24節気の健康と食養:大雪から冬至まで
24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
大雪 初候 閉塞成冬(そら さむく ふゆと なる)天地の気が塞がって冬となる
次候 熊蟄穴(くま あなに こもる)熊が冬眠のために穴に隠れる
末候 鱖魚群(さけの うお むらがる)鮭が群がり川を上る
「小雪」の次にやってくる24節気が「大雪」で、毎年12月7日頃頃(2023年は12月7日)になります。「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とのことで、「大雪」と言われるのですが、これは「小雪」のときに申しましたように中国大陸中心部でのことでしょう。
ちなみに中国のとある旅行社の説明では、その昔、中国の中心地であった西安(昔の長安)の気候について「温和な気候と自然環境に恵まれた土地であり、原始先住民族が生活するのに理想的な土地でもあった。」と書かれていますが、西安の12月の平均最低気温は-3.1℃(東京:3.8℃)ですから、降った雪は根雪になりましょう。
ちなみに、当地:岐阜と東京の最低気温(平年値)も示しておきます。
小雪(11月22日頃) 岐阜:6.8度 東京:7.5℃
大雪(12月 7日頃) 岐阜:4.3度 東京:5.1℃
冬至(12月22日頃) 岐阜:2.2度 東京:2.9℃
岐阜より寒いはずの東京のほうが1℃近く高いのは、ヒートアイランド現象なのか、海との距離の関係なのか、両方あいまってのことか、よく分かりませんが、けっこうな差があるものです。(岐阜地方気象台:標高13m 伊勢湾まで約40km)
「大雪」の時期ともなると外気温はぐんと下がり、冬型の気圧配置が卓越して濃尾平野では“伊吹おろし”、関東平野では“からっ風”が吹き荒れる日が多くなり、ときに雪が舞うようにもなってきます。本格的な冬の到来を感じさせます。ちなみに岐阜地方気象台での初雪観測は平年で12月14日、「大雪」の7日後となります。
植物は葉を落とし、すっかり休眠状態になっており、動物も冬眠したり、あまり体を動かさなくなっています。ヒトも動物ですから冬ごもりの態勢に入り、生体反応は不活発になっています。そして、朝晩は室内暖房が欠かせなくなります。
こうなりますと、屋外で体を動かすなんてことはおっくうになり、日頃の運動不足に拍車がかかります。ますます生活習慣病を呼びこむ、よろしくない生活態度。
そこで、屋内でも簡単にできる体操を意識して取り組みたいものです。
前節で紹介しました「膝(ひざ)屈伸運動」を引き続きやっていただきたいですし、上半身の筋肉のこわばりを解消し、体を温める次の体操(春分から清明の節気で紹介)もおすすめです。40肩、50肩の改善、予防にもなります。
・「8の字書き体操」
立ったままの状態で、両手の掌を頭の上で合わせます。
両足を4、50センチ開いて、腰を少し落とします。
胴体を左右に動かさないようにして、頭の上で左右方向に大きく「8の字」を書きます。
連続10回、これを繰り返します。
かなり、きついです。
少し休んだ後、逆回転で、また1セット。だんだん体が温まってきますよ。
もう一つ実行していただきたいのは、お昼休みにでも「ひなたぼっこ」をすることです。といいますのは、ビタミンDは紫外線を浴びることによって容易に生成されます。ビタミンDは骨作りだけでなく、免疫力増強に欠かせませんから、特に冬の後半には欠乏しがちで、それによってインフルエンザや風邪に罹りやすくもなりますから、ばかにできません。ビタミンDは体内備蓄ができますから、今の時期から積極的に始められるといいでしょう。
参照 → 冬はお日様に当たって健康づくり
本格的な寒さの訪れとともに、食においても体を温めるものがより求められます。冬野菜がどれも旬となっており、基本的に体を温める効果がありますから、毎日の食卓に欠かせません。間違っても時期外れの夏野菜は常食されませんよう、ご注意ください。夏野菜は体の芯を冷やしてしまいますからね。
前回、前々回の繰り返しになりますが、冬に共通する食養生をまずご説明しましょう。
冬の食味は「塩味」です。塩っ辛すぎてはいけませんが、おいしいと感ずる程度に塩味をお楽しみください。減塩ブームになって久しいですが、その必要は全くありません。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。
次に、「大雪」からの節気の食養生について。
特に留意すべき点は、これは「小雪」のときと同じですが、急激な冷え込みで、体の芯まで冷えきってしまうことがあります。
こんなときは、意識して少々塩味をきつくするとよいです。なぜならば、塩ほど体を温めるものはないからです。少し濃い目の味噌汁や豚汁になさるといいでしょう。
そして、そうした冷え込んだ日の夕食にお勧めなのが鍋物です。外からも中からも体を温めてくれますからね。
鍋物もいろいろありますが、我が家のトップバッターはキムチ鍋です。
辛さはお好みに合わせればいいでしょう。鍋にはキムチを控えめに入れ、辛いもの好きであれば、お椀に取ってからキムチを足すなり、一味唐辛子を振ればいいです。
冬の食味は<主・塩味、従・苦味、添・酸味>この三味の組み合わせが望まれますから、キムチが持っている塩味と酸味の他に苦味が求められ、うちでは苦味食材である「もやし」をふんだんに鍋に入れることにしています。なぜかキムチ鍋には「もやし」がよく合いますが、こうした三味の組み合わせが理にかなっているからかもしれません。苦味が強い春菊も加えるとよいです。
(注:もやしは漢方五味分類で甘味にも分類されることあり。)
冬は、海の幸があれこれ旬になります。立冬以降、毎季、同じことを言っていますが、何がいいかとなると小生も分かりかねます。ここは、魚屋さんに聞いて買うのが一番。
小生のお気に入りは何と言ってもズワイガニ。ここらでは「越前がに」のブランドで知られていますが、足が何本か取れてしまっている“わけあり品”で、まだ生きている新鮮なもの(価格は約3分の1)を蟹鍋にしたりして蟹味噌を食べるのが何よりの楽しみです。毎年、これが、比較的近くにある土・日曜日に開く、北陸からの出張市場で手に入ったのですが、人手不足で3年前に閉場してしまい、残念です。生のアンコウ(冷凍品でないもの)も、これまたいいですが、同様に入手不能になってしまいました。
いずれにしても、冬季は海の幸でグルメを満喫したいものです。
果物は前季で書きましたが、今季もそのまま再掲しておきます。
リンゴが本格的に出回っています。“リンゴが赤くなれば、医者が青くなる”という言葉があり、それだけ栄養価が高く、抗酸化力があったり、免疫力を付けたり、ということになりましょう。リンゴは平性の食品に分類されていますが、食べ過ぎるとやはり体を冷やすようですから、ほどほどの分量としたいです。
そして、みかんが旬となります。こちらは温性の食品に分類され、体を冷やすようなことはなさそうです。みかんは風邪に対する抵抗力を付けてくれましょうし、特に皮は漢方では陳皮(チンピ)と呼ばれ、風邪に薬効ありとなっています。みかんの皮を料理に入れたり、漬物に加えたりしていただきたいものです。七味唐辛子にも加えられています。
次回は、「冬至」(12月22日頃)からの健康と食養です。
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