ベラルーシの部屋ブログ

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ゴメリ州における死因

2012-01-10 | 放射能関連情報
 「ゴメリ州住民の健康と環境」からの抜粋記事の続きです。

 ゴメリ州で2010年に死亡した人の死因についてです。
 第1位は「循環器系統の病気」で、56.1%を占めています。
 日本では死因の1位はガンですが、放射能に汚染された地域が一番多いゴメリ州での死因の1位はガンではないのです。
 放射能被ばく、と言うと、すぐにガンを連想する人が多いですが、私から言わせれば、放射能のせいでなる病気はガンだけではないです。

 それから「日本人の3人に1人はガンになるのだから」放射能被ばくのせいで、ガンになる人が微増したとしても、そんなのは数のうちに入らないから、放射能のことをいたずらに怖がるな、という人がいます。
 しかし、ガンになるよりならないほうがいいに決まっています。被ばくをいたずらに怖がるだけ、というのは確かによくありませんが、できるだけ被ばくしないように注意することは大事だと思います。

 そのガンですが、ゴメリ州では死因の2位となっています。それでも13.5%です。日本では30%です。
 放射能の高汚染地域もたくさんあるゴメリ州のほうが日本よりガンで死亡する可能性は低いのです。

 そして死因の3位です。何と「死因不明」です。
 私にはこれが一番驚きでした。ゴメリ州の死因の10.3%が死因不明なのです。
 去年亡くなった人のうち10人に1人が「どうして死んだのか分からない」のです。
 これは専門家が検死したのにも関わらず「分からなかった」と結論付けたものです。
 ゴメリ州の医療や検死技術のレベルが低いのか、死因を確定しようという意識が乏しいのか、よく分かりませんが、10.3%が死因不明とは多すぎると思います。

 4位は9.9%の「外傷死、事故死、中毒死など」です。つまり病死(老衰を含む)と死因不明を除いたもの全てがここに該当します。
 当然、自殺もこの中に入ります。
 詳しく見ると、2010年にはゴメリ州で2200人の死亡者の死因がこれに該当しています。この2200人のうちの78.6%が男性です。
 さらにその男性を年齢別に見ると就労可能年齢層(15歳から60歳まで)の人がほとんどで男性の中の72.1%を占めています。

 この4位の死因にはいろいろな種類のものがありますが、その中で一番多かったのがアルコール中毒死でした。(19.4%)
 その次に多かったのが「自殺など」で15・7%です。
 この自殺など、というのは何かと言えば「自殺、ならびに自分に原因があるもの」という表現になっています。
 つまり、死亡した状況において、他人は関与していない死因、ということになります。具体的には「線路への飛び込み自殺と思われるが、もしかすると酔っ払っていて線路に落ちてはねられた。」というような自殺なのかどうなのかよく分からないけど、自分に原因があると判断されるもの。
 あるいは火事で焼死したが、状況からして死んだ本人の寝タバコが出火の原因のもの。(本人が焼身自殺しようとして家に放火したわけではなく、火事で死にたいと思ったわけではないが、結果として自分で自分を殺してしまった。)
 ・・・といったケースも含まれます。

 それから就労可能年齢層に限って言うと、死因の第1位は循環器系統の病気ですが、第2位はこの「外傷死、事故死、中毒死など」になります。ガンで死ぬ人より多いのです。

 続いて5位は「消化器系統の病気」で3.8%
 6位は「呼吸器系統の病気」で2.0%
 7位は「感冒症あるいは寄生物による病気」1.7%
 8位は「その他」となっています。

 この資料ではガンで亡くなった人のうち2010年は男性が73%を占めている点、男性が病気以外の事故などで死亡する率が高い点を指摘しています。 
 ガンについてはまた別に詳しい記事を投稿します。

 新生児の死因についてもゴメリ州のデータがあります。
 1997年、1000人の出生児に対し、16人の死産がありました。
 その後この死産の割合は減少し、2010年には1000人の出生に対し4.9人の死産、となっています。

 新生児(生後1年以内)の死因について最も多いのが、妊娠28週目から出産後168時間以内の起こった異変によるもの(47.0%)となっていますが、新生児の死因についての説明なので、生まれてから168時間以内に亡くなった、というケースがここでは数えられています。
 分かりにくくてすみません。この「妊娠28週目から出産後168時間以内」の期間を表す言葉がロシア語だとたったの2語なのですが、日本語で表現する用語がないようなので、このように訳が長ったらしい説明になっています。

 次に多い死因が先天性異常。生育異常。(16.9%)
 3位は死因が不明。(12.0%)
 4位は外傷。(7.2%)
 5位は感染症。寄生物によるもの。(6.0%)
 6位はその他。(10.8%)

 やっぱり死因不明というのが3位になっているのが気になるところです。
 
 

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