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健康診断の“検査”で病気が発見できる? 無駄な上に害(放射線)になるだけです!

2013年07月30日 | 健康診断の罪悪

健康診断の“検査”で病気が発見できる? 無駄な上に害(放射線)になるだけです!

 前号「 健康診断の“検査”は病人を作り出すだけのもの 」で、基準値の設定の仕方で健康な人まで“病人”にされてしまうことを述べました。
 そして、本来の基準値とは、健康な人の検査値の両極端それぞれ2.5%をカッとした95%のデータの上限値と下限値を示したものであることを強調しました。
 ところで、本来の基準値からはみ出しているとなると、本当に何か病気が潜んでいると言えるかどうか。これが大きな疑問でもあります。

 つまり、それぞれの検査項目は、病気の発見につながる確かな指標と言えるかどうかです。検査をやる意味があるかどうかという根本的な問題です。
 これについては、過去から医療業界でも多くを疑問視する声が上がっていました。
 10年ほど前に、この疑問が医療業界で高まったのですが、現在では、完全無視の状態になってしまって、無駄な検査が大手を振って続けられている状況にあります。
 10年ほど前のこのことを本稿で紹介することにします。

 1990年代に欧米で健康診断の有効性について多くの研究がなされ、そのなかで最も高い評価がなされているのが次の報告です。
 米国保健省の独立機関である「米国予防医療研究班」が1990年代後半(正確な年は不詳)に行った健康診断に対する5段階の勧告ランク。
 これを元にして行われたと思われます日本における次の調査報告。
 1998年公益財団法人労働問題リサーチセンターの「Evidence Based Medicine(科学的根拠に基づく医療)による産業保健活動」(研究メンバー代表:村田勝敬帝京大学医学部助教授)
 2005年度厚生労働省科学研究費補助金による特別研究事業「最近の科学的知見に基づいた保健事業に係る研究」(班長:福井次矢聖路加国際病院長)

 以上の3つの報告の中で最も新しいもの「2005年:福井班長報告」の結論を下表に示します。

 いかがでしょうか。早期発見・早期治療につながるものは何かあるでしょうか。
 有効とされたもののうち、「血圧・体重・身長」は自宅で測定できますし、「飲酒喫煙」と「うつ病」に関する問診はチェック表が手に入れば自分で判定できます。
 「血液検査、尿検査、心電図検査」などは、病気発見に「根拠なし」の判定ばかりです。
 これらは、やっても無駄、ということを報告書は言っています。
 しかし、それでも市区町村は住民集団検診を熱心にやり、企業には企業検診を義務付け、政府は悪乗りしてメタボ検診までやらせるようにしているのです。
 何の根拠もなしにです。

 ところで、条件付きで有効とされた「糖尿病検査糖負荷試験」ですが、これにはわけがありそうです。
 若い女性はスイーツを食べる機会が多く、空腹時の血糖値が正常であっても、ブドウ糖の負荷試験をすると、20代から30代の女性の6割程度に異常が見つかったという報告があり、これは正に隠れ糖尿病の状態にあると言えるからです。単なる空腹時血糖の検査では見逃されてしまうというものです。
 なお、C型・B型肝炎検診が「判定保留」とされた理由は、報告書の本文が入手できていませんので分かりませんが、その昔のノーチェックの輸血や注射針の使い回しがなくなって新たな患者はまれであることも一因しているかと思われます。

 ここで、念を押しておきますが、血圧とて高くっても問題ないことは前号で述べました。問題になるのは、数値が急激に経時変化してきたといった大きな変動の場合だけです。
 そして、飲酒が健康に悪いのは肝臓病を引き起こすからと言われていますが、アル中になるほど飲めば体を害するものの、豪傑と言われる人が毎日酒を浴びるほどに飲んでも肝臓病になるものではありません。と言いますのは、アルコール性肝炎なるものは本質的に存在せず、B型かC型あるいはそれ以外の型が違うウイルスによる発症に過ぎないからです。
(アルコール性肝炎に関係する記事は、次のとおりです。興味がある方はご覧ください。)
  肝臓病の元凶は飽食暖衣 
 なお、その記事の中でも申しましたが、肝機能検査の数値は肝臓の細胞の破壊程度を示すもので、この数値が大きければやがて肝炎、肝硬変、肝がんへと進む恐れがあるのですが、発症しない人も多くみえますし、また、進行するにしたがって数値が正常に戻ることがありますから、「2005年:福井班長報告」でも「実施の意義を再検討すべき」とされているのでしょう。 
 ついでに、喫煙は百害あって一利なしと一般に言われますが、喫煙、副流煙による肺がんの発生は科学的根拠が一切なく、単に周りの非喫煙者の迷惑になるだけのことでして、健康問題とは別物です。
(喫煙に関しては、このブログのカテゴリー「たばこと健康」の欄に数本の記事を入れておりますので興味がある方はご覧ください。1本目はベータ・カロチンについて、2本目から肺がんとの関係について書いています。)

 こうしたことから、「2005年:福井班長報告」の結論から検査項目をチェックすると、体重は体重計に乗らなくても増減が自覚できますし、うつ病は本人が自覚できなくても周りの者が知ることができ、また、糖負荷試験の異常は砂糖摂取過剰が原因ですからスイーツなどを常日頃控えていれば問題は生じません。
 つまり、健康診断の“検査”は何もする必要がないということになってしまうのです。
 よって、小生は、もう15年以上、住民集団検診を受けたことがありません。つい最近、役場からワンコイン(500円)検診の案内が今年も来ていましたが、中も見ず、資源回収ボックスに納めたところです。
 ちなみに、反骨の医師、近藤誠慶応大学医学部講師は、もう30年以上健康診断を受けておられません。無駄な上に害(放射線)になるだけであることをよく知っておられるからです。


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2 コメント

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健診義務付け廃止せよ (さかな)
2017-04-22 17:10:21
健康診断の義務付け本当に無くすべきです
日本人の殆どは言いなりで健診に対して 不信感を抱かないどころか なかにはありがたがっている人もいます せめて任意にすべきではないでしょうか
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健診義務付け廃止 (薬屋のおやじ)
2017-04-22 17:45:21
さなか様のおっしゃるとおりです。
日本で唯一住民集団検診を行っていない自治体があり、それは長野県の泰阜(やすおか)村です。
コメントをいただき、泰阜村のHPで確認して見ましたが、いまだやってみえないようです。
でも、きっと政府にいじめられていることでしょう。
メタボ検診をやらないと、国民健康保険への補助金が減額されるからです。
人口2000人を切る小さな村にあって平成の合併もせず、孤軍奮闘。エールを送りたいです。
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