私は初老男である。
台風21号が関西を縦断し、直後に北海道地震。
日本が「災害大国」であることは重々承知しているが、暗澹たる気持ちになる。
様々な被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
さて「反田恭平」と聞いてすぐに分かる人は、かなりの「通」と言える。
以前に「親子という『しがらみ』」(2016年10月3日)という記事をUpしているので、もしかしたら覚えている貴兄もいるかもしれない。
ありがたいことに、つい先日「辻井伸行&三浦文彰ディオコンサート」を見たばかりに、この「反田恭平ソロリサイタル」を見ることが出来た。
演目は「ベートーヴェンピアノ三大ソナタ」である。
説明不要とは思うが「悲愴」「月光」「熱情」の3曲だ。
やはり、イメージ通りで先の辻井&三浦の時と真逆な感じ。
辻井&三浦が「陽」なら、反田は「陰」である。
もちろん、悪い意味ではない。
辻井は盲目であるが故の「あっけらかんとした明るさ」があり、三浦には「サラブレットとしての品の良さ」がある。
しかし、反田はそうでなく・・・。
どこかしら「尖った感じ」がする。
演奏前後の行動にも、その感じが見て取れる。(あくまで私の感覚です。)
演目はとてもポピュラーだから、私のCDコレクションにもそれなりの数がある。
今回の演奏会のために、それらを結構聞き込んで備えた。
ピアノソナタという演目は、そうした意味ではとても「怖い」ものだ。
演奏家の感覚が「すべて」現れてしまう。
もちろん、鑑賞する人間にも「聴く力」が求められる。
やはり、彼の真骨頂は「超絶技巧」の速弾きであろう。
演奏曲も最後が「熱情」。
第3楽章の後半の追い込みは驚愕である。
そして、私は「悲愴」の第2楽章が一番の好きで是非彼の第2楽章が聴きたかった。
彼のこの曲の解釈は、かなり「持って回った」感があったがドラマチックに堪能させてくれた。
そして、最後の「熱情」。
飛び散る汗が熱演を物語る。
アンコールは3度。
曲名は分からなかった、各曲の超絶部分を弾いてくれた。
彼が取り上げられた「情熱大陸」の時に、彼のプロフィールが紹介されていたが・・・。
普通に考えるクラシック演奏家の人となりのイメージとかなり違う。
セレブな家に生まれ幼いころから、クラシック音楽自体に触れて育ってということではない。
・・・ってステレオタイプ過ぎますか?
家に母親のエレクトーンはあったらしいが。
そうした中から、こうした演奏家が現れることに日本のパワーを感じる。
彼がピアノ留学したのはロシア。
彼の演奏がなんとなく・・・ヨーロッパ感が薄いのはそのせい?
今は特に、その若さによって「全力疾走中」の感が強い。
その「全力疾走後の彼の演奏」がどうなるか楽しみだ。
今回も最後までお付き合いいただきありがとう。これを読んでいる皆さんも、若き才能に触れる機会が増えますように。
May
・・・午後2時からのリサイタルは、ちょっと外すと「眠くなってしまう」ので注意が必要。今回も少々閉口した。