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JR北海道 733系1000番台「はこだてライナー」~新幹線接続列車用の新型電車

2016-07-05 | 鉄道[北海道]

先月「MAKIKYUのページ」では今春新装開業した北海道新幹線と、同新幹線の終着駅・新函館北斗駅に関して取り上げましたが、新函館北斗駅は函館の市街地からはやや離れた所に位置しています。

新函館北斗駅開業に合わせ、函館市内との間を結ぶ新たなバス路線も複数開設されていますが、新幹線開業前から在来線が通っていた所ですので、「はこだてライナー」と称するシャトル列車を運行しており、函館市内~新函館北斗間のメインアクセスとなっています。

函館地区の在来線は青函トンネル開業に合わせて電化された江差線(現在は道南いさりび鉄道に移管)関連以外は非電化区間、ローカル輸送に関しては電化区間も含めて全て気動車による運行で、それも近年は国鉄時代に導入され、老朽化や陳腐化が問題となっているキハ40系列ばかりと言う状況です。

函館地区で活躍する同系は全車非冷房車という事もあり、さすがに新幹線接続列車で同系を多用するのは…という事もあってか、「はこだてライナー」用に車両新造を行っています。


「はこだてライナー」用の新造車両は札幌地区で多数活躍している733系電車とほぼ同様の車両ですが、若干の差異が存在する事もあり、1000番台を名乗っており、3両4編成(合計12両)が導入されています。

「はこだてライナー」運行区間は、五稜郭~新函館北斗(旧渡島大野)間が元々非電化区間だった事もあり、この区間は同系運行のためにわざわざ電化しており、3両4編成だけの電車運行のために電化する必要があるか否かと言うと、費用対効果の面では疑問に感じます。
(道央地区で持て余し気味の印象があり、電車並の性能を誇る通勤型気動車・キハ201系は3両4編成の在籍ですので、これを函館地区に転用しても良かったのでは…と感じた位です)

元が733系という事もあり、札幌圏でも既に何度か同系に乗車しているMAKIKYUとしては、見た目も帯色と「はこだてライナー」ロゴ以外は大差ない車両と感じましたが、外観だけでなく内装も若干異なっています。


車内もuシート以外の733系各車両と同様のオールロングシートですが、客ドアは内側が他形式も含め札幌圏のJR北海道で活躍する電車でお馴染みの黄色の蛍光色ではなく、レンガをイメージした赤系となっているのが大きな特徴です。

ドア周辺部分を木目調としており、札幌圏でお馴染みの733系ながらも、やや温かみを感じられる内装となっているのも特徴で、車内の色彩に関しては、個人的には1000番台の方が好みと感じましたが、この辺りは評価が分かれる所かと思います。

札幌圏の733系や一般形の他形式電車各形式と同様に自動放送装置も装備、JR北海道では札幌圏や特急でお馴染みの日英2か国語放送、日本語の男声は「北海道の列車に乗っている」という事を実感させる雰囲気でしたが、各駅到着時の放送で「出口は左(右)側」ではなく「ホームは左(右)側」と案内しているのは印象的でした。

 
また「はこだてライナー」は普通と快速の2種別が存在、どちらもフルカラーLEDを用いた行先表示では「はこだてライナー」の名称が表示されますが、札幌圏とは異なる様式となっているのも注目で、快速は桔梗・大中山・七飯の3駅が通過駅となっています。

七飯はともかく、残り2駅に通勤型電車が発着する姿は、以前の様子を知る身としてはかなり違和感があり、走行音も静かな新型電車でこれらの駅を通ると、キハ40系列の気動車で通った際とは随分印象が異なるとも感じたものでした。


ただ新幹線開業に合わせて「はこだてライナー」運行区間を電化し、新型車両を導入すると共に、函館駅などの物販店舗では「Kitaca」などの全国交通系ICカードを電子マネーとして利用できる旨を盛んに宣伝しているにも関わらず、この案内看板の右下には小さく「※函館地区ではKitaca・Suicaを乗車券としてはご利用頂けません」と出ているのは片手落ちの感があり、せめて函館駅と新函館北斗駅の自動券売機程度は全国交通系ICカード対応にしても良いのでは…と感じたものでした。
(他社のカード通用においては、関西私鉄のスルッとKANSAIカード各種で近鉄は青山町以西のみ対応エリアと謳っていながらも、一部の券売機に関しては名古屋などで使えると言った事例もありますので…)


北海道新幹線・新規開業区間と新函館北斗駅~大規模インフラを有効活用するには…

2016-06-27 | 鉄道[北海道]

今年春は今まで地震の少ない土地と言われていた熊本で大規模な地震が頻発、またこれに加えて今月に入ってから豪雨による土砂災害も発生、同県山間部の阿蘇山周辺は非常に危険な状態の箇所が幾つも…という状況で、この事は盛んに報じられていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もご存知かと思います。

九州だけでなく逆方向の北海道でも、今月函館市内やその周辺地域で震度6弱と言う大きな地震が発生しており、これでは日本中どこに居ても地震頻発なのか…と感じる程ですが、函館周辺は地震発生前の先月に足を運ぶ機会がありました。

その際は今春開業したばかりの北海道新幹線にも乗車しましたが、諸問題を抱えてのスタートに加え、青函トンネルと言う特殊区間を走行する事もあり、「低速で割高」と騒がれる事も少なくない状況です。

しかしながら首都圏~新函館北斗間が乗換なしで約4時間、新函館北斗駅で在来線特急に乗継で札幌などへ向かう場合も、新幹線開業前に比べて所要時間が短縮されただけでなく、運転本数増大など利便性が向上したと感じられるのは嬉しい限りです。


車両面では
JR北海道所属車両として、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げたH5系(既公開画像で使用した画像の再掲です)が導入されているものの、大半は既存の東北新幹線車両・E5系が新青森以北まで延伸運転しているだけですので、新鮮味には乏しい印象があります。


ただ青函トンネル内やその前後の貨物列車と共用となる区間では、フル規格新幹線では初の標準軌・狭軌共用3線軌道となっており、貨客混在の高速鉄道路線も日本国内では初となりますので、この点は他の新幹線では見られない北海道新幹線ならではの特色とも言えます。


今春に開業した新青森~新函館北斗間では、途中駅として本州側・北海道側に各
1(奥津軽いまべつ・木古内)が設けられ、両駅は共に一部列車のみ停車となっていますが、奥津軽いまべつ駅は1日の停車本数が7往復のみとなっています。


新幹線の閑散駅としては、
MAKIKYUは以前北陸新幹線の安中榛名駅を利用した事が1度だけありますが、奥津軽いまべつ駅は停車列車本数に加え、新青森以北のJR北海道区間は特急料金が新青森以南と別料金になる料金体系も災いし、安中榛名駅をも超える存在になってしまうのでは…とも感じたものでした。

これに比べると木古内駅の方がまだ利用は見込めそうなものの、こちらも芳しいとは言い難い状況と感じ、沿線途中駅周辺が人口希薄な地域である事を考慮すると、本州~北海道の流動を如何にして新幹線に取り込むかが大きな課題かと思います。


また現在の北海道新幹線終点駅・新函館北斗駅は、函館本線の渡島大野駅を改称し、新幹線の函館方ターミナルとして整備した駅で、駅周辺には新幹線車両の整備基地も設けられています。


新幹線ホームは
22線ですが、現在到着ホームとして利用している12番線脇にもう1線増設可能な構造となっており、出発ホームとなっている11番線は、在来線の一部ホームと上下移動せずに移動できる構造となっています。


新幹線在来線の乗継では、必然的に階段などで上下移動を迫られる構造ですが、在来線新幹線の乗継では、函館からのシャトル列車(はこだてライナー)・札幌方面からの特急(スーパー北斗・北斗)などからの乗継のどちらも、新幹線連絡改札と平面移動可能なホームに入線させる事で、基本的に上下移動なしで乗継可能となっています。

 
新幹線新駅に近接している在来線駅の中には、接続路線がローカル線だとホーム1本の無人駅と言う事例も幾つかありますが、新函館北斗駅は以前の渡島大野駅時代とは大きく様変わりし、駅舎も新幹線と在来線特急の乗継拠点、そして函館の新たな玄関口として整備した事を実感させられる雰囲気となっています。


ただ函館の市街中心部からは10㎞以上離れている事もあり、駅前の整備などはまだまだこれから、駅構内の物販店舗も新幹線駅にしては最小限という印象を受けたものです。

北海道新幹線という大きなインフラを有効に活用するためには、今後の周辺環境整備も課題の一つで、現在の新函館北斗駅は在来線に乗り継いで函館駅か札幌など道央方面へ移動する際の乗継駅的性質が極めて強い状況と感じたものでした。

ちなみに函館~新函館北斗間では新幹線開業と同時にシャトル列車「はこだてライナー」が運行開始しており、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


札幌市交通局 A1200形電車「ポラリス」~市内電車で活躍する新型低床車両

2016-03-26 | 鉄道[北海道]

今日新青森~新函館北斗間を結ぶ「北海道新幹線」が予定通り開業、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には早速…という方も居られるかと思います。

青函トンネルと言う特殊区間を通過、新青森以遠は運営事業者が異なる事なども災いし、速達性などは芳しくない状況ながらも、運賃・料金面で割高感が否めない状況はやや難ありと感じています。

それでも「近くて遠い北の大地」が幾分近くなり、首都圏~北海道内各地間を鉄道で移動する際の利便性が向上した事は、大いに評価できる所かと思います。
(東京~札幌は東京~福岡と距離的にはほぼ互角ですが、心理的な距離は新幹線1本で行ける福岡の方が遥かに近く、北海道新幹線が新函館北斗まで開業した今日においても、心理的には福岡どころか鹿児島よりも札幌の方が遠いと感じる位です)

北の大地・北海道では華々しく開業した北海道新幹線と、北海道新幹線開業に伴って江差線が経営分離され、第3セクターとして再出発した「道南いさりび鉄道」の開業が注目されていますが、これ以外に昨年末に開業した札幌市交通局の市内電車(札幌市電)「都心線」もMAKIKYUはまだ乗車していない状況です。

都心線は以前市内電車が運行していた区間の「復活」ですので、厳密には「新線開業」とは言い難い面もありますが、路面電車の廃線区間が短距離ながらも復活したのは、国内で異例とも言えます。

この「復活」では単に廃線区間に軌道を再敷設したのではなく、サイドリザベーション方式を採用している事に加え、従来は西4丁目~すすきの間をC字型に運行していた運行形態から、内回り・外回りそれぞれで循環運行する形態に変化したのも大きな特徴で、復活した区間は短い距離ながらも、札幌市電は随分様相が変わったのでは…と感じます。

現在は循環路線1本(厳密には区間によって路線名が分かれており、名目上は複数路線が存在)のみとなっていますが、車両面でも古参の単車が主体ながら、2013年には超低床連接車も導入され、この車両にも一度だけ乗車した事があります。


この新型超低床連接車は「A1200形」という形式で、札幌市電の現存車両では唯一の4桁車番を冠する車両になっており、「ポラリス」という名称が付けられています。

市内電車の連接車が久々に復活した事も注目で、この車両が都心線区間を走る様などは、最盛期の勢いには程遠いながらも、路面電車が見直されてきた証と言っても過言ではないと思いますが、それ以外にも最新型車両だけに、今までの札幌市電にはない要素も多数取り入れられています。

ただその中の一つが「冷房装置」というのは日本国内では異例で、今後従来車両の冷房化改造にも期待したいものですが、この車両よりも後に登場した地下鉄用新型車(東豊線9000系)は未だに全車非冷房車ですので、冷房装置装備自体が札幌市交通局は様子見状態なのか…という雰囲気も感じます。


それ以外の札幌市電初となる要素も、国内各地で活躍する超低床連接車では一般的な仕様となっている部分が多いのでは…と感じましたが、最新型車両ながらも運転席を見ると現在主流のワンハンドルタイプではなく、従来車と雰囲気的に近いツーハンドル式になっているのも注目と感じたものでした。


ツーハンドル式を採用したのは、札幌と言う酷寒地ならではの特殊性も起因していると思われ、他に内装も北の大地を走る車両ならではの仕上がりになっている部分も…と感じたものでしたが、これに加えて低床電車では必然的に問題となる段差部分の座席を「展望席」と案内し、難点を逆手に取った取り組みもユニークと感じたものでした。

少し近くなったとは言え、まだまだ遠い土地という印象が強い北の大地・北海道だけあり、乗車するだけでも少々難儀すると感じる路線ですが、機会があれば是非一度札幌市電の都心線にも…と思っています。

その際には事情が許すなら今日開業した北海道新幹線と、新函館北斗駅で接続する在来線特急「スーパー北斗」を乗継利用できれば…とも感じています。
(状況次第では往復鉄道ではなく、片道フェリーでの移動なども悪くないと思っていますが、千歳線で昼間毎時4本程度運行している快速列車の名称と関連する所は、利用せずに済むのが一番と感じています)

また北海道新幹線は近年在来線各線でトラブルが相次ぎ、厳しい経営環境にあるJR北海道の運営路線であるが故の心配などもありますが、大きなトラブルなどなく安定運行が実現し、北の大地への新たな足として定着する事を願いたいものです。

(この記事に関するコメントは札幌市電都心線だけに限らず、冒頭で触れた北海道新幹線関連も歓迎です)


JR北海道・くしろ湿原ノロッコ号~昨年は川湯温泉まで延長運転も…

2013-10-17 | 鉄道[北海道]

今年MAKIKYUは本州内の他に、九州や四国へも複数回足を運び、唯一の未踏県だった沖縄にも足を踏み入れる事で、晴れて国内47都道府県訪問を達成していますが、その一方で海外と共に、北の大地・北海道へはまだ足を運んでいない状況です。

今年もあと2ヶ月少々、北の大地はこれから寒くなってくる時期で、今年は例年よりもかなり早い初雪が報じられると共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もご存知かと思いますが、遠方で足を運び難い土地(距離的には同レベルでも、新幹線1本で行ける九州等は、時間・旅費の両面でもっと手頃に足を運べるのですが…)である上に、JRを巡る諸問題などもあり、今年は未踏の一年になる可能性が高そうです。

しかしながら丁度1年前、MAKIKYUは知人訪問を兼ねて北の大地に足を運んでおり、まだその時に乗車した列車などを取り上げきれず…という状況ですので、昨年乗車した列車の一つ、くしろ湿原ノロッコ号を取り上げたいと思います。

ノロッコとは、「鈍い」「トロッコ」を掛け合わせたJR北海道の造語で、道内を走る機関車牽引の観光向けトロッコ列車にこの名称が付けられ、名前の通り車窓の良好な区間などで徐行運転を行い、名前の通りわざわざ「鈍い」運行を行っています。

1編成は旭川、もう1編成は釧路に所属、前者は主に富良野線、後者は主に釧網本線で運行しており、前者は随分前に一度乗車する機会がありました。

またMAKIKYUが昨年北の大地を訪問した際には、当初釧網本線に乗車する予定はなかったのですが、根室本線白糠周辺で土砂流入により、白糠周辺が数日間運行休止となり、突然の予定変更を余儀なくされ、これを「災い転じて福と為す」とばかりに、当初予定していなかった釧網本線にも乗車する事になり、その際には釧路のノロッコにも初乗車したものでした。

釧路に所属するノロッコ編成は、主に「くしろ湿原ノロッコ号」として釧路~塘路間という比較的短距離を運行する事が多く、この場合は大抵2往復運転となります。


しかしながら繁忙期以外では、釧網本線の更に北方まで足を伸ばす列車として運行される事もあり、MAKIKYUが昨年釧網本線に乗車した日には、釧路~川湯温泉間で昼間時間帯の定期普通列車を置き換える形で、やや長い時間をかけて1往復運転する運行形態となっていました。

MAKIKYUが網走から釧網本線に乗車した際には、川湯温泉以南で1本後の列車がトロッコ列車となっており、川湯温泉でノロッコに乗車する機会は余り…という事もあり、網走から乗車した釧網本線のワンマン列車を川湯温泉で降り、川湯温泉からトロッコ列車に乗車したものでした。


釧網本線で定期運転を行っている普通・快速列車は、大抵気動車単行のワンマン列車になっていますので、日頃は短い編成ばかりが走る閑散とした川湯温泉駅において、機関車を含めて6両もの編成は非常に長く感じられ、場違いと言っても過言ではない程でした。

通常は1両ワンマン運転を行っている定期列車を置き換えての運転と言う事もあり、川湯温泉始発の時点では車内はガラガラ、車内観察にも絶好の状況でした。

「くしろ湿原ノロッコ号」で使用しているノロッコ客車は、緑色を基調とした装いとなっており、富良野線などで活躍するノロッコと同様に車端に制御客車を連結し、機関車の付け替えなしで運行可能な形態となっています。

制御客車の前面は、最近電化→電車化で随分数を減らしたものの、JR北海道名物とも言えるPDC改造車(客車→気動車化)を連想させる印象があります。


この一見すると動力なし気動車の様な雰囲気の制御客車は、存在自体が国内の鉄道車両では異色の存在ですが、コンパクトにまとめられた運転台を見ると、通常の気動車などとはマスコン形状が大きく異なり、ノッチがかなり細かくなっている辺りは、機関車の制御を行う車両ならではと感じます。

他の客車も種車は全て50系(51形)、牽引/推進運転を行うディーゼル機関車も客車と合わせた装いになっていますので、編成美という観点では、富良野線などで活躍するノロッコ客車よりも、こちらに軍配が上がる気がします。

客室設備面では、荒天時などに備えた控車が機関車次位に1両連結されており、他は制御客車も含め、観光列車ならではのトロッコ車両となっています。


機関車次位に連結される1両は、設備的には国鉄から継承し、現在の道内ローカル輸送の主力となっているキハ40系列と大差ないグレードで、座席モケットも国鉄標準の紺色1色であるなど、到底観光向けの車両とは言い難い雰囲気を受けます。


車体色からレッドトレインとも呼ばれた50系列客車は、車齢こそさほど古くなくとも多数が早期引退を余儀なくされ、残存車が極めて少数ですので、幾つかの改造点が見受けられるとは言えども、50系客車の乗り心地や雰囲気を堪能できる車両と言う意味では、トロッコ車の陰に隠れた脇役的存在ながらも、この控車は希少な存在と言えます。


この1両以外は全てトロッコ客車、取り外し可能な大きな窓などは如何にも観光列車ならではと言えますが、座席は硬い木製となっており、釧路~塘路間の短距離運行程度であれば充分な設備ですが、釧路~川湯温泉間をずっと座り続けるとなれば、少々難有りと感じるかもしれません。

MAKIKYUが乗車した際には、トロッコ車両の一部車両が要指定料金の「指定席」となっていたものの、MAKIKYUは指定席券は購入せず、自由席となっているトロッコ客車の方に乗車したものでした。

始発の川湯温泉出発時点では、通常運行しているワンマン列車は専ら1両編成、これをノロッコ運行に伴い、自由席車だけでも複数両の編成に置き換えているだけあり、指定席券を買わずとも座席確保は余裕と言う状況でした。

通常運行区間よりも北へ伸びている区間では、定期普通列車を置き換えての運行となっている事もあり、途中駅での乗降もボチボチ見受けられる状況でしたが、長編成を持て余している雰囲気を感じたものでした。


目玉の釧路湿原を走る区間やその周辺ではタンチョウの姿も見受けられ、車窓も観光列車が設定される区間ならでは…と感じます。

一方「くしろ湿原ノロッコ」号の主運行区間となっている塘路まで来ると、旅行会社の団体ツアー客が数十人単位でゾロゾロ、自由席車はローカル線らしからぬ「満員列車」となり、長編成の威力を存分に発揮する状況でした。

この様な状況では、今年の「くしろ湿原ノロッコ」号が川湯温泉延長運転ではなく、釧路~塘路間2往復運行となるのは当然で、塘路以遠への乗客数の少なさも踏まえると、昼間時間帯の一部列車などは塘路乗換え(塘路以北はワンマン列車・塘路以南は自由席設定のノロッコ編成運行)になっても不思議ではないと感じる程でした。

JR北海道では車両不具合による特急の相次ぐ運休、そして来月には車両整備間合い確保や消耗頻度減少のために、一部特急列車の運行本数削減・最高速度引き下げといった「消極的ダイヤ改正」も実施されます。

この対象列車では道民の移動手段としての輸送確保だけでも精一杯、とても遠方からの旅客利用増を見込む事は…という状況ですので、ただでさえ利用減・経営難に苦しむJR北海道の現状打開策は…と感じます。

とはいえ都市圏輸送と共に数少ない盛況列車でもある「くしろ湿原ノロッコ」号は、観光面で注目の列車であると共に、趣味的にも非常に興味深い列車ですので、今後どの様な運行形態で走るにしても、釧路地区の看板列車として末永く活躍する事を願うと共に、最近多発している数々のトラブルを解決し、また列車で北の大地を…と思える日が訪れる事を願うばかりです。


JR北海道・秋の南富良野ノロッコ号~この列車への乗車機会はなかったものの…

2012-12-17 | 鉄道[北海道]

先日「MAKIKYUのページ」では、日本一長い定期普通列車として知られる根室本線・滝川→釧路間を運行する2429Dに関して取り上げましたが、根室本線富良野からの下り(新得方面)は、通常ワンマン運転の普通・快速列車のみの運行で列車本数も限られ、現状では本線とは名ばかりの非常に乗り難い区間となっています。

MAKIKYUもJR北海道の現行旅客営業線区では最後まで未乗区間として残存した程でしたが、MAKIKYUが2ヶ月程前に札幌→富良野間で乗車した臨時特急「フラノ紅葉エクスプレス」に乗車した日には、2429Dの後に根室本線下り方面臨時列車が一本設定されていました。

この臨時列車が「秋の南富良野ノロッコ号」で、特別料金不要(一部指定席車で、この車両に乗車する場合は座席指定券が別途必要)な列車ながらも、「ノロッコ」という名前の通り非常に鈍足な列車です。

種熱は一応快速で途中停車駅こそ限られるものの、「快速」という種別とは裏腹に足の鈍さは各駅停車の普通ワンマン列車以下と言う有様、専ら列車旅を楽しむ客層のために設定された観光列車と言えます。


運行区間は旭川~新得間(富良野経由)ながらも、側面サボは「旭川⇔幾寅・新得」と表示しているのも特徴で、自由席/指定席の車両種別を示すサボが英語表記に加え、韓国語表記も見られる辺りも、観光列車ならではという雰囲気があります。


使用車両も今時の日本国内では希少な客車列車となっており、それだけでも充分注目に値する存在ですが、車端の客車は運転台付きの制御車になっており、機関車が最後尾に連結された状態でも運転可能になっているのも大きな特徴です。


ヨーロッパなどではこの手の客車列車は当り前の様に存在している様ですが、日本の旅客営業列車では非常に珍しい形態と言え、客車は比較的地味な印象を受ける茶色一色の装いなのに対し、牽引/推進運転を行うディーゼル機関車だけ比較的派手な印象を受ける緑系の装いとなっているのも特徴的です。

MAKIKYUは富良野から旭川方面へ向かう列車に乗車するため、残念ながら「秋の南富良野ノロッコ号」には乗車していないのですが、過去に一度富良野線内の臨時列車で乗車した事があります。


10月に富良野駅でこの列車に遭遇した際にも、富良野駅での停車時間がやや長めに確保されている事もあり、停車中の車内に足を踏み入れ、車内の様子を観察する機会があったのですが、「ノロッコ」と名乗るだけあってトロッコ車両に改造された車両を用いており、大きな窓や木製座席などは如何にも観光列車ならではと言う雰囲気を受けます。


「秋の南富良野ノロッコ号」に充当されている車両は、一般型客車からの改造車だけでなく、貨車からの改造車も含まれており、こちらは車長が随分短く見た目も不揃いな上に、こんな車両に乗車する機会はそう滅多にありませんので、この車両を選んで乗れる状況であるなら是非…と感じるものです。

またMAKIKYUは10月の北海道訪問時には、「秋の南富良野ノロッコ号」にこそ乗車機会がなかったものの、突然の予定変更のお陰で当初乗車予定のなかった同種列車に乗車する機会にも恵まれ、この列車に関しても近日中に追って取り上げたいと思います。


日本一長い定期普通列車・2429D~見た目はレトロな印象を演出しているものの…

2012-12-14 | 鉄道[北海道]


先日「MAKIKYUのページ」では、「フラノ紅葉エクスプレス」に充当されたキハ183系5000番台「ニセコエクスプレス」に関して取り上げましたが、2ヶ月程前に同列車に乗車した際、終点の富良野駅で接続する根室本線下りの普通列車は、現在「日本一長い距離を走る定期普通列車」としても知られ、滝川→釧路間を運行する2429Dでした。


この列車は休日などにはわざわざ国鉄時代の塗装(朱一色)にリバイバルした車両を優先的に充当しており、側面行先表示も釧路の行先だけでなく、「日本一長い距離を走る定期旅客列車2429D」と記した専用サボを用い、全区間乗車した乗客には、釧路駅で乗車証明書も出しているなど、JR北海道もこの列車には結構力を入れていると感じさせられます。

MAKIKYUは北見へ向かう予定があり、ましてMAKIKYUが富良野へ足を運んだ際には、白糠付近で発生した集中豪雨による土砂流入の影響などで、この列車は偽釧路行(帯広で運転打ち切り)という有様でした。
(MAKIKYUもこの土砂流入による運休発生により、北海道入りした後に急遽予定の一部を差し替えたものでした)

そのため残念ながら乗車していませんが、こんな列車に全区間乗り続けたら、それだけで一日を費やしてしまい、現在仕事持ちの身としては、この列車に全区間乗り通しはとても…と感じてしまいます。
(一応根室本線は滝川~富良野間を除くと、MAKIKYUも普通・快速列車での乗車歴自体はあるのですが…)

またMAKIKYUが富良野から乗り継いだ列車は、2429Dの隣に停車中の車両(富良野線・旭川行ワンマン列車)でしたが、レトロな雰囲気を演出している2429Dも、比較的新しめの印象を受けるJR発足後に導入された車両と並んでいる様は、国鉄ではなく21世紀の光景と感じさせられます。

2429D自体も貫通路上の種別表示部分に「ワンマン」表示を出している姿は、国鉄ではなくJRの列車と言う印象を受け、まして充当車両自体も見た目こそ古い印象で、車内も改装していない非冷房車とはいえども、エンジン換装車となると、乗車した際の印象も…といった所です。

とはいえ近年続々とエンジン換装を行っている=まだまだ走り続ける証と言っても過言ではなく、この様な光景があとどれ程の間見られるのか気になるものです。


JR北海道 キハ183系5000番台「フラノ紅葉エクスプレス」

2012-12-11 | 鉄道[北海道]

先日「MAKIKYUのページ」では、オレンジカード発売終了に関する記事を公開しましたが、その際に掲載した2枚のカードは、共にキハ183系気動車を図柄を用いたものになっています。

北海道の鉄道事情に詳しい方であれば、2枚のカード図柄に用いられているキハ183系気動車は、一世代前の北海道における特急型気動車の主力車両であると共に、その中でも異端者的存在と言え、専ら臨時列車などに用いられる「リゾート気動車」である事もご存知かと思います。

現在JR北海道の「リゾート気動車」は写真の2車種(ニセコエクスプレス・ノースレインボーエクスプレス)と、クリスタルエクスプレス トマム&サホロの3編成が活躍しています。

MAKIKYUは随分前にクリスタルエクスプレスには乗車した事があるのですが、道外在住のMAKIKYUにとっては、各編成とも乗り難い存在で、残りの2編成は…という状況でした。

しかしながら2ヶ月ほど前に北海道を訪問した際には、札幌→北見間を移動する日に、丁度札幌~富良野間で「フラノ紅葉エクスプレス」と呼ばれる臨時特急が設定されており、MAKIKYUはこの時周遊きっぷのゾーン券(指定区間内の特急自由席が、有効期間内は乗り放題)を所持していました。

この列車には「ニセコエクスプレス」が充当され、自由席も1両設定されている上に、時間的にも丁度良く、札幌を少し早く出れば少々大回りして富良野まで乗車しても、予定時刻に北見へたどり着く事が…という状況でした。

なかなか乗車機会のない車両に、周遊きっぷのゾーン券で乗車できるのなら…という事で、札幌~富良野の全区間で「フラノ紅葉エクスプレス」に乗車したものでしたが、この車両は一時期派手なラッピング(オレンジカードの図柄参照)が施されていました。


近年この派手なラッピングが剥がされ、ラッピング施工以前の姿に戻っており、個人的には登場時や現行の装いの方が…と感じていますが、道内球団ファンの方などは惜しがる方も居られる様で、どちらの姿が良いかは好みが分かれる様です。

また「ニセコエクスプレス」は、下回りこそ道内各地でゴロゴロしているキハ183系気動車の
定期特急用車両と大差ないものの、車体形状や車内設備などが大きく異なる事から、5000番台として番台区分されています。

車両自体が奇抜で目立つ存在と言う事もあってか、車外に行先表示器類の設置が見受けられないのも大きな特徴で、それどころかサボ受けも…という有様ですので、「フラノ紅葉エクスプレス」充当時には、同列車名と運行区間を示すステッカーをドア部分などに貼り付ける事で対応しており、如何にもイレギュラーな臨時列車と言う感を受けたものでした。


プラグドアを用いており、外観は真っ赤に塗られている事も特徴的なドアから車内に足を踏み入れると、客ドアは内側も黄色に塗られており、JR北海道で近年増殖を続ける「通勤型電車」を連想させる雰囲気を感じます。

客室内に足を踏み入れると、3両全てが平屋の普通車で、個室や展望席、フリースペースの類も設置されていないなど、リゾート気動車にしては大人しい車両ながらも、天井や荷棚形状などは奇抜な印象を受けます。


座席自体は定期列車として運行している車両の特急普通車と大差ないレベルながらも、登場から20年以上が経過した車両だけあり、少々草臥れた印象を受けたものです。

やや軟らかめに感じた座席は、1時間以上座り続けていると、個人的には最新車両に比べると見劣りが否めないと感じてしまったものです。
(座席の座り心地に関する印象は個人差が大きく、最近主流になっている固めの座席よりも…という意見もあるかと思います)

またJR北海道では数年前に発生した踏切事故などが影響し、先頭部に展望席を装備した「クリスタルエクスプレス」で、この区画の座席を撤去して立入禁止にしている様です。

最近主流を占めている高運転台構造の車両においても、中間に連結した際には貫通路を構成する通路になる部分が、以前は先頭車として運行している際に開放され、最前部からの展望を楽しめたものの、現在は先頭車として運行する際には立入禁止になっているなど、道内では前面展望を楽しめる特急車両が激減しています。

そんな状況でも「ニセコエクスプレス」の場合は、先頭車の窓ガラスが大きく取られ、乗務員室背後の座席からの展望性は抜群です。


MAKIKYUが乗車した際は、富良野行きの自由席設定車両が最後尾車両だった事もあり、前面展望を楽しむ事は…という状況だったものの、運行区間や乗車車両次第では、道内では現在少数派になっている「前面展望を楽しめる優等車両」である事は、経年で多少草臥れた感があるとは言っても、「ニセコエクスプレス」の大きなウリと感じたものです。

道内で多数が活躍するキハ183系は、既に廃車車両も続出していますが、製造年次が多岐に跨る上に、更新工事施行車などで座席交換が行われている車両も多く、同一列車・編成でも車両によって当り外れが…という事が当り前の状況です。

「ニセコエクスプレス」の客室設備は、キハ183系普通車では「並」レベルと言った印象を受けたもので、今後も臨時特急や、定期特急列車の代走などで登板するのであれば、まずまずといった気がします。

とはいえJR北海道では、近年定期特急列車の指定席車において座席交換を進めており、現在も主に自由席車で使用しているタイプの座席は、相当な余剰品が発生しているかと思います。

ニセコエクスプレスを今後も暫く走らせ続ける見込みで、余剰品が発生している座席を廃棄せずに保管しているのであれば、ニセコエクスプレスの座席交換に充てても…と感じてしまったものです。

またJR北海道のリゾート気動車では最も新しい「ノースレインボーエクスプレス」(それでも製造から20年が経過していますが…)は、MAKIKYUはまだ乗車した事がありませんが、機会があればこちらも是非一度は…と感じたものです。


JR北海道 735系電車~如何にも試作車的なアルミ製車両

2012-10-31 | 鉄道[北海道]

今月MAKIKYUが北海道へ足を運んだ際には、先日取り上げた733系電車には是非一度…と思っていたのですが、その他に少し前に導入されたものの、耐寒試験などに供されて暫く営業運用されていなかった735系電車も、今年に入ってから営業運転に充当される様になっています。

735系は酷寒の北の大地でアルミ製車体を採用した車両の運用実績がなく、今後の導入可否を担うために導入された試作車両で、試作車両と言う宿命もあってか、現段階では3両2編成(6両)のみの導入に留まっています。

JR北海道の札幌圏における電車運用区間は、首都圏や京阪神などに比べれば遥かに小規模とはいえども、そこそこの規模を誇っており、結構な数の電車が運用されていますので、その中で偶然735系に遭遇する確率はかなり低いものです。


せめてその姿を目撃する事が出来れば上等と考えていたのですが、札幌から岩見沢へ向かう途中、途中の江別止まりの電車に乗車し、終点の江別で乗っていた電車を降りて次発の電車に乗り換えて…と思っていたら、反対ホームに735系電車の姿を目撃した際には、札幌で後発の岩見沢行きまで待たず、江別へ先回りした甲斐が…と感じたものでした。

その数日後には、写真撮影こそ適さない夜間帯だったものの、姿を見るだけでなく実際に乗車する事もできました。

キハ201系との併結による電車・気動車協調運転に対応していない事をはじめ、車体断面やステップを廃した客ドア、LEDを採用した種別・行先表示と言った特徴などは、学園都市線電化に合わせて導入された733系と共通しますが、内装や客室設備などは731系に最小限度の設計変更を加え、メーカー(日立)の標準仕様を取り入れた感を受けたものです。


そのため座席は片持ち式ではなく座り心地も731系レベル、モケットも酷寒の北の大地にしては…という雰囲気があり、座り心地の芳しくない折り畳み座席が廃された事と、車体断面の変更で圧迫感がなくなった事は評価に値しますが、733系に比べると見劣りが否めないと感じたものです。


またステップ撤廃による段差解消を謳っていながらも、先頭車は721・731系などと併結運転を行う事を考慮し、貫通路部分の高さをこれらの車両に合わせているのですが、733系では客室~乗務員室間と乗務員室内前方の貫通路先端の2箇所でゆるやかな傾斜を構成しており、他編成と併結した6両編成運用時における貫通路通り抜けの際に、段差が生じない様に配慮されています。


これに対し735系では、注意喚起を促しているとはいえども、JR東日本の交流区間専用で運用される低床一般型電車・E721系の如く、客室~乗務員室間に1段の段差が生じており、この点も733系に比べると見劣りが否めません。

MAKIKYUの知人の中には、735系を大賞賛しており、他形式と併結した6両編成が来た時は、735系を選んで乗車したいと言っている者も居ますが、レアモノ車両と言う意味での価値はあるものの、個人的には乗って嬉しいと感じる車両とは言い難い気がします。

外観も側面は銀色1色、特にロゴなども配されず殺風景な印象が否めず、如何にも試作車的な雰囲気が漂っており、導入発表時は耐寒試験の試作車なら…とも感じたものでしたが、こんな姿で営業運転に供したのはビックリで、敢えて異端車である事をPRしている様にも感じてしまいます。

他形式の様に側面帯を配するか、さもなければJR北海道の特急車でよく見られるドア部分に立ラインでも…と感じてしまいますが、このままの姿で走り続けるのかも気になる所です。

酷寒地におけるアルミ車体の採用は、735系における耐寒試験の結果上は問題ない様ですが、仕様的には731系から733系に移行する間の過渡期に位置する車両という事もあり、733系が多数活躍する今日において、733系よりスペックダウンが否めない現仕様で、今後735系が増備される可能性は極めて低いと思われます。

今後JR北海道において、一般型電車でアルミ製車体を本格採用するか否かは分かりませんが、どちらにしても現在活躍する735系2編成は、異端車になる事はほぼ確実な情勢と思われます。

このまま733系などに紛れて活躍を続けるのか、それとも1両だけの異端車として導入されて暫くは営業運転に供されたものの、後に試験車両に改造されたキハ160系の様な運命を辿ってしまうのかも気になる所ですが、今後の活躍ぶりに注目していきたいものです。


JR北海道 733系電車~幾分「マシ」と感じる新型通勤型電車

2012-10-29 | 鉄道[北海道]

今月MAKIKYUが北の大地・北海道へ足を運んだ際には、6月の札沼線札幌周辺区間(通称学園都市線:桑園~北海道医療大学間)の電化にあわせて導入された新型の通勤型電車・733系にも初めて乗車する機会がありました。

この電車は一世代前の通勤型電車で、札幌圏の普通・区間快速列車の主力となっている731系電車をベースに、時代の流れに合わせた改良を加えた車両で、学園都市線に限らず、札幌圏の電車運用区間全般で運用されています。

片開き3扉デッキなし、収容力重視のオールロングシートで、先頭車前面は特徴的なスタイルの高運転台を採用しており、余り音が聞こえない(防音性に長けている?)電動車や、内側が黄色く塗られた客ドアなども、731系の特徴を踏襲しています。

 
ただ731系とは異なり、731系とほぼ同スタイルで性能的にも近似の通勤型気動車・キハ201系との併結による電車・気動車協調運転には対応していない様で、3両編成単独での運転、もしくは711系を除く各種一般型電車3両と併結した6両編成で運用されています。

行先・種別表示がようやくLED化された事と、ステンレス車体ながらもビードが廃された事などが、731系とは異なる特徴と言えますが、731系導入当時でも既にこの様な仕様の電車は他地域で導入されていた事などを踏まえると、最初から733系レベルの車両を製造できなかったものなのか…と感じてしまいます。


JR北海道の一般型電車ではようやく本格採用となったLEDも、今頃3色LEDでの導入は…と感じ、客室内に足を踏み入れても、次駅や行先の案内はLCDモニターではなく、ドア上に設置されたLED文字案内でのなっている辺りは、最新車両ではなく一世代前の車両と錯覚しそうになります。

とはいえ曲線走行時の車体傾斜を行わない為に、車体断面が台形ではなくなった事で、外見が少し見栄えする様になっただけでなく、車内空間も731系に比べて広く感じられる様になったのは大きな改善点で、客ドア部分のステップ廃止と合わせ、大きく評価できる所です。

座席も通勤型電車だけあって、相変わらず収容力重視のオールロングシートながらも、片持ち式で詰め物の厚みが増しており、731系では中途半端な感が否めなかったドア付近の座り心地が悪い折り畳み式座席も廃されるなど、「某社レンズ付きフィルムによく似た名称」で呼ばれる事が首都圏JRの標準車両において、先代より新鋭車が幾分改善されているのと同レベルの改善が見受けられます。


また内装も731系は「某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多い電車」を意識したとしか思えない安っぽい雰囲気の天井板や、薄暗く酷寒の地には相応しくない印象を受ける座席モケットなどが、幾分見栄えする様になった事は評価できる点で、座席モケットに関しては今後731系においても、取替えの動きが出てこないのか気になる所です。

この733系は気動車(キハ201系)との協調運転が出来ない事と、車椅子対応トイレの空間拡大で、隣接車両からの移動時に通路が狭まり、少々圧迫感を感じる点を除けば、ほぼ全ての面で731系と同等かそれ以上の車両に感じられるのは評価できる所です。

とはいえ快速エアポートをはじめ、普通・区間快速列車での充当も多い転換式クロスシートを装備した721系電車に比べると、1時間以上の長時間乗車になれば、座席や内装などの設備は大きな格差を感じてしまい、空いている時に733系と721系を併結した6両編成が来た時などは、個人的には多少古くても721系の方が…と感じてしまいます。

札幌圏の普通・快速系電車は、旧式の711系とキハ201系気動車併結列車、指定席(uシート)連結列車を除けば、運用上はある程度の互換性があり、列車によっては日によって充当車両が…という事もあります。

また函館本線の札幌を跨いで運転する列車は、札幌を境に東西どちらかだけを快速運転する運転形態をとっており、札幌を跨ぐ郊外相互間の流動に対する配慮という点では…と感じてしまいます。

設備的にはデッキ付き転換式クロスシートの721系の方が、長時間乗車には優位な反面、混雑時のデッキなどは相当悲惨な状況になりますので、733系や731系の様なデッキなしオールロングシートの通勤型電車と721系を上手く使い分けて欲しいものです。

快速系や長距離運行列車(苫小牧行きなど)には主に721系を充当し、一方で手稲や江別などの近距離区間を運行する普通列車には、主に乗降性に優れた通勤型電車を充当するなどの配慮が欲しいもので、特に札幌から小樽・岩見沢・苫小牧などは高速バス(座席定員制:整理券方式運賃後払い)が頻発し、これらの区間の運賃面ではJRが不利な状況に陥っているだけに、今後運用改善の動きが見られないのかも気になる所です。


遂に見納め・JR学園都市線の一般型気動車群

2012-10-26 | 鉄道[北海道]

今月MAKIKYUが北の大地・北海道へ足を運んだ際には、学園都市線と呼ばれる愛称が付けられ、6月に電化した札沼線札幌周辺(桑園~石狩当別間:電化区間はその一駅先の北海道医療大学まで)にも乗車する機会がありました。

6月の電化時には、7割程度の列車が気動車から電車に置き換わったものの、一部列車は電化以前から用いられ、電車並みの設備と性能を誇るキハ201系気動車が充当され、所用車両数の関係でそれ以外の一般型気動車(以下一般型気動車群と記します)も、ダイヤ改正前日となる今日まで暫定的に使用されています。

学園都市線の一般型気動車群は、主に多数の車両が必要となる朝ラッシュ時間帯から昼頃にかけて運用され、他に夕方に1往復の運用が存在しています。

MAKIKYUが札幌駅から学園都市線を利用した際には、丁度夕方1往復の一般型気動車群充当列車に当たり、同線札幌近郊における気動車列車の最後の乗り納めには絶好の機会でした。

学園都市線の列車は最大6両編成で運転され、今時日本国内の優等列車を除く気動車列車では異例の長編成、それも一応都市圏輸送の一端を担うだけに、札幌市内では大半の区間が複線化され、その最大運行本数は1時間で指の数を…という気動車運行路線では破格の輸送量を誇っています。

この非電化路線では破格の輸送量を誇る事が、車両の老朽取替え時期に差し掛かった事とも重なって電化に繋がった訳ですが、MAKIKYUが乗車した一般型気動車群列車はラッシュ時間帯ではない事もあってか、やや短い3両編成でした。

それでもデータイムの札幌圏における普通列車では標準的な両数で、札幌圏を除く道内各地で走っている気動車使用のローカル列車に比べれば長編成の部類に入り、一般型気動車でワンマン運転対応車ではない事も、道内では少数派の部類に入ります。

 
ちなみに乗車した列車は、学園都市線名物とも言えるPDC化改造(客車→気動車化)車のキハ141形(キハ141+キハ142)の2両に、ありふれた存在の様な雰囲気ながらも実は少数派・道内仕様キハ48形の3両編成で、どちらも道内他線では見られない強烈な個性を持った車両です。


外観は元が客車でストレートな断面のキハ141形と、すそ絞りの大柄な断面のキハ48形では大きく異なり、非常に不揃いな印象を受けるものです。


車内に足を踏み入れると、こちらもまた個性的なもので、キハ141形ではセミクロスシート配置ながらも2+1列配置で通路幅を確保しており、デッキ空間も広めに確保されている事は、都市圏の通勤輸送で用いられる車両らしい所ですが、デッキなし3扉のロングシート通勤型電車や、これに準ずるキハ201形気動車などに比べると、長閑で「列車」の雰囲気を感じます。


キハ48形は一度急行用に格上げ改造され、エンジン換装や冷房化改造と共に特急並みの座席を装備し、急行「宗谷」などで用いていた車両を、同列車の特急化・新型車両導入と共に再改造し、通勤輸送用にデッキなしオールロングシート車としたもので、ドア付近に座席を設けていない空間があるなど、キハ141形以上に通勤輸送を意識した雰囲気があります。

PDC化気動車は下回りなどが比較的新しく、中間に付随車(キサハ144)を組み込んだ冷房車のキハ143形は、明日以降キサハを抜いた2両編成で、苫小牧地区で再活躍する事になりますが、キハ141形は下回りの古さに加え、非冷房車で2両以上でないと運用できない車両という事もあって、道内他地区での再活躍はない様です。

とはいえ一部はJR東日本が購入する事を発表しており、SLに牽引されながらも、牽引力を補うために自前の動力も…という異例の運行形態で再活躍する様ですが、通勤輸送用車両が観光向け列車として再出発するに当り、何処まで手が加えられるのか注目したいものです。

またキハ48形は短編成での運用が多い道内において、まして都市圏用のオールロングシートでは、ローカル輸送では非常に使い難い車両で、ワンマン化されていない事等も踏まえると、そのままでは転用も厳しく、退役を余儀なくされるかと思いますが、道内の一般型気動車では少数派の冷房車です。

エンジン未換装のキハ40形も多数活躍している中で、学園都市線で活躍しているキハ40・48形はエンジンも換装済みですので、ワンマン対応装備や一部座席の取替え(クロスシートは旭川地区で大量に余剰品が発生していると思いますので、その気になれば確保は容易な気もします)などを行い、他路線で再活躍できないのか気になる所です。

様々な形態の車両で編成が構成される編成の多様さ、そして他に類を見ない比較的長編成での高頻度運行という一般型気動車群の姿も遂に見納めです。

学園都市線はダイヤ改正以降、所要時間短縮や増発で利便性は向上する反面、趣味的な面白さと言う点ではやや面白みが…という印象がありますが、客車改造気動車の運用がそれなりに成功した稀有な事例でもあり、道内他路線とは大きく趣が異なる一般型気動車群が活躍していた事を、記憶の片隅に留めておきたいものです。


札幌市交通局 3000形電車~退役迫る変則的ドア配置の異端車両

2011-12-13 | 鉄道[北海道]

10月末~11月初めにかけて、MAKIKYUが北海道を訪問した際には、札幌市内で北海道唯一の地下鉄にも乗車する機会がありました。

札幌の地下鉄は南北線・東西線・東豊線の3路線があり、全て札幌市交通局が運営していますが、これら3路線は全てゴムタイヤ式となっています。

おまけに各路線の車両は全て非冷房車であるなど、本州や九州の地下鉄では見られない、北の大地を走る地下鉄ならではの独特な特徴が見受けられますが、先月札幌市営地下鉄を利用した際には、その内南北線と東西線の2路線に乗車する機会がありました。

南北線では現在、5000形と3000形という2種類の車両が活躍しており、北の大地では唯一の4ドア車でもある5000形車両が主流を占めており、この車両の車体長は18m級で、6両編成での運行となっています。

これに対し3000形は、車体長が1両辺り13.5m程度と短い事もあって、8両編成での運行となっており、今時の日本における地下鉄では異例の2ドア車というのが大きな特徴です。
(今日では特急ロマンスカーの地下鉄乗り入れにより、もっと車体長が長くてもドア数が少ない事例も存在していますが…)


ドア位置も5000系導入前に活躍していた旧型車両(2000形)のドア位置を踏襲した事も影響してか、3000形のドア位置や窓割は均等ではなく、車端部分の座席数がやたらと多い箇所も存在するなど、見るからにいびつな印象を受けるのが特徴です。

このドア配置は独特で個性的な印象を受ける反面、混雑時における均等乗車と言う観点では、余り芳しくない印象を受けるものです。

おまけに5000形導入後は、充当車両によってドア位置が全く異なる事になり、札幌で5000形導入が開始され1995年から15年以上に渡り、南北線でこの様な状況が続いています。

車体長やドア数・配置が全く異なる車両を混用する事例としては、近年相互直通運転を開始した近鉄奈良線~阪神なんば線が有名ですが、こちらは基本的に各列車毎に車体長やドア配置は決まっており、一部駅では列車時間表にもその旨が記されている他、各駅での次発列車案内では「○」「△」と番号の組み合わせで案内(○3~8など)している事は、ご存知の方も多いかと思います。

札幌の南北線では、日毎に同じ時間帯の列車でも充当車両が異なる事から、時刻表などでの案内は見受けられず、次発列車をLED表示器で「青色の乗車位置」(4ドア車両)・「緑色の乗車位置」(2ドア車両)という2種類の案内を行う事などで対処していますが、3000形車両は元々指の数程の編成数しか製造されなかった上に、運用離脱・廃車車両も発生していますので、最近では「緑色の乗車位置」という案内を見る機会は激減しています。


MAKIKYUが南北線始発の麻生駅で電車を待つ際、何本か待つ程度で少数派の3000系を捕獲できれば…と思っていたのですが、ホームに降りて次発列車の乗車位置案内を見たら、「緑色の乗車位置」案内が表示されていました。

利用したのが昼間時間帯だけあり、もしかしたら全く稼動していないかも…と思っていた程でしたので、いきなり「緑色の乗車位置」表示が出てきたのは驚きで、相当捕獲に手間取ると予想していた異端車両にあっさりと遭遇できたものでした。

ただMAKIKYUが乗車した3000形は、同形で最も新しい平成生まれの編成とはいえ、それでも経年20年を越えた直流電動機を装備した車両である上に、少数派の異端車両でドア位置の問題もあり、運用面では非常に扱い難そうな車両と感じたものでした。

おまけに札幌市営地下鉄では、既にホームドア(可動式ホーム柵)設置が完了した東西線に続き、南北線でもホームドア導入意向が示されており、主力の5000形はワンマン運転対応工事が進められている様ですので、4ドア車乗車位置に合わせたホームドアが設置された際には、変則的ドア配置の3000形は、南北線での営業運用が不可能となります。


札幌市営地下鉄自体が特異なゴムタイヤ式である上に、南北線は東西・東豊2路線とも規格が異なり、他線区への転用も利きませんので、近い時期の退役が必然的と言え、ホームに2種類の乗車位置案内が並ぶ姿も、そう遠くない内に見納めとなりそうです。

3000形の具体的な完全運用離脱日などはまだ耳にしませんが、訪問機会も限られる北の大地だけあって、MAKIKYUの次回訪問時まで走り続けている可能性は…という事も考えると、先月偶然遭遇できたのは相当な幸運と感じていますが、比較的地味な存在の車両であるだけに、退役後も南北線開業当初に導入された2000形の様な保存の動きが見られるのか、それともあっさり解体されるのかも気になる所です。


JR北海道・バーベキューカーに遭遇~5両編成で純粋な気動車は…

2011-11-13 | 鉄道[北海道]

先月末にMAKIKYUが北海道へ足を運び、上野駅から乗車した寝台特急・北斗星号を苫小牧駅で下車すると、反対側ホームには気動車列車の姿がありました。

苫小牧周辺の普通列車は、非電化の日高本線や室蘭本線岩見沢方面をはじめ、電化区間となっている室蘭本線苫小牧以西でも、非電化となっている東室蘭以西での運用も兼ね、一部列車が気動車で運転されていますので、気動車列車自体は非常にありふれた存在です。


使用車両も旧国鉄から継承したキハ40形が主力を占めており、MAKIKYUが反対側ホームで目撃した気動車列車も、キハ40形が先頭(室蘭方)に立っていましたが、2両程度での運転が多い苫小牧周辺のローカル気動車にしては妙に編成が長く、この時点で異様な雰囲気を感じたものでした。


中間には色や形が大きく異なる車両が連結されており、良く見ると釧路所属の貨車改造付随車・ナハ29000形が組み込まれていました。

この車両はバーベキューカーとして、道内各地の団体列車などで用いられるのですが、定期列車で運用される事はまずありえない神出鬼没の車両で、旅の始まりでいきなり凄い車両に偶然遭遇する事になったものでした。

ナハ29000形はキハ40形の後部に、ナハ29001とナハ29002の2両が連結され、この2両は貨車改造車である事や、こげ茶色の装いこそ共通するものの、良く見ると窓割などは異なっており、如何にも改造車といった雰囲気を漂わせていたものでした。

道外の訪問者が偶然こんな車両に遭遇する機会は滅多になく、貴重な機会とばかりにその後この列車が停車している反対側ホームへ出向き、車内へ立ち入る事は叶わなかったものの、窓越しにその様子を見る事も出来たものでした。


ナハ29000形の客室内は木製座席がボックス配置で並び、各ボックスには木製の固定式テーブルが設置されていましたが、貨車改造車で木製座席となると、乗り心地は凄まじいのでは…と感じたものです。


ちなみに木製テーブル上にはホットプレートと、焼肉のタレが用意されており、苫小牧駅から団体客を乗せた後は、恐らく車内で焼肉かジンギスカンでも…といった雰囲気でした。

苫小牧駅ホームで停車している列車の車内には、食材が入っていると思われる発泡スチロールの箱などが搬入されている姿も目撃したものの、この日はどの様なメニューが提供され、何処へ向けて走っていたのかも気になる所です。

またナハ29000形2両は貨車改造の付随車で、動力を持たない事もあってか、牽引はディーゼル機関車でも良さそうな気がしますが、先頭のキハ40形は機関車代わりの役割も果たしており、付随車牽引でパワーが要求される事もあってか、良く見ると苫小牧周辺のローカル輸送で使われる700番台車(北海道仕様車をワンマン改造した車両)などではなく、札沼線(学園都市線)で活躍している道内のキハ40系列では少数派の冷房改造車で、非ワンマン車の300番台でした。

この車両はエンジン換装を行い、出力向上を果たしている事も、バーベキューカーの牽引役に抜擢される要因かと思いますが、バーベキューカーは運転台もない事から、反対の札幌方にも気動車が連結されていました。

札幌方もキハ40系列で問題ない気もするのですが、こちらは苫小牧周辺では定期列車で充当される機会のない学園都市線用の客車改造気動車・キハ141形2両が充てられており、このお陰で5両編成中純粋な気動車は1両だけ、その後ろは貨車改造車と客車改造車と言う、どちらも元々は機関車に牽引される車両で編成構成されていたのも興味深いものです。

学園都市線は一部複線区間を含み、札幌近郊では各駅に自動改札機を設置してICカード利用にも対応しており、通勤時間帯には10分程度の運転間隔で都市型輸送を行っている路線にしては珍しい非電化線区として知られていますが、国内で同種の路線は、他には関東鉄道常総線位しか思い当たらない独特な路線です。

ただ来年の電化が確定しており、既に工事はほぼ終了して電化線区さながらの様相になっていますので、来年に電車運転が開始されると、名物とも言える主力の客車改造気動車も経年車である事から、かなりの数が淘汰される公算が高く、現在バーベキューカーではキハ141系列を含む5両編成での運転が定番となっている様ですが、今後もこの編成での運転が継続されるのかも気になる所です。


寝台特急・北斗星号で北の大地へ~今回は初めて途中駅で下車

2011-11-11 | 鉄道[北海道]

先月前半に関西電力の黒部ルート見学会参加で富山方面に足を運んだMAKIKYUですが、今度は先月末~今月初めにかけて北の大地・北海道へ足を運ぶ機会がありました。

北海道はMAKIKYUも数度は訪問した事があり、過去には青春18きっぷ利用による普通列車乗り継ぎや、苫小牧港発着のフェリー利用などで足を運んだ事もありますが、今は仕事持ちの身で運賃が安くても、所要時間が非常に長いこれらの利用は少々厳しいものです。


またMAKIKYUは幾ら早い・購入時期や方法次第では安いなどと言われても、空を飛ぶのは余程の事でもない限りは…という事もあり、今回往路で寝台特急・北斗星号を利用したものでした。


北斗星号は本州方の牽引機関車が新鋭EF510形500番台に変更されてからは初乗車で、日本国内でVVVFインバーター制御の電気機関車が牽引する客車列車に乗車したのも、先月末が初めてで、EF510形は少数派のメタリック色(カシオペア色)ではなく、多数派のブルートレインカラー(北斗星色)の機関車でした。
(隣国韓国では、VVVFインバーター制御の電気機関車が牽引する旅客列車に幾度も乗車しているのですが…)

 
その後海峡トンネルを跨ぐ青函間ではシングルアームパンタに換装されたED79形、北海道内ではディーゼル機関車のDD51形重連と、3つの機関車が交代で牽引を務める旅客列車と言うのも、客車列車自体が僅少の日本国内では非常に貴重です。

これに加え、今日の日本国内では北海道直通寝台列車のみとなっている食堂車が連結され、原則として毎日運転の定期列車ではJR唯一という点も注目です。


食堂車(グランシャリオ)は夕食(予約制)とパブタイム(21時以降・予約不要)、朝食の3時間帯で営業しており、予約制の夕食は7800円のフランス料理コースなどかなり値が張りますが、その後のパブタイムでは市価より割高なのは致し方ないにしても、予約制の時間帯に比べると手頃に利用出来ますので、パブタイムを狙って利用したものでした。


MAKIKYUは過去にも北斗星号を上下各1回ずつ利用した事があり、先月で3度目の乗車になりましたが、以前上り北斗星号を利用した際には、パブタイムでビーフシチューセットを注文しており、これと異なるメニューを…という事で、今回は煮込みハンバーグセット(2000円)を注文し、ソースがかなり濃厚な印象を受けたものでした。
(セットでは写真のハンバーグ・ライス(パンも選択可)・サラダに加え、食後にコーヒーor紅茶が付きます)

パブタイムは盛況で、見渡した限りではピザの注文が結構多い気がしましたが、結構な盛況ぶりで相席での案内となり、4名席全てが単独客相席という状況でしたが、相席の方との話も弾み、日頃なかなか堪能できない充実した食堂車の一時も過ごせたものでした。

係員の方に伺った限りでは、ビーフシチューとハンバーグは各9食ずつ積込との事で、滅多に売り切れる事は…という話でしたが、パブタイムでの食事物狙いであれば、なるべくパブタイム開始直後を狙った方が良さそうです。

 
ちなみに今回MAKIKYUは恒例の単独行動だけあり、独房(1人用個室ソロ)の利用も検討したのですが、3年程前にソロを利用した際、個室内でもタバコの匂いに懲りた事(空調ダクトを伝って煙の匂いが充満し、ホテル喫煙室の比ではありません)もあり、開放室B寝台(Bコンパート含む)以外は未だに全車喫煙可という列車ですので、今回は禁煙の開放室B寝台を利用したものでした。

カシオペア号(1人旅では極めて使い難い列車です)では半分程度が禁煙車と言う事も踏まえると、そろそろ複数両連結しているソロやデュエット(B寝台2人用個室)でも禁煙車を設定して欲しいものですが、道内昼行特急や東北新幹線が完全禁煙化された今日、こららとの差別化で敢えて禁煙車を少なくしているのかも気になる所です。

また以前北斗星号を利用した際には、上野→札幌と札幌→上野でそれぞれ上下列車の全区間を利用したのですが、今回は用件もあって途中駅の苫小牧で下車しており、苫小牧で下車した後の事は、後日別記事で取り上げたいと思います。


函館市交通局 8100形電車~旧型車を車体更新した部分低床車

2009-07-10 | 鉄道[北海道]

 
先日「MAKIKYUのページ」では、函館市交通局(市電)で活躍する最新鋭の全低床車・9600形「らっくる」に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUが函館を訪問した際には、「らっくる」以外に部分低床車にも乗車する機会がありました。

この部分低床電車が8100形と呼ばれる車両で、「らっくる」と共に車椅子乗車にも容易に対応できるメリットを生かし、2つある低床車限定ダイヤ(どっく前発着と谷地頭発着それぞれ1ダイヤ・車両検査時などは一般車両による代走)に隔日充当されています。

8100形は「釣り掛け駆動の旧式車両を車体更新した低床車」というのが大きな特徴で、車体のみを新品に載せ換え、下回りは旧型から転用した路面電車用車両は函館市電をはじめ、国内各地で多数走っていますので、車体更新車自体は路面電車としては特に珍しい存在とは言えないものの、これが低床車ともなれば国内では他に類がなく、非常に珍しいと言えます。

しかも8100形は台車も旧型車の再用品を用いており、この部分の車高は他の旧型車や車体更新車などと同等にも関わらず、乗降扉付近のみをノンステップの低床部としています。

そのため車内通路には2段の段差が介在し、こんな特異な構造の電車は日本各地を探しても函館市電だけ(前後扉に1段のステップと、ノンステップで乗車可能な中扉の間で、緩やかなスロープが存在する電車は少数ながら他都市の路面電車で存在しており、MAKIKYUも乗車した事があるのですが…)ですので、乗車した際のインパクトは相当なモノがあります。

また旧型車の下回りを転用する事で、新車導入よりも安価に低床車を導入でき、車椅子乗車にも容易に対応できるメリットもあり、この車両にはPRも兼ねてか、「車椅子対応」と大きく表記されている程です。

しかしながら函館市電は整理券方式のワンマン運転を行っており、乗客は基本的に車内を後→前へ移動する必要があり、その際には通路の段差を2段上がり、そして2段降りる必要がある上に、中扉より後部に乗車した場合は下車時に段差を下がって上がり、更に下がる事になります。

そのため「車内は段差だらけ」と言っても過言ではなく、足の不自由な乗客には一般車両以上に乗り降りが厄介な上に、そうでなくても走行中に車内を動き回ると転倒しやすいなど、危険極まりなくデメリットも大きいですので、当初は部分低床車を次々と登場させる予定だったものが、増備計画取り止め→全低床の新車導入へ計画変更を余儀なくされた程です。

こんな車両ですので、函館市電で今後同種車両が増える事や、他事業者で同種車両が登場する可能性は極めて低いと言え、趣味的には非常に興味深い存在ですが、1両だけの異端車として活躍し続ける公算が高そうです。

とはいえ広島電鉄の朝ラッシュ時や連接車両などの様に、車掌乗務で前・中(or後)の双方の扉から乗車できる方式を用いれば、車内での段差移動の問題もある程度解決でき、運用方法次第ではこの種の車両を導入するのも悪くないかもしれません。

ただ最近各地で続々と登場している低床車の中でも、松山の伊予鉄道で活躍している様に台車を車両両端に寄せた単車で、台車間を低床部として乗降扉もこの部分に配置した車両であれば、収容力は劣るものの旧型車更新でも対応可能ですので、もし今後何処かで旧型車更新の低床車が登場するのであれば、函館市電8100形の再来ではなく、「伊予鉄タイプの低床車で旧型車の機器流用車」が出てこないものか…と感じたものでした。

写真は「車椅子対応」と大きく表記されているのが特徴の外観と、段差だらけの特異な構造をした車内の様子です。


函館市交通局9600形電車「らっくる」~北海道初の全低床路面電車

2009-07-07 | 鉄道[北海道]

   

MAKIKYUが先月初めに青森・函館を訪問し、それからもう1月が経過したのですが、先月函館を訪問した際には函館市内で市電の新型低床路面電車に乗車する機会もありましたので、取り上げたいと思います。

この車両は一昨年導入され、9600形という形式と共に、「らっくる」という通称もあります。

最近各地の路面電車で導入されている低床の新型車は、従来から国内の路面電車を手がけてきたアルナ車両が手がけた「リトルダンサー」シリーズと、外国勢(日本で組み立てなどを行うものも含めて)に2分されていますが、函館の車両は前者の部類に入ります。

「らっくる」は北海道では初の全低床電車であると共に、馬車軌(軌道幅1372mm)の路線では初めてのノンステップ低床車にもなっています。
(馬車軌の路面電車は他に東京の2路線があるだけで、この2路線は路線の性質上、ノンステップの全低床車を導入する必然性がありませんので、当然の成り行きといえばそれまでですが…)

全低床車の構造上単車での製造は困難な事もあってか、函館市電では唯一の2車体連接車になっているなど、函館では初物づくしといった感のある車両となっています。

車内には最新型らしく運賃表示機の役割も兼ねたLCDモニターも設置されるなど、冷房装置すらない昔ながらの古参車が今も多数行き交う函館市電の状況においては、斬新過ぎる印象を受けたものです。

ちなみに函館市電は日本の路面電車では典型的な運賃収受方法で、距離に応じて運賃が変わる整理券方式(中乗り前降り)を採用している事もあり、車内を後→前へ移動する事が不可欠となります。

この事もあってクールな印象を受ける車内は、ロングシート主体の座席配置で通路を移動する事を考慮したレイアウトと言えますが、機器配置の関係で出っ張りが生じる運転席背後の部分にクロスシートを配置しているのも特徴です。

運転席背後のクロスシートは、構造上の問題もあって1段高くなっているのですが、絶好のポジションという事もあって走行中の様子を眺めるにも最適で、特等席とも言っても過言ではないと感じたものです。

また「らっくる」は前扉(運転席脇にある降車扉)のみながら、乗降扉に折戸を採用している事や、運転台もワンハンドルマスコンではなく、一般的なツーハンドル(路面電車の新型車両では、他に東京の都電荒川線が該当し、偶然ながら両線は数少ない馬車軌の路線という共通性もあります)となっている点などは、国内各地の低床路面電車に乗車しているMAKIKYUとしても、物珍しさを感じたものです。

この「らっくる」は運行ダイヤが限定されているとはいえ、まだ1本のみの希少な存在ですので、なかなか捕獲し難い状況ですが、今後増備が行われるのか否かも気になる所です。

今後の末永い活躍に期待すると共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も函館を訪れる機会がありましたら、是非一度乗車してみては如何でしょうか?