軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

キアゲハ 2020年(4/5)5齢、前蛹、蛹

2020-09-25 00:00:00 | 
 キアゲハの幼虫は孵化の後、4回の脱皮を繰り返して5齢で終齢になる。この後蛹へと変身するが、その前の状態を前蛹と呼ぶ。

 ミツバの葉をたっぷりと食べて体長で40mmほどに成長した終齢幼虫は、蛹化の直前になると、それまでの粒状の糞とは異なる液状の便を出す。体内に残っている残渣をすべて排出するといった感じである。

 この後、幼虫はミツバを離れて這い回るようになる。実際にはプラスチック製の飼育ケー内にミツバを水差しした容器を入れているので、ケース内をあちらこちらと動き回るのだが、うっかりしているとケースの壁面やフタの裏側で蛹になってしまう。

 これを避けて、前蛹になる様子や、更に脱皮して蛹になる様子を撮影するために、終齢幼虫がミツバを離れて徘徊を始めると、ミツバの茎・葉を容器から抜き取り、その後にワリバシを差し込んで、前蛹そして蛹になる場所を用意した。

 半日から1日程度容器の中を動き回った後、壁面などで静止した幼虫を無理やりこのワリバシに止まらせて、容器ごとビニール袋で覆ってしまうと、幼虫はワリバシを上下してみたり、場合によっては容器から離れて、ビニール袋内をさまようことになるが、頃合いを見計らって再びワリバシに移動させると、諦めてここで前蛹になる(ことが多い)。

 この段階で、撮影のためにビニール袋を取り除いて、ビデオカメラをセットすることになる。割りばしに止まった終齢幼虫は、割りばしに糸を吐いて、前蛹になるための準備を念入りに始める。その後、蛹になった時に体の上部を支えるための糸を何重にもかける動作をする。10往復程糸かけの動作を終えたところで、器用に上半身を糸にくぐらせる。

キアゲハ終齢幼虫の糸かけ (2020.8.1, 22:40-22:43 撮影)

 前蛹になった5齢幼虫は2日ほどその状態にとどまる。初めのうちは腹足や前あしで割りばしにつかまっているが、そのうち尻の先と、帯糸で体を支えるようになり、次第に体は細く「勾玉」のような形になり、蛹化が近くなると体の色は白っぽくなる。

 次の動画はこうした約30時間の変化を追ったものであり、300倍のタイムラプスで撮影している。

 その前に、ざっとこの間の変化を動画からのキャプチャー画像で見ておくと次のようである。


キアゲハの前蛹から蛹化の様子(2020.8.1, 23:40 - 8.3, 4:40 キャプチャー画像)

キアゲハの蛹化 1/3(2020.8.1, 23:39-8.3, 4:21 300倍タイムラプス撮影後編集)

 次の動画は、ワリバシに移す間もなく、ミツバの茎で前蛹になっているところを見つけ、そのまま蛹化していった個体を撮影した時のもので、30倍のタイムラプスで撮影している。そのため前掲の300倍のタイムラプス撮影動画に比べると、脱皮の様子がより分かりやすいと思う。

キアゲハの蛹化 2/3(2020.7.29, 00:20 - 6:18  30倍タイムラプス撮影後編集)

 この蛹化の様子を背中側から撮影したのが次の動画である。蛹の後頭部に現われる突起が起点になって、前蛹の皮が破れていく様子がわかる。

キアゲハの蛹化 3/3(2020.7.29, 18:21 - 20:21  30倍タイムラプス撮影後編集) 

続く
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新型コロナウィルス情報(23)9/18-9/24

2020-09-24 12:00:00 | 新型コロナウィルス
 特に断りの無いものは読売新聞からの情報。

9/18
 ・新型コロナ、患者の半数以上に回復後も「長期の倦怠感」(AFPBB News) 
   新型コロナウイルスに感染したアイルランドの病院の患者や医療スタッフの半
  数以上が、初期の症状から回復した後も長期間にわたって倦怠(けんたい)感に
  苦しんでいることが研究で明らかになった。長引く症状による「相当な負担」に
  改めて注意を向ける調査結果だ。
   患者団体や医師らが新型コロナウイルスの中長期的な影響についての研究を求
  めている中で発表されたこの研究によると、セントジェームズ病院(St James's
  Hospital)で128人を追跡調査し、「臨床的な回復」の平均10週間後に評価した
  ところ、倦怠感が続いていると報告した人は52%に上った。初期の症状の重さと
  は関係がなかった。
   調査対象には入院した71人、軽症だった病院職員57人も含まれている。平均年
  齢は50歳で、全員が新型コロナウイルス検査で陽性になっていた。
 ・始動「菅政権」 コロナ・解散 両にらみ
 ・新型コロナ 「指定感染症」の運用 入院対象は原則「高齢・持病」 厚労省
 ・米、ワクチン接種 割れる見解 トランプ氏「すぐ」、CDC「来年」  
 ・【社説】イベント緩和 安全な運営を軌道に乗せたい
 ・南ア 海外客を受け入れ再開へ 10月から
 ・中国 「コロナ格闘」宣伝 ドラマ放映開始
 ・都 警戒レベル維持 知事、体調のすぐれない人に、4連休の外出を控えるよう呼びかけ
 ・国内感染491人
 ・イベルメクチン 治験開始を発表 北里大病院などで
 ・接触アプリ(COCOA)広がらず 導入3か月 遠い「利用4割」 精度疑う事例
 ・都など独自システム 「店舗向け」試行錯誤
 ・長野 検査数1日9000件目指す 県補正案 コロナ対策に460億円

9/19
 ・グアテマラ大統領がコロナ感染=中南米首脳で5人目(時事通信社)
   中米グアテマラのジャマテイ大統領は18日、新型コロナウイルスに感染した
  ことを明らかにした。症状は軽く、在宅で執務を続けるという。人口約1700
  万人の同国では新型コロナの感染者は8万4000人以上、死者は3100人近
  くに上る。
   中南米ではブラジルのボルソナロ大統領、隣国ホンジュラスのエルナンデス大
  統領、ボリビアのアニェス暫定大統領が感染後に回復。8月に就任したドミニカ
  共和国のアビナデル大統領も選挙中に陽性が判明しており、感染した元首は少な
  くとも5人となった。
 ・重症者治療に重点 政令規定へ 入院「高齢(65歳以上)」「持病」
 ・イベント緩和 きょうから プロ野球など 5000人超入場可能に
 ・【広告】コロナ以後の東アジア 東京大学出版会発行
 ・コロナ感染者 世界3000万人
 ・高鳥議員 コロナ感染 自民党衆院議員 発熱で検査
 ・サグラダ・ファミリア 「26年完成断念」 コロナ禍 工事中断
 ・挑む2020 TOTO清田徳明社長 「非接触」技術極めて行く
   ウォシュレットやセンサー蛇口。
 ・観光「東京解禁」に期待 GoTo追加販売開始
 ・宿泊料32%下落 8月 物価3ヵ月ぶり減
 ・8月訪日客99%減 8700人
 ・コロナ不安 現・預金最高 個人1031兆円「タンス預金」増 4~6月資金循環統計
 ・アジア開発基金 日本が追加拠出 1076億円
 ・国、JR北・JR四国、JR貨物3社の返済猶予
 ・【広告】コロナ論 小林よしのり著 扶桑社発行
 ・コロナ対応 精神科も連携 東京都立松沢病院院長・斎藤正彦氏
 ・観客数増に対応 コロナ指針改訂 NPB
 ・長野 JRの6駅で除菌シート無料配布 きょうから
   新幹線 軽井沢、佐久平、上田、長野、飯山と松本駅。
 ・ギョーザ戦争 宮崎が下克上 浜松・宇都宮抑え コロナで持ち帰り増
 ・【コロナの疑問】インフルと同時流行するの?
   南半球報告なし 油断は禁物、新型コロナと共存する初めての冬。
 ・クルーズ船会社を提訴 長崎の集団感染 コンテナ提供の業者
 ・都内コロナ感染6日ぶり200人超 国内572人
 ・WHO、新型コロナ死者1週間に5万人は「容認できない数字」(AFPBB News)
   世界保健機関(WHO)は18日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によ
  る1週間当たりの世界の死者数は約5万人に達し、受け入れられない高水準である
  ことを発表した。世界の累計死者数は100万人に近づいている。
 
9/20
 ・外野席に歓声戻る イベント人数緩和
 ・乗客減 貨物で穴埋め 新幹線でぶどう・国際線で洗剤
 ・米大統領選 勝者判明遅れる恐れ コロナ 郵便投票増加見込み 集計に異議次々?
 ・【文化・書評】武漢日記 物的中国論 方方著 飯塚容、渡辺新一訳 河出書房新社発行
 ・【コロナの疑問】一度かかれば安心? 再感染 免疫の効果不明
   香港の男性から取れた1回目と2回目のウイルスは、遺伝子の配列が24か所で
  違い、別のコロナに再感染したことが確認された。
   ほぼ毎年流行する季節性コロナウイルスは4種類あり、何度も再感染するが、
  いずれも軽い風邪症状。
 ・漫才コンビ「ミルク」内海さん陽性
 ・休日らしさ少しずつ 行楽地人出・映画館隣り合い 新幹線 お盆より回復
 ・感染対策 緩めず楽しもう 手洗い・消毒 食事は少人数
 ・地方3空港検疫 往来再開へ強化 新千歳、中部、福岡
 ・都内新たに218人 国内601人
 ・長野 長野の2人感染 いずれも入院し軽症 コロナ累計300人超

9/21
 ・【地球を読む】国際通貨研究所理事長・渡辺博史 食糧難深刻化
   新型コロナウイルスの感染拡大によって食糧問題が起きたわけではないが、厳
  しい状況を加速化させている面は否めない。
 ・【広告】コロナと国防 ほんこん著 ワニブックス発行
 ・日本を覆う「空気」 コロナ禍で顕在化 
 ・【文化】コロナへの恐れ 際立つ日本 元々高い「不安感」、「感染」し自己拡大
 ・菅政権 社会保障の課題 高齢化ピークへ 「公助」どう維持 
   コロナで雇用悪化、財源確保難しく。
 ・国内感染480人 東京都162人 

9/22
 ・欧州株 軒並み下落 新型コロナ再拡大 懸念
 ・ワクチン外交 中露もくろむ 途上国へ 米は「自国優先」
   期待先行 効果・安全 検証これから
 ・【社説】インフルの季節 コロナとの同時流行に備えよ
 ・安倍前首相インタビュー コロナ対応 日々自問
 ・海外選手の入国緩和へ あす五輪パラ調整会議
 ・欧州 移動や営業制限 コロナ感染 1日5万人超続く
 ・【経済転換】アパレル ブランド服 積もる在庫 大量発注・生産 もはや限界
 ・鉄鋼・化学 IT活用急ぐ 「密」回避 人手不足も解消
 ・20年世界成長 4.5%減に修正 6月時点の6.0%から上方修正
 ・観客の感染予防策 共有 12球団代表者会議 上限緩和受け
 ・J入場者50%へ 月末にも
 ・西村経済再生相 感染対策を視察
 ・箱根駅伝の応援 大学に自粛要請 関東学連
 ・観客「声出さずマスクで」 プロ野球・Jリーグで呼びかけ
 ・都内98人感染 重症患者は27人
 ・技能実習生 異業種へ 受注減の工場・病院で介護 今月7日現在692人
   安価な労働力 露呈 
 ・長野 長野の2人感染 1人は軽症、1人は無症状

9/23
 ・退職募集 1万人超 上場企業 リーマン・大震災級に
 ・コロナ懸念 米株動揺 一時900ドル安 アジアも値下がり
 ・米債務2050年にはGDPの倍に、コロナ経済対策響く
 ・追加の経済対策 米議会に要求へ FRB議長
 ・ワクチン分配 米中不参加 156か国・地域で共同購入
 ・米コロナ死者 20万人に迫る
 ・コロナ対策連携 日独首脳が確認 電話会談
 ・国連の多国間外交低調 米 単独主義強める・コロナ 対面交渉減
 ・欧州 反コロナ対策運動 エリートへの不満爆発 ドイツ規模最大
 ・国内331人感染 東京都は88人
 ・米NFLコーチらへ マスク未着用罰金1億円
 
9/24
 ・アビガン治験「有効性」確認 コロナ治療薬 来月にも申請
 ・「中長期」新規入国を再開 1日1000人程度 来月上旬にも 政府調整
 ・2021年度予算概算要求 国債費25.4兆円要求へ
   20年度発行の新型コロナウイルス対応の巨額国債の影響は低金利のため影響少
 ・米ワクチン基準厳格化 FDA方針 緊急使用めぐり 米紙報道
 ・米死者20万人超 22日
 ・【注目閣僚に聞く】田村憲久・厚生労働相 同時流行備え 検査強化
 ・国連総会演説 米中コロナ応酬 国際協力を阻害 加盟国懸念
   トランプ氏「中国ウイルス」・習氏「WHOの下で団結を」
 ・コロナ 変わる新人研修 出社せず デジタル化拡大
 ・マスク姿で顔パス NEC 最先端技術 来月発売
 ・「五輪、ワクチンなくても」 バッハ会長書簡、開催に自信
 ・コロナ検査 鼻入り口の粘液で 厚労省検討 患者自身で採取可能に
 ・国内感染219人都内59人 

 ・Johns Hopkins Univ. 公表情報 世界と日本の累計感染者数推移


世界の累計感染者数推移 2020.9.24 現在 

日本の累計感染者数推移 2020.9.24 現在
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チバニアンと岩石磁気

2020-09-18 00:00:00 | 地質
 今年1月17日に、国際地質科学連合により77.4万年前から12.9万年前の期間の地質時代の名称としてチバニアンが命名された。ご存じの方も多いと思うが、千葉県養老川沿いにある露頭は、地球の磁気極が反転した最も現在に近い時代を挟んだ地層が連続して見られる場所として認められ、それに続く時代を示す名称に下の表にみられるごとく、千葉県の名前が登録された。
 ちなみに、下のほうにアキタニアンという名前が見られるが、こちらはフランスの地名アキテーヌに由来するもので、日本の秋田県とは無関係である。


国際層序委員会作成の「国際年代層序表」から一部を抜粋

 地球の磁気極が反転するという話は、にわかに信じがたいものではあるが、この千葉県の露頭だけではなく、世界各地で採取された岩石の残留磁気の向きを測定することで、これまでに、過去
360万年の間に11回は地磁気逆転が起きていたことが確かめられている。

 今回、この千葉県にある地層はイタリアの地層と競争したと伝えられているが、最終的に千葉県の地層が採用されたのは、現在の地磁気の方向を示す地層と、これと逆転した方向の地磁気が存在していたことを示す地層との間に明確な境界を示す火山灰(白尾火山灰)の層があり、この層を放射線年代測定することで、地磁気逆転の時期を正しく特定できたことも、選定の理由として挙げられている。

 地球磁場が過去に何回も逆転していたという事実が判ったのは、それほど古い話ではない。この事実の発見には京都大学の松山基範教授(1884.10.25 - 1958.1.27)の貢献が大きく、その功績が評価され、地球磁場が反転した時代区分につけられている名称に、Matuyamaという名が、かのガウス(Gauss)と並んで残されている。今回のチバニアンと共にとても喜ばしいことである。


地磁気極性の年代表の「逆磁極期(259万年前~78万年前)」に、松山基範教授の名前が見られる(ウィキペディアの表から一部を抜粋)

 松山博士が最初にこのことに気が付いたのは、1926年に兵庫県にある柱状節理で有名な玄武洞(1931年天然記念物指定)の溶岩の残留磁気を調査していた時とされる。

 私が玄武洞の現地に久々に出かけたのは、今から4年ほど前の2016年のことであったが、地元のボランティアガイドの説明を受けながら、玄武洞をはじめとする4か所の柱状節理を順に見学した。

 規則正しく積み上げられたような六角形、板状の玄武岩は以前は石垣などの用途に便利なためここから運びだされ、その跡は現在も城崎温泉の街中を流れる大谿川の両側の護岸の石積みにもみることが出来るといった説明と共に、この玄武岩の残留磁気を研究した松山博士のことも、この時ボランティアガイドさんから教えていただいたのであった。
 
 岩石に残されている磁気の研究という話は、実は私には多少馴染みのあるものであったので、この時の話はとても興味深く、また懐かしく聞いた。


玄武洞(2016.2.5 撮影)


青龍洞(2016.2.5 撮影)


玄武洞の石が護岸壁として積みあげられた城崎温泉街を流れる大谿川(2016.2.4 撮影)

玄武洞に設けられていた説明板(2016.2.5 撮影)
 
 さて、岩石磁気の話であるが、私の通っていた大学の学部・学科には川井研究室という岩石磁気と超高圧発生装置を使って物性を研究する研究室があった。私自身は別の研究室を選んでいたが、川井直人教授の楽しい講義は聞く機会があったし、数名の友人はこの川井研究室に所属していたので、時々覗きに行ったこともあった。

 今回チバニアンの話題に接し、岩石磁気について書かれていた古い本のことを思い出して、あらためて読んでみたところ、忘れていたことなどが書かれていて、懐かしく、50年ほど前の当時の地磁気発生メカニズムの理解や、その逆転現象の歴史を岩石磁気を手掛かりに解明していった研究に関する理解を得ることができるので、ここに書きとどめておこうと思う。

 その本は「個体物理の歩み」(久保亮五、永宮健夫 編 1965年 岩波書店発行)で、私の通っていた新設間もない学部・学科の研究室の研究内容に関連することが多く書かれている本であった。目次を見ると次のような各章の内容と執筆者名が並んでいる。


「個体物理の歩み」(久保亮五、永宮健夫 編 1965年 岩波書店発行)の表紙

・個体物理の話・・・久保亮五
・極低温の世界・・・久保亮五/菅原 忠
・磁性体の物理学・・・永宮健夫
・個体スペクトロスコピー・・・伊藤順吉
・結晶転位と物性物理学・・・鈴木 平
・固態エレクトロニクス・・・高橋秀俊

 個体物理というと堅苦しい内容が多くなるが、その中にあって、岩石磁気に関する説明は、「磁性体の物理学」の章の中で「岩石磁場と地球磁場」の項として取り上げられていて、この章を担当している永宮健夫教授はとても平易な文章でこの項を書いておられるのでなじみやすい。一部を紹介すると次のようである。

 「7月の暑いある日、いつものように筆記係りの望月和子さんをつれて、京大地質鉱物教室の川井直人さんをお宅に訪れた。暑い、暑い、といいながらお話をきいているうちに、お話に引込まれて暑さを忘れていった。・・・
 地質学者の話は物理学者の話よりもスケールが大きい。そこでまず物理学者に親近感の多い岩石磁気の話から始めて、次第に大きな話に移っていただく。

 1 磁化の逆転(以下、K:川井直人教授、N:永宮健夫教授)
 K 岩石の中には弱い永久磁気をもったものがありますが、その磁化の方向はその岩石ができたときの地球磁場の方向を記録しているであろうという考えから、過去の長い間の地磁気の歴史をしらべるという試みが古くからありました。1853年にはイタリアの MELLONI という人がイタリアの溶岩流の磁気を調べています。熔岩の磁化方向はそれが固まったときの地磁気の方向を記録していると考えられます。少しおくれて GHERARDI(イタリア)もこの方面の仕事をしいています。日本では中村清二先生が三原山の爆発の時に火山弾の磁気を調べられ、火山弾が冷えたときにはその位置の地球磁場の方向に磁化されるという事実を発見しておられます。私の先生の松山基範先生は、日本、朝鮮、満州に重力の測定にいかれたついでに、熔岩流を採集されましたが、その中には地磁気の方向と反対方向に磁化した岩石もあることを発見されました。それは1925年(原文のまま)です。この岩石は第三紀の終わりから第四紀にかけて、つまり今から2000~3000万年前にできたものなので、先生はその時代には地球磁場が現在とは逆転していたと推論されました。

N NEELさんの1951年の論文をみますと、BRUNHES という人が1906年に中新世の岩石に逆転したものがあることをみつけたのが最初だと書いてあります。また GELLETICH(1937)は3~5億年昔の火成岩の磁化が逆転していて、それよりも古い時代と新しい時代の岩石が正常な方向を向いていると報告しているそうです。したがって4億年前と3000万年前の頃は地球磁場が現在の磁場と逆転していて、その間とそれより前と後とは今の地磁気と同じ方向を向いていたということになります。・・・

N 磁場の中で岩石が高い温度から冷えていくと、磁場と逆の方向に磁化される場合もあるという理論を NEEL さんが出したのは1951年の始めで、永田武さんが榛名山の熔岩を実験室にもってきて、一度熱してから磁場をかけながら冷やし、残留磁化が磁場と反対方向に向くことを観測して、NEEL の理論を実証し、Nature に発表したのが1952年となっています。

K ・・・永田先生の実験は秋本俊一氏と上田誠也氏がひきついでおられ、私も一時お手伝いしたことがあります。磁場の中でひとりでに逆転した磁化ができることのメカニズムは次の通りです。
 岩石の主体は磁性をもたない成分ですが、その中に強磁性をもった二つの相が存在しています。冷えていく途中で温度がその一つの相のキュリー点を通りすぎると、その相は磁場の方向に磁化されます。さらに温度が下がって、もう一つの相のキュリー点に達すると、そのときには第一の相の磁化によって強い反磁場ができているため、第二の相は磁場と反対方向に磁化されます。室温に達したとき、第二の相の磁化の大きさが第一の相の磁化の大きさを越えているような場合には、岩石は全体として外磁場と反対の方向に磁化していることになります。

N 現在、熱残留磁気の反転の機構として、そのほかにはどういうものが考えられていますか。

K ・・・二つの逆向きに磁化した相があって、永年の間に地磁気の方向を向いた相がとけてなくなり、反対向きにむいた相だけが残るという場合がその一つです。・・・

N 川井さんの実験で、冷えていく途中で2相分離がおこり、熱残留磁化がいろいろ複雑な様子を示すような場合があったと記憶しますが、あれはどういう物質でしたかしら。

K マグネタイト(Fe3O4)とウルベスピネル(TiFe2O4)の固溶体です。これは温度を下げると2相に分かれます。マグネタイト側の相はキュリー点が高く、ウルベスピネル側はキュリー点が低いのです。冷やしていく速さや、一定温度に放置しておく時間によって析出の様子が変わります。この場合も、こういう化学変化という点を別にすれば、逆転の機構は永田さんの2成分系と同じです。・・・

2 イギリス学派
N 少し話題を変えまして、川井さんは最近 London に半年ほどおられましたが、イギリスの岩石磁気の研究の様子はどうですか。

K ・・・最近の世界の岩石磁気の研究はイギリスが中心になっているのではないかと思います。 BLACKETT さんは、ご承知かもしれませんが、宇宙線の中に陽電子を発見した一人で、ANDERSON につづいてノーベル賞をもらった人です。宇宙線の研究から天体の磁場に興味をもちはじめ、”回転には磁気が伴う”という論文を発表しましたが、彼自身その仮説を実証しようとして実験を試みました。そのために非常に精密な磁気測定装置をつくり、物体を回転して磁気が発生するかどうか調べたのですが、その結果はネガティブでした。しかしその機械が非常に精密なものであったので、それを使って岩石磁気の研究を始めたのです。現在イギリスで使われている岩石磁気測定装置はぜんぶ  BLACKETT 型のものです。・・・

N 川井さんの機械は10のマイナス7乗ガウスまで測れるとお聞きしましたが、それとどちらが精密ですか。隣の部屋の人の靴の裏の鉄片が邪魔になるほど敏感だということでしたね。

K 先生はよく記憶されていますね。私の機械も同じくらいに精密です。・・・

N 川井さんが集められたある種の岩石は、何百年かでその磁化方向を地磁気の方向に向けたという事実がありましたね。

K それはチタノ・マグネタイトです。房総半島から200~300石とってきて測ってみましたが、はじめの1年で磁化の向きがうんと変り、その変化は時間のlogに比例します。墓石と建物の礎石をしらべましたが、それらはおかれた年代がわかっています。おかれたときには at random (無秩序)におかれたでしょうが、現在の状態をしらべると北向きの成分が時間の log に比例して増しています。

N それはどういうメカニズムによるのですか。

K やはり熱運動や何かのショックで、地磁気と反対の方向に向いた強磁性粒子が地磁気の方向を向くためです。

N BLOCH 先生と雑談しているときに、BLOCH は”日本は地震が多いからそのショックで磁化の向きが変わるのだろう、地震地帯の岩石とそうでない所の岩石を比較してみたらおもしろかろう”といっていましたよ。

3 地磁気の原因
 以上に地球磁場が昔から今日までの間に反転したかもしれないという話が出たので、地磁気の起源について概要を伺った。これも主としてイギリス学派の研究である。

K 地球の中心に向かって約290km までは mantle といってMgやFeのケイ酸塩からできており、これは電気の不導体です。その内側は核(core)とよばれ、おもに液状の Fe、Ni からできています。その半径は3500㎞です。両者の境界は200万気圧、3000°K の状態にあります。核のFe、Ni は温度が高いので強磁性を失っており、地磁気の原因にはなりません。したがって、核に電流が流れていることによって地磁気ができていなければならないのです。導体の中に発生した電流は、導体が止まっていればやがては消滅しなければなりませんが、地球の核のように大きなものですと、消滅するまでに10^5年ほどかかります。実際には核を形成している液体は運動しています。地球中心部に放射性物質によって熱が発生し、そのために核の液体は中心から外部に向かって対流を起こしています。地球の表面からみると、この対流のわき口と吸込口には、磁場の吸込みとわき口が見えます。・・・
 事柄は大変複雑になりますが、流体と電磁気の基本の方程式を組み合わせて問題を解きますと、何かの原因で最初に存在した僅かな磁場が生長して安定な双極子磁場を作るということが示されます。

N するとその安定磁場は永久に変わらないことになりますか。

K ところが地球は歳差運動をしています。つまり地磁気が振れているわけです。この歳差運動の速度が大きくなると、核の対流に狂いがおこり、磁場が反転するような状態になることも考えられています。

N 大変おもしろいことですね。」

 本では以下、”極の移り歩きと大陸の漂流” の話へと展開していくが割愛する。本項の最後のところで永宮教授は次のように述べている。

 「何億年かの歴史を伺ってみると、いまさらながら物理学者の扱う時間の短さを感じないではいられない。物理の実験はたいてい数時間のうちに終わってしまう。短いほうは10のマイナス何乗秒という所を扱うが、長い方は知れている。もし1年に1こまのスピードで8ミリ映画に富士山を収めたら? と考えてみたが、映写機のおき場所に困るだろうと思った。・・・」

 最後に大学の同窓であった I さんと私が学科の卒業アルバム用に撮影した永宮健夫教授と、川井直人教授の写真をご紹介して本稿を終わる。

永宮健夫教授(1910.6.1 - 2006.6.3, 1969年春 筆者撮影)

川井直人教授(1921 - 1979.7.3,  1969年春 I氏撮影)


 

 

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新型コロナウィルス情報(22)9/11-9/17

2020-09-17 12:00:00 | 新型コロナウィルス
 特に断りの無いものは読売新聞からの情報。

9/11
 ・「夜の街」に専用検査所 政府案 演劇は満席容認 GoTo「東京」来月追加
 ・パンデミック宣言半年 宣言時約12万人の世界の累計感染者は2700万人超になった
 ・重症 8月末から減少 厚労省助言機関
 ・「弱毒化」報告なし 
   日本国内での死亡率は下がったが、ウイルス解析では毒性に大きな変化はなく、
  専門家は「警戒は怠れない」と話す。
 ・ウィズコロナ社会 前提 経済同友会、次期政権へ提言
 ・コロナ わざと楽観視 「パニック回避のため」トランプ大統領、米著名記者に
   トランプ氏は2月7日にはこの記者に対して、「インフルエンザよりも命にかか
  わるもので、危険なウイルスだ」としていたが、記者会見では「ウイルスは間も
  なく消える」などと楽観的な姿勢を示していた。
 ・【特別面】パンデミック宣言半年 コロナ抑制と経済の間で 1270兆円喪失 試算
   米国:感染者数なお最多
   欧州:7月に再び増加
   韓国:当初は抑え込み
   中国:2月減少転じる
   ブラジル:経済を優先
   アフリカ:減少傾向に
   インド:第1波収束見えず
   中等:紛争で医療不安
 ・シンガポール航空 減便で2400人削減
 ・米アマゾン 3.3万人雇用 技術職など ネット通販好調
 ・欧州中銀 緩和を維持 理事会 ユーロ高に警戒感
 ・7月機械受注 2カ月ぶり増 6.3% 設備投資は低迷
 ・紀子さま54歳 コロナ終息願う
 ・IOCバッハ会長、原則強調 五輪「安全な環境で開催」
 ・都、時短要請15日終了 飲食店など 都外旅行 自粛求めず
 ・都内276人感染 国内712人
 ・多人数での会食 千葉県自粛解除
 ・空港検疫 9割無症状 半年で感染者828人 水際対策 重要に
 ・長野 コロナ題材 オンライン講座 上田・丸子中央病院 参加者を募集
 ・長野 自主検査費 自治体補助へ 佐久穂、高森など 感染防止、不安解消
 ・長野 県9月補正予算案 知事査定始まる 「当面 コロナ対応全力で」
 ・長野 軽症・無症状者用 東信に医療施設 県、きょうから宿泊施設借り上げで
 ・長野 新たに2人感染 原村と千曲市で いずれも軽症

9/12
 ・イベント5000人超 19日解禁 コロナ分科会 収容50%上限
   西村再生相「クラスター発生せず」
 ・GoTo 東京発着 来月追加
 ・観光需要回復に期待 GoTo東京追加「3割増見込める」
 ・高齢者検査 半額補助へ 政府、無症状でも 抗原検査・PCR検査
 ・英のワクチン 年内申請方針 アストラゼネカ、一時中断していたが当初予定通り
 ・9.11生存者 コロナの影 呼吸器に後遺症を抱える生存者、募る不安
 ・コロナ追加対策5000億ドル 米上院(民主が)が不十分として否決 民主と溝埋まらず
 ・大企業景況感プラスに転換 7~9月期、景況判断指数2.0に 中小企業はー25.8
 ・家賃支援給付の審査人員1.5倍に
 ・「緊急小口資金」年末まで申請期限延長へ 無利子・最大20万円 個人事業主やひとり親世帯に
 ・インフル予防接種 65歳以上来月1日から 26日以降は全員
 ・国内コロナ感染643人 
 ・劇団「ありがたい」 イベント制限緩和 客足戻るか不安も
 ・GoTo 都民が喜び
 ・感染拡大の場合 再度制限求める 政府分科会 
 ・長野 コロナ考慮の医療支援要望 知事ら厚労省とウェブ会議
 ・長野 飯山の90代女性感染 発熱・軽症で入院 県内累計296人
  
9/13
 ・菅氏、コロナ追加策前向き 討論会 あす自民総裁選
 ・【社説】コロナと自転車 利用増でマナー違反が目立つ
 ・プロ野球 観客上限緩和19日から 東京ドームは1万9000人に
 ・コロナ感染後に「川崎病」 1歳児、因果関係は不明
 ・国内感染648人 死者13人 
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9/14 新聞休刊日

9/15
 ・自民総裁に菅氏 衆院解散は「コロナ問題が下火になってきたということでなけ
  れば、なかなか難しい。全体を見ながら判断する」
 ・【広告】ペスト ダニエル・デフォー著 平井正穂 訳 中央公論社発行
 ・途上国感染対策支援へボランティア13人派遣 外務省
 ・経営者に聞く 星野リゾート代表・星野佳路氏 
   新型コロナ危機 出口は見えている 自宅から2時間以内の旅に商機
   ワクチンが開発されれば解決、あと1,2年、長くて3年。
 ・米ユナイテッド 成田のCA拠点閉鎖
 ・オリエンタルランド 正社員と嘱託 冬賞与7割減
 ・株高7カ月ぶり水準
 ・「人手不足」回答 中小3割に低下 日商調査、コロナ影響
 ・インフル患者 わずか3人 1週間で 昨年同時期の1/1000以下
   手指消毒やマスク着用の徹底などが影響しているとみられる。
 ・沖縄タイムス 課長が不正受給 新型コロナ給付金
 ・国内感染269人 
 ・プロ野球入場者 上限緩和を確認 オーナー会議
 ・長野 上田広域圏警戒レベル2へ下げ イベント参加上限も緩和

9/16
 ・コロナ対策全力 自公が連立合意
 ・東京GoTo18日発売 追加見送り時 解約料 政府が補償案
 ・【広告】新版・ウイルスと人間 山内一也著 岩波書店発行
 ・【社説】GoTo拡大 観光活性化へ不安の解消を
 ・ビル・ゲイツ氏 各国ワクチン開発・製薬会社に連携促す
  来年初めまでに実現するとの見通しを示した。
 ・フィレンツェ「ワインの窓口」復活 感染防止、ペストもコロナも
   17世紀のペスト流行時の感染防止に役立った。再活用。
 ・アジア成長0.7%減 58年ぶりマイナス コロナ影響
 ・8月の中国消費 今年初の前年同月比プラス
 ・スカイマーク 営業赤字100億円 9月中間見通し
 ・総合型入試 出願始まる 大学、コロナで2週遅れ
 ・読売広論セミナー がんとコロナ 垣添氏が大阪市内で講演
 ・コロナ感染532人
 ・玉ノ井部屋感染 新たに力士5人 計24人に いずれも軽症
 ・大都市歓楽街対策議論 作業部会が初会合 10月中旬めどに具体策取りまとめ
 ・長野 信濃の20代女性感染 軽症

9/17
 ・菅内閣 発足 コロナ、経済対策 政府・与党一体
 ・野党「桜・コロナ」追及 対決姿勢継続 早期解散は警戒
 ・ブラジル大統領 支持上昇 コロナ感染減速・貧困層に支援金
 ・JR東 初の赤字予想 4180億円 西も赤字最大 21年3月期
 ・【広告】ミネベアミツミの高性能不織布使用マスク マスク販売部
 ・国内感染者新たに550人 都内163人
 ・対コロナ 先頭に 菅内閣発足 飲食店「手厚い支援を」・町工場「給付金早く」
  都知事「連携を」
 ・長野 コロナ警戒 全県レベル1 7月28日以来 新規感染者数減少で
 ・長野 長野の2人感染 いずれも軽症

 ・Johns Hopkins Univ. 公表情報 世界と日本の累計感染者数推移

世界の累計感染者数推移 2020.9.17現在 
    

日本の累計感染者数推移 2020.9.17現在
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キアゲハ 2020年(3/5)3齢、4齢幼虫

2020-09-11 00:00:00 | 
 キアゲハの1齢幼虫はミツバの葉の表面を齧るようにして食べ、2齢では表面を齧ったり、一部葉の縁を食べた食痕も見られていたが、3齢になると葉の表面を齧ることはなくなり、葉の縁をしっかりと食べるようになる。

 葉の表面に糸を吐いて台座を作り、この場所を拠点として周囲の葉を食べに出かけてはまた同じ場所に戻るという動作を繰り返す。

 次の映像は翌日に脱皮を控えた3齢幼虫(A)の動きを捉えたものだが、何度か葉を食べに出かけた後、台座に戻り脱皮の準備を整えたところに、上の方から別の3齢幼虫(B)が近づいてくる。

 すると、幼虫Aは首を振り、幼虫Bが近づくのを牽制するような動作を繰り返した。結局その幼虫Bは諦めて隣の葉の方に移動していった。これからの脱皮の邪魔をしないでくれというサインを送っているのか、葉の根もとを食べられると葉ごと落下するではないかというサインを送っているのか・・・。

キアゲハ、3齢幼虫の行動(2020.7.19, 20:40-7.20, 5:30 30倍タイムラプス撮影後編集)

 この後、これら2匹の3齢幼虫は共に脱皮し4齢になっていったが、その様子を撮影することができた。先に脱皮したのは、前の映像で脱皮準備に入っていた幼虫Aである。

 脱皮後、4齢になった幼虫Aが抜け殻を食べ、続いてミツバの葉を食べていると、今度は隣の葉上で脱皮の態勢に入り、じっとしていた幼虫BがAの動作に敏感に反応して首を振り始めた。

 幼虫Aの動きが振動となって幼虫Bに伝わるからであろうか、幼虫BはAが動くたびに首を振った。幼虫Aの方は初めは気にしないで葉を食べているようであったが、だんだんこれに反応して葉を食べるのを途中で休止した。

 幼虫Aは幼虫Bが脱皮をするのを邪魔する訳でもなく、またBが止まっているミツバの葉を食べているわけでもないので、どうした事だろうかと思う。こうした「だるまさんが転んだ」状態がしばらく続いたが、なかなか面白い様子であった。

キアゲハ3齢幼虫の脱皮(2020.7.20, 19:13 -7.21, 1:34, 30倍タイムラプス撮影後編集)

 脱皮前の3齢幼虫(B)の大きさ(長さ)は次の写真に見るように15mmに成長している。

脱皮直前の3齢幼虫の体長測定(2020.7.21, 7:58, キャプチャー画像)

 この3齢幼虫Bも順調に脱皮し4齢になった。タイムラプス映像では素早く脱皮しているように見えるが、実際に脱皮に要する時間は6分ほどである。脱皮後1時間余りじっとしていた4齢幼虫はおもむろに向きを変えて、脱皮殻を食べ始めた。殻を食べるのに要する時間も6分ほどである。その後、ミツバの葉を20分間ほどかけて食べて、長い休憩に入った。

脱皮後抜け殻を食べ、その後ミツバの葉を食べる4齢幼虫(2020.7.21, 8:26-10:26, 30倍タイムラプス撮影後編集)


 ここまで紹介したA、B二匹とは別の容器で単独で飼育していた個体の脱皮の様子を次に紹介する。3齢幼虫と共に卵の抜け殻らしいものが写っているが、随分大きくなったものである。孵化直後の1齢幼虫は卵の殻を食べるので、ミツバの葉に残っているこの卵の殻の由来は不明だが、大きくなった幼虫はこれを食べることはなかった。

 
キアゲハ3齢幼虫の脱皮(2020.7.23, 2:11-4:02,  30倍タイムラプス撮影後編集)

 3齢幼虫と4齢幼虫は、それぞれの脱皮直後の姿を見ると明らかに違っているが、面白いことに、脱皮直前の3齢の姿は、脱皮直後の4齢にとてもよく似てくる。これは薄い皮を透かして、4齢の姿が見えるようになっているからと思える。

 このことは4齢が脱皮し5(終)齢になる時も同様である。このため、脱皮間際の3齢や4齢を見ていると、すでに脱皮し終わったのではと見間違うこともあった。

脱皮直後の4齢
脱皮直前の4齢
 
脱皮直後の5(終)齢

 次の2つの動画は、4齢幼虫の脱皮の様子である。脱皮前には5(終)齢幼虫とそっくりな姿になっている。ただ頭の大きさが明らかに違っている。
 脱皮後殻を食べる時に、近くにいるアリマキまで勢い余って食べてしまったように見えるが、大丈夫、アリマキは葉の陰に逃げていた。

キアゲハ4齢幼虫の脱皮-1(2020.7.23, 4:56-7:31, 30倍タイムラプスで撮影後編集)

 

キアゲハ4齢幼虫の脱皮-2(2020.7.23, 17:57-19:25, 30倍タイムラプスで撮影後編集)

続く  
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