完全無欠な「もうすぐ前期高齢男」日記

「もうすぐ前期高齢男」に進級「老いの自覚」を中心にUpしていきます。

残念ながら・・・・。     ~桂ざこばの「文七元結」~

2018年12月23日 | 落語



私は初老男である。




眠れない夜というのが、この歳になると少なからずあるものだ。





そんな時はラジオを聞くことにしている。





・・・・・というより、私は寝入る時には常にラジオを聴いているのだ。






FM放送の何処かをその時の気分で探しながら。







そうした意味では、たまにしか「NHK・FM」聞かない。








有名な「ラジオ深夜便」のターゲットの歳には、初老と言えども私の感性は付いていっていない。







しかし、たまに「ハマる」ことがある。







先日はそうだった。








ラジオ深夜便大阪発の深夜1時以降の最初のコーナーが「落語」だった。








桂ざこばの落語。






演目は「文七元結」







人情噺の名作だ。








実は「エッ」と思った。














少々話が外れるかもしれないが「上方落語」と「江戸落語」というのは、未だ純然たる違いがあるように私には思える。








これだけグローバルな世界になって、日本と世界との差が無くなっている中で言うのはおかしいのかもしれないが。







時代背景を加味した中でも、結局落語において「江戸っ子気質」(特に人情噺)を上方落語に移植することは無理と感じる。









残念ながら今回の「文七元結」」を聴いて、その想いは強くなってしまった。








桂ざこばと言えば、今や上方落語界でも重鎮と言えるだろう。







あの桂米朝の弟子であり、桂枝雀の弟弟子。







東京では放送されていない読売テレビの日曜昼の某番組でも、ご意見番的存在になっている。






ただ、私はあまり好みのタイプの噺家ではないが・・・。








人情噺の代表的な話「文七元結」は、先代圓楽の物を一度聞いたことがある。(多分、このブログでUpしてあるはずだ)








三遊亭圓生の直弟子の脂の乗り切った時の「文七元結」は、とてもいい出来だった。






・・・一ヵ所間違えたけど。(それも依然のブログ参照)








今回ざこばの噺の入りの部分ですでに「気」が萎えた。







噺の前に解説が入って、近年になって上方にこの噺を移植したとのこと。








故古今亭志ん生が落語においては









          「東京人にあらずば、人に非ず」








という暴言を吐いたというが、それほど「江戸落語」の意味・意思というモノは東京人以外には伝わらないと言いたいらしい。








お笑いの評論本に高信太郎(漫画家)が書いていた記憶がある。






そして、高信太郎も「力弱くもうなずいてしまう」と、締めくくっていた。








それくらいに江戸落語の芯の部分は「江戸っ子」にしか分からない。(らしい)









私はそれを読んだ当時、憤慨した覚えがある。








しかし、それ以降落語というモノに触れれば触れるほど、いや、落語以外の「お笑い」も含めてというべきかもしれない。






笑いにはやはり「ベースとなる意識」があって、それは土地柄や生活習慣・本人の育ちなどがで作られる。





そうした意味においても「滑稽噺」はそれほどの差が出なくても「人情噺」は、その人間気質をベースにする分伝わりにくい気がするのだ。






文七元結などは「江戸っ子気質」の典型的な話であるから、とくにそう感じる。






私のイメージがどうしても上方の文七元結の時代の人の気質が、その話に噛み合っていない気がするのだ。






だから、ざこばが関西弁で噺に入った瞬間に嘘臭く聞こえてしまった。






結局、最後まで私に「上方版文七元結」は響いてこなかった。






若手の噺家たちがこの上方版文七元結を完成させて欲しいと、落語ファンとして切に思う。





上方の気質・風土に合った「文七元結」を。





今回も最後までお付き合いいただきありがとう。これを読んでいる皆さんも、この噺に落語の真髄を観ますように。





              May





ここまで言ってナンであるが・・・。やはり、江戸っ子気質を最大に残していた古今亭志ん朝の「文七元結」を聴いてみてほしい。私にとってはそれが基準になっている。





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1 コメント

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Unknown (ばね)
2019-06-06 11:51:11
あちきは、談春の文七元結が流れが良くて好きです。

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