ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

日本文化情報センターの活動 出張講演 モロジェチノ中央図書館

2012-02-09 | 日本文化情報センター
 2012年2月8日にベラルーシの都市、モロジェチノにある中央図書館に出張講演へ行ってきました。
 依頼されたテーマは日本庭園。
 出席したのは私のほか、ベラルーシ国立植物園で未来の園芸家の育成もしている先生や地元で園芸を子どもたちに指導している先生も参加しました。
 私はモロジェチノに行くのは初めてだったのですが、とても町がきれいでびっくりしました。
「今は雪が積もっているけれど、夏はもっときれいですよ。」
と図書館員さんたちに言われました。次回はぜひ夏に行きたいです。

 図書館は町の中心部にあり、とても立派な建物でこれにもびっくりしました。
 シャンデリアがいっぱいぶら下がっていました。貸し出しコーナーに行って日本文学の棚を見ると村上春樹や井原西鶴など多数のロシア語訳が並んでいました。(侮るなかれ、ベラルーシの地方都市図書館・・・。)
 文学作品はたくさんあるけれど、情報を教えてくれるような文献や資料は少ない、という話でした。
 
 図書館内のホールには80人の人がやってきたので、平日の昼間なのにそんなに日本庭園のことが知りたい、という人がたくさんいるのか、とそれにも驚きました。
 さらには地元のテレビ局や新聞社も取材に来て、モロジェチノに日本人が来たのは初めてだから、と話していました。
(でもおそらくマスコミが把握してないだけで、以前にモロジェチノに来たことのある日本人はいると思いますよ。)

 私は日本庭園の画像を交えながら、簡単ですが日本庭園が発達してきた経緯や理由、古いタイプの庭から現代の家庭の中に取り入れられている庭まで、お話しました。
  
 モロジェチノ中央図書館の方からは
「日本には花見という習慣がある。」
という話が出ました。どうもベラルーシ人からすると
「じーっと花を眺める。」
と言うのは
「日々の雑多な家事や用事に追われているので、無理。日本人がやっていることは理解できない。」
ということなのだそうです。

 まあ、花見って言っても、日本人もいろいろですよね。
 わざわざ人里離れた桜の名所まで行く人もいれば、朝から場所取りして、夕方からお酒を飲んで騒ぐ(^^;)という場合もあるし、きれいな桜の写真を撮ることに情熱を注ぐ人もいます。
 でも
「日本人は世界で一番働き者なのでしょ? 残業ばかりしているし、いつ花を見ているの? そんな時間はあるの?」
ときかれたときは
「忙しいからこそ、ときどきお花を見て心をなごませないといけないんですよ。」
と答えました。
 図書館側からは
「ベラルーシでも花見の習慣を取り入れたらどうか。でも桜はないので、りんごの花ではどうか?」
という積極的な意見が出てきてまたまた驚きました。
 私も
「花見と言っても日本人のまねなどしなくていいので、ベラルーシ人に合った感じの花見スタイルを作ればいいと思います。」
と話しました。

 日本庭園から花見論に移って盛り上がったわけなのですが、そう言われてみれば今までもベラルーシ人から
「日本には花見という祭があるそうですね。」
とよくきかれていました。私はてっきり、日本といえば桜、そして花見というイメージからこういう質問が出るのだろう、と思っていたのですが、どうやら実はベラルーシ人からすると
「変なことを日本人はしている。」
というイメージを持っているから、印象に残ってしまう・・・ということらしいです。(初めてこのことに気がつきました・・・。)

「だって、ベラルーシであなたの近所の人が道端のたんぽぽをじーっと眺めていたら、『気が変になったのでは?』と思うでしょ?」
とまで植物園の先生には言われるし・・・。
 満開の桜を見上げて大勢の日本人がニコニコしている様はベラルーシ人には「奇妙な光景」・・・のようです。

 しかし、ベラルーシ風の花見をやってみよう、という意見もベラルーシ人側から出ているので、これからどうなるのか楽しみです。
 
 このほか
「日本語を聞いてみたいから、詩を朗読して。」
と会場の人から言われました。これもベラルーシではよく頼まれることなんです。
 ベラルーシ人は幼稚園の頃から詩の暗唱を叩き込まれるので、得意なんです。そして日本人も同じように教育されていると思っているので、気軽に「詩を朗読して。」と頼んでくるんですよね。
 このようなことが全く得意ではない私はいつも世界で一番短い形式である詩、そう、俳句を読むようにしているのですが、(そうすると今度はすぐ「ロシア語に訳して。」と頼まれます。)あまりの短さに
「え、それだけ?」
という反応でした。(すみません。)

 でも図書館の方々がいろいろ準備などしてくれたおかげで、講演会はとてもスムーズに運びました。
 また機会があれば、モロジェチノに行ってみたいです。日本に興味がある人がこんなにいるとは思っていませんでした。
 そしてチロ基金からもこの図書館に資料文献の提供など行うことにしました。
 日本に関する興味が長く続いてほしいです。(まずはベラルーシ初の花見をモロジェチノでぜひ開催してほしいです。)

・・・・・・

 3月7日付のモロジェチノ新聞に記事が載りました。ロシア語ですが、このサイトで読むことができます。

Газета "Маладзечанская газета " № 18, 7 марта 2012г. "В японский сад – с Масако-сан" :

http://mgazeta.by/index.php?option=com_content&view=article&id=2081:2012-03-07-06-42-15&catid=136:2010-02-10-09-22-26&Itemid=536



  

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