マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

日本ハムの選手育成から学ぶ

2017年05月03日 | ナ行

 1、朝日新聞の記事

日本一になった日本ハムの主力選手は、高校から入団した選手が多い。西川、中島、中田、陽岱鋼、大谷、近藤たちだ。球団はフリーエージェント(FA)や外国人に頼らず、選手を自前で育てるのが基本方針。独自のプログラムが成功に導いた。

 高校からの入団は5年、大学・社会人は2年が育成期間となる。その間は、千葉県鎌ヶ谷市の2軍の練習施設に併設する「勇翔寮」への入寮が義務。そして、最初の休日には決まりがある。本を買いに行くのだ。

 朝食後の10分間が読書タイムになる。「一番大事なのは野球での成功。そのためにいろんな考えを身につけるのが大事です。てっとり早いのが読書。習慣づけのため、時間を設けています」と、本村幸雄・選手数育ディレクター。2011年、高校教師から転身した。球団は寮の教官に元教育者を選んだ。

 選手は毎日日誌をつけ、自分と向き合う。シーズン中は2度、長期目標設定用紙を記入。寮の部屋だけではなく、ロッカールームにも貼る。人に見られることで、目標達成への責任感を持たせる。そうやって、プロの自覚を促していった。

 年4回は外部講師の講義もある。今年は日本舞踊の花柳芳次郎さんや、元陸上選手の為末大さんを招いた。本村教育ディレクターは「その道のプロの話を聞くことで、意識が高まる」と狙いを説明する。感想文の提出も必須だ。

 日本ハムの支配下登録選手は今季65人。育成選手はおらず、陣容は12球団で最少だ。少数精鋭だと出場機会が増え、実戦で鍛えられる。練習では「1球目の大切さ」を重視。ノックの1球目を捕らないと、打撃練習の1球目を打たないと、グラウンドから出されることもある。

 l球目に厳しくなったのは、2001年から。当時2軍監督の白井一幸・内野守備走塁コーチ兼作戦担当は「l球目は1日1回しかない。それを打てるか、ストライクになるか、アウトにできるかで、試合に臨む気持ちが変わる」と説く。

寮内や球場ベンチには、「常に全力」「最後まで諦めるな」と書かれた貼り紙がある。球団が札幌に移転した2004年から、自然発生的にチームのスローガンになったという。

 「高校生から育てると、球団の一貫した方針や文化を継承できる」と太渕隆・スカウトディレクター。鎌ヶ谷で学び、鍛えられた選手たちがシーズンの最大11・5差、日本シリーズは第1戦からの2連敗を覆した。プロとして最後まで粘りを見せて戦った精神も、育成力の成果の一つだろう。(山下弘展。日付を記すのを忘れたようです。2016年の日本シリーズ最終戦の直後でしょう)

2、感想

 私は、今準備している『小論理学』を出したら、「ヘーゲル原書講読会」という哲学の私塾ないしインターネットを使ったゼミを始めようかと考えています。これまでの鶏鳴学園の経験を根本から反省して、又共同生活の失敗後に復帰した大学での新しいやり方の「初歩的成功」を踏まえて、「本当の哲学ゼミ」はどうあるべきかを追求したいと思っています。

 今では幸いな事に「生活のための私塾」をする必要がなくなりましたので、絶対に原則は曲げないゼミにしようと考えています。そのゼミにとってもこの日本ハムの選手育成のやり方は大いに参考になります。

 ここにある点で学ぶべきことを列挙しておきます。もちろん、現在考えている「暫定的な考え」です。

 ① 読書の意義⇒これは哲学ゼミですから、当たり前ですが、毎週何をどれだけ読んで、どういう問題意識を持ったかを報告させる。

 ② 毎日日誌をつけ、自分と向き合う。シーズン中は2度、長期目標設定用紙を記入。寮の部屋だけではなく、ロッカールームにも貼る。⇒各自、『修業ブログ』を作り、「勉強計画」を発表させる。そして、毎週、「実践報告」を発表させる。

 我が原書講読会で鍛えることは、ドイツ語原書の読み方、和文独訳、現実の哲学的問題を考える、論文の書き方、などです。

 ③ 「1球目の大切さ」⇒気付いた問題をメモして、必ずそれと取り組む。これはもちろんブログで報告する。

 ④ 「常に全力」「最後まで諦めるな」⇒直面した問題とがっぷり四つに組んで格闘する。絶対に逃げない事。