軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

白い花と装飾花

2022-06-17 00:00:00 | 日記
 関東甲信地方に梅雨入り宣言が出されたのは6月6日で、昨年より8日早く、平年より1日遅いと報じられた。軽井沢でも雨の日が多くなり、霧もよく出るようになっている。

 梅雨時の花と言えば、一番に思い浮かべるのはアジサイで、フラワーショップの店先には、各種の鉢植えのアジサイがならび、様々な花の色や形を見ているだけでも楽しい。

 朝の散歩コースにもヤマアジサイと思われる植物を見ることができるが、こちらはまだ蕾が固く、開花まではもう少し時間がかかりそうである。


まだ蕾がかたいヤマアジサイ(2022.6.12 撮影)

 一方、ヤマアジサイあるいはガクアジサイに似た白い花が咲き始めている。高さは3-5mほどはある樹に咲いているもので、樹高からするとアジサイの仲間ではないと思うものの、名前は判らない。散歩コース沿いでは、3か所の住宅/別荘の庭にあって、互いによく似た花を付けているので、同じ種と思えるが、写真を撮り原色牧野植物大図鑑(1997年 北隆館発行)で調べてみた。

 妻は、ガマズミの仲間ではないかと言うので、まずその個所を見てみると、よく似た白い花の絵が数種あって、すぐには判別がつかない。ガマズミと似たものには、ミヤマガマズミ、ヤブデマリ、カンボク、ムシカリなどがある。いずれも「すいかずら科」、「ガマズミ属」の種とある。

 手掛かりは、花と葉の形であるが、ガクアジサイに似て、周囲に2-3cmほどの大きさの花があり、中心部には小さな別の花が咲いているので、一様に小さな花を付けるガマズミ、ミヤマガマズミではないとわかる。

 撮影した写真を見ると花びらの数も4枚のものと5枚のものがある。また、4枚と思えたものの花びらの形も、よく見るともう1枚、ごく小さい花びらも見え、実際には5弁花の変形したもので、チョウが翅を開いているように見える。

 こうして調べていき、最終的に3本の樹のうち2本はヤブデマリで、残る1本はカンボクだろうということになった。ヤブデマリは変則的な5弁花で、葉は先端の尖った長楕円形、カンボクの方は大きさのそろった5弁花で、葉は先端が尖って3裂した切れ込みがあるので、判りやすい。

 先ずヤブデマリの写真から。

ヤブデマリ 1/5(2022.6.12 撮影)

ヤブデマリ 2/5(2022.6.12 撮影)

ヤブデマリ 3/5(2022.6.12 撮影)


ヤブデマリ 4/5(2022.6.14 撮影)


ヤブデマリ 5/5(2022.6.12 撮影)

 続いてカンボク。


カンボク 1/3(2022.6.12 撮影)


カンボク 2/3(2022.6.12 撮影)


カンボク 3/3(2022.6.12 撮影)

 図鑑の解説文によると、周辺にある白い2-3cmほどの大きさの花と思えたものは装飾花と呼ばれるもので、めしべやおしべの不完全な無性花で、花弁だけが広がっていて結実することも無い。夏に赤い実を結ぶのは、その内側にある5mmほどの小さな花、両性花、の方だという。

 アジサイのあの美しい花と思えるものが、実は萼(ガク)片であると知ったのはもうずいぶん前のことであるが、今回見たヤブデマリの装飾花とアジサイのガクは同じタイプのものであった。

 アジサイはガクアジサイを品種改良して得られたもので、ガクアジサイの装飾花だけが残り、両性花がなくなってしまったものだという。

 ヤブデマリのきれいな赤い実は、内側の小さな両性花のものであった。

 雲場池の周辺を散歩していると、春先からこちら、何種類かの、白い花を咲かせている木を見かけたが、撮影してあった写真を見てみると、春一番に早く咲き始めたのが「コブシ」で、「アオナシ」、「ズミ」が続いた。

 コブシは軽井沢町の木に指定されている種である。

 アオナシはあまり馴染みのない種である。はじめはズミだと思っていたが、おしべの色が違っていることから、このように判断した。

 ズミの方は咲き始めはピンク色をしているが、完全に開花したころには白くなる。


コブシの白い花(2022.4.27 撮影)


アオナシの花(2022.5.7 撮影)

雲場池に咲き始めたズミ(2020.5.18 撮影)


蕾はピンク色をしているズミの花(2022.5.11 撮影)

ズミの花 1/2(2020.5.18 撮影)


ズミの花 2/2(2020.5.18 撮影)

 雲場池の遊歩道に沿って植えられている「ドウダンツツジ」も春に白い花を付け、同じく遊歩道脇のところどころにある「オニヒョウタンボク」も少し遅れて黄色味のある白い花を咲かせる。

ドウダンツツジの花 1/2(2022.5.11 撮影)


ドウダンツツジの花 2/2(2022.5.8 撮影)


オニヒョウタンボクの花 1/2(2022.5.17 撮影)

オニヒョウタンボクの花 2/2(2022.5.18 撮影)

 オニヒョウタンボクの花の方は高い所についているので、池の水鳥の姿を追いながら歩いていると、その存在に気が付かずに通り過ぎてしまうが、咲くとすぐに足元に落ちてくるので、気が付くことが多い。

 ズミが終わり、少し間を置いて咲いた雲場池周辺のミツバウツギの花にはウスバアゲハ(ウスバシロチョウが)吸蜜に訪れていた。


ミツバウツギの花に吸蜜に訪れたウスバアゲハ(2022.6.2 撮影)


ミツバウツギの花で吸蜜するウスバアゲハ 1/2(2022.6.2 撮影)

ミツバウツギの花で吸蜜するウスバアゲハ 2/2(2022.6.2 撮影)

 これらの花が散り、ウスバアゲハの姿も見られなくなった今、今回紹介したヤブデマリとカンボクが咲き始めているのである。

 そのほかにも、ヤマボウシやエゴノキの白い花が目立つようになり、ホオも白い大きな花をつけている。


ヤマボウシの白い花(2022.6.12 撮影)


エゴノキの白い花 1/2(2022.6.14 撮影)

エゴノキの白い花 2/2(2022.6.14 撮影)


ホオノキ(2022.6.12 撮影)

ホオノキの白く大きい花と蕾(2022.6.14 撮影)

 この季節、朝の時間帯では野鳥の姿もめっきり減って、遠くから時折カッコウの声が聞こえ、キビタキも姿は確認できないが美しい鳴き声を聞かせてくれている。

 水鳥は昨年この場所で繁殖したカルガモ親子など数羽と、北に帰りそびれた1羽のマガモ♂だけになり、とても静かである。その分、周囲の木に咲く白い花に目が向くようになった。






 



 

 

 

 



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