みどりの一期一会

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「反貧困」に希望が見える 年のはじめに考える/中日新聞【社説】 2008年1月1日

2008-01-02 13:06:20 | ほん/新聞/ニュース
2008年1月1日、朝起きて最初に読んだ中日新聞の社説は、
〈「反貧困」に希望が見える 年のはじめに考える〉。

中日新聞は、友人の白井康彦さんが多重債務問題に取り組んでいるし、
高間睦さんの高齢者や障がい者の記事など、
社会的弱者のたちばにたった視点が際立っていて、
年のはじめの「社説」にも希望が見えます。

「反貧困」に希望が見える 年のはじめに考える
中日新聞【社説】 2008年1月1日

 グローバル化のなかで貧困層の増加に歯止めがかかりません。貧困問題に向き合い、若年層への有効な手だてを講じないかぎり、日本の未来が語れません。
 昨年暮れ、東京にワーキングプアの若者たちの小さな互助会組織が生まれました。
 「反貧困たすけあいネットワーク」。パートやアルバイト、派遣の低賃金長時間労働に疲れ果て、体を壊したり、一日の生活費を二百円に限定したり、「ケーキを食べること」や「アパートを借りること」が夢だったりする若者が支え合い、明日へ向かって自立していくための組織。

 広がるワーキングプア
 会設立の中心になったのがNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の湯浅誠事務局長と「首都圏青年ユニオン」の河添誠書記長の二人。千人以上の生活保護申請に付き添った湯浅さんと労働の悩み相談に乗る河添さんの体験・経験から構想された役立つ組織。ゆるやかな連帯が目指されているようです。
 「休業たすけあい金」「生活たすけあい金」が目玉の制度。一カ月三百円の会費を六カ月以上納めると病気やけがの際に一日千円最長十日の補償が受けられたり、無利子の生活資金一万円が借りられたり。
 消費者金融や貧困ビジネスの被害者にならないための情報メールや独りで落ち込まないために、月に一度は「若者カフェ」が開店します。
 二〇〇二年から六年連続の景気拡大がありました。が、各統計が示したのは裏腹の貧困の広がりでした。
 ワーキングプア層とも呼べる年収二百万円以下が千二十三万人(〇六年)。二十一年ぶりの一千万人突破で、相対的貧困率(平均所得の半分に満たない人の比率)はOECD諸国中、米国に次いで世界二位。
 生活保護受給者の百五十一万人と国民健康保険の滞納は四百八十万世帯で過去最高記録。母子家庭や高齢者世帯だけでなく一家の大黒柱も、だれもがワーキングプアと背中合わせになっていました。

 国が未来を育てる番だ
 若年層に絞ると、四人に一人が非正社員で、三人に一人は年収は百二十万円ほどとの調査も。パート・アルバイト男性の四人に三人が親元に身を寄せて、結婚は極めてまれ。正社員だからといって恵まれているというわけにはいかず、全力投球の長時間労働を強いられる過酷さです。
 若者たちの無職や低賃金が個人の資質や努力の足りなさでなく、経済社会システム問題や大変革時代との遭遇に由来していて不運です。
 IT(情報技術)革命を伴って加速化した経済のグローバル化がもたらしたのは、下方スパイラル現象。低価格、低賃金へ向けての激烈な競争で、日本の最低賃金も中国やインド、ベトナムやタイなど国境の壁を超えた闘いになりました。
 グローバル競争の勝者は一部の大企業で労働者の七割を占める中小企業に恩恵はなく、〇六年の全産業の経常利益は五十四兆円。十年前の倍ながら、全雇用者の報酬は6%減で残業時間も増となるところに一部の勝者と大多数の敗者の法則が貫かれています。法改正で派遣労働が人件費節約や雇用調整になってしまうケースも出てきました。
 深刻なのは親元で暮らすパート・アルバイトたちです。これまで日本の福祉を引き受けてきたのは企業と家族でした。企業は余力を失って社宅や福利厚生施設提供から撤退し、親たちは数十年先には消えていく存在です。雇用の改善がなければ大量の若年たちが生活困窮に直面する事態にも陥ります。
 未来を担う世代を育てるのは国の最重要任務です。福祉を企業と家族に依存してきた分だけその責任は大きく、公教育の充実、職業訓練、就労支援、生活保護受給資格の緩和などが緊急の課題で、生活扶助基準引き下げなどは本末転倒です。
 かつて75%だった所得税最高税率は、ここ二十年で何度か引き下げられ累進度合いは低められました。この税と年金、医療、介護などの社会保障制度の検討も早急に行われるべきです。ただ、税には「役立っている」との実感と政府への信頼が不可欠です。消費税増税をいう前に政府・行政には信頼の回復など為(な)すべき多くのことがあるはずです。

 声を上げることから 
 「たすけあいネット」代表運営委員にも就いた湯浅さんには「貧困襲来」の著書があります。
 そのなかで、店長以下全員が非正社員の職場で、がんばる店長を支えるために、みんなが過労死寸前まで働き、その連帯感が巧妙に利用されている例が紹介されています。
 やっぱり、「やってらんないよなあ」とぼやき、声を上げてはじけてみようというのが湯浅さんの提案。
 耐えるだけでなく、不正や理不尽な扱いには抗議の声を上げ、時には法律を武器にした法廷での闘いも必要でしょう。
 そして湯浅さんは願うのです。
 「最後には社会を変えたい。いくら働いても暮らしが成り立たないような社会はどうかしている」と。
(2008.1.1 中日新聞)


年金、医療、介護などの社会保障制度が壊れていき、
保障制度が年ごとに弱者が見捨てられていくように感じる社会だからこそ、
声をあげ行動することが大切だと、あらためて思います。


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最後まで読んでくださってありがとう
2008年も遊びに来てね 
 また明日ね
 
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