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小田急の検測車両・クヤ31形(テクノインスペクター)に遭遇

2009-07-15 | 小田急グループ

    

MAKIKYUは11日に溝の口まで延伸された東急大井町線に乗車した後は、小田急線にも乗車する機会があったのですが、その際には大和駅下りホームにいた際、ホームの列車案内表示装置に「通過」の2文字が…

大和駅も昔は特急停車駅ではなかったとはいえ、今日では同駅を通る定期旅客列車は全て停車していますので、イレギュラーな列車が通過する事は想像できましたが、最初は試運転列車でも走っているのだろう…と思ったものでした。

その際には同行していた知人と「まさかテクノインスペクターでは…」と冗談半分に話していたのですが、通過した列車は本当にテクノインスペクターを従えた1000形で、事前に運行情報を仕入れていなかった事もあって、いきなりその姿を見た時は随分驚いたものでした。

そんな事もあってこの日は江ノ島線内の何処かの駅で降りて、そこから線に乗り換えて横浜辺りにでも…と思っていた予定を急遽変更し、下り列車で通過したテクノインスペクターを追いかけたのですが、江ノ島線下り列車で終点・片瀬江ノ島駅に到着すると、テクノインスペクターは4番線に停車しており、その様子を観察する事が出来ましたので、少々取り上げたいと思います。

「テクノインスペクター(TECHNO-INSPECTOR)」とは何?と思われる方も居られるかと思いますが、正式には「クヤ31形」と呼ばれる軌道検測と架線検測の機能を備えた総合検測車で、2003年に製造された事もあってか、外見は同時期に製造された通勤型車両・3000形によく似ています。

小田急に搬入されてまもない同年10月の「ファミリー鉄道展」では、まだテクノインスペクターという名称も決まっておらず、ほぼ無塗装状態の姿で公開されています。

MAKIKYUもこの姿はファミリー鉄道展の会場内で目の当たりにしており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、その姿を実際に目撃した方も居られるかと思います。

その翌年に小田急の通勤車両とほぼ同等といえるブルーの帯を纏い、名称確定と共にテクノインスペクターのロゴが付いて本格的な活躍を始めています。

クヤ31形自体は形式の通り電動機を装備していない車両で、自力で動けない事もあり、通勤型車両である1000形のクヤ31形連結に対応した特定編成を従えて検測を行っていますが、先日目撃した際は4両編成の1051Fを従えての運行でした。
(他に6両ワイドドア車の1751F・1752Fもクヤ31形連結に対応しています)

この1000形を従えたクヤ31形は、MAKIKYUも走行中の小田急線列車内などからその姿を目撃する事は何度かあったのですが、非営業列車である上に運行頻度も限られる事(概ね月1回程度は運行している様です)から、停車中に様子を伺う機会は極めて限られています。

そのため月に数回程度は小田急線を利用する機会のあるMAKIKYUも、特にクヤ31形の運行情報を仕入れて…という訳ではなかった事もあって、MAKIKYUがその姿をしっかりと観察できたのは、搬入直後の「ファミリー鉄道展」以来という有様でした。

一般車両とは大きく異なるクヤ31形の様子は、一般客からも注目の的となっており、その時丁度1番線に発車待ちで停車していた特急ロマンスカーの乗客も変った車両が…という事で注目していたのが印象的でした。

ちなみにMAKIKYUがクヤ31形(テクノインスペクター)を観察した際には、ホームに停車中という事もあって、下回りの様子こそ伺えないものの、車内の様子も伺ったのですが、2箇所だけある窓はカーテンが閉められ、その様子はドア付近など僅かしか伺えなかったのは少々残念に感じたものでした。
(車両の性質を考えれば、僅かに様子を伺えるだけでも上等過ぎるのですが…)

ドア付近の様子を伺った限りでは、車内に入った途端に床が1段高くなっており、ドアが開くとステップもなく1段高くなった床が現れるのは、少なくとも日本国内の営業用車両としては考えられず、検測用車両という特殊性が伺えます。

外見が3000形電車とよく似たドア自体も、検測車両でありながらも一応化粧板張りとなっていたのは意外に感じたもの(最近首都圏ではコストダウンのため、客ドアの化粧板を省略して金属地剥き出しとした簡素な印象を受ける車両も多い状況ですので…)です。

ただ検測用車両で内装は凝ったものとする必要が全くない事もあり、化粧板はアイボリー無地の様に見受けられ、その簡素な内装はJRの東北地区で多数が活躍し、交流電化区間のみで運用されるワンマン運転対応の通勤型電車を連想させられたものです。

冷房装置は外観が比較的近年引退した(旧)4000形を連想させられるもの(転用品?)を搭載していますが、車内もこの空調装置の部分だけ(旧)4000形の冷房改造後の如く、船底形に出っ張っているのも特徴です。

運転台とは逆側にあるパンタグラフも、走行用の電力を得るためではなく、架線検測用とはいえ、下枠交差形のひし形となっており、小田急では通勤車両は古い車両で車齢30年を超え、古参の部類に入る5000形ですらシングルアーム形になっている事(ロマンスカーもシングルアーム式を装備した車両が主流です)を考えると、この冷房装置やパンタグラフや様は、比較的新型の部類に入る3000形に類似した印象の車両らしくない…と感じたものです。

車両端部に目を向けると、こちらは3000形によく似た非貫通構造の先頭部とは異なり、貫通路が設けられているのが特徴で、ここには幌の装備はないものの、前面中央に貫通路が設けられている2000形までの小田急通勤車各形式の如く、扉脇に手すりが設けられています。

さすがに走行中は無理かと思いますが、停車中であれば車外へ降りなくてもクヤ31形と1000形の間を行き来する事も可能となっており、駅ホーム停車中の事を考慮してか、クヤ31の連結面には転落防止の外幌が設けられている事も特徴です。

またクヤ31形は専ら検測用途に用いられ、旅客を乗せて走る事はまず考えられない事から、行先を表示する必要も当然生じませんが、前面は3000形とほぼ同等の形状となっている事から、「検測」の2文字が固定表示され、それもLEDではないものの、3色LED風となっているのも特徴的です。

そして側面も行先表示器こそないものの、3色LED風の「検測」表示ステッカーが貼られており、この様は最近のKATO製Nゲージ鉄道模型(全てではありませんが…)を連想してしまったものです。

このクヤ31形・テクノインスペクターは主に週末に運行される様で、こんな車両が白昼堂々と走る姿は非常に特徴的ですが、ダイヤはある程度決まっている様で、江ノ島線に入線した際には、終点の片瀬江ノ島駅で結構長い時間停車する事多い様です。

テクノインスペクターの走る姿には、余程運用情報などを丹念に調べていない限りは、なかなか遭遇できないものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も運良く遭遇する機会がありましたら、是非特徴的なこの車両の様子を観察してみては如何でしょうか?

それと他社の検測車両も、MAKIKYUはJRのキヤ141形とすれ違った事などがあるものの、停車中の様子を存分に観察する機会はなかなかないもので、機会があれば他社の検測車両を観察する機会も…と思ったものでした。