧な排出方法である、とは言えないな・・・ということです。
そういう意味ではバンダジェフスキーさんの、ペクチンは問題解決につながらない、というのは正しいと思います。
ペクチンは食物繊維で、放射能の万能薬ではないです。
チロ基金でチェルノブイリの子どもたちにビタペクトを渡し続けている私としては、バンダジェフスキー博士がこのような発言をしたからと言って、
「じゃあ、支援活動をするのはいっさいやーめた。」
とは思いません。
ペクチン以外にもっと有効で(できたら安価な)放射能排出の方法があれば、チロ基金はそちらに切り替えるつもりです。
・・・と思いながら10年経過しましたが、いまだにベラルーシ国内ではビタペクト以上によい方法が見つかっていません。
それでずっと支援活動の内容を変えることなく続けています。
またバンダジェフスキーさんは「ペクチンが人体から放射性核種を取り除くと言う問題を解決することができるとは、思いません。」と言っているのであって
「ペクチンは全く効果なし。飲むだけ無駄。無意味。」
と言っているのではありません。
裏を返せば、それだけ人体から放射性核種を取り除くと言う問題は厳しく、簡単に解決できるものではない、と言いたいのかもしれません。
私も
「ペクチンは効く。だからこれさえあれば放射能なんて怖くない。家の前に原発が経っても平気。ペクチン以外の被ばく対策なんてしない。放射能がたくさん含まれている食品だってどんどん食べられる。基準値なんてわざわざ作らなくてもいい。」
とは思いませんし、このような考えを日本人に言うつもりも全くありません。
排出する前にできるだけ被ばくしないように努力するのが当然です。
それから私はこのブログでビタペクトやペクチンについて何度も紹介していますが、ベルラド研究所からお金をもらって、日本人向けに日本語の宣伝をすることを依頼されているものではありません。
(そういう意味では私も「ベルラドとは関係ない」人間かもです。)(^^;)
あくまで私はベラルーシ国内でベラルーシの子どもたちの支援活動をしているボランティアの人間です。
しかし日本でこのような原発事故が起きた以上、
「私はベラルーシの子どもさえ健康になればそれでいいの。それだけが私の役目。日本人の健康なんて知ったことではない。」
などと日本人として言えるわけがありませんし、全くそんなことは思いません。
10年になるベラルーシでの支援活動から得た情報を、日本人の方々にこのブログを通じてお知らせしたい、伝えたい、というそれだけの気持ちです。
ベラルーシ発の情報がもしかしたら日本人の誰かのために役立つかもしれないからです。
また「ペクチンは効果があるのだ。飲め飲め。」と強要するつもりも全くありません。
飲むかどうかは個人の自由です。
ペクチン以外にもずっと有効な方法が日本にはあるかもしれませんし、これから研究も進むと思います。
ただ言いたいのは
「バンダジェフスキーというベラルーシの医者がペクチンでは問題解決につながらないと言っている。今までペクチンサプリ飲んできたのに損した。」
と思わないでほしい、ということです。
なぜならベラルーシで支援活動をしてきた私はペクチンの効果を実感しているからです。また保養所であるSOS子ども村でもペクチンを支持しています。
バンダジェフスキー博士の意見も一つの意見、私やSOS子ども村の意見も一つの意見として聞いたうえで、どのような被ばく対策をされるのか、皆さんご自身が判断してください。
・・・・・・・・・・・・・
ここから先は3月19日の書き込みです。
18日に医学関係者向けに行われたセミナーでペクチンに関する質問にバンダジェフスキー博士が答えました。
それによると・・・
「(冤罪で)投獄されている間にペクチンの研究が進んだが、公式機関はペクチンの効果を認めていない。ペクチンが万能薬だというのは大きな間違い。」
・・・だそうです。ペクチンが万能薬ではない、というのは本当にそのとおりです。放射性核種で言うとセシウム137しか研究結果もありません。
ストロンチウム90などはペクチンでは排出されません。
ベラルーシの医者の中にもペクチンは効き目がない、としている人もいます。
しかしベラルーシのある企業がベラルーシ国内のスーパーマーケットでペクチン入りセルロースを売っていて、その説明書きに「放射能を排出します。」と堂々と書いています。
これがベラルーシの公式機関も認めていない真っ赤な嘘だというなら、この企業は法律に触れていることになりますが、今でもこの商品は普通に売られています。
さらにバンダジェフスキー博士は
「私はベラルド研究所とは関係ない。また、健康を守るのは医療関係者が行うべきであって、ビジネスにすべきでない。」・・・とベラルドを批判したそうです。
私はバンダジェフスキー博士にがっかりしました。
ベルラド研究所はあくまで研究所であって、ペクチンサプリを販売して儲けている企業ではありません。
ベルラドを民間の健康食品会社だと勘違いされている日本人がいますが、ベルラドがしているのは研究や調査です。
研究所は汚染地域の住民に対しては、無料でWBC測定を行っており、無料でビタペクトを渡しています。さらに無料で再測定もしています。
非汚染地域の住民には有料で測定をしていますが、1回の料金は日本円にしてわずか160円です。
ビタペクトTも販売していますが、これも1瓶160円です。
またビタペクトの大量生産も全く行っていません。基本的には汚染地で無料配布できるだけの量が作れればそれでいい、というスタンスです。
(それどころかこの半年、諸事情からビタペクトの生産が止まっています。1個も作られませんでした。仕方なく子どもたちへの支援のためにペクチン入りセルロースを代用していることはチロ基金の活動報告をご覧ください。
しかし来月から製造再開されるそうです。ベラルーシの子どもたちが待っています。一日も早い製造再開をチロ基金の人間としては祈るばかりです。
ちなみにビタペクトは100%ピュアなペクチンサプリではありません。このブログをずっと前から読んでくださっている方にとっては周知のことですが。
またベルラド研究所はビタペクトの宣伝をテレビのCMなどで流したことも全くありません。
ベルラド研究所は利益を追求しなくてはいけない企業ではないので、宣伝などしなくていいのです。
もちろんビタペクトを放射能の特効薬のように言っていることは全くありません。
逆に長期連続摂取はしないように説明しており、1年間に4クールの摂取をするよう勧めています。しかもこれはWBCの測定結果がよくなく、さらに汚染地域に住み続けている人対象の回数です。
とてもベルラド研究所がビジネスライクなことをしているとは思えません。
じゃあ、研究資金はどうしているのかというと、西側ヨーロッパ諸国の慈善団体などから寄付を受けて行っているのです。
それにWBCによる測定は医療行為ではありません。でも健康を守ることにつながります。それを医療関係者以外の人間は絶対してはいけないのでしょうか?
日本でも民間が測定作業を始めていますが、それも医療関係者以外の人間だから絶対するな、と言いたいのでしょうか?
もちろん法外な測定料金を取るのは「ビジネス」に走っていることになるでしょうが、そうでない検査機関もあります。
チロ基金がビタペクトTを購入することでわずかながら、ベルラド研究所を応援していること、SOS子ども村の子どもたちに渡していることも健康につながることだからしているのですが、それも医療関係者だからしなくていい、ということでしょうか?
それから感情論だよ、と批判されるの覚悟で書きますが、バンダジェフスキー博士が投獄されていたとき、釈放のための運動をしていたのはベルラド研究所初代所長のワシーリイ・ネステレンコさんですよ。お二人は親友だった、ということになっていますが・・・。
事件のせいでゴメリ医大をやめさせられてからは、ネステレンコさんはバンダジェフスキー夫妻にときどきお金を差し入れていました。
お金も大事な生活の要素の一つですよ。お金が全くないと、生活ができない。研究もできない。ボランティア活動もできない。(予算0円でできるボランティア活動もあると言う人もいるでしょうが、電話1本かけるのにもお金はかかりますよ。)
これでも
「ベルラド研究所はビジネス第一の組織だ。」
と批判するのですか?
そんなに民間がやっていることはいけないことなのでしょうか?
国立や国営、あるいは政府がしていることだけがビジネス第一ではなく、信用できるのですか?
日本の民間測定所もやってはいけないことなんですか? 無意味なことをしているのでしょうか?
確かに明らかに法外に高い測定料金を請求するのは、よくありませんが、ベルラド研究所が儲け主義なことをしているとは、私にはとても思えません。
平均の月給が3万円ほどのベラルーシ人ですら、ベルラドのWBC測定料金は安い、と話しています。
また「犯罪者で服役中の夫を持った」奥さんをベルラド研究所が雇っています。その後、協力し合ってバンダジェフスキー博士の論文を出版しています。ベルラド研究所がこうしていなかったら、服役中の人間の論文を出版するような会社はベラルーシにはなかったでしょう。
それともこの親切がかえって気に入らなかった(何かのトラブルの元になった?)のでしょうか?
私のような外側にいる立場の人間には分からないような事情があるのかもしれません。
しかし私からすれば、健康を守るのはビジネスにすべきでないという理由で、自分が困ったときは助けてくれたベラルド研究所を批判するバンダジェフスキー博士の態度は、医学の専門家と言う前にまず人としてどうなの? と思いました。
さらに被ばく対策としては
「汚染されていないきれいな食品を食べることが必要。ペクチンは意味がない。できるだけ食事からの蓄積を防ぐ。一番難しいけど一番大事。」
と何度も強調していたそうです。
本当に一番難しいですね。今の日本の体制では・・・。
それができれば完璧なのですが、この1年の間に被ばくしてしまった人はどうしたらいいの? と思いました。
そしたら同じことを考えている人がちゃんといて、3月19日に国会議員会館にて行われた記者会見&特別勉強会で議員さんが
「Cs137をいったん取り込んだ場合の治療法は?」
と質問していました。それに対しバンダジェフスキー博士は
「いったんCsを取り込んだ場合、1ヶ月半で排出される。一部は体内で崩壊して蓄積され、それが生命維持に必要な臓器に影響を与える。安定バリウムという非常に有害な物質になる。」
と答え、つまりセシウムを取り込んだら、ほとんどは時間が来れば排出されるが、どうしても一部は有害物質となって体内に残ってしまい、それをなくすことはできない、ということです。
要するに質問に対し、絶望的な答えが返ってきただけです。
さらには
「ベラルーシの人々はチェルノブイリ事故が起こる前、'60年代から放射能汚染の影響を受けていた。」
ということも講演会で話したそうですが、日本でもそうでしょ?
核実験による影響で、60年代は日本でも放射能の線量が高かった。でも、その影響なんか出ていない。だから放射能を怖がるのはやめましょう、と言っている学者も日本にいます。
横浜のマンションの屋上でストロンチウム90が見つかると
「それは福島第一原発由来のものではない。60年代の核実験によるものだ。」
と説明していましたね。
要するに日本もベラルーシも60年代は放射能がすぐ目の前にある状態で、さらに原発事故が起こって大量の放射能が拡散したという共通の経験を持っている、ということです。
そして博士が語る健康被害のデータは恐怖そのものです。ベラルーシと日本の取り巻く状況がこれだけ似ている、ということは、日本も将来こういう健康被害が出る、と言っているのと同じです。
しかし、それに対してペクチンは意味がない。セシウムは完全に排出されない、と言っており、解決方法はただ一つ・・・
「汚染していないものを食べましょう。」
・・・なのですから、聞いているこちらは大変です。
今の日本でこれはまだ完璧にはできない、しかももう被ばくしてしまった人は、解決方法なし、と言われているようなものです。
解決方法なんかない・・・そのような感想を持った参加者も多かったのではないでしょうか?
悲しい講演会でしたね。私は絶望、とまではいきませんが、希望の光が小さくなったような気持ちがしました。
でもベラルーシに住んでいる私は、とにかく自分の信じる方法で、できる限りベラルーシの子どもたちにビタペクトを配っていこう、と思いました。
バンダジェフスキーさんの話は話で尊重するけれど、全てを真に受けていたら、暗闇の世界に落ちていくだけのように感じます。なので、私は気にせずこれからも前に進みます。