すちゃらかな日常 松岡美樹

世の中のあれこれをすちゃらかな視点で切り取ります

ブロガーに蔓延する「自分は能力があるのに認められない」病の論理

2008-02-13 08:58:55 | メディア論
■「評価されるべきものが認められない」は自分を慰める口実だ

「自分は才能があるのに認められない」

「能力を適正に評価されてない」

 これはいつの時代、どこの世界にもある人間ならではの煩悶である。

 承認欲求とそれが満たされないことへの怨恨は、「恵まれてしかるべきなのに恵まれない自分」の現状を説明する合理的な理屈はないかと探し始める。で、たどりつくのが、「そうかもしれない」と思わせる都合のいい論理である。

現在、ブログで人気エントリになるのは有名ブロガーのばかりだ。たとえ同じ内容のエントリを書いたとしても、知名度によって人気エントリになるかどうか大きく変わってくる。これが大多数のブロガーのモチベーション低下につながるのではないかなと、少し思うのだ。

●BLOG15.NET『ブログはこれからおもしろくなるのかな?』


「どんなにいい記事を書いても、無名ブロガーは人気エントリ入りするのがむずかしい。能力はあっても認められない。実力以外の要素で勝ち上がれる今の世の中はおかしいんじゃないか?」

 認められないのは自分に能力がないからじゃなく、常に世の中のせいなのだ。これってブログの世界に限らず、また今の時代だけの話じゃなく、いつの時代も人間が抱きがちな思いである。

■「人気エントリ入り」は読者獲得の絶対条件ではない

 たとえばこれと同じことは、はてなブックマークがスタートした3年前にも言われていた。はてブが始まったのは2005年2月だが、以下の記事はその3ヵ月後、2005年5月に書かれたものだ。論旨は上で引用した記事とほとんど同じである。

SBMのランキング機能は(中略)、SBMのユーザ数が少ない今でこそ有効に機能しているものの、今後ユーザ数が増えるに従って

・「注目されているサイトがますます注目される」

というベキ乗の法則に従うようになって、一度注目されたサイトはひたすらクリップされるけど、注目されないサイトは内容に関わらずいつまでも衆目に触れないということになってしまうのではないでしょうか? 

●無印吉澤『「同質的」という単語の意味 / SBMはロングテールの敵か?』


 確かにいったんSBMでブクマされる常連ブログになってしまうと、あまり面白いとはいえない記事にまで大量のブクマがつくことはある。その意味では、これらの記事の分析は一面事実である。

 だけどちょっと考えてみよう。

 まず第一に、これらの記事は「読者を獲得する上で、はてなブックマークは絶対的な存在である」という前提の上に立っている。だが読者を得るための手段は、別にはてブで取り上げられることだけじゃない。

 むしろ説得力を感じるのは、これらの記事より『ブログを始めてからアクセスが伸びるまで』(北の大地から送る物欲日記)の論旨の方である。

ここで、「同じ質の記事を書いてるのに、無名な自分の記事は人気エントリにならず、有名ブロガーの記事は人気エントリになるのはおかしい!」と言いたくなる気持ちはよく分かるが、有名ブログはどうして読者が多いのかを考える必要がある。

元々知名度の高い人がブログを始める場合もあるかもしれないが、多くの場合にはブログで過去に書かれた記事によって読者をじわじわ獲得してきた結果、有名ブログになってる訳で、ブログという場にたまった評価が上乗せ、いや、かけ算で効いてくる。(強調表現は松岡による/途中で改行した)

●北の大地から送る物欲日記『ブログを始めてからアクセスが伸びるまで』


■更新頻度と人気の高さは密接な関係がある

 もうひとつ、この記事はうなづける論点を提示している。それはブログの更新頻度と人気の関係だ。

ブログに新規参入した人が気づいていない、もしくは軽視しがちな部分として更新頻度がある。更新頻度が高い、特に毎日更新されるようなブログはアクセスが伸びやすい

数多く更新されることで常に新しい情報が得られることや、多くの記事があれば、ある読者にヒットする物も見つかりやすいという効果が思ったより大きいのと、過去記事に検索エンジン経由でやってくるアクセスがほんの少しずつではあるが積もり重なって、気づくと結構な量になっているというのがある。(強調表現は松岡による/途中で改行した)


 たとえば当ブログの昔からの読者の方ならおわかりだと思うが、私のブログは更新頻度がハチャメチャだ。やる気になれば頻繁に記事を書くけど、熱が冷めるととたんに書かなくなる。1年近く更新しない、なんてことも過去にあった。駄目ブログの典型である。

 そんな毎日だからよくわかるのだが、記事の更新頻度がスーッと下がると、アクセス数は潮が引くように落ちていく。数ヶ月単位で更新しない日が続けば、1日当たりのユニークIP数が200とか300なんて状態が続く。もうほとんど「ないも同じ」状態だ。

 ところが気が向いて毎日1本づつ欠かさず更新し始めると、これまた潮が満ちるようにアクセス数が上がっていく。で、いつのまにか元のレベルに戻る。

 いったんはゼロになり完全に見放された(笑)わけだから、このとき増えた読者は以前とまったく同じ読者層とは考えにくい。とすれば状況的には、初めてブログを書く人が新規参入したのに近い状態だろう。

 でもコツコツと毎日更新していれば、アクセス数が元に戻るまでにそれほど時間はかからない。(もっとも「戻った」といっても大した数字じゃないが)

 これは自分が記事を読む立場になればよくわかる。更新頻度が低いと、RSSリーダに登録しても意味がないからだ。

 ただでさえブログの総数はとんでもない。なのにたまにしか更新しないブログまで網羅していると、リーダへの登録数が膨大になってしまう。

 だから月に1回、120点の記事を公開するブログより、3日に1回、80点の記事を書き続けるブログの方が登録されやすい。そのぶん読者も獲得しやすいはずだ。

■はてブでアクセスしてくる人は、ほかのエントリは読まない

 はてブで人気エントリになると、ワッと一時的にアクセス数が増える。だから効果が見えやすい。で、「はてブで取り上げられること」は、読者獲得の必須事項であるかのように感じてしまう。

 だが一方、更新する頻度が人気につながる過程は目に見えにくい。だからつい軽視しがちだ。しかし前述の通り更新頻度って、ブログの人気度アップに計り知れない貢献をしているのである。

【本日の結論】

「はてブで人気エントリになること」は、読者を得るきっかけにはなっても決定的な要因にはなり得ない。第一に、はてブからアクセスしてくる人は、はてブで取り上げられた1エントリは読むが、ほかのエントリはほとんど読まない

 つまりブログ自体の読者になってもらうのって、そんな簡単なことじゃない。

 また第二の理由は、人気エントリ入りで一時的に読者が増えたとしても、その後、一定水準をクリアする記事を平均的なペースで書き続ける必要があることだ。

 なんせ更新頻度が下がれば、元の木阿弥なのだから。

(追記)私が利用しているgooブログのアクセス解析ツールは、記事を更新せず放置しておくと「300IPくらいで一定になる」という証言をekkenさんから得ました(『gooブログのカウンター表示は怪しいらしい』)。私も過去に、ekkenさんとまったく同じ体験をしました。で、その体験をもとに私が何気なく書いた「200〜300IP」という数字が、誤解を受けているようなので追記しておきます(2008年2月14日)

【関連エントリ】

『ブログを毎日書くとクリエイティブな思考が「クセ」になる』

『ホットな話題にリアルタイムでからむブログ力』

『「クセをつけろ」があなたの人生を変える』
ジャンル:
ウェブログ
キーワード
はてなブックマーク RSSリーダ アクセス解析 検索エンジン ロングテール モチベーション そうかもしれない
コメント (11) |  トラックバック (4) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« ネガコメを元に自... | トップ | ホットな話題にリ... »

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Scott)
2008-02-13 20:34:40
>ところが気が向いて毎日1本づつ欠かさず更新し始めると、これまた潮が満ちるようにアクセス数が上がっていく。で、いつのまにか元のレベルに戻る。
>いったんはゼロになり完全に見放された(笑)わけだから、このとき増えた読者は以前とまったく同じ読者層とは考えにくい。とすれば状況的には、初めてブログを書く人が新規参入したのに近い状態だろう。

RSSリーダ登録していれば更新した時だけ見に来るのが当たり前ですから、この辺の仮定は間違っていると思います。


>これは自分が記事を読む立場になればよくわかる。更新頻度が低いと、RSSリーダに登録しても意味がないからだ。

自分が記事を読む立場であれば、むしろ更新頻度が低いもしくはメチャクチャなブログほどRSSリーダに登録する意味があります。
たまに更新するタイミングを見逃さないで済みますから。
むしろむやみやたらとどうでもいいつまらない私事で更新されるブログをRSSリーダに登録すると邪魔で仕方ないです。


RSSリーダを使うことが一般的になると「その日のアクセスが少ない=不人気ブログ」という等式は成り立たなくなっていると実感していますが、どうでしょう。
記事に激しく同意するがコメントにも同意 (shinkai)
2008-02-14 01:50:54
自分が記事を読む立場であれば、むしろ更新頻度が低いもしくはメチャクチャなブログほどRSSリーダに登録する意味があります。
たまに更新するタイミングを見逃さないで済みますから。

更新頻度とRSSリーダの関係 (松岡美樹@管理人)
2008-02-14 07:26:11
こんにちは。
まとめレスで失礼します。

■Scottさん

> RSSリーダ登録していれば更新した時だけ見に来るのが当たり前ですから、この辺の仮定は間違っていると思います。

あ、そのへん私の場合は逆なんです。

私はリーダに登録してるブログの数が膨大なので、更新されたすべてのブログを毎日そのつど読む、ってできない状態です。すると必然的に数を絞る必要がでてきますから、1ヶ月に1回しか更新しないブログは削除する、みたいなやり方になるのです。

で、そのぶん新規のブログをまた登録していく、って感じです。まあこのへんは人によってやり方がちがうとは思いますが。

> 自分が記事を読む立場であれば、むしろ更新頻度が低いもしくはメチャクチャなブログほどRSSリーダに登録する意味があります。

原理としては確かにそうなんですが、私の場合、前述した理由で更新頻度の低いブログは端からどんどん削除していきますね。フォローし切れなくなりますから。

> RSSリーダを使うことが一般的になると「その日のアクセスが少ない=不人気ブログ」という等式は成り立たなくなっていると実感していますが、どうでしょう。

これは、更新しなかった日にアクセスが少なくても「人気がない」とは言えない、って意味ですよね? その意味なら、原理としてはその通りでしょう。ただ私みたいに更新頻度が低いブログをリーダから削除してる人が多ければ(私の知人にも何人かいます)、その法則は成り立ちませんし……まあむずかしいところじゃないでしょうか。

■shinkaiさん

Scottさんと同じご意見ですね。前述の通り、私みたいなケースを除けば、原理としては確かにその通りだと思います。
Unknown (kal)
2008-02-15 05:04:02
ユニークIPが200、300で「ないも同じ」ですか
200人、300人の人間は「いないも同然」ですか
追記のリンク先をお読みください (松岡美樹@管理人)
2008-02-15 08:13:37
お手数ですが、文末の追記に掲載したリンク先の本文とコメントをお読みください。
アクセス数と人気は (廻)
2008-02-15 13:51:00
>あ、そのへん私の場合は逆なんです。
「私は」「私の場合」「私みたいに」って内容を
>これは自分が記事を読む立場になればよくわかる。更新頻度が低いと、RSSリーダに登録しても意味がないからだ。
って、さもそれが当然だと断定したように書くんですね。

私個人的にはRSSリーダに登録するのは更新が不定期だけど面白いサイト、定期的に更新されてるサイトは直接巡回する派です。
まぁ確かにこれらはハッキリと一般的にどちらが多いかは結論付けられるものでもないのでしょうが、上記のような狭い範囲の認識をさも一般的であるような書き方する方、最近多いのが非常に不愉快ですね。
議論に「感情」は必要か? (松岡美樹@管理人)
2008-02-16 03:38:20
■廻さん

こんばんは。

> 非常に不愉快ですね。

議論に「愉快」「不愉快」等の「感情」を持ち込まないようにしましょう。
感情的なやり取りは不毛なだけです。
Unknown (Unknown)
2008-02-19 12:41:51
実際のところ、記事は面白いけど閑古鳥の鳴いている
ページってごまんとありますよ。
ただ良いエントリを書くことと閲覧者が多くなること
は同じではないわけで。
文章は面白いけどその辺の区別がついてない人の事も
考えてあげてください。

客を呼び込むところまで合わせて能力だといわれて
しまえばそのとおりなんですが。


Unknown (廻)
2008-02-20 11:43:21
別に私は議論するつもりで書いたのではないのですが・・・。
あくまでも貴方の文章、「断定できないものを断定した書き方」で、こういう場で公然と、さも自分の意見こそが普通であり一般的だと言い切るかのような書き方で、読み手に与える印象に対する配慮の欠けた貴方の文章に対する批判のコメントです。
貴方が一般的とは言えない根拠として、他の方のコメントと併せて私のRSSの利用法の例を出しましたが。

そもそも議論するような内容のエントリーではないでしょう?
単に「貴方個人がそう思っている内容」であれば、どんなに論拠に疑問を持とうと、狭量な内容だろうと、偏執的な内容であろうと、それに関して私は意を唱える気はありませんよ?。
「感情」はマイナスにしかならない (松岡美樹@管理人)
2008-02-21 10:22:31
> 別に私は議論するつもりで書いたのではないのですが・・・。

では言い直しますね。
例えば、共に「喜び」を分かち合う、あるいは「苦しみ」を分かち合う、というようなテーマ(記事)の場合に、「感情」を表に出し合うのは当然です。

ですが今回の記事のように、テーマについて「客観的」な分析(意見)を述べ合う性質のものである場合、
「快」「不愉快」等の「感情」を伴った思考で臨んでしまうと、
往々にしてヒステリックな罵詈雑言の投げ合いに終わりがちです。そんなやり取りは生産的ではありませんし、時間の無駄です。
ですので、今回のようなテーマをめぐるコミュニケーションに「感情」を持ち込むのはやめましょう。
はじめまして (こうしん)
2008-03-12 10:55:47
まだRSSも理解しきれていない初心者ですが、
お邪魔させて頂きます。

松岡さん、ブログ読ませて頂きました。

本当に身になる記事で感謝です。今後色んな意味
で参考にさせていただきます。

私はブログは個人の主観を記事に書く事で立派な
意味合いを持つと思います。

テクニックとしてならば人に共感を訴える技が必
要になるかもしれないですけど、基本的には自分
が感じたことを記事にする、いわば日記的なもの
でも十分だと思います。

ですので、日記に批判することってなんだかおか
しい気がします。批判ではなく、「私はこういう
視点の情報もあります。」というものであるなら
まだいいような気がしますが。

特に松岡さんの記事はその中でも誰かの役にたつ
記事であると思うのです。

色んな方が記事を書いていて、一つ一つ主観でつ
ぶしていったらきりがない気がします。

ここはかの有名な巨大提示版とはちがって、松岡
さんが感じたことを書いていて、それが役にたっ
ている人達がいる。それで十分ではないでしょう
か。

もしひどく不快な思いをしたとしても、松岡さん
のブログを批判するのであるならご自身のブログ
で違った視点で書く方がいい様な気がします。

これは松岡さんのブログに対するコメントだけに
言えることではありませんが。

コメに対する松岡さんのコメも見習うものがあり
ました。


今日は本当に色々な勉強になりました。


長々と大変申し訳ありませんでした。
そして、ありがとうございました。では

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。
 ※ 
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

4 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
[web]ユニークIP数が200とか300ってないも同然なんだ(^^; (趣味と物欲)
ユーザー登録から本日までに日記をつけた日数:831日、毎日更新じゃないけれど、数ヶ月単位で更新しないなんてこともなく、そこそこ書いて来たと思うけれど、その間300超えたことってあったかなあ、ず〜っとないも同然の日しかなかったなあ。 そんな毎日だからよくわかる...
[ブロガーに蔓延する「自分は能力があるのに認められない」病の論理] (Gradation of life)
ブロガーに蔓延する「自分は能力があるのに認められない」病の論理 - すちゃらかな日常 松岡美樹 http://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/1e61b8834ea12a1d1349d6b4ad40099f すごく・・・耳が痛いです。 正論過ぎて困った困った。 それでもすこーし気になったところがあ...
人気者に成れるもんなら成りたいもんだけど。 (きみしよ)
ブロガーに蔓延する「自分は能力があるのに認められない」病の論理 - すちゃらかな日常 松岡美樹を読んで。 リンク先にてblogの新規参入は難しいか?そうでもなくないか?と言った話がでてますので、ネット論が好きな方は是非どうぞ。 blogって腕と自信があるなら即効...
[ネット]自分の能力・実力を冷静に見直してみるべき (明日は明日の風が吹く)
ブロガーに蔓延する「自分は能力があるのに認められない」病の論理 - すちゃらかな日常 松岡美樹(via はてなブックマーク 今日のおすすめ)  同じ知名度なら、面白い記事は読まれ、面白くない記事は読まれない。  同じ面白さなら有名な人の方が読まれる。  これはも...

あわせて読む