みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

図書の撤去・選別は「検閲」です。/図書館の自由に関する宣言

2006-09-15 23:47:03 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
一期一会のクリックを

依頼原稿を書き終えたんだけど
「字数オーバー」で、アタマはふらふら。
もうこれ以上自分では減らせないので、
少しくらいの増減はなんとかなるという言葉にすがって
えいやっ、と送った(少しくらいじゃないんだけど・・・・)。
ぶじ本屋さんに並んだら、またお知らせします。

ということで、朝一でアップしようと思っていたブロクも、
またこんな時間になってしまった。
頭はまだ福井バージョンなので、原稿のテーマに合わせて、
福井発のこんな記事を紹介しておきます。

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ジェンダー本 一時撤去問題
 県生活学習館(福井市)で男女共同参画関連の蔵書約150冊が一時撤去された問題で、本の移動のきっかけとなった図書リストを提出した福井市の男性(51)らが13日、上野千鶴子・東大教授の著書「スカートの下の劇場」など10冊について、「男女共同参画ふさわしいか疑問」などと、西川一誠知事に対して苦情を申し立てた。
 県に提出された申し出書は、この男性ら114人の連名。上野教授の著書など10冊を「特に不適切」として、県の見解を示すように求めた。
 さらに県が蔵書の内容を検討し、不適切な場合には、その本を排除することは「『言論の弾圧』『検閲』にまったくあてはまらない」とも主張している。(北村剛史)
(2006.9.14 日刊県民福井)
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ジェンダー本 「再検討すべき」
男性ら県に申し出
 県生活学習館がフェミニズム関係の図書約150冊を一時撤去した問題で、撤去を求めていた県男女共同参画推進員の男性らが13日、県に対し、「書架に戻した書籍が男女共同参画に必要かどうかを再検討するべきだ」との内容の苦情申し出を行った。
 男性の意見に賛同した計114人が連名で提出。申し出は、3月に撤去したことを評価する一方、男女共同参画に関係のない、個人の中傷がないかの視点で確認して書架に戻したことに対しての苦情。また、撤去リストにあった上野千鶴子・東大教授の著書など10冊について男女共同参画ふさわしいかどうかの回答も求めた。
 この問題では、上野教授ら80人も、一時撤去したことに反対して県に苦情を申し出ている。
(2006.9.14 読売新聞)
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「ジェンダー本問題 撤去求めた男性ら知事に苦情申し出」

 県生活学習館の書架からジェンダー関連の本約百五十冊が一時外された問題で、男女共同参画にふさわしくないとして撤去を求めた福井市の会社員、近藤實さん(51)ら県民九十人を含む六都府県の百十四人が十三日、県男女共同参画推進条例に> 基づく苦情申し出書を西川知事あてに提出した。
 百五十冊について同館が、誹謗や中傷の有無を確認しただけで、内容が男女共同参画にふさわしいかを確認せずに書架に戻したことなどを不服としている。近藤さんらは、申し出書の県男女共同参画審議会への諮問を求めた。県男女参画・県民活動課は「適切に対処したい」としている。近藤さんは県男女共同参画推進員。
(福井新聞 2006.9.14)
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「県が蔵書の内容を検討し、不適切な場合には、その本を排除することは
「『言論の弾圧』『検閲』にまったくあてはまらない」(日刊県民福井)
って、まだ言ってるなんて(怒)。
懲りないひとたちです。

推進員の近藤氏は、今回の「苦情申し出書」で、
図書館にも言及しているようなので、
以下に「図書館の自由に関する宣言」を紹介します。
検閲については、明確です。

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「図書館の自由に関する宣言」
第4 図書館はすべての検閲に反対する
1 検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
 検閲が、図書館における資料収集を事前に制約し、さらに、収集した資料の書架からの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。
 したがって、図書館はすべての検閲に反対する。
2 検閲と同様の結果をもたらすものとして、個人・組織・団体からの圧力や干渉がある。図書館は、これらの思想・言論の抑圧に対しても反対する。
3 それらの抑圧は、図書館における自己規制を生みやすい。しかし図書館は、そうした自己規制におちいることなく、国民の知る自由を守る。
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今日の「産経新聞」の社説にも、
「福井の図書排除は行き過ぎ」と書かれています。

千葉県船橋市立西図書館「図書廃棄事件」についても言及していますが、
この事件は、昨年7月14日、最高裁判決が確定しています。
わたしたちも、今回の事件の「まぼろしの訴訟」の立論に引用する予定でした。
ダメ押しで、最高裁判決もアツプしておきます。

「公立図書館の図書館職員は,公立図書館が上記のような役割を果たせるように,独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく,公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負うものというべきであり、閲覧に供されている図書について,独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは,図書館職員としての基本的な職務上の義務に反するものといわなければならない。」
「公立図書館が,上記のとおり,住民に図書館資料を提供するための公的な場であるということは,そこで閲覧に供された図書の著作者にとって,その思想,意見等を公衆に伝達する公的な場でもあるということができる。したがって,公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは,当該著作者が著作物によってその思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして,著作者の思想の自由,表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると,公立図書館において,その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は,法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり,公立図書館の図書館職員である公務員が,図書の廃棄について,基本的な職務上の義務に反し,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは,当該図書の著作者の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。」
(最高裁(第一小法廷)平成17年07月14日判決)

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●最高裁(第一小法廷)平成17年07月14日判決
〔憲法・公共施設・国賠1条-公立図書館司書による特定書籍廃棄と著者の権利/船橋西図書館〕
判決文 全文 
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☆ 最高裁第1小法廷;「つくる会」関係者著作の図書館蔵書処分は違法(05年7月14日)=
 千葉県船橋市立西図書館の女性司書が01年8月、同館の除籍基準に該当しないにもかかわらず、「教科書が教えない歴史1」など、97年、従軍慰安婦問題を取り上げている教科書などを「自虐的」だと批判し、独自の歴史教科書をつくって中学校に広げる目的で設立された「つくる会」や同会関係者の著書30冊を含む計107冊(原告の著書以外で廃棄されたのは、西部邁氏の著書43冊と渡部昇一氏の著書25冊)を廃棄したことに対して、同会と井沢元彦氏ら著者7人(うち1人は死去)が「一方的に排除する思想弾圧で、表現の自由や著者の人格権を侵害された」などとして、市と司書を相手に計2400万円の損害賠償を求めていた訴訟の上告審判決があった。
 判決は、市側の「市民の閲覧権侵害には当たるが、著者の権利侵害にはならず、原告への賠償義務はない」との主張を退け、著者の思想の自由や表現の自由が憲法で保障された基本的人権であることを重視した上で、「公立図書館は住民のほか著者にとっても公的な場で、著者には思想や意見を伝えるという法的に保護される利益がある」「著者が意見などを伝える利益は、法的保護に値する人格的利益だ」との初判断を示し、「職員の独断的な評価や個人的な好みで著書を廃棄することは、著者の利益を不当に損なうものだ」として、つくる会側の主張を退けた2審・東京高裁判決を破棄、審理を同高裁に差し戻し、賠償額を算定するよう命じた(職員個人に対する上告は既に最高裁で退けられている)。
 なお、1審・東京地裁は「司書が個人的な好き嫌いの判断で大量の蔵書を廃棄したのは、本を所有する市に対する違法行為だが、著者との関係で違法となることはない」「蔵書をどう扱うかは原則として市の自由裁量」などとして原告の請求を棄却、2審・東京高裁も「購入された書籍の閲覧方法などに不適切な点があっても、著者の法的な権利や利益に侵害があったとは言えない」として控訴を棄却していた。
 船橋市は翌02年、この司書を減給の懲戒処分とし、廃棄図書のほとんどは司書らが同じものを寄付して補充している。
 なお、1928(昭和3)年の図書館の使命は「思想善導」であるとの名の下で、侵略戦争に協力させられた反省から、日本図書館協会は1954年にその行動規範として「図書館の自由に関する宣言」を採択しているが、“図書館の憲法”とされるこの宣言では、権力の介入拒否だけでなく「思想や宗教による著作の排除や館員の個人的関心や好みによる資料の選択をしない」と自らの管理責任も強調している。
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明日は朝一番で、福岡で開催される
市民オンブズの全国大会にでかけます。
岐阜県の裏金問題について、ともちゃんが報告を頼まれたので、
きゅうきょ、参加することにしました。

基調講演は、浅野史郎さん。
また浅野さんにお会いできるのが楽しみです。


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2 コメント

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選別は検閲ですか? (福井県民)
2006-09-16 09:16:21
選別と検閲は違うと思います。図書館は発行されたすべての図書を購入することは出来ません。必ず、選別をしていると思います。
返信する
撤去は検閲ですか? (福井県民)
2006-09-16 09:33:53
撤去のことを書き忘れました。図書館では、古くなった本など、開架の棚から、書庫へ移動します。撤去が検閲とは、あまりに乱暴なはなしです。
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