mimi-fuku通信

このブログを通して読み手の皆様のmimiにfukuが届けられることを願っています。

ビリー・ホリデイ/ろくでなしの恋。 ~mimi-fuku番組情報。

2008-06-20 22:00:00 | テレビ番組


ハイビジョン特集 
「ビリー・ホリデイ “ろくでなし”の恋」
 ~世界のディーバ/男と女の物語~

 放送局 :BShi (ハイビジョン)
 放送日 :2008年6月24日(放送終了)
 時間  :午後8時~午後9時50分
*再放送は、7月1日(火)午後2時から(放送終了)

<mimifukuから、一言。>

 歴史に残るディーバ(歌姫)達の<愛の軌跡>をたどる番組の2日目。
 (1日目は、マリア・カラス。3日目は、ジャニス・ジョプリン)
 ビリー・ホリデイの生い立ちから死に至るまでの軌跡は、現代社会に生きる私達にとって信じることのできない壮絶な時代の中の現実だった。
 幼児期より不安定な生活を余儀なくされ、少女時代には男性との交わりから収入を得ていたビリー・ホリデイ。
 13歳の時にニューヨークへ移住し、クラブ歌手の仕事を得ながらも不安定な生活は変わらなかった。

 ビリー・ホリデイの記録映像は、決して多くはない。
 私自身、彼女の映像は、2002年頃に教育テレビで放送された「ドキュメント地球時間、ジャズ(12回シリーズ)」の中で、1935年に、偉大なるジャズメン:デューク・エリントンと共演した映画の中でのワンシーンしか記憶にない。
 同番組内で紹介された、ビリーがたった一人心から愛した男の名は、フレディ・グリーン。
 カウント・ベイシー楽団の花形ギター奏者だ。
 
 1939年、ベイシー楽団から独立したビリーの最大のヒット曲が、
  「Strange Fruit (奇妙な果実) 」。
 この果実は、ブラック・ボディ。
 <木に吊るされた黒人の死体>を果実に見立てた、悲惨な歌の意味を知った時、
 その歌詞は、私に中に強い記憶として残った。
 
歌詞:下段参照↓

 ビリー・ホリデイは、音域も狭く、歌唱技術(テクニック)も高くはない。
 しかし、歌詞の意味を音の起伏や振動で説明するかのような、
 情感を込めて歌う技術は誰よりも秀でていた。
 ~時には、呟くように。
 ~時には、甘えるように。
 ~時には、冷徹に感情を殺して。
 ジャズ歌手としてよりも、ブルース歌手、あるいはヴォーカリストとしてのビリーをリスペクトするアーティストは枚挙がない。

 付け加えるなら、番組のもうひとつの核となるレスター・ヤングの誠実さや、BGMに流れるだろう彼の甘い音の調べに酔いしれてみてもよい。

 動くビリー・ホリディの映像が、どれだけ残され流されるのかは不明だが、貴重なフィルムの登場を心待ちしている。

 ~番組を見て感じたことを一寸だけ。

 予想通りビリーの記録映像はほとんど残っていないらしい。
 でも、1957年のテレビ映像として残るレスター・ヤングとの共演で、腰掛けて歌うビリーが、サックス奏者のベン・ウェブスターの演奏の時は恍惚の表情を浮かべていたのに対し、レスターの演奏が始まった途端に言いようのない嬉しそうな表情を浮かべ頷きながら聴き入る、わずか20秒程の映像を見ることができただけで至極満足。
 この20秒程のビリーの表情の変化は、私にとって永遠に記憶に残る映像となった。
 番組は、ソニーのカセット・テープに残された70年代の証言をベースに綴られた男と女の物語。
 レイプのこと、売春のこと、麻薬のこと、黒人差別のことと、ビリーの生涯が正直に美化されることなく綴られていた。
 奇妙な果実の記録写真は、この歌を知らない人達にとって衝撃として写ったことだろう。
 これが時代の事実だと言っても、現代に生きる私達にとって理解はできない。
 <自分の過去にキズを持つビリーの心は、愛するものを身体で受け入れないことで、本当の愛を表現しているのではないか?>との視点はこの物語の核心を突いているように感じた。
 期待していたほどの記録映像がなくても、私の心に強く残る番組となった。
 
 
<番組内容>

 天才ジャズシンガーと呼ばれながら、酒と麻薬に溺れ、1人孤独の中44歳の生涯を閉じた、ビリー・ホリディの短い人生。
 周囲の誰もが「あんな奴!」と唾棄するような男たちに心を奪われ、次々に恋におちた。
 女を殴り、金をくすねる男たち。
 ビリー・ホリディは、顔に痣をつくってステージに立ったこともある。
 そして、恋に破れた女たちの心の歌をうたったのだ。
 暴力的で金に汚い男たちと恋愛する一方で、生涯にわたって心を許し、愛し続けた男がいた。
 テナーサックスの巨人、レスター・ヤングだ。
 お互いに「レイディ=レディ・デイ」「プレズ(大統領)」と呼び合い、音楽を通して誰にも介入できない深い絆を作っていった。
 それにもかかわらず、2人の間には「男女の関係」はなかったと多くの関係者が証言している。
 ビリー・ホリディにとって、レスター・ヤングとはどんな存在だったのか?
 ビリー・ホリディが求めた愛とは何だったのだろうか?
 今回はじめて公開される、1970年代に記録された関係者へのインタビューテープをもとに、ビリー・ホリディの愛をたどっていく。

                         ~以上NHKホームページより転載。

 語り:原田 芳雄


『奇妙な果実』 STRANGE FRUIT

  言語歌詞、ライナー・ノーツより転載。
 ~1939年4月20日の録音~

  Southern trees
 Bear a strange fruit 
  Blood on the leaves
 And blood at the root 
  Black body is swinging
 In the southern breeze 
  Strange fruit hangin' 
  From the poplar trees. 
  Pastor lucien of  gallant sound 
  Of bulging eyes and the twisted mouth 
  Scent of magnolias
  Sweet and fresh 
  Then the sudden smell
  Of burning flesh 
  Here is a fruit
  For the crows to pluck 
 For the rain to get up 
  For the sun to rot
  For the trees to drop 
 Here is a strange and bitter crop

<記事内で紹介した2つの番組のブログ内リンク。>
*マリア・カラス。歌に生き、愛に生き。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/0342d124689d55896f856bea80f5f0b9

*ジャニス・ジョプリン 恋人たちの座談会
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/0e3376ce0bf5c2980fc4a05dacbce689


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マリア・カラス/歌に生き、愛... | トップ | ジャニス・ジョプリン/恋人た... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

テレビ番組」カテゴリの最新記事