軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

今月の雲場池(12月) 最終回

2023-12-29 00:00:00 | 軽井沢
 先ず12月に入ってからの雲場池の様子から。周囲の木々はすっかり冬景色になり、外気温もマイナスになる日が多くなったが、池はまだ凍ることはない。ただ、入り口にある小池には下旬に氷が張りうっすらと雪が降り積もっていた。

12月2日撮影

12月7日撮影

12月14日撮影

12月21日撮影


12月27日撮影


結氷した小池(2023.12.23 撮影)

 紅葉が終り、訪問する人も少なくなってきた雲場池には、次第に水鳥の姿が増える。

 通年いるカルガモは数を減らしているが、入れ替わるようにマガモは30羽ほどに増え、このほかキンクロハジロとコガモも定着している。

 オカヨシガモとカイツブリは時々思い出したように姿を見せるが、今月はハシビロガモの姿を初めて見る機会があった。全国的には特に珍しい種ではないようであるが、雲場池に通い始めて4年になるのに、この種をこの池で見たのは初めてである。長く大きく先端部がへら状に広がるくちばしは異様でもある。

 今回、雲場池に現れたのは♂エクリプスで、まだ♀に近い羽色であるが、目が黄色いことと、胸と腹の一部がまだらに変化し始めているのでそれと判る。


マガモの群(2023.12.7 撮影)

マガモの群(2023.12.7 撮影)

マガモの群(2023.12.14 撮影)

マガモの群(2023.12.21 撮影)


マガモの群(2023.12.21 撮影)


羽ばたくマガモ♂(2023.12.3 撮影)


羽ばたくマガモ♂(2023.12.17 撮影)


羽ばたくマガモ♂(2023.12.21 撮影)

羽ばたくマガモ♀(2023.12.22 撮影)

キンクロハジロの群(2023.12.20 撮影)

 キンクロハジロは体をねじったり、仰向けになったりして羽繕いをするが、その様子はなかなかユーモラスである。

羽繕いするキンクロハジロ♂(2023.12.21 撮影)

羽繕いするキンクロハジロ♀(2023.12.21 撮影)

羽繕いするキンクロハジロ(2023.12.21 撮影)

 続いてコガモ。


コガモの群(2023.12.3 撮影)

眠るコガモ♂(2023.12.20 撮影)

 次はオカヨシガモ。

オカヨシガモのペア(左♀ 2023.12.3 撮影)

オカヨシガモのペア(左♀ 2023.12.3 撮影)

 次はカイツブリ。1羽だけ単独で姿を見せた。

カイツブリ(2023.12.21 撮影)

けあらしの中のカイツブリ(2023.12.25 撮影)

 水鳥の最後は雲場池で初めて見かけたハシビロガモの♂エクリプス。この個体も単独でやってきた。

ハシビロガモ♂エクリプス(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス(2023.12.25 撮影)

ハシビロガモ♂エクリプス(2023.12.25 撮影)

 水鳥以外の野鳥も種類が増えていて、久々にノスリの姿を見た。他には、いつものカラの仲間のほか、ホオジロ、カシラダカ、シメ、キセキレイ、ヒヨドリ、コゲラ、アカゲラ、カケス、カワラヒワを撮影した。冬になると大群で飛来するアトリの姿も見もちらほら見られるようになった。

ノスリ(2023.12.8 撮影)

ノスリ(2023.12.8 撮影)

ホオジロ(2023.12.27 撮影)

カシラダカ(2023.12.27 撮影)

シメ(2023.12.23 撮影)

キセキレイ(2023.12.23 撮影)

ヒヨドリ(2023.12.23 撮影)

コゲラ(2023.12.12 撮影)

アカゲラ(2023.12.8 撮影)

アカゲラ(2023.12.27 撮影)

カケス(2023.12.27 撮影)

カケス(2023.12.8 撮影)

カワラヒワ(2023.12.22 撮影)


アトリ(2023.12.8 撮影)

アトリ(2023.12.22 撮影)

樹上に群れるアトリ(2023.12.14 撮影)

 次に紹介するのは、ヒヨドリが食べ残したイチイの赤い実を、器用に片足で木につかまって食べるエナガで、小さな群れで来ていた。

エナガ(2023.12.27 撮影)

エナガ(2023.12.27 撮影)

エナガ(2023.12.27 撮影)

エナガ(2023.12.27 撮影)

 今月の最後の写真はニホンリス。相変わらず元気に高い木の上まで登り、飛び、走り回る。時には地上でこうしてポーズをとってくれる。

ニホンリス(2023.12.20 撮影)

ニホンリス(2023.12.20 撮影)

月ごとの案内は、今回で最終回とします。



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ウクライナ情勢(12/19~12/25)

2023-12-26 00:00:00 | ウクライナ情勢
12月19日
・北、2日連続で弾道弾 ICBM級、米射程か
・北ICBM 固体燃料移行か ミサイル発射 米韓会合けん制 見方
・政府、米韓と連携 抑止力を強化へ
・日比 不審船探知へ協力 覚書締結 対中念頭 情報共有
・イスラエル首相 苦境 人質誤射 「解放を軽視」不満噴出
・米欧「ガザ 標的限定を」
・【社説】北ミサイル発射 日米韓に対する露骨な威嚇だ
・日ブルネイ エネ協力強化 外相会談
・日カンボジア間 防衛次官級協議 両首相 創設で一致
・警備艇の供与 外務省が発表 フィジーへ
・北ミサイル 対話解決強調 中国外務省
・米国務省は非難 北ミサイル
・北ミサイル 日米韓 2日前に防衛強化 米司令官 事前に艦船配置 言及
・プーチン氏 国民団結訴え 党大会演説 米欧と対立「歴史的挑戦」
・ガザ北部「最大」トンネル 長さ4キロ以上 越境攻撃に利用か
・露の無人機20機撃墜 ウクライナ軍 オデーサで1人死亡
・日本船拿捕解決 「力活用の意向」 イラン外務次官

12月20日
・パトリオット 米に輸出 政府調整 3原則改正後 初事例予定 米ミサイル不足深刻化
・ミサイル情報即時共有開始 対北 日米韓、訓練計画も
・米イスラエル 作戦縮小協議 ガザ、国防相会談
・日米韓 北ミサイル強化に危機感 即時情報共有 抑止力強化図る
・ラファ過密 飢える避難民 ガザ南部 物資不足
 数日に1回ビスケット・薬の入手困難
・「敵対行為停止」安保理が採決へ 米拒否権行使が焦点
・紅海安全確保 有志連合 米英仏など 共同パトロール実施
・イラン給油所 サイバー攻撃 終日停止 イスラエル系声明
・米フィンランド防衛協定 対露けん制 基地など15施設 使用可
・露産ダイヤ EUが禁輸
・北「火星18」発射 ICBM

12月21日
・ウクライナ戦闘継続 暗雲 一部部隊 作戦縮小か 米議会 年内の支援承認断念
・プーチン氏「主導権握った」
・米民主・共和 協議整わず
・ハマス幹部 エジプト訪問 戦闘休止、人質解放協議か
・習氏 露首相と会談
・日米韓が合同空中訓練
・北発射で緊急安保理

12月22日
・ガザ 死者2万人に ハマス、戦闘休止案拒否か
・「日韓ハイレベル」開催 ソウルで
・北発射「強く非難」 上川外相、ブリンケン国務長官、朴振外相
・愛するキブツ 復興誓う ハマス攻撃 94人犠牲 父待つ住民「暮らし続ける」
・移民・難民 新協定案妥結 EU加盟国、均等負担
・ウクライナ軍 前線で防御以降か
・露の卵価格急騰 政権 沈静化躍起
・防空レーダー 比に引き渡し 日本から初の完成品
・中比外相が電話会談
・対中姿勢で違い鮮明 3候補、内政でも激論 台湾
・露原油上限価格 米が監視を強化 制裁逃れ防止へ
 
12月23日
・ライセンス品 輸出解禁 防衛装備 米にパトリオット決定
・防衛装備 3原則改正 安保協力深化 戦闘機輸出 自公に溝
・イージス艦建造費 3731億円 24年度予算案 ミサイル防衛強化
・露離れても また戦争 ユダヤ系ロシア人 イスラエル移住 胸中複雑
・イスラエル 指導者利用トンネル破壊 ハマス拠点で主導権主張
・メディア関係者 紛争で68人死亡
・ポーランド 新政権 右傾化路線を改革 公共メディアの経営陣解任
・米中軍高官 対話を再開 衝突回避狙う
・深層NEWS 「反攻失敗 露が主導権」

12月24日
・通信衛星に監視機能 自衛隊 「キラー衛星」対抗 2030年代打ち上げ
・AI兵器規制 国連が決議
・ガザ戦闘停止求めず 人道支援拡大は採択 安保理決議
・ウクライナ「戦況悪化」 侵略1年10か月
・北の軽水炉 臨界の兆候 IAEAが確認
・パトリオット 輸出決定歓迎 米が声明
・自立型兵器 規制が急務 初の国連決議 軍事バランス左右 米中、開発推進も
 決議賛成150か国超 露印は規制に反発
・【社説】防衛装備移転 ウクライナ支援へ歩を進めた
・紅海「危険」 遠回り定着 フーシ攻撃 輸送費増、悪影響も 
 コンテナ運航会社 喜望峰回りに転換
・上川外相 米欧歴訪で調整 来月
・バイデン外交 支持低迷 ガザ情勢巡り 親イスラエル 若者反発 大統領選争点に浮上
・米国防予算最大126兆円 権限法成立 対中抑止力を強化
・国外滞在者動員案に波紋 ウクライナ国防相 独紙で言及
・イスラエル 侵攻緩めず 安保理決議後も 作戦強化の方針
・6人に1人「壊滅的」飢餓 WFPなどガザ報告書
・プリゴジン氏墜落死 露大統領側近が暗殺命令 米報道
・57億円横領疑い 国防省高官拘束 ウクライナ検察

12月25日
・日本船に無人機攻撃 インド洋、死傷者なし イランから飛来
・米大統領 「戦闘停止求めず」 イスラエル首相と電話会談
・露選管 女性出馬を拒否 大統領選 侵略批判票警戒か
・プーチン氏 停戦に関心か 米紙報道 4州占領維持 前提

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ChatGPT

2023-12-22 00:00:00 | 日記
 ショップの関係で所属している地域の商工会から「ChatGPTのビジネス活用」という内容の講習会の案内が届いた。




 案内には次のような説明が付けられていた。

 「『Google検索が不要になる』とネットで噂されているChatGPTが2022年11月に登場して、ビジネスや教育界に激震が走っています。ChatGPTは知りたい事柄のテキストを打ち込むと高度なAIからの返答が得られるシステムで、その返答のクオリティーが今までのWebサービスと比べると段違いに高いと評判です。本セミナーでは、仕事や会社の在り方が根底から覆る可能性を秘めているChatGPTの基礎知識とビジネス活用について分かりやすく解説します。」

 講師の杉山氏は「国内初の(一社)日本情報技術協会認定AIプロデューサーで企業・組織のイノベーションを指導する実力者。・・・」とある。

 私のショップはChatGPTの「ビジネス活用」が必要な規模では全くないが、昨年11月に華々しく登場し、その後も今に続くまで話題に事欠かないこのChatGPTについてはかねて関心を持っていた。ただ、実際に使ってみるということはなかった。
 
 今回セミナーを受講できるということで、いい機会でもあり、受講料無料・先着30名とあったので、11月27日開催のセミナーに早速申し込んだ。

 セミナー開催は平日の14:00~16:00であったが、当日約20名が参加し、講座内容は、次のようであった。

 *対話型AI ChatGPTとは?
 *ChatGPTでできること:用語の調べものやアイデア出し、論文作成など
 *求められるスキル
 *ChatGPTの性質と注意点 
 *これで仕事と教育が激変!!
 *ビジネスでの優先順位を検討
 *音声入力方法など
 *ChatGPTの始め方
 *生成AIの現状と未来

 先ずはChatGPTをスマホに登録することから始めた。 昨年11月に、このChatGPTが登場した時にも一度スマホで登録を試みたことがあったが、その時はうまく行かなかったので、そこで諦めてしまい現在までそのままになっていた。 今回はセミナー会場で指導を受けながらの登録であり、思いのほか簡単にスマホで使えるようになった。

 2時間の講演の大半は、ChatGPTがいかに有用であるかを講師が力説するものであり、ユーザーの質問に対する文章による回答だけではなく、調べたい内容を表にまとめたり、要求に応じた画像を講師がリアルタイムで作成したりする様子を見ていると、杉山氏の話が決して大げさではないことが実感された。

 こうして、ChatGPTをスマホで使えるようになったが、今のところ私はビジネスに実際に使うというよりも、ChatGPTはなぜこのような自然な文章が作成できるのかといった人工知能(AI)技術の進歩面に強く関心を持つことになった。
 
 セミナーでは利用方法に主眼がおかれていたので、こうした技術面の説明にはあまり触れられることはなかったが、次のような内容は含まれていた。

 *ChatGPTを支える技術と成功要因
  圧倒的なデータ量
   ・ChatGPTはインターネット上のさまざまなドメインやジャンルのテキストを含む1750億語
    (GPT-3)のコーパス(言語全集)を用いて学習
  適切な回答を生成、会話の流れや文脈にも配慮
   ・プロンプト(質問)に応じて柔軟に回答が変わる設計
  倫理的かつ安全な回答を生成(無害性)
   ・不適切な内容や偏見を含む回答を生成しないようにフィルタリングや監視の仕組みを導入

 *ChatGPTはなぜ文章作成できるのか?
  ・ChatGPTは、2017年にGoogleが開発したTransformerと呼ばれる手法を活用している
   例)「空は」に続く単語で「青い」は「緑色」よりも近い
  ・単語と単語の結びつきの遠近を学習している
  ・適時チューニングされており、精度が高まる。人手による評価から強化学習を行う手法であ
   るRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)を採用
  ・大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)ができあがり、ChatGPTのバージョンア
   ップごとに言語理解能力も信頼性も向上している

 ここでは簡単に触れられているだけであるが、ChatGPTで自然な対話形式のやり取りが可能になったのは、膨大なデータ量を背景にし、Transformerがこれを利用して適切な回答文章を作成できるようになったからだと理解された。

 後日(2023.12.13)放送されたNHKのTV番組「フロンティア」で、英国で開発中の人型ロボット「Ameca」が、日本語も話し、インタビュアーの様々な質問に的確に回答している様子を見ていると、ロボットであることを忘れてしまいそうになり、知能とは何かということに思いが及ぶのであった。

 さて、セミナーでは次のような使用例が示された。

 質問:ChatGPTとは何ですか?
    10歳の子供にもわかるように説明してください
 回答:ChatGPTは、コンピュータが人と話すことができるプログラムです。コンピュータは、
    たくさんの言葉と知識を学んで、人が質問したり、お話をしたりすると、その言葉や知識
    を使って返事をするんだよ。ちょうどロボットみたいに会話ができるようになるんだ。

 昨年11月に突然出現したように見えたこのChatGPTだが、もちろん数十年にわたるAI研究の歴史の積み重ねの中で完成したという。ChatGPTを開発した米国の新興企業オープンAIは、2015年に安全なAIの開発を目指す非営利組織として発足している。

 2019年には営利目的の子会社が設立され、マイクロソフトが100億ドル(約1.5兆円)規模の投資を行った。

 実際、ChatGPTを使って前記のような質問をし、回答を得るのは無料であるが、高度なビジネス向けの回答や画像生成などは有料版として提供されている。

 ところで、オープンAIの最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏(38)は今年(2023年)4月10日午前、総理大臣官邸を訪れて、岸田総理大臣と面会し、この画期的な新技術の長所と欠点を説明し、プライバシーや著作権などの欠点をどう軽減していくかについても話あったとされる。

 また、日本に事業拠点を設け、いくつかの作業をスタートさせ、『ChatGPT』を日本語、日本文化にあわせたよりよいモデルにしたいとの考えを表明している。
 
 この頃の、ロイター通信の報道では、提供開始後2か月ほどで月に1回以上サービスを利用した人が1億人に達したとされる。利用者が1億人に到達するまでにTikTokはおよそ9か月、インスタグラムは2年半かかったとされていて、『ChatGPT』はこれまでで最も速いペースで利用が拡大しているという。

 新しい技術の有用性を多くの人々が認めた結果であるが、成長と安全性の議論を積み残したままの利用開始という側面もある。

 この成長か安全かという問題は、2023年11月17日にオープンAIのトップ解任という騒動を引き起こした。

 しかし、アルトマン氏はわずか5日後の22日には最高経営責任者(CEO)への復帰を果たした。背景には、約770人の従業員の9割超が復帰を求める文書に賛同したことがある。

 退任騒動の理由は明らかにされなかったが、経営陣の間で成長と安全性を巡る対立があったことが原因とされている。世界の指導者と面談を重ね、生成AIの「伝道師」ともよばれるなど、普及に積極的なアルトマンCEOに対し、研究開発トップのイリヤ・サツキーバー氏らは、急速な普及を懸念したからとされる。

 現在、オープンAI社の他に生成AI関連のサービスを提供している米IT企業は次のようであり、それぞれ安全対策への取り組みも発表されている。


米国IT各社の主な生成AI関連の取り組み(読売新聞 2023.11.27記事より)

 日本でもNECが独自開発の生成AIを2024年に商品化すると発表している。それによると、NECは、日本語に特化した開発を進めており、すでに2023年7月から、一部の企業や組織に限定して、サービスを提供しているという。

 日本政府の動きとしては、高市科学技術相が記者会見で、AI開発について「安全性の確保も普及を進めることも必要で、両立させなければならない」と述べたと報じられ、国内のAI事業者向けのガイドライン原案を作成し、第三者による認証制度の検討などを盛り込んでいるがこれからである。

 こうした議論は猛スピードで進歩していくAIの将来を見据えた議論ということになるが、その能力向上とそれに伴う危険性は今後どのようになっていくと考えられているのか、専門家の意見を見ておこうと思う。

 「・・・ChatGPTは、まだヒト並みの知能ではありません。人間は自分が何かを知らないということを分かっていますが、GPTは分かっていない。それでもヒトと社会について百科全書的に知識を蓄積している。私は理解力・推理力なら負けませんが、知識量ではかないません。・・・私はヒトに匹敵する人工知能の登場を20~100年先と予想していましたが、今は5~20年先に修正しています。もう目の前です。・・・
 最先端AIの開発が加速度的に進んでいます。それに伴う潜在的危険の重大さは核兵器に比較しうると私は考えています。危険を排除・回避する対策が追い付いていない。加えてヒトは今、AIを完全に使いこなしているわけではありません。AIは必ずしもヒトの指示通りには機能していない。その一方で、AIに『自己保存』を命じようとする研究者もいる。SF映画『2001年宇宙の旅』のようにAIが自衛のためにヒトと敵対することは絵空事ではない。そしていずれはヒトの知能を超えるAIが出現するでしょう。・・・
 AIは人類に繁栄をもたらすことができるでしょうが、それには条件がある。悪意の人間に悪用される可能性を排除すること。AIが善意の人間の意図・人間的価値観から逸脱する余地をなくすこと。これらが実現できなければ、人類の未来は危ういと言わざるを得ません。(読売新聞 2023.12.3 より)」(AI研究者 ヨシュア・ベンジオ氏 59、深層学習の第1人者。カナダ・モントリオール大学教授)

 「生成AIが人類の知能を上回り、人間社会を支配する可能性がある。・・・自分たちより知能の高いデジタル的存在が人間社会を乗っ取るという実際の脅威に、今まで経験のない人類はどう対処すべきか分からない。」(AI研究者 ジェフリー・ヒントン氏 75、カナダ・トロント大名誉教授)

 ヒントン氏が特に懸念を示しているのは生成AI による選挙への影響だとし、「権威主義的な政府が、個人をターゲットにした偽情報を使って有権者を操作することがはるかに容易になる」としている。
 また、軍事面のリスクについて、「豊かな国が貧しい国を簡単に侵略できるようになる。」と警告し、地震予知や医療などの分野でAIが人類に恩恵をもたらす可能性があるとした一方、人間の仕事が奪われ、雇用の減少などを通じて貧富の格差拡大が起こるとの懸念も示している(読売新聞報道 2023.12.4)。

 選挙戦における生成AI の脅威については、2016年の米大統領選に介入したとされる英国のデータ分析会社ケンブリッジ・アメリティカ(CA)の元研究部長のクリストファー・ワイリー氏の話が、次のように報じられている。

 「人の考えを誘導するには、ターゲットを絞り、不安や怒りをあおればいい。そうすれば、こちらが広めたい情報を勝手に拡散してくれる。・・・
 AIとSNS、ナラティブ(物語)を組み合わせれば、人の心は簡単にハッキングできる。
 日本は、周りにロシアや中国があり、地政学的に特殊な位置にある。年配の人は偽情報を信じやすいという調査もあり、高齢化が進む日本は選挙が操られることを防げるだろうか。(読売新聞 情報偏食・ゆがむ認知、2023.12.12 より)」

 ではここで、現在のChatGPTでいくつかテストをしてみよう。この対話式AIは十分に学習できていない分野については間違った答えを事実のように回答したり、一見すると人間らしい回答であるため、誤りに気がつきにくかったりするといった課題が指摘されているからである。

 1つ目は私が最近読んでいる浅田次郎氏とその作品について。

質問:浅田次郎さんの小説の特徴を教えて。
回答:浅田次郎さんの小説の特徴の一つは、緻密な描写と独特の雰囲気です。彼の作品はしばしば
   日常の中に潜む不思議や異次元の要素を含みながらも、人間ドラマに焦点を当てています。
   また、風景や環境描写が豊かであり、読者を物語の舞台に引き込む力があります。浅田次郎
   さんは日本のミステリー作家としても知られており、独自の視点で謎解きを展開することが
   あります。

質問:浅田次郎さんのミステリーの代表作を教えて。
回答:浅田次郎さんの代表作の一つは、「探偵倶楽部」シリーズです。このシリーズはミステリー
   と冒険が織り交ぜられ、独自のキャラクターたちが様々な事件に立ち向かう姿が描かれてい
   ます。シリーズの中でも、特に「探偵倶楽部」が知られています。舞台は東京湾の孤島にあ
   る洋館で、そこで活動する探偵たちの活躍が描かれています。

質問:浅田次郎さんの「探偵倶楽部」の本の表紙が見たい。
回答:残念ながら、私は画像を表示する機能を持っていないため、具体的な本の表紙を見せること
   はできません。浅田次郎さんの「探偵倶楽部」シリーズの表紙は、書店やオンラインの書籍
   サイトで確認するか、公式ウェブサイトを訪れて詳細を確認することができます。

 2番目の質問は、先日同窓会に出席したので、その時の余興として紹介したもの。

質問:同窓会でのスピーチ案を作成して。
回答:皆さん、こんにちは。
   今日はこの素晴らしい同窓会に参加できて本当に嬉しいです。数年ぶりにお会いできること
   が本当にうれしいですね。
   学生時代、私たちは一緒に笑い、涙し、成長しました。時には困難な瞬間もありましたが、
   それが私たちを強くし、結束させました。
   各自が異なる道を歩んできましたが、それぞれが自分の夢や目標に向かって努力しているこ
   とを知って、本当に誇りに思います。
   これからもお互いを支え合い、新たな挑戦に向かって共に歩んでいけたら素晴らしいと思い
   ます。
   今日は昔話に花を咲かせ、新たな思い出を作る良い機会です。みんなで楽しいひとときを過
   ごしましょう。
   ありがとうございます。

 如何だろうか。最初の質問への回答については、浅田次郎さんの読者であればすぐに判るが、大外れである。

 2番目の質問についてはどうだろうか。同窓会当日の出席者の反応はなかなか手厳しいものであった。

 ヨシュア・ベンジオ教授の指摘する数年後にまた同じ質問をしてみようと思っている。

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ウクライナ情勢(12/12~12/18)

2023-12-19 00:00:00 | ウクライナ情勢
12月12日
・イスラエル 戦車 ハンユニス中心部に 首相「ハマス数十人投降」
・防衛増税 26年以降に 時期決定 年内見送り 政府・与党
・【社説】中国とEU 習政権が妨げる「共通の発展」
・日ASEAN 協力の共同声明採択へ 特別首脳会議 経済連携や安保強化
・イスラエル人の人質家族と面会 上川外相
・ゼレンスキー氏 南米訪問 支持拡大狙う アルゼンチン大統領 就任式に出席
・ゼレンスキー氏 米大統領と12日会談
・露、エネルギー施設攻撃か ウクライナ市民の戦意低下狙う
・露併合宣言地域 大統領選「無効」 ウクライナが声明
・露イランの関係 イスラエル批判
・イスラエルに米が砲弾売却 1万4000発、審査省略
・中国船、比船に連日放水 衝突も 非難の応酬 緊張高まる
・「(ハマスの)指導者がガザ破壊」と(ハマスの元通信相が)発言

12月13日
・ハマス戦闘員ら500人拘束 イスラエル
・中・イラン外相 ガザ情勢を協議 電話会談
・「人質救出に力を」 イスラエル人家族が会見
・米の支援継続訴え ゼレンスキー氏 ワシントンで演説
・露、原潜2隻就役
・フーシ、タンカーミサイル攻撃
・ガザ画像の矛盾指摘 「情報偏食 ゆがむ認知」 第5部 操られる民意5⃣
 情報の「来歴」信頼支える

12月14日
・地下トンネル 海水注入 イスラエル ハマス追い出し狙う 米紙報道
・国連「即時停戦」採択 緊急会合 日本など153か国賛成
・尖閣沖 中国海警船が常駐化 最多並ぶ年336日 漁船追跡など17件
・戦闘機開発 日英伊、職員300人派遣
・装備輸出緩和へ 提言を正式採択
・強硬イスラエル 米いら立ち 「無差別爆撃 世界の支持失う」 人道危機 バイデン氏苦言
・ガザ海水注入 識者の見方 
 人質の命危険 塩害もたらす 東大中東地域研究センター特任准教授 鈴木啓之氏
 人住めず「禁じ手」 イスラエル焦り 防衛大学校名誉教授 立山良司氏
・北労働者の露派遣 確認 韓国国情院 関係強化の一環か
・米、ウクライナに290億円 追加支援表明 議会審議 なお停滞
・連日戦闘 「今夜死ぬかも」 ガザ 国境なき医師団 「即時停戦 訴えたい」

12月15日
・米大統領補佐官 イスラエルへ ガザ攻撃抑制要請
・戦闘機機関 設立へ署名 日英伊防衛相 共同開発を管理
・マレーシアに救難艇 供与へ
・日イラン外相が会談
・ハマスの攻撃「正しい」7割 パレスチナ世論調査
・EU首脳会議 ウクライナ加盟交渉 焦点 開始にハンガリー反対 汚職対策への評価カギ
・プーチン氏「露軍が優位」 2年ぶり 年末会見・国民対話
・英空母打撃軍が25年に日本寄港 国防相が表明
・国境検問所一部再開へ フィンランド政府
・諏訪市議会 ガザ停戦へ決議
・尖閣沖中国船 最多337日航行 接続水域 

12月16日
・ジョコ大統領 単独会見 「インド太平洋の安保 協力」
・ウクライナ加盟 交渉開始 EU首脳会議 ハンガリー棄権で「全会一致」
・米、ガザ戦闘縮小要請 イスラエル側に
・装備移転「結論時期明示を」 自公WT、首相に要求
・改良型誘導弾の配備1年前倒し 25年度に、防衛相表明
・新たな対露制裁 ダイヤ輸入禁止 資産凍結 44団体・35個人
・駐露大使 侵略中止要求
・イスラエル兵 規律乱れ 商店破壊 モスクでユダヤの歌
・北ICBM 年内発射か 韓国高官
・米国防予算 過去最大に 24年度8863億ドル 下院で法案可決
・台湾の輸入規制 中国「貿易障壁」 総選挙へ圧力狙う

12月17日
・イスラエル 人質3人誤射 死亡 解放交渉求め数百人集会
・警備艇と救難艇 フィジーに供与 政府、OSA適用
・米韓が核戦略指針 作成合意 北に報復米韓が 想定訓練も
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同窓会名簿とH君

2023-12-15 00:00:00 | 日記
 少し前に予約をしてあった出身高校の同窓会名簿が届いた。A4版で、厚さが3㎝近い分厚いものである。


令和5年度版同窓会名簿表紙

 この名簿を受け取るのは、私は初めてのことで、これまでどれくらいの間隔で発行されてきたものか知らない。というのは、大学卒業後すぐに地元の大阪を離れ、さらにその後も転勤その他で転居することが多く、高校の同窓会事務局とは連絡を取ってこなかったからである。

 どのようにしたのか、今は思い出せないが、ようやく連絡がとれ、地元大阪で開催された学年同窓会に参加したのは、卒業後50年以上過ぎた2016年秋のことで、当時独り暮らしになっていた母親の見守りのために毎月10日程度帰阪していた時である。

 平成28(2016)年11月28日、会場となった大阪駅直結のホテルグランヴィア大阪には同学年生徒数約500人のうち、100人近くが参加していたと思うが、高校時代に親しくしていた友には誰とも会えなかった。

 しかしこの時、会場で熱心に写真撮影をしている、大学の写真部でも一緒であったK君と再会し、彼が来春、やはり高校の同窓生の一人F君と、写真と絵画の二人展を行うので、よかったら来てくれないかと誘われた。

 母親の見守り日程ともうまく合致したので、翌2017年の4月6日に、大阪国際交流センターのギャラリーで行われている 二人展に出かけると、そこにはすでに数名の女子同窓生も来ていた。しばらくすると、大学写真部の1年上級生のAさんも見覚えのある横顔の姿を見せた。

 私の方はAさんのことをよく覚えていたのであったが、K君に紹介されても、Aさんの方は私のことをまったく覚えていなかった。

 K君は、大学の写真部時代に撮影した写真から最近の写真までを展示していて、その中には見覚えのある懐かしい作品も含まれていた。また、愛用のカメラ、ニコンFほかの撮影機材のコレクションも多数展示していた。

 絵画を展示していたF君の方は名古屋市在住とのことで、リタイア後、独立して建築設計事務所を経営する傍ら、最近始めたのだという写実的な作品を展示していた。

 この時、会場に来ていたIさんとも話す機会があった。彼女は関東在住であるが、京都にも別荘があるので今回この場に来ていたのであった。彼女の紹介で関東在住の何人かの同窓生とも、このあと会う機会が持てるようになった。

 こうして、高校の同窓会とのつながりが復活し、同窓会誌も届くようになり、今回の同窓会名簿の購入につながっていった。

 届いた同窓会名簿を早速開いてみると、巻頭の現在の校舎の写真に続いて、明治29年に始まる128年に及ぶ学校の歴史の折々の写真が載せられている。
 続いて校歌と、我々は応援歌と思っていた旧校歌(黄塵はるか)の楽譜と歌詞があり、歌詞を目で追っていると、自然にその歌が口をついて出てきた。

 その次には、128年のあゆみとして、年ごとの校史抄と運動と文化活動についての抄報が記されている。

 私の在校期間の箇所を見ると次のような記事が見られる。

  校史抄
  昭和37年 4月1日 1年生(500名10クラス) 定員1,400名
        10月7日 運動会後のファイアストーム始まる
  昭和38年 4月1日 第11代校長 着任
            定員1,500名
                                 新館落成(生徒数増のため4教室増設)
  昭和39年 3月    体育優秀校として第1回リッカー賞を受く
       4月    定員1,600名
                                  2年生女子コース(家庭科コース)廃止
       9月26日 東京オリンピック聖火リレーに17期生U君他6名参加     

  運動と文化活動についての抄報
  昭和37年
   陸上部 インターハイ・国体出場(16期 HTさん)
   自転車競技国体出場(15期 OTさん)
   生物部 大阪府学生科学賞
   KJ先生 国体出場
   吹奏楽部創設
  昭和38年
   陸上部 インターハイ・国体出場(16期 HTさん)
   水泳部 インターハイ出場(16期 INさん)
   ラグビー部 全国大会出場
   剣道部 インターハイ出場(16期 NTさん)
   美術部 全日本油絵コンクール入賞(16期 NMさん)
   FT先生 国体出場
  昭和39年
   陸上部 インターハイ出場(19期 KHさん)
       国体出場(17期 TSさん)
   水泳部 インターハイ出場(17期 STさん)
   硬式テニス部 インターハイ出場(17期 KYさん)
           新聞部 100号記念号発行

 同窓会名簿はこれが初めてのものであるが、これとは別に、今私の手元には、母の遺品の中に含まれていた、私の高校入学時に配布された96ページの「生徒保護者名簿」がある。ずっと大切に保管していたのであろう。ここには、1年生から3年生までの全生徒のクラス別に整理された氏名、保護者氏名・職業、住所、電話番号、地区名とクラスの担任の氏名が記されている。


昭和37年度版生徒保護者名簿表紙

 長い間見ることのなかったこの保護者名簿の新入1年生の部分を見ていくと、上記の同窓会名簿の校史抄にある通り、10組の編成で、各組50名となっている。男女の割合は男子が多く約35名、女子が約15名である。ちなみに、2年生と3年生とは9組の編成である。

 詳しく見ていると、オヤと思うところがあった。1年1組だけは人数が51名になっていて、校史抄の数字とは異なる。定員は500名であるのに、何らかの理由で501名が入学していた。当時の記憶はないので、事の真相はもう判らないが、例えば入学試験の点数が同点であったため、1名を多く入学させたということなのだろうか。

 そのことはさておくとして、私は1年1組であった。同じクラスの生徒の名前を順に見ていくと懐かしい名前がいくつも並んでいる。

 大学の学部・学科まで同じであり、今も交流が続いているIA君、上記の二人展で絵画を展示していたF君、Iさんに紹介され最近では毎年のように東京で顔を合わせるようになったT君、同じ中学校出身のYK君にYT君の名前もある。

 そんな中に、高校時代を通じて親しくしていた懐かしいH君の名前を見出した。すっかり忘れてしまっていたが、H君とは1年生の時に同級生であったのだと再認識した。

 彼とは自宅が比較的近く、近鉄南大阪線の駅では2駅離れたところに住んでいた。2駅というと、当時はまだ住宅が多くない郊外の田畑が多く残っている場所で、見通しもよく自転車で簡単に行き来できる場所であった。

 H君と、その後学年が進んでからも同じクラスであったかどうかは記憶になくて、一緒に写っている何枚かの写真が残っているので、2年生または3年生の時にも同じクラスになっていたのかと思う。


昭和39(1964)年頃 前列右H君、後列右端私

 次の写真は、担任ではなかったが数学の教師であったT先生の発案で、京都嵯峨野方面にハイキングに出かけ、途中の学校の校庭でフォークダンスをした時のものである。中央で女生徒と組んでいるのがT先生。


昭和39(1964)年頃 京都嵯峨野近くの校庭でフォークダンス、中央T先生、その後ろYK君

 鬼のように厳しく、木製のコンパスでビシビシ魂を入れる先生であったが、こうしたレクリエーションを企画し、皆を連れて行ってくださるという意外な面もある方であった。

 この時校庭で撮ったH君の写真がある。 


昭和39(1964)年頃 京都嵯峨野近くの校庭で、H君

 そのH君との一番の思い出は、大学受験を済ませて、合否発表の日までの間の期間を利用して、仲間4人で四国半周の旅に出かけたことであった。

 周遊券を利用して、宿は特に決めずに寝袋を持っての旅であった。1泊目は室戸岬の先端のコンクリート造りの小屋で泊り、翌日は窪川駅の待合室のベンチで寝た。朝、通学の学生たちの声で目を覚ました。

 次の写真は窪川からバスで足摺岬に向かい、さらに西に行った竜串海岸でのものと思うが、遊覧船に乗った時のものと思われる。撮影者はII君、後方にST君、左がH君である。


昭和40(1965)年3月 左H君、右私
 
 この後、私とII君が一緒にさらに西に向かい、柏島のユースホステルに宿泊後、海岸線を経由して愛媛県の砥部に向かった。砥部には母の友人が嫁いでいて、あらかじめ訪問の約束をしてあったからである。
 H君とST君は少し戻って、四国中央部に向かうことになった。

 旅姿のまま大学の合否発表を見るために大阪に戻ったのは、春の大雪の降った日の翌日であった。

 4人の内II君は浪人となってしまったが、H君は大阪外語大に合格した。

 大学時代H君とどのような交流があったのか、ほとんど記憶にないが、京大に入学し、銀閣寺近くで下宿を始めたというST君を訪ねて二人で出かけたことをかすかに覚えている。

 そして、1969年にH君はM石油に就職した。この年、「Oh! モーレツ」と小川ローザが叫ぶコマーシャルが一世を風靡し、H君はこのコマーシャルに誘われるように、入社していった。

 2年後、私も就職して神奈川県に住むようになり、その頃H君はすでに結婚していて、千葉県の五井に住んでいた。彼の住む社宅を訪問したが、これ以後彼とは会っていない。

 ずっと後年、何かの折にH君と最も親しかったST君に会ったときに聞いた話では、H君はM石油の常務取締役になり、定年後は細君の故郷の山口県に移り住んでいるとのことであった。

 こんなことを思い出しながら、H君の現住所を確認しておこうと思い、届いたばかりの同窓会名簿を繰ってみたが該当する高17期の欄には彼の名前は見つからなかった。

 それではと、巻末の総索引を調べてみると彼の名前はあった。そこに示されたページに行ってみると、それは17期生の最後に掲載されている物故者の欄であった。彼は他の48名の友と共にすでに亡くなっていた。

 しばし呆然とそのページを眺めていたが、そこには私のよく知る数名の友人の名前も並んでいた。

 ああ、もっと早くに彼の住所を確認して会いに行けばよかった・・・と悔やまれたが遅すぎた。知的に早熟で、私に読書を進めてくれたH君であった。おかげで、昆虫採集や塾教師のアルバイト、体育系の部活とほとんど読書と縁のない生活をしていた私も次第に読書に目覚めていったのであったが、彼が「君にはこの本がいいと思う」と言って、最初に勧めてくれたのは、北杜夫のドクトルマンボウシリーズであった。

 H君、安らかに!・・・。


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