肝臓病の元凶は飽食暖衣。これといった治療薬がないですから、生活習慣を改めるしかないです。
戦時中の米国での事件。行き倒れの浮浪者が病院に運び込まれました。
アルコール中毒で肝硬変を起こしていました。
この患者に、高たんぱく、高カロリー食を与えたところ、肝硬変が改善しました。
こうして「肝臓病は、高たんぱく、高カロリー食、安静が良い」という神話が生まれ、肝臓病の養生として定着してしまいました。70年近く経った現在でも、これは変わっていません。ごく一部の、“これはおかしい”と感じたお医者さんを除いては。
ここで、肝臓の仕事をおさらいしておきましょう。
1 腸で吸収されたものを分解、再合成し、栄養として全身へ供給
2 過剰なカロリー源や鉄などのミネラルを飢餓に備えて貯蔵
3 アルコール、食品添加物、薬など人体にとっての異物を解毒
これらを処理するために、肝臓は昼夜休まず、たいそうな仕事を強いられ、飽食によって疲労困ぱいし、弱ってきています。
酒豪の方は、アルコール分解酵素を容易に分泌する力を備えていますから、これによって肝臓が疲弊することはまれで、アルコールそのものの害よりも、酒のつまみに高たんぱく、高カロリー食を過剰に摂ることによって、肝臓がやられると言った方が正解です。
したがって、前述の養生法は、現代では逆効果になります。
医学が進歩し、肝炎にステロイド剤が劇的に効くことが分かりました。肝細胞の破壊を食い止めてくれるのです。でも、長期連用すると、重い副作用が出て、多用できません。
どうすれば良いか。非常に簡単なことです。自前のステロイド剤を使えば良いのです。
腎臓の直ぐ上にある、小さな臓器「副腎」を活性化させて、必要なステロイド剤を十分に分泌させられるようにすれば良いのです。なお、ステロイドはホルモンの1種です。
その方法は、冬でも「冷水浴」。
水風呂専用浴槽を浴室に増設し、冷・温・冷・温・冷を1分ずつ交互に行います。
この寒冷刺激で、副腎の機能が高まり、副作用のない自前のステロイド剤を手に入れることができるのです。
慢性肝炎の入院患者に一切の薬を飲ませず、「冷水浴」と「適度な運動」と「少食」で、病状を改善させておられるお医者さんがいらっしゃいます。
なお、日頃、次の3点を実行すれば、肝臓病は着実に改善するとも言っておられます。
1 飽食暖衣するなかれ
飽食がいけないのは前述したとおり。
冬は寒がり、夏は暑がる方は肝臓が疲労している証拠です。
2 冷水シャワーを1分間
初めは微温湯で。慣れてきたら、順次、冷たくします。
3 ゆっくりランニングを週に2、3回、2、30分間、空腹時に行うこと
肝臓のみならず、全臓器の血流を格段に良くします。
以上、予防医学の第一人者、小山内博氏が、その臨床実績から自信を持っておっしゃっておられます。(氏の著書「生活習慣病に克つ新常識」新潮新書による)
この中で一番難しいのは、“飽食するなかれ”ですよね。腹八分で我慢することほど精神的に苦しいものはないです。グルメ文化華やかりし昨今ですから、食い意地が張って、何ともなりません。
参考までに、肝硬変のでき方を、氏の同著から説明しておきましょう。
飲酒で肝炎、肝硬変になることは少ない。飲酒習慣のある方の、原因不明の肝炎が、アルコール性肝炎にされているだけです。(後日追記=注:酒豪の方は、B・C型肝炎であってもアルコール性肝炎にされてしまうことが多いようです。)
肝炎は、A・B・C型の他に何種類もあり、ほとんどがウイルス性のものです。
肝細胞をウイルスが直接壊すのではなく、免疫系がウイルスに過剰反応して、正常な肝細胞まで破壊するのです。これは一種のアレルギー反応です。
この過剰反応で、大量に肝細胞が破壊されても、直ぐに修復され、肝機能は維持されます。しかし、傷跡が残ります。
若いうちは、何度これが繰り返されても、傷跡に弾力があり、肝機能はさほど落ちません。でも、50歳前後になると、次第に傷跡がひきつれ、収縮し、肝臓の組織を締め付け、肝硬変へと向かわせます。
GOT、GPTの値は、肝細胞の破壊の程度を示します。もし高い値が出たら、新たに一つ傷跡が出来たと思ってください。将来の肝硬変へ静かに一歩足を踏み入れたのです。
なお、傷跡は修復不可能ですから、このことを十分にご承知置きください。
沈黙の臓器「肝臓」の怖~い話でした。ギョッとしますよね。
春は肝臓の季節。この時期の養生は、肝臓のためにあるのです。
よって、この時期は、腹八分、低たんぱく、低カロリー食に心がけるしかないのです。
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