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【目から鱗】(第2回「水」)タイで植物を育てるヒント

2024年05月17日 19時12分00秒 | タイで園芸
「タイで植物を育てるヒント」の2回目は『水』について。

妻が園芸店やホテル等の顧客から植物のトラブルで相談されて1番多い原因は水であり、問題がある方の多くは市街地の水路の水をポンプで汲み上げて使われている。
タイでは下水道が整備されてない場所が多く、排水は日本の様な浄化槽ではなく固形物を沈殿させただけで上澄みをそのまま流していたり。
既に閉店されたある園芸店は隣が小規模なホテルで浄化槽が不十分だったのか、水路の水を汲み上げて撒くと店内は大腸菌の臭いが漂っていた。
水質が悪い水を毎日掛けていれば、当然植物は傷んでしまう。

趣味で植物を育てる方が使われるのは水道水や井戸水が多いと思うが、実は綺麗な水道水や井戸水でも硬度が高いと植物へ使えない事がある。
硬度とは水へ含まれるカルシウムやマグネシウム等のミネラルの度合であり、含まれるミネラルが多いほど硬度が高くなり植物へ使い難くなる。

WHOの水質ガイドラインでは、軟水や硬水を炭酸カルシウム換算値で分類しており、硬度が0~60mg/l 未満を「軟水」、60~120mg/l 未満を「中程度の軟水」、120~180mg/l 未満を「硬水」、180mg/l以上を「非常な硬水」というそうだ。
硬度は降雨後の流域が長いと高くなり、川の上流域は軟水で、下流へ行くほど硬水になる傾向。
島国で国土の狭い日本は軟水が多いが、大陸部は硬水が多くなる。
私が暮らすウドンタニはメコン川支流の上流域で軟水の溜池が多く、それを水源とした水道水は軟水だが、太古は2度海だったそうで地下には石膏や岩塩の地層があり、井戸水が水源の水道水は硬水が多い。

硬水と軟水の見分けは口でも可能で、口へ含んで円やかなのが硬水で、スッキリ爽やかに感じるのが軟水の傾向。飲用に適さない程の硬水は口や喉がイガイガしたりする。市販のミネラルウォーターは300mg/lくらいが多いが、こんなに円やかで美味しい水でも植物によっては調子を崩してしまう。
毎日水やりするのにゆっくり弱って枯れてしまうのは、硬水が原因かも知れない。

硬水を使うと上の写真の様に植物の葉へ白く乾燥したミネラルが残るので判る。
こんな状態で陽射しが強いと葉焼けしたりもする。

我が家で実際に植物へ使う水は…

この様な簡易な硬度計で測定しており、タイのネット通販だと百バーツ程度で購入できる。

植物によって耐えられる硬度に違いがあるが、私の経験では120mg/l 未満の軟水が育て易い。
バンコク周辺の観葉植物や蘭の産地の水はお薦めする120mg/l を倍以上超えた硬水が多く、遮光を強くしたり肥料を効かせたりと工夫をして栽培されている。

タイの地方だと集落毎に溜池と浄水設備を持って水道とする地域が多く、軟水の水源を持つ集落もある。
消防車や給水車用の給水設備を持つ所も多く、相談すれば購入出来るので、園芸店には水質が良い水を運んでタンクへ貯めて使う人も居る。

硬水を軟水へ変える1番確実な方法はROフィルターの利用。
我が家が水で困っていた時は、農園で使うには数十万バーツしたが、最近は数万バーツからある。
軟水器(イオン交換樹脂)や炭酸ナトリウムでも硬度が下がるが、ナトリウムイオンが増えるので植物へは向かない。

育てる植物が少なければROフィルターで処理して売っている飲用水の利用が簡単。
コンビニで売ってる水は、RO処理した飲用水(軟水)とミネラルウォーター(硬水)があり、RO処理した軟水は「RO」と書いてある。
セブンイレブンブランドの緑色のラベルの水はRO処理された軟水だ。
地場の飲用水業者が5ガロン(18.9L)ボトルで販売されている水にもRO処理されたのがある。
我が家は一度に30本購入するので1本10バーツの業販価格。
ROフィルターを通してないのにRO水という業者も居るのでチェックは大切。

水やりにRO水を使うとミネラルが含まれてないので、植物へ定期的にミネラルを含んだ肥料を使うのをお忘れなく。
水質についてはここまで。

次は水やり。水やりの回数は育てる植物や環境によって異なるので、どれが正解というのは無い。
私の趣味の栽培場は月金の週2回が基本で、暑季は月水金と3回へ増やしたが、根腐れした物もあるので、水曜は掛けない植物もある。
着生蘭やエアプランツは毎日撒いている。
日本では蘭を水苔へ植えるので「乾かした後に水やりしろ」と言われているが、タイでココナツ殻へ植えた蘭を乾かすと、乾いたココナツ殻が水を弾いて吸わなくなってしまう。
もし乾かし過ぎた時は、バケツへ貯めた水へ浸けてしまうと良い。

妻の農園で水撒きを従業員へ頼むと、並んだ植物を面で捉えてサラサラサラっと葉が濡れる程度に撒いてしまうそうだが、鉢を手に取ると軽くてほとんど水が入ってないのが判る。1つ1つの鉢へ鉢底から水が出るまで掛けるのが正しい。

園芸農家な妻は栽培棚からいくつかの鉢を抜き取って重さで水の量を確認して水やりをしており、気温や乾き具合から小さな鉢だと毎日撒いたりで、私の様に定期的に撒いてしまう手抜き栽培ではない。w

農場へはスプリンクラーがあるが、使うと最低でも手撒きの3倍の水が必要だし、鉢も水で十分に重くならないので、時間が無い時だけの利用。
植物の状態を観察しながら一鉢ずつの水やりは面倒だが、状態の良い植物を育てるには欠かせない。

撒く時間は朝が基本で、気温が下がる夜までに葉を乾かしておくと傷み難いと言われている。
猛暑で植物の温度を下げたい時は、夕方にサラサラと葉水を軽く撒く事もある。

種類やサイズや環境で必要な水の量や回数は異なり、個別に細かくやれば植物の調子は良くなるので、仕事でやっている妻は丁寧だが、私の趣味の農園だと、私のやり方に合わない植物は枯れる運命。w

最後に湿度について。
私の趣味の栽培場の栽培棚の下にはアジアンタムが雑草化して生えているが、

これを鉢へ取って栽培棚へ置くと絶不調で枯れてしまう。
同じ場所で高さが1m弱上がっただけなのに何が違うの?と悪戦苦闘していると、↓の動画

で台へ置くと湿度が足りないと知った。
アジアンタムは涼しげだし、新葉が紅葉の様に色付く品種が私は好き。

写真は一番美しいので大神(おおが)ファーム様より勝手に借用。
m(_ _)m

動画で対策法が紹介されているので、またチャレンジしたい。

次は『植込み材』を予定。
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