「犬も歩けば棒に当たる」というのは誰もが知っている諺ですね
生誕250周年ベートーヴェン・ダック
「音楽の都」と呼ばれるウィーンでは「人も座れば音楽関係者に当たる」のです。
コンサートの聴衆は音楽が好きだから聴きに来るわけで、隣に座っているのは、おおむね音楽ファンです。
「付き合いで仕方なく」という人も少しは存在するでしょう。「観光のひとつ」という人もあるかも知れません。
発表会的レベルの音楽会なら、聴衆はほとんど関係者でしょう。
しかし、世界的レベルのコンサートでは大半が一般聴衆…のはずが、ウィーンでは良く関係者が座っているのですよ(私の体験)。
知り合いが演奏者のひとりだったこともあります。
となりの席の人が演奏者の親戚だったこともあります。
隣の席の人が著名なバイオリニストに師事しているアマチュアのバイオリニストだったことも…
演奏会場ではありませんが、ウィーンから成田へ向かう飛行機で隣の席だった女性がウィーン
交響楽団の団員でした。赤ちゃん連れで良く泣いていたので、「うるさくて、すみません」「いいえ、赤ちゃんが泣くのは全然気になりません(やせ我慢でなく本当に平気なのです)」という話から会話になって、彼女がウィーン交響楽団のメンバーと知りました。ご主人が
ウィーン・フィルの団員で、日本演奏旅行中なので会いに行くとのことでした。
それが
東日本大災害から2カ月後くらいだったと思います。放射能汚染による胎児や幼児への影響が問題になっていた時期なので、心配になりましたが、もう空の上だし、余計な心配しても仕方ないと思い黙っていました。
これもウィーンらしい思い出。
もう随分前ですが、ちょっとした事情から
サンクトペルテンの州立劇場に新作オペラを見に(聴きに)行ったことがあります。オペラが終わってウィーン西駅へ戻ったときは深夜近くでした。駅のトイレへ行ったらトイレ番のおばさんがいて「こんな遅くまで、どこへ行ってたの?」と言うので「サンクトペルテンまでオペラを見に行っていた」と答えると、「ウィーンには
オペラ座と
フォルクスオーパーがあって、安いチケットもあるのだからサンクトペルテン(場末)まで行くことはない、私もちょくちょくフォルクスオーパーに行っている」とお説教されました。
アン・デア・ウィーン劇場は長年ミュージカルの劇場となっていましたが、2006年から設立趣旨に戻ってオペラハウスとなっています。バロック・オペラや現代作品を多く上演するのが特色です。