友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

私の初恋は、私の妄想だった

2024年04月30日 18時06分57秒 | Weblog

 今朝、中学からの男友だちが電話してきた。同窓の女の子たちが、昔話で盛り上がっていたそうだ。その時、私と彼女は放送部だったと話題になったが、「確か、そうだよな。オレ、1度放送させてもらったもんな、覚えていないだろうが」と言う。

 彼にマイクを握らせたことは覚えていないが、彼女が放送部に居たことは確かだ。私は放送劇を作る計画を立て、脚本を書いていた。劇で使う擬音や流すレコードも精査して、彼女にやってもらう役を考えていた。

 けれど、あまりに構想を拡げすぎて頓挫してしまった。私はただ、彼女と一緒の放送劇が作りたかった。そんな私の勝手な思いが,完成に至らなかったのかも知れない。彼女とは中1の時に一緒のクラスになり、中2の時は私の靴箱に手紙を入れてくれた。

 中3の夏、私はキリスト教会の中学生キャンプに参加することにしていたので、彼女に話したが、親の許可は出なかった。名古屋へ一緒に行こうと誘った時も、「親が許してくれない」と言った。

 彼女とふたりだけで話す機会は無かったが、高校生になり、彼女の誕生日に花屋から花を送った。私が生徒会長に出馬することになった時、「止めて欲しい」と言って来た。彼女の家が新築され、友だちが何人か招待された。女の子だけでなく、男の子も4人ほどいた。

 高3の冬、男の子の家で集まりがあって、私も彼女も参加した。帰りは一緒だった。ふたりで並んで話す機会がやっと訪れた。踏切を渡ると、彼女の家に向かう、私は家まで送るつもりでいた。それが男の務めだと思っていた。

 すると彼女は、「あなたが好きなのは、あなたが思い描いている私なのよ、いい人をみつけてね」と言って走り出した。私は理解できずに立ち尽くしていた。後を追いかけようとしたら、遮断機が降りて来た。上がって、すぐに追いかけたが、彼女の姿は無かった。

 私の初恋は無残に崩れ落ちた。彼女を想って詩を書き、修学旅行の紀行文にも彼女のことを書いた。私は彼女を追い求め、彼女を理解しているつもりだった。私の初恋は、私の妄想だったのか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マンションをコミューンにと... | トップ | 画家が「自分の作品」に出会... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事