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みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
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西洋版隅田川

2013-04-25 | おきにいり

今を去る4月2日、長年見たかったベンジャミン・ブリテンのオペラ「カーリュー・リヴァー」を、やっと見る機会がありました。


プログラムの表紙


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このオペラは、ブリテンが1956年に来日した折、能の「隅田川」を見て感動し、これを基に作曲されたものです。「隅田川」は悲しい物語です。幼い息子を人攫いに連れ去られた母親が、悲嘆のあまり狂女となって隅田川にたどり着き、そこで息子が亡くなったことを知ります。息子の霊が現れ、母を慰めます。「カーリュー・リヴァー」では、狂女は息子の霊と対面することによって正気に戻ります。

私は能は見ていませんが、歌舞伎の「隅田川」を見て、やはり大変感動し、この素材をブリテンが「いかに料理したか」興味津々だったのです。

ブリテンの「西洋版隅田川」は、オーケストラを使わず、僅かな楽器のアンサンブルで能楽の雰囲気を再現し、能舞台に基づき、全ての登場人物が男性によって演じられます。しかし単なる「移し替え(まね)」ではなく、ヨーロッパの神秘劇の要素を加え、感動的な作品になっています。

当日の舞台では、巡礼の一団は燕尾服を着て、観客席から舞台へ上がり、狂女も観客席から現れます。全ての物語が終わった後は、再び登場人物が観客席を通って退場します。

YouTubeで見つけた、この舞台も、能の要素を取り入れています。




イギリスで「隅田川」と「カーリュー・リヴァー」が同時上演されたときの内容紹介HP


「カーリュー・リヴァー」は教会寓話(教会上演用オペラ)三部作の第一作にあたります。

その三部作をモチーフとしたステンドグラス(Wikiフリー画像)

中央が「カーリュー・リヴァー」右が「燃える炉」左が「放蕩息子」

三部作は、能の隅田川のほか、旧約聖書ダニエル書に基づく「燃える炉」、新約聖書ルカ伝による「放蕩息子」です。
今回は、「カーリュー・リヴァー」と「放蕩息子」が上演されたのですが、私は風邪気味だったため、妥協策として前半だけで帰ってきました。残念
でも、長年見たかった「西洋版墨田川」がやっと見られて満足





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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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隅田川 (海月)
2013-04-25 16:43:34
能をテレビで見たことがあります。
我が子を亡くした哀しみは洋の東西を問わず伝わるでしょうね。
そういえば「もののけ姫」も舞台化されるとか。
あんまりいじって変な物にならないといいけど(-"-;)
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海月さん (ななみみず)
2013-04-26 07:07:48
きっと、とても印象的だったでしょうね。
歌舞伎でも、能が原作のものは世話物と違う格調があります。
歌舞伎の隅田川もとても美しかったですよ
能も歌舞伎も一種のオペラだから「置換え」可能ですが
それにしても、ブリテンの作品はよく「熟成」してました

「もののけ姫」はアニメならではの世界。
映画でも舞台でも「ナマ人間」が演じたら
グロテスクで滑稽な少女趣味になりそう
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