根木勢介 さんの記事・・・いごっそう:いごっそう論・分析③
先日、福島県いわき市からのお客さんをガイドしました。
その時に
『土佐藩の山内氏・お殿様は、今はどのような存在ですか?』
と聞かれました。
お客さんの生まれたところは、昔の藩名で言えば、「二本松藩」丹羽氏だそうです。
そこでは、今でも旧藩主をはばかって、
『福は内、福は内』
と言うそうです。
つまり、『福は内、鬼は(お丹羽)は外』というと旧藩主・丹羽氏の悪口に
つながるので今でも、遠慮するそうです。
さて、旧藩主なにする者ぞ の意識高い、高知。
今回取り上げた「いごっそう」も県人意識のひとつの顕われで、でしょうか。
■土佐人(上)8pより(高知新聞社・高新ふるさと文庫③昭和56年発行)
色あせる地方の個性
土佐人を語るとき、必ず登場するのが<いごっそう>である。土佐人を表す
代名詞となっている。
「がんこ一徹」「強情で妥協しない」「わが道を行く」・・・と説明される土佐人の
性格を手短に言ったものだが、中身はそれほど単純ではない。
いくつかの要素が複雑に混ざり合っている。
ある郷土史家が、県民性の長所と短所を次のように挙げている。程度の強い順に
並べてみると・・・。
長所=①陽気である②独立心が強い③情に厚い④誠実⑤権勢にこびない⑥勤勉努力
短所=①大酒を飲む②がんこ一徹③大言壮語④無愛想⑤耐久力に乏しい⑥排他狭量
<陽気な土佐人>は、多分に風土の影響であろう。黒潮が洗う南海の地は、気候が
温暖、太陽はさんさんと降り注ぎ、青空はどこまでも澄みわたる。
竹を割ったような性格をつくるのである。
ここから発展し、豪放、勇敢、気宇壮大でスケールの大きな人物を輩出した。
歴史に名をとどめ、足跡を残した人が多い。
その一方で、淡泊、あっさりしすぎて忍耐心に欠ける。根気強く、息の長い仕事は
できない欠点をさらけ出す。
<酒好き土佐人>も両面を見せる。議論をさかなに杯をかわすのは、愉快な交友の
潤滑油となるが、これも度が過ぎれば、酒に飲まれてしまう。
酒の一人あたりの消費量は全国第三位。
「しょうしょう飲む」と言えば、「少々」ではなく「升々」の二升を指す、と言った
笑い話は”飲んべえ県”ならでは、である。全国的にも活動を知られる断酒会は、
アルコールと縁を切ろうとする酒豪が、わんさといる証明であろう。
飲酒の機会が多い。飲酒運転、事故が後を断たない。酒を飲んだうえでのけんか、
口論が犯罪へ結びつくこともしばしば。飲みっぷりのよさも程度が問題である。
一面を見れば長所であるが、半面、短所ともなる。<いごっそう>と一口に言っても
一つの型ではくくりきれない。
土佐人を二つの類型に分ける見方がある。山岳型と海洋型である。山のように高く
そびえ、独立孤高、近寄りがたく峻厳(しゅんげん)が山岳型。
海洋型は山岳型に比べ親しみやすく大局的で清濁合わせのむタイプという。
似たような二分法に、土佐犬型、尾長鶏型もある。これら二つの典型には入れがたいと
チャボ型を加え、鯨型にも分ける四類型も試みられている。
『おらんくといごっそう』『いごっそう夜話』など、近年、土佐人の性格分析に
取り組んでいる高知学園短大の近藤勝教授は、四類型の主唱者である。
「タイプがいくつにも分かれるのは、それだけ一様でない、ということであろう。
典型的な土佐人といえば、外交的で闘犬的と言ったらいいでしょう。
利害得失を考えず、突っ走る型です。
土佐を代表する人物といえば、まず坂本龍馬を挙げる。だが、龍馬は、われわれの
あこがれであり、お国自慢ではあるが、あの柔軟さ、底が知れない思考は、土佐人的
とは言えないでしょう。
むしろ、武市瑞山、中岡慎太郎、板垣退助らが、土佐人に多い型と見ていいのでは
ないか」
交通機関、マスコミの発達は、地方が培った色彩を薄め、画一化を進め、個性を平準化
させている。
類型に分けることも、一県だけの独特の性格を取り出すことも難しくなりつつある。
そんな時、長い歴史を書き、伝統をつくってきた土佐人気質を改めて考えてみる。
県勢をつくるローカル性をもう一度、分析、解剖してみようという試みである。
<いごっそう>像を描いてみようというわけである。
根木勢介 携帯:090-2825-2069
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