「自分と子どもを放射能から守るには」の筆者バベンコさんが来日中に行った講演会で、卵の殻でストロンチウムが体内に蓄積するのを防ぐ方法についてご紹介しました。
これは鶏卵を洗った後、ゆで卵にしてその後むいた殻を細かく砕いて粉末状にし、カルシウムサプリとして摂取すると、ストロンチウムが体内に蓄積するのを防ぐことができる、というものです。
ハンガリーでの研究結果発表によるものです。そこでは1日6グラムまで、としていますが、ベルラド研究所ではこの量だと多すぎるので、1日2グラムを目安にするようアドバイスしていました。
その後講演会に出席していた方から、鶏卵は放射能が生態濃縮して、親鶏よりも濃度は高くなってしまうのではないか? というご質問をいただきました。
鶏卵のうち殻の部分はカルシウムを多く含んでいます。
もしにわとりがカルシウムではなくストロンチウムをたくさん含んだエサを食べたとします。するとそのニワトリが産んだ卵の殻にはストロンチウムがカルシウムの代わりに含まれてしまうでしょう。
またエサの中にセシウムがたくさん含まれていたとします。するとそのにわとりが産んだ卵の中身(白身や黄身)にセシウムが含まれる可能性があります。
もちろんこのような卵を食べたり、殻をサプリの代わりに摂取するのはよくありません。
しかしベルラド研究所の調査結果では、あまり卵の中身にセシウムは含まれていなかった、あるいは微量だったそうです。
つまり卵にセシウムは濃縮されにくい、ということです。
また自分の庭で買っているにわとりが産んだ地卵ばかり食べている、という人もいるでしょうが、養鶏場から出荷された卵を店で買って食べる人のほうが多いと思います。
もしその養鶏場で測定済みの安全なエサだけにわとりに与えるようにすれば、卵からの被曝はほとんど避けられるはずです。
しかし庭先で放し飼いにして、その辺の草をエサにしているようなニワトリの場合は、その庭の放射能を測定する必要があります。
牧草の汚染から乳牛の汚染、そして牛乳の汚染・・・とつながったように、卵も汚染されてしまうかもしれません。
でもセシウムはあまり卵に移行しない傾向があるようです。
それからストロンチウムについてですが、チェルノブイリ事故の場合、さらにベラルーシ国内では、チェルノブイリ原発から約50キロの範囲内に拡散が収まっています。
そのうち30キロ圏内は立ち入り禁止区域なので、住民がいません。
その結果、ストロンチウムによる健康被害の影響について研究が優先されてきませんでした。
セシウムについてはベラルーシでも研究が進んでいるのですが・・・。
一方日本では、福島第1原発から250キロ離れた場所でもストロンチウムが検出されています。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201110140533.html
横浜市検査でもストロンチウム検出 港北区の側溝関連トピックス原子力発電所 東京電力
福島第一原発と横浜の位置関係
市民から「放射線量が高い場所がある」との指摘を受けて周辺の土壌の検査を進めていた横浜市は14日夜、港北区大倉山5丁目の道路の側溝の堆積(たいせき)物から1キロあたり129ベクレルの放射性ストロンチウムを検出したと発表した。ストロンチウム89と同90を合わせた値。同じ物から放射性セシウムも3万9012ベクレル検出した。
また、同区新横浜3丁目にある噴水(停止中)の底の部分にあった堆積物からもストロンチウム59ベクレル、セシウム3万1570ベクレルを検出した。結果について市は「東京電力福島第一原発の事故に由来するものと考えている。危険性を判断できない。国と協議したい」と説明した。
港北区は福島第一原発から約250キロ離れている。
市の調査は、区内のマンションの住民が独自調査の結果として屋上の堆積物から195ベクレルのストロンチウムが検出されたと市に連絡したことが発端。市は9月中旬、屋上と周辺2カ所から堆積物を採り、同市鶴見区の民間の分析機関「同位体研究所」に測定を依頼していた。
今回公表された値は周辺2カ所の結果で、市は屋上の検査結果については「マンション住民の同意を得ていない」ことを理由に公表しなかった。だが、最初に市に連絡した住民によると、屋上の堆積物からは236ベクレルのストロンチウムが検出された、との説明を市から受けたという。
堆積物はすでに取り除かれており、空間放射線量は大倉山が毎時0.91マイクロシーベルトから0.13マイクロシーベルトに、新横浜は0.13マイクロシーベルトから0.09マイクロシーベルトにそれぞれ下がったという。
市は、局所的に高い放射線量が検出された理由を「現場は水やホコリがたまりやすく、蓄積しやすい条件にあった」と分析。「高い数値の場所は除染していきたい」とした。ただ、市の検査機関にはストロンチウムの測定機器がなく、「独自に検査はできない。国が実施しているモニタリング調査の範囲を広げ、横浜も含まれるように要望していきたい」としている。(佐藤善一)
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日本の場合遠くまで拡散した、という印象です。
台風が原因かもしれません。
ベラルーシでは台風がないので(ごくまれに小規模の竜巻が発生します。)一度地面に落下した放射能が再び遠くへ飛んでいく、ということがあまりありません。そのためおよそ50キロ圏内にストロンチウムがとどまったのだと思います。
また海底からもストロンチウムが検出されています。(朝日新聞)
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海底土からストロンチウム 福島第一原発沖合3キロ 2011年6月27日19時6分
東京電力は福島第一原発沖合3キロの海底土から、放射性物質のストロンチウム89、同90を初めて検出した。原子力安全委員会事務局の加藤重治内閣府審議官は27日の記者会見で「海底にすむ魚や甲殻類への移行も考えられる」と指摘、適切な監視を求めた。
福島県南相馬市小高区沖合では、半減期約50日と短いストロンチウム89が1キロあたり140ベクレル検出され、事故が原因と考えられる。海底土の濃度基準はないが、通常の値より高い。ストロンチウムはこれまで海水、陸上で見つかり、2日に海底2カ所で採取した土を初めて調べた。
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チェルノブイリ原発事故と違い、放射能の海への流出があったことが今回の事故では心配なところです。
このような事態は人類に経験が今までなく、未知の問題だからです。
魚は立ち入り禁止地区なんて分からないのですから、遠くまで移動してしまいます。これが放射能の拡散になるかもしれません。また魚の骨にストロンチウムが蓄積する可能性があります。
ストロンチウムについてはこれからどうなるのか分かりません。チェルノブイリの研究が生かせないのです。
(応用して予測することはできますが、あくまで予測です。)
このような問題に人類で初めて直面したのは日本人です。日本の研究者の方々の努力をお願いいたします。
これは鶏卵を洗った後、ゆで卵にしてその後むいた殻を細かく砕いて粉末状にし、カルシウムサプリとして摂取すると、ストロンチウムが体内に蓄積するのを防ぐことができる、というものです。
ハンガリーでの研究結果発表によるものです。そこでは1日6グラムまで、としていますが、ベルラド研究所ではこの量だと多すぎるので、1日2グラムを目安にするようアドバイスしていました。
その後講演会に出席していた方から、鶏卵は放射能が生態濃縮して、親鶏よりも濃度は高くなってしまうのではないか? というご質問をいただきました。
鶏卵のうち殻の部分はカルシウムを多く含んでいます。
もしにわとりがカルシウムではなくストロンチウムをたくさん含んだエサを食べたとします。するとそのニワトリが産んだ卵の殻にはストロンチウムがカルシウムの代わりに含まれてしまうでしょう。
またエサの中にセシウムがたくさん含まれていたとします。するとそのにわとりが産んだ卵の中身(白身や黄身)にセシウムが含まれる可能性があります。
もちろんこのような卵を食べたり、殻をサプリの代わりに摂取するのはよくありません。
しかしベルラド研究所の調査結果では、あまり卵の中身にセシウムは含まれていなかった、あるいは微量だったそうです。
つまり卵にセシウムは濃縮されにくい、ということです。
また自分の庭で買っているにわとりが産んだ地卵ばかり食べている、という人もいるでしょうが、養鶏場から出荷された卵を店で買って食べる人のほうが多いと思います。
もしその養鶏場で測定済みの安全なエサだけにわとりに与えるようにすれば、卵からの被曝はほとんど避けられるはずです。
しかし庭先で放し飼いにして、その辺の草をエサにしているようなニワトリの場合は、その庭の放射能を測定する必要があります。
牧草の汚染から乳牛の汚染、そして牛乳の汚染・・・とつながったように、卵も汚染されてしまうかもしれません。
でもセシウムはあまり卵に移行しない傾向があるようです。
それからストロンチウムについてですが、チェルノブイリ事故の場合、さらにベラルーシ国内では、チェルノブイリ原発から約50キロの範囲内に拡散が収まっています。
そのうち30キロ圏内は立ち入り禁止区域なので、住民がいません。
その結果、ストロンチウムによる健康被害の影響について研究が優先されてきませんでした。
セシウムについてはベラルーシでも研究が進んでいるのですが・・・。
一方日本では、福島第1原発から250キロ離れた場所でもストロンチウムが検出されています。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201110140533.html
横浜市検査でもストロンチウム検出 港北区の側溝関連トピックス原子力発電所 東京電力
福島第一原発と横浜の位置関係
市民から「放射線量が高い場所がある」との指摘を受けて周辺の土壌の検査を進めていた横浜市は14日夜、港北区大倉山5丁目の道路の側溝の堆積(たいせき)物から1キロあたり129ベクレルの放射性ストロンチウムを検出したと発表した。ストロンチウム89と同90を合わせた値。同じ物から放射性セシウムも3万9012ベクレル検出した。
また、同区新横浜3丁目にある噴水(停止中)の底の部分にあった堆積物からもストロンチウム59ベクレル、セシウム3万1570ベクレルを検出した。結果について市は「東京電力福島第一原発の事故に由来するものと考えている。危険性を判断できない。国と協議したい」と説明した。
港北区は福島第一原発から約250キロ離れている。
市の調査は、区内のマンションの住民が独自調査の結果として屋上の堆積物から195ベクレルのストロンチウムが検出されたと市に連絡したことが発端。市は9月中旬、屋上と周辺2カ所から堆積物を採り、同市鶴見区の民間の分析機関「同位体研究所」に測定を依頼していた。
今回公表された値は周辺2カ所の結果で、市は屋上の検査結果については「マンション住民の同意を得ていない」ことを理由に公表しなかった。だが、最初に市に連絡した住民によると、屋上の堆積物からは236ベクレルのストロンチウムが検出された、との説明を市から受けたという。
堆積物はすでに取り除かれており、空間放射線量は大倉山が毎時0.91マイクロシーベルトから0.13マイクロシーベルトに、新横浜は0.13マイクロシーベルトから0.09マイクロシーベルトにそれぞれ下がったという。
市は、局所的に高い放射線量が検出された理由を「現場は水やホコリがたまりやすく、蓄積しやすい条件にあった」と分析。「高い数値の場所は除染していきたい」とした。ただ、市の検査機関にはストロンチウムの測定機器がなく、「独自に検査はできない。国が実施しているモニタリング調査の範囲を広げ、横浜も含まれるように要望していきたい」としている。(佐藤善一)
・・・・・・・・・・・
日本の場合遠くまで拡散した、という印象です。
台風が原因かもしれません。
ベラルーシでは台風がないので(ごくまれに小規模の竜巻が発生します。)一度地面に落下した放射能が再び遠くへ飛んでいく、ということがあまりありません。そのためおよそ50キロ圏内にストロンチウムがとどまったのだと思います。
また海底からもストロンチウムが検出されています。(朝日新聞)
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海底土からストロンチウム 福島第一原発沖合3キロ 2011年6月27日19時6分
東京電力は福島第一原発沖合3キロの海底土から、放射性物質のストロンチウム89、同90を初めて検出した。原子力安全委員会事務局の加藤重治内閣府審議官は27日の記者会見で「海底にすむ魚や甲殻類への移行も考えられる」と指摘、適切な監視を求めた。
福島県南相馬市小高区沖合では、半減期約50日と短いストロンチウム89が1キロあたり140ベクレル検出され、事故が原因と考えられる。海底土の濃度基準はないが、通常の値より高い。ストロンチウムはこれまで海水、陸上で見つかり、2日に海底2カ所で採取した土を初めて調べた。
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チェルノブイリ原発事故と違い、放射能の海への流出があったことが今回の事故では心配なところです。
このような事態は人類に経験が今までなく、未知の問題だからです。
魚は立ち入り禁止地区なんて分からないのですから、遠くまで移動してしまいます。これが放射能の拡散になるかもしれません。また魚の骨にストロンチウムが蓄積する可能性があります。
ストロンチウムについてはこれからどうなるのか分かりません。チェルノブイリの研究が生かせないのです。
(応用して予測することはできますが、あくまで予測です。)
このような問題に人類で初めて直面したのは日本人です。日本の研究者の方々の努力をお願いいたします。