あんなレベルでは本大会で通用しない
得点シーンだけ切り取ってみれば綺麗に見える。だがすべてのボールスピードがユルく、あの相手でないと通用しないレベルだ。W杯本大会では絶対に通用しない。例えばドイツ代表がアフガニスタンとやればいったい何点取るか? そう考えればわかるだろう。ひとことでいえば、たかがアジアのお山の大将が、高校のサッカー部レベル相手に5点取っただけの試合だった。
前半はいつでも点が入りそうなユルい雰囲気の中、だがあのまま無得点でズルズル行きそうなムードだった。緊張感が感じられない。日本はまるで温泉へ慰安旅行に来たおっさんたちのようだった。ひとつひとつのプレーがわずかづつ精度を欠き、しっかり噛み合ってない。圧倒的にポゼッションして何度もシュートチャンスを作るが、点が入らない。
実際、43分に岡崎の華麗なゴールが決まってなければ「0-0」のままハーフタイムに入っただろう。そうなれば精神的なプレッシャーが生まれ、あのシンガポール戦の悪夢が繰り返されたかもしれない。2点目が入って以降は格下相手に櫛の歯が抜けるようにゴールが続いたが、あの前半の緩みは危機的だった。
日本代表は岡崎に感謝すべきだ
日本は岡崎、金崎の2トップの後ろにダイヤモンド型の中盤を構成する4-4-2だった。トップ下には清武、左SHに柏木、右SHに原口、アンカーは長谷部である。最終ラインは吉田、森重のCBに左が長友、右が酒井(宏)。GKは東口だ。
立ち上がりから日本のボールになると、アフガニスタンはするすると全員が自陣に引き込み、DFとMFが4-4の守備ブロックを敷いた。予想通りの専守防衛だ。前半の日本は例によってこの守備固めに手こずり、まるで10年続いた便秘のようにスッキリしない展開だった。両SBが高いポジショニングを取り、サイドからクロスを入れ続けるが決まらない。
そんな展開の中、最大の殊勲者はなんといっても1点目を取った岡崎だろう。後ろからきたボールを反転しながらゴール方向へ向き直り、次のワンタッチで冷静にマーカーの股を抜いて正確にコースを狙って決めた。先日レスターで放ったオーバーヘッド・シュートに匹敵する美しいゴールだった。なかなか点が入らない前半の重苦しい雰囲気を吹っ飛ばしたあのゴールがなければ、日本はどうなっていたかわからない。
清武は香川を越えた
このほか選手別では、特に金崎はよくボールに触り積極的に何本もシュートを打っていた。彼のようなハングリー精神丸出しの飢えた狼のような選手がもっと出てこなければ事態は深刻だ。
特筆すべきは清武だろう。彼は後半13分、第3の動きで中央に抜け出すや、ダイレクトで技ありのシュートを決めた。決定的なスルーパスも出していたし、後半33分には5点目の起点になったアーリークロスも入れた。この試合を見る限り、清武はもはや香川を越えたのではないか? 香川は後半19分に途中出場したが、まるで燃えかすのようだった。さて海外高級ブランド志向のハリルの目にはどう映っただろうか?
また長谷部も「ここ」という局面で決定的な縦パスを出しており、攻めの起点になる重要な役割を果たしていた。清武が決めたゴールの起点も彼だ。やはり長谷部は替えの効かない選手である(そのぶんA代表の世代交代が進まないのは痛し痒しだが)。
一方、最終ラインで目についたのは左CBの森重だった。彼は高い位置を取った右SBの酒井に対し、ダイアゴナルな質の高いサイドチェンジのボールを何本も出していた。やはり森重のフィードの精度は魅力的だ。他方、酒井は相変わらずクロスの質や状況判断に難があった。
途中出場したハーフナーは後半33分に金崎の5点目をアシストしたヘディングでの落としは鋭かったが、全体に動きが鈍重で明らかに周囲とリズムがちがう。あとは監督がどう判断するかだろうか?
もっと強豪国と強化試合をし危機感を持て
繰り返しになるが、この試合を見て「5点も入った」などと喜んでいては鬼が笑う。相手は遥か格下であることを忘れてはいけない。
特に気になったのはメンタルだ。むき出しの野心にあふれ、ギラギラと殺気をたぎらせているU-23日本代表とは対照的に、A代表は温泉旅行だ。このままズルズルW杯本大会に突入しては目も当てられない。
ぶっちゃけ、今のチームの骨格は、あのブラジルW杯で惨敗し燃え尽きたザックジャパンの残党だ。いわば抜け殻が試合をしているのだから緩むのも無理はない。本当なら武藤(嘉)や宇佐美、柴崎らの世代がもっと伸び、ブラジルW杯後に完全に世代交代が実現できていればこうはならなかっただろうが、そんなことを言っても始まらない。
とにかくハリルジャパンはもっと強豪国と強化試合をこなし、世界における自分たちの位置づけを再認識して危機感をもつことから始めるべきだろう。
得点シーンだけ切り取ってみれば綺麗に見える。だがすべてのボールスピードがユルく、あの相手でないと通用しないレベルだ。W杯本大会では絶対に通用しない。例えばドイツ代表がアフガニスタンとやればいったい何点取るか? そう考えればわかるだろう。ひとことでいえば、たかがアジアのお山の大将が、高校のサッカー部レベル相手に5点取っただけの試合だった。
前半はいつでも点が入りそうなユルい雰囲気の中、だがあのまま無得点でズルズル行きそうなムードだった。緊張感が感じられない。日本はまるで温泉へ慰安旅行に来たおっさんたちのようだった。ひとつひとつのプレーがわずかづつ精度を欠き、しっかり噛み合ってない。圧倒的にポゼッションして何度もシュートチャンスを作るが、点が入らない。
実際、43分に岡崎の華麗なゴールが決まってなければ「0-0」のままハーフタイムに入っただろう。そうなれば精神的なプレッシャーが生まれ、あのシンガポール戦の悪夢が繰り返されたかもしれない。2点目が入って以降は格下相手に櫛の歯が抜けるようにゴールが続いたが、あの前半の緩みは危機的だった。
日本代表は岡崎に感謝すべきだ
日本は岡崎、金崎の2トップの後ろにダイヤモンド型の中盤を構成する4-4-2だった。トップ下には清武、左SHに柏木、右SHに原口、アンカーは長谷部である。最終ラインは吉田、森重のCBに左が長友、右が酒井(宏)。GKは東口だ。
立ち上がりから日本のボールになると、アフガニスタンはするすると全員が自陣に引き込み、DFとMFが4-4の守備ブロックを敷いた。予想通りの専守防衛だ。前半の日本は例によってこの守備固めに手こずり、まるで10年続いた便秘のようにスッキリしない展開だった。両SBが高いポジショニングを取り、サイドからクロスを入れ続けるが決まらない。
そんな展開の中、最大の殊勲者はなんといっても1点目を取った岡崎だろう。後ろからきたボールを反転しながらゴール方向へ向き直り、次のワンタッチで冷静にマーカーの股を抜いて正確にコースを狙って決めた。先日レスターで放ったオーバーヘッド・シュートに匹敵する美しいゴールだった。なかなか点が入らない前半の重苦しい雰囲気を吹っ飛ばしたあのゴールがなければ、日本はどうなっていたかわからない。
清武は香川を越えた
このほか選手別では、特に金崎はよくボールに触り積極的に何本もシュートを打っていた。彼のようなハングリー精神丸出しの飢えた狼のような選手がもっと出てこなければ事態は深刻だ。
特筆すべきは清武だろう。彼は後半13分、第3の動きで中央に抜け出すや、ダイレクトで技ありのシュートを決めた。決定的なスルーパスも出していたし、後半33分には5点目の起点になったアーリークロスも入れた。この試合を見る限り、清武はもはや香川を越えたのではないか? 香川は後半19分に途中出場したが、まるで燃えかすのようだった。さて海外高級ブランド志向のハリルの目にはどう映っただろうか?
また長谷部も「ここ」という局面で決定的な縦パスを出しており、攻めの起点になる重要な役割を果たしていた。清武が決めたゴールの起点も彼だ。やはり長谷部は替えの効かない選手である(そのぶんA代表の世代交代が進まないのは痛し痒しだが)。
一方、最終ラインで目についたのは左CBの森重だった。彼は高い位置を取った右SBの酒井に対し、ダイアゴナルな質の高いサイドチェンジのボールを何本も出していた。やはり森重のフィードの精度は魅力的だ。他方、酒井は相変わらずクロスの質や状況判断に難があった。
途中出場したハーフナーは後半33分に金崎の5点目をアシストしたヘディングでの落としは鋭かったが、全体に動きが鈍重で明らかに周囲とリズムがちがう。あとは監督がどう判断するかだろうか?
もっと強豪国と強化試合をし危機感を持て
繰り返しになるが、この試合を見て「5点も入った」などと喜んでいては鬼が笑う。相手は遥か格下であることを忘れてはいけない。
特に気になったのはメンタルだ。むき出しの野心にあふれ、ギラギラと殺気をたぎらせているU-23日本代表とは対照的に、A代表は温泉旅行だ。このままズルズルW杯本大会に突入しては目も当てられない。
ぶっちゃけ、今のチームの骨格は、あのブラジルW杯で惨敗し燃え尽きたザックジャパンの残党だ。いわば抜け殻が試合をしているのだから緩むのも無理はない。本当なら武藤(嘉)や宇佐美、柴崎らの世代がもっと伸び、ブラジルW杯後に完全に世代交代が実現できていればこうはならなかっただろうが、そんなことを言っても始まらない。
とにかくハリルジャパンはもっと強豪国と強化試合をこなし、世界における自分たちの位置づけを再認識して危機感をもつことから始めるべきだろう。