軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

今年最後の満月

2022-12-23 00:00:00 | 天体
 今年11月8日、皆既月食と天王星食が同時に起きるという珍しい現象を撮影したが、これに触発されて普段はほとんど気にすることがなかった太陽と月の動きに関心を持つようになった。

 私よりよほどこうした天体の運動について詳しい妻に聞いてみると、日の出と日の入りの時刻には、ちょっと面白い現象があるという。

 すなわち、日の出が一番遅くなる日、日の入りが一番早くなる日は冬至その日ではなく、それぞれ約半月ほどずれるのだという。冬至は昼の長さが一番短い日だと理解していたので、日の出が一番遅くなり、日の入りが一番早くなる結果そのようになると思い込んでいたのであったが、調べてみると確かに違っていた。

 こうした天体の運動についての詳しい情報は、国立天文台や海上保安庁のホームページに出ているので、一年間を通じての日本各地での日の出時刻・日の入り時刻とその方位を知ることができる。これをみると、確かに長野市の場合日の出が一番遅くなるのは年を越して2023年1月6日頃で7:00時であり、日の入りが一番早くなるのは12月7日頃の16:31時と、冬至の12月22日ではないことが分かる。

 なぜこうしたことが起きるのかについては、意外に難解で容易には言い表せないようなので、ここでは深く追求しないことにする。

 ところで、こうした資料の中には、月についての情報もあり、やはり月の出没する時刻や方位角が地点ごとに示されている。

 当地軽井沢ではどうなっているのかと調べてみると、軽井沢そのものではないが、長野市のデータがあり、11月8日の皆既月食の次の今年最後の満月は12月8日から9日にかけてであり、この時月の没する方位角は302-304度であることが判った。

 地図上で自宅から300度付近の方位を見ると、ちょうど浅間山の方角と一致している。皆既月食を観察してから数日たった日の朝、近くの浅間山を見通せる場所に行ってみると、少し欠け始めたレモン月が浅間山の左斜め上方に見えた。

 そこで、12月9日の満月の日の早朝、浅間山山頂に沈んでいく月の撮影ができるかもしれないと思い立ち計画を練った。撮影場所はとりあえず自宅周辺とし、9日は月没時刻が7時44分、日の出の時刻が6時48分であることを確認してその日を待つことにした。

 予定していた日の前日12月8日早朝に撮影地点に下見に出かけてみた。日の出時刻は6時46分とほとんど翌日の予定日と同じであるが、月没時刻は6時45分と約1時間ほど早く、日の出とほぼ同時刻である。

 早めに出かけたので、まだ暗い空に月が輝いていて、浅間山は暗く沈んでいる。しばらくして、月が没していったのは資料情報よりも50分以上も早い5時52分頃のことで、日の出前であった。それも浅間山ではなく左側にある離れ山の斜面下方に消えていった。

 この差は、情報が長野市のものであったことと、軽井沢の撮影地点が950mの高地にあること、そして月没がさらに高い山の陰であることなどによるものと思われるが、明日の本番の撮影に向けての参考になった。また明日の月没の方位は、2度ほど北に移動するので浅間山にかかる可能性がある。

 当日、先月の皆既月食撮影の時と同様、超望遠レンズを装着したカメラとタイムラプス撮影ができるビデオカメラとを用意して撮影に臨んだ。幸い天候に恵まれ、以下のような撮影ができた。

 撮影地点に着いてからしばらくの間はまだ日の出前の暗い空に満月が輝いていて、次のようであった。


今年最後の満月(2022.12.9, 6:31a.m. 撮影)

 次に、日の出時刻を挟んで、満月が浅間山に沈んでいく様子をタイムラプス撮影したところを見ていただく。場所は浅間山の頂上ではなかったが、山麓の斜面に消えていく様子が撮影できた。後半、日の出と共に浅間山が赤く染まっていくのがわかる。

浅間山に満月が没する様子(2022.12.9, 6:29~6:54 a.m. 、 30倍タイムラプスで撮影)

 ビデオ撮影の傍ら、写真撮影を行っていたが、満月が浅間山の直線的な稜線に沈んでいくことが判り、先日のFIFA サッカーワールドカップの予選リーグ、日本とスペインの試合で三苫選手が見せた1mmの奇跡のことを思い出し、満月が稜線に接する瞬間を撮影した。次のようである。

満月が浅間山の稜線に接する瞬間(2022.12.9, 6:54 a.m. 撮影)

 この写真は、来年2023年の干支「卯」にちなんで年賀状に採用してはどうかとの妻の勧めもあり、それに従うこととなった。ウサギの姿を思い浮かべていただけるであろうか。

 では、早めではありますが皆様よいお年をお迎えください。

 来年はコロナの終息とウクライナ情勢が少しでもいい方向に向かうことを願っています。
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天体ショー

2022-11-11 00:00:00 | 天体
 各種メディアによる、皆既月食と天王星食が同時に起きる極めて珍しい現象が見られるとの報道に刺激され、11月8日の夕方急に思い立って撮影準備を始めた。

 普段、昆虫や野鳥を撮影している超望遠ズームレンズをセットした一眼カメラと、やはりチョウなどの生態撮影に使用しているタイムラプス機能付きのビデオカメラをそれぞれ三脚にセットして、その時を待った。

 皆既月食が始まる時刻には地域差があるが、東京のものを参考にすることにした。次のようである。
2022年11月8日の皆既月食が東京で見られる時刻(赤矢印は写真撮影の予定時刻)

 これによると18時過ぎに月の部分食が始まり、月が地球の影に完全に隠れて皆既月食が始まるのが19時16分頃である。この間に4回の写真撮影タイミングを予定して、時刻を確認した。

 タイムラプスではこの約1時間ほどを撮影することとして、10秒に1枚の撮影条件に決めた。通常撮影の300分の1に相当するので、1時間が12秒の映像として記録できる。

 ちょうど夕食時のことであったので、撮影予定時刻になると1階の食堂と2階に準備した南側の窓際とを何回も往復することになった。

 天王星食の撮影については肉眼で観察できそうにもなかったので、気にしないで、成り行きに任せることにしていた。

 以下、その撮影結果をご紹介する。まず、タイムラプス撮影から。

  
皆既月食(2022.11.8、 300倍タイムラプスで撮影)

 部分食の始まる時刻に、液晶モニターの左下に満月の姿をセットして撮影を開始した。ズーム倍率はかなりいい加減にセットしておいたが、結果的には画面の左側に偏ったものとなったものの、何とか予定していた過程を画面内に収めることができた。月の動きは、漠然と放物線状の動きを想像していたが、実際に撮影した映像を見るとほぼ直線状に移動し、むしろやや上方にそれるように上昇していた。

 次に超望遠レンズで撮影した画像を、食が進んでいく順に紹介する。こちらの撮影はISO感度設定と、ピント合わせに苦労したが、何とか記録することができた。

2022年11月8日の皆既月食 1/10(17:53 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 2/10(18:04 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 3/10(18:22 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 4/10(18:42 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 5/10(19:02 撮影)


2022年11月8日の皆既月食 6/10(19:19 撮影)


2022年11月8日の皆既月食 7/10(20:18 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 8/10(20:55 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 9/10(21:09 撮影)

2022年11月8日の皆既月食 10/10(21:12 撮影)

 天王星だが、6/10と7/10の写真に写っているのを、撮影後見つけることができた。皆既月食中の月の左下に現れて、次第に接近している。実際には公転する月の方が天王星に近づいているわけであるが。

 十分な事前調査をしていなかったので、この小さな星が天王星である確信はなかったが、国立天文台のライブ情報をチェックしながら確認したという友人の I さん撮影の写真と比較して、天王星であると判定できた。

 翌朝、購読紙やネット上に多くの皆既月食の写真が見られ、中には Iさんのものと同様、天王星が月の裏側にまさに隠れようとしているところを撮影したものもいくつか見られた。

 赤銅色の皆既月食の写真が添えられた、次の読売新聞のオンライン記事に見られるように、皆既月食と重なる惑星食としてはこれまでにも土星食が442年前に起きていたとされるが、天王星食は過去に例のないとても珍しい現象だそうである。そうした現象に出会うことができ幸いなことであった。

 「© 読売新聞 皆既月食で赤銅色に輝く月(8日午後7時17分、都内で)=上甲鉄撮影
 満月が地球の影に隠れる『皆既月食』が8日夜、日本各地で観測された。東北や北海道を除く地域では、月が天王星を隠す天王星食も同時に起こり、日本では過去5000年で一度もない極めてまれな天体ショーとなる。
 月は東の空で午後6時過ぎから欠け始め、午後7時16分から1時間半ほど皆既月食となり赤黒く見える。東京や大阪、福岡などでは皆既月食中に天王星が隠れ始める。
 国立天文台によると、日本で前回、皆既月食と惑星が隠れる『惑星食』が重なったのは、土星食が起きた442年前。次回は322年後の2344年7月で、同じく土星食が起こる。」

 今回撮影した画像でも見られたが、皆既月食中の月が赤銅色に見える理由については、国立天文台が次のように、夕焼けと同じようなものであると説明している。太陽、地球、月が一直線上に並び、月が地球の作る本影の中に入っても、地球の大気により屈折した光が届き、その中の青色の光がより強く散乱され、赤い光がより多く月表面に到達するためということである。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする