チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

枇杷の花

2016年12月30日 05時42分55秒 | 日々のこと

曇、15度,65%

 春や夏の花と違って真冬に咲く花は派手さがありません。人も寒さで花を見やる余裕がありません。それでも花はその時期が来ると咲かせます。愛しいなと思うのはそんな健気な花を見た時です。

 私が枇杷の花に気付いたのは、亡くなった母がまだ家にいた頃ですから10年ぐらい前のことです。だんだん体の自由が効かなくなる母を、朝晩3人のヘルパーさんが交代で面倒を見てくださっていました。その方達へのお礼やら、お金の出し入れでふた月に一度は日本に戻り始めました。二階の日当たりが好きで二階にベットを置いていた母でしたが、上がり下りが不自由になり下の部屋に介護ベットを入れてもらいました。私が帰らなくては誰も上がることがなくなった二階です。

 家に戻ると二階の雨戸を開けて風を通します。雨戸を開けると手入れされていない裏庭のまるで小さな雑木林のような木が目の前に迫ってきます。どの木もどの木も伸び放題です。一番屋根に近い木に花らしきものがついているのが見えます。葉っぱは枇杷の葉ですが、これは花かしら?枇杷の実がなるのは夏なのにもう花がつくのかしら?と思い、階下に戻り母に尋ねました。以来、冬に二階の雨戸を開けると、必ず、この枇杷の花を確かめます。

 決して見た目のいい花ではありません。枇杷の葉の緑の美しさ、葉の線の力強さからは想像もつかない地味な花です。夏になってこの二階の雨戸を開けると、あの少し産毛の生えた黄色い実がついています。小さい頃から枇杷は買ったことがありませんでした。いつもこの木の枇杷が私の枇杷です。庭の整理をお願いした造園の方はこのみすぼらしく徒長した枇杷の木を庭から外す予定でした。他の木に負けまいと背ばかり高くなった枇杷の木です。真っ直ぐならまだしも少し歪みがちに伸びています。この枇杷を残してくださいと頼みました。すっきりと取り払われた庭に残った数本の木のうちの一本が枇杷の木です。木姿の悪さがひときわ目立ちます。それでも、花を咲かせ、実をつけてくれます。

 先日、戻った時も二階に上がりまずはこの枇杷の花にご挨拶。この濃い緑の葉陰にはたくさんの鶯が来ています。寒くなると山から街に降りてくる鶯、10月には終わりの花をつけている金木犀の木に群れていました。いよいよこの家に戻る2月には、鶯たちは蕾が膨らみ始めた梅の木で私たちを待っていてくれると思います。

 今度の夏、この枇杷の実を何十年ぶりに食べるのを心待ちにしています。寒さの中の枇杷の花、暑くなり始めた初夏のあの枇杷の甘さ、庭の自然に寄り添っていきたいと思います。

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