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亀の井バス・別府由布院線~有名観光地間を結ぶ景勝路線

2011-04-29 | バス[九州本土]

2月にMAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、韓国へ向かう高速船(BEETLE)が発着する九州内も廻っており、既に幾つかの記事を取り上げていますが、大分方面へ足を伸ばした際には、亀の井バスの路線バスにも乗車する機会がありました。

大分県の路線バスと言うと、大分市内で多数の市内線を運行する県内最大手の大分バスと、大分以北に多数の路線を持つ大分交通の印象が強く、これらは以前MAKIKYUも乗車する機会がありましたが、それ以外は日田周辺の日田バスに乗車した事がある程度と言う状況でした。

そのため亀の井バスは福岡への高速バスも運行するなど、比較的有名なバス事業者にも関わらず、今まで乗車した事がない事もあって、気になる存在でしたが、2月の大分県内訪問でようやく乗車機会が巡ってきたものでした。

MAKIKYUが乗車したのは別府市内と湯布院を結ぶ「別府湯布院線」で、大分県内の有名観光地間を結ぶ路線ですが、昼間は毎時1~2本とそこそこの本数が確保されているとはいえ、最終が18時台と早く、また平日よりも休日の運行本数が多いなど、運行ダイヤを見ただけでも、観光向けの色彩が強い路線と言う事を伺う事が出来ます。

MAKIKYUは由布院駅近くにある湯布院バスセンターから、別府駅方面へ向かう便に乗車したのですが、湯布院の市街地を出ると高度を上げ、城島(Kijima)高原から湯布院の市街地を見下ろす事になります。

 
この景色は絶景で、中九州に存在する数々の景勝地を巡り、熊本と大分県内を結ぶ九州産交バスの定期観光バス「九州横断バス」の一部便が通るルートにもなっており、多数の観光バスの姿も見受けられるのも頷けるもので、別府市内に入っても、高低差のある別府の街を見下ろす事が出来ます。

車両は亀の井バスの一般路線車各種が用いられ、専ら中型車が充当されていますが、亀の井バスと言うと日野製中型車(Rainbow)の印象が強く、現にこの車両だけで一般路線車の過半数を占めている様です。

MAKIKYUとしては日野Rainbowか、余り数の多くない西日本車体工業(西工)製車体の若年車(58MC)の登場に期待しており、せめて日頃身を置く首都圏のバスと大差ない、比較的新しい中引戸の低床車以外で…と思っていました。

ただ乗車した便に充当されたのはRainbowと58MCのどちらでもなく、西工製車体でもつい最近の西工事業廃止まで製造されていた96MCでした。


それでも大都市圏では既にお払い箱になってしまう年式(1996年式)で、西工製車体でも下回りは日野、しかも中折戸のワンステップと結構特徴的な車両に当たり、期待していた車両とは異なるものの、車両面でも意外と面白い車両に乗れたと感じたものでした。
(乗車車両の写真は、乗車前に許可を得て湯布院バスセンター内で撮影しています)

この別府湯布院線は路線バスに興味のある方は勿論、そうでなくても景勝路線として結構楽しめるかと思いますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も大分県内へ足を伸ばされた際には、是非乗車を検討してみては如何でしょうか?


Seoul~江陵間で乗車した優等高速バス

2011-04-26 | バス[大韓民国]

MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際には、市内バスを利用する事は多く、市外バスと呼ばれ、主に近距離の都市間を運行するバス(日本の近距離高速バスに近い存在で、概ね座席定員制の自由席です)も数回程度は利用するのですが、中長距離の移動となると殆どが鉄道利用となり、韓国で座席指定制の高速バスを利用する機会は余りないものです。

しかしながらMAKIKYUが2月に足を運んだ江陵(Gangneung)は、Seoulからの鉄道の便が悪く、大回りで時間を要し列車本数も限られる上に、KORAILでは距離に比例して運賃が上がる運賃体系を採用していますので、直線距離では200km程度にも限らず、運賃も決して安いとは言い難いのが現実です。

鉄道利用では、途中で韓国唯一のスイッチバックを体験でき、山越えの車窓などが楽しめるとはいえ、Seoul~江陵の2都市間を結ぶ交通手段としての使い勝手はイマイチです。

とはいえSeoulから江陵など東海岸にある都市への移動需要は存在しており、東海岸方面に向けては嶺東(Yeongdong)高速道路を走る高速バスも多数運行しています。

 
こちらの方が交通手段としての使い勝手は圧倒的に上で、まして韓国はただでさえ高速バス大国と言える状況ですので、バスターミナルに足を踏み入れただけでもその凄まじさは圧巻で、Seoul~江陵間では日本で高速バスが圧倒的優位を誇る熊本~宮崎間や広島~松江間、東京~鹿島間などを凌ぐ状況となっています。

この様な状況ですので、MAKIKYUが「パダ(海)列車」乗車などを目的として東海岸の江陵へ足を伸ばしたには、片道はSeoulから高速バスを利用したものでしたが、この高速バスは「一般高速バス」と「優等高速バス」の2種類が存在しています。

その内「一般高速バス」は、以前にMAKIKYUが他で乗車する機会もありましたが、横4列席の一般的な観光バスタイプの車両を用いており、座席指定制である事を除くと、市外バスに乗車しているのと大差ない雰囲気を感じたものでした。

 
これに対し「優等高速バス」は、横3列席(通路を挟んで片側が2列)のゆったりとした座席が並ぶ豪華車両を用いており、その分運賃も一般高速バスの1.5倍程と少々割高になっています。

MAKIKYUが2月に乗車したのは「優等高速バス」の方で、韓国を何度も訪問していながら、この手のバスに乗車するのは初めてと言う有様でしたが、約230kmの距離で3時間程度の乗車にも関わらず、運賃は20000W強ですので、日本に比べると遥かに割安で乗り得感があります。


またSeoul~江陵間の高速バス運行事業者は、東部高速(Dongbu Koseok)と中央高速(Jung-ang Koseok)の2者となっており、MAKIKYUが乗車した便は後者の運行でした。


充当車両も2008年式と比較的新しい車両ながら、日本で最近良く見られる現代UNIVERSEや大宇製ではなく起亜GRANBIRDで、日頃乗ろうと思ってもなかなか乗れない車両に当たった事も良かったと感じたものでした。

ただ高速バスは列車に比べると揺れが大きい上に、韓国では豪華な優等高速バスといえどもトイレの装備はなく、MAKIKYUが乗車したSeoul~江陵間では途中で1回休憩時間が設けられただけでした。
(辛い食べ物や塩辛い食べ物が多い土地柄ですので、どうしても水分を多く取ることになり、トイレの有無は非常に大きいです)

そのため高速バスが所要時間や運賃、本数などで圧倒的に優位な区間では利用価値も大きく、たまに乗車するのも悪くないものの、比較的鉄道の至便な首都圏~京釜線方面(大田・大邱・釜山など)や湖南・全羅線方面(光州・全州など)では、個人的には座席の確保が出来れば、鉄道利用の方が快適で良いのでは…と感じたものでした。


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(3)~車窓編

2011-04-20 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが2月に韓国を訪問した際に乗車した「パダ(海)列車」は、都市近郊輸送用のディーゼル動車(CDC)を改造した専用車両を充当てしており、この車両への乗車も一つの楽しみですが、「パダ列車」と言うだけあって車窓から眺めるオーシャンビューもウリとなっており、今日は「パダ列車」乗車中の車窓に関して取り上げたいと思います。

「パダ列車」の運行区間に当たる江陵(Gangnueng)~東海(Donghae)~三陟(Samcheok)間では、路線は比較的海に近い所を走るとはいえ、オーシャンビューを楽しめる海沿い区間と、海が見えないやや内陸の区間が何度も入れ替わる格好となっています。

車窓が楽しめるのは当然前者で、江陵を出発してから10分も経たない内に、最初の海沿い区間に差し掛かりますが、MAKIKYUが乗車した際には海水温と外気温に差がある事も影響してか、海が見えない区間では車窓が楽しめるものの、海沿いでは真っ白な霧が立ちこめ、辛うじて海沿いを走行している事が伺える程度と言う状況でした。


江陵市内に位置している最初の停車駅で、市内から市内バスでのアクセスも可能な、「世界一海が近い駅」と名乗っている正東津(Jeongdongjin)駅(どの様な定義で世界一を名乗っているのかは定かではなく、世界一と言うのは違和感がありますが、少なくとも韓国では最も海に近い駅と言って良いと思います)に到着した際にも、辺り一帯は霧で真っ白となっており、一般には「パダ列車」最大のウリとなっているオーシャンビューは、残念ながら楽しめずに終わってしまうのか…とも思ったものでした。

しかしながら東海市に入った辺りで、海沿いでも霧が消え、車窓からは見事な東海(日本海)の絶景が広がり、車内からも歓声が次々と聞こえる状況でしたが、この区間で減速運転を行う辺りは、如何にも観光列車ならではといった所です。


自然景観的には、JRの日本海側海沿いを走る区間と錯覚してしまう様な雰囲気もあるかと思いますが、「北韓(北朝鮮)」に近い土地柄もあってか、線路脇には鉄製の柵などが設けられており、この光景は日本とは随分異なるものです。

そして東海駅を過ぎると三陟線に入り、非電化路線という事もあって、ディーゼル動車の本領発揮といった所ですが、三陟線は定期旅客列車の設定がない貨物専用線となっています。

そのため乗客として乗るには、臨時列車扱いの観光列車「パダ列車」への乗車しか選択肢がなく、個人的にはこの三陟線に乗車できる事こそ、「パダ列車」乗車における一番の楽しみと感じています。

MAKIKYUが「パダ列車」に乗車した際には、東海駅手前から客室最前部に張り付いて前面展望を楽しんでいた所、東海駅停車中に乗務員室の扉が開き、乗務員士の好意で乗務員室の助士席に招き入れられるという、予想外の嬉しい出来事もあり、三陟駅到着までの三陟線内走行時には、最高のポジションで前面展望を楽しめたものでした。
(この様な事は今日の日本ではまず考えられず、国柄の違いも大きいかと思いますが、「パダ列車」に乗車しても乗務員室に乗車できる可能性は低いと思いますので、予めお断りしておきます)

三陟線内は非電化の単線で、通常は貨物専用線と言う事もあって、東海~三陟間では途中に交換設備もない程ですので、設備的には余り立派なモノは期待できませんが、それでも枕木がPC枕木化されている区間も多く、日本の地方私鉄はおろか、JRの地方交通線や第3セクター鉄道の平均レベルよりは、軌道レベルは遥かに良好と感じたものでした。

貨物列車では、大柄なアメリカ型の電気式ディーゼル機関車が牽引するだけあって、それに見合う設備を備えるとなれば、軌道はある程度のレベルが求められるのも当然かもしれませんが、三陟線内に2駅ある停車場(湫岩・三陟海岸)も、不定期で2往復が走る「パダ列車」しか停車しない割には、ホームなどもきちんと整備されています。


一昔前の統一(Tong-il)号客車列車が、ホームもなく駅名票だけしか見当たらない線路上で停車し、乗降扱いを行っていたのに比べると、臨時列車専用駅にしてはかなり上等な設備といえ、日本のJR北海道辺りで定期列車が数本停車する小駅よりも上等と感じたものでした。

 
そして三陟線の終点・三陟駅に到着すると、丁度入れ替わりに貨物列車が東海方面に発車していき、駅構内には貨車の姿も見られるなど、貨物線らしい光景が拡がっていますが、三陟駅も臨時列車専用駅ながら、駅舎がきちんと設けられており、「パダ列車」専用の乗車券発売窓口には係員も配置されているなど、臨時列車専用駅にしては上等過ぎる設備を誇っていると感じたものでした。

ただ三陟駅は市内中心部からは少々離れた街外れに位置しており、駅周辺を通る市内バスも非常に限られていますので、旅客駅としての立地は決して良いとは言えず、団体ツアーや江陵からの往復乗車は別として、「パダ列車」を純粋に三陟への交通手段として捉えるのであれば、非常に使い難いのが現状です。

MAKIKYUは三陟駅まで「パダ列車」に乗車した後、徒歩で市内中心部にあるバスターミナルへ向かい、ここから市内バスで東海駅へ向かったのですが、市内バスは地方都市間とはいえ1日90本以上と非常に充実しており、運賃も非常に安価ですので、三陟線を少々テコ入れした所で、旅客輸送面ではバス相手に太刀打ちできないのが現状です。
(おまけに三陟~東海市内間では市内バスだけでなく、市外バス(都市間バス)も頻発しており、こちらは市内バスよりやや割高なものの、それでも観光タイプ車両による運行で1600W程度です)

そのため三陟線は、観光列車運行や貨物線としての用途以外に、一般の旅客輸送を期待するのはかなり厳しいのが現状で、まして今日のKORAILにおける運賃制度を考えると尚更ですが、三陟駅と市内中心部の結節性の悪さだけは改善に期待したいと感じたものでした。

韓国でも江原道の東海岸は交通手段などが限られ、外国人の訪問も決して多いとは言い難い地域ですので、Seoulなどに比べると不便な面もありますが、興味のある方は是非江陵や三陟へも足を伸ばし、「パダ列車」に乗車してみては如何でしょうか?


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(2)~車内編

2011-04-16 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAILの観光列車・パダ列車(海列車)ですが、今日はその続編として車内の様子を取り上げたいと思います。

パダ列車は都市近郊用ディーゼル動車(CDC)の改造車だけあって、外観だけでなく、車内も随所にCDCの面影が感じられ、日本のJRで活躍するキハ40系列改造のジョイフルトレインを連想させられたものです。


客室は各座席が東海(日本海)側を向き、車窓からのオーシャンビューを存分に満喫できる様になっており、如何にも観光列車といった雰囲気ですが、山側の座席も一段高くなっていますので、どの座席からでもオーシャンビューを堪能できます。

天井や側面の化粧板を見渡すと、海をイメージした様々なイラストが施されているのも特徴で、観光列車ならではの雰囲気を盛り立てているのも、同時期にムグンファ号用に改造され、ビジネスライクな印象が否めない同形車との大きな違いと言えます。


これに加えて先頭車両の運転席と客室の間に設けられた窓も、KORAILでは大抵ステッカーなどで塞がれて前面展望が楽しめず、韓国では地下鉄などでも前面展望が楽しめる車両は少数派ですが、パダ列車では海沿いの景観を売りにする観光列車だけあって、前面展望が楽しめる様に配慮されています。

JRなどでよく見られる前面展望室付きのジョイフルトレインには叶わないものの、CDCの種車形態を維持しながらも前面展望や運転操作の様子を楽しめ、特にパダ列車では一部区間で一般旅客列車が走らない貨物線の三陟(Samcheok)線を走るお楽しみもありますので、この様な配慮は非常に有り難く、KORAILの他列車でも同種の配慮を望みたいものです。
(ただKORAILの列車線では、機関車牽引列車や動力集中方式を採用した車両が多数派で、これらの車両で構造上前面展望は期待できませんが…)

ちなみにパダ列車の客室は、三陟寄りの1両だけが一般室(普通車相当)、他の2両が特室(グリーン車相当)となっており、運賃も一般室で12000W、特室が15000Wとなっています。

MAKIKYUが乗車前日にパダ列車の予約をした際には、特に乗車車両の希望は出さずに空席状況の確認を行い、予約を取りましたので、どちらに当たるのか気になっていましたが、江陵(Gangnueng)駅で乗車前に乗車券を購入した際には一般室の乗車券が発券され、乗車したのは一般室の方でした。

MAKIKYUがパダ列車に乗車した際は、列車自体は全席指定制でそれなりの乗客が乗っているとはいえ、混雑しているという程ではない事もあって、特室の車内も覗いてみました。


こちらの方がやや座席は広い様に感じ、定員もやや少なめになっているとはいえ、設備差はさほど大きくない様に感じられ、乗車時間も江陵~三陟間を乗り通しても1時間半程度ですので、一般室が満席で特室しか空席がない状況でもなければ、一般室で充分なのでは…と感じたものでした。

MAKIKYUが乗車した一般室車の車端部には、小規模ながらもカフェが設けられ、食事類などは期待できないものの、コーヒーなどの飲料やおつまみなどを扱っており、僅か3両編成で乗車時間もさほど長くない列車にこの様な設備が設けられている事自体が、非常に贅沢な様にも感じられたものです。


カフェには専属の要員が配置されると共に、それ以外にも客室乗務員が乗務しており、車内ではレクの様な事を催す(全て韓国語ですので、MAKIKYUは殆ど理解できないのは惜しい所ですが…など、単に観光列車を走らせるだけの企画に留まらず、人的サービスを充実させており、現地の物価を考えると決して安いとは言い難い運賃設定に見合うサービスを提供しようとしている意気込みを感じたものでした。
(カフェにいた客室乗務員は日本語を解さないとはいえ、こちらが日本人と分かると片言で知っている幾つかの日本語の単語で挨拶し、日本語パンフを探し出すと共に、主に子供向けに配布している塗り絵帳もプレゼントとして差し出して頂くなど、非常に好印象でした)

またパダ列車には一般室・特室の2種類の座席以外に、特室車の車端に2人用の個室も設けられており、これも観光列車らしい大きな特徴と言えます。


この個室は「プロポーズ席」という非常に強烈な名称となっており、MAKIKYUがここに乗車する機会がまずなさそうな感じでしたが、この個室は2人利用で50000Wとなっており、写真などの乗車記念品なども用意されるなど、パダ列車の最高級席となっており、MAKIKYUが乗車した際は利用客の姿を見なかったものの、カップル乗車での大事な場面などにはおススメかもしれません。

パダ列車に関しては、特徴的な使用車両だけでなく、オーシャンビューや三陟線走行といった楽しみもあり、こちらに関しても近日中に続編記事として取り上げたいと思います。


韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(1)

2011-04-14 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが2月に韓国へ足を運んだ際には、日本からの高速船「BEETLE」が発着する港町・釜山(BUSAN)や、Seoulとその周辺地域(首都圏)以外に、地方へも足を伸ばしています。

2月の旅行では全羅道方面へ足を伸ばす機会はなかったものの、江原道(Gangweon-do)方面へも足を運んでおり、その際には「パダ列車」と呼ばれる観光列車にも乗車する機会がありました。

「バダ(바다)」とは韓国語で「海」を意味する言葉で、日本語に直訳すると「海列車」と言う事になりますが、この列車は韓国東海岸の江陵(Gangnueng)~東海(Donghae)~三陟(Samcheok)間を運行しており、この区間は車窓から彼の地で「東海」と呼ばれる海を存分に望む事が出来ます。
(「東海」は日本では「日本海」と呼ばれ、呼称問題が様々な場面で議論されていますが、この件に関してのコメントはご遠慮下さい)

この「パダ列車」は観光列車だけあって全車指定席制となっており、それも日本の快速列車扱いの観光列車などとは異なり、運賃体系自体が一般列車とは全くの別立て、それも全区間均一で一般室(普通車相当)12000W、特室(グリーン車相当)15000Wとなっており、現地の物価を考えると、運賃設定は決して安いとは言い難いものです。

また乗車券購入方法もKORAILの一般列車とは異なり、全国各駅などの乗車券発売窓口や乗車券自動発売機では取り扱いできず、KORAILの関連会社・KORAIL観光開発やネットの専用HP(http://www.seatrain.co.kr)で事前に予約をした上で、当日乗車駅に設けられたパダ列車乗車券売り場で乗車券を購入する仕組みとなっており、外国人旅行者にとっては少々厄介なものとなっています。
(パダ列車の途中停車駅には無人駅も含まれ、起終点の江陵・三陟両駅をはじめ、東海駅などでも乗車券購入は可能ですが、無人駅では乗車券購入も不可能ですので要注意です)

MAKIKYUはSeoul駅構内にあるKORAIL観光開発の事務所で、電話による予約を確保した上で江陵へ向かい、乗車前に予約していた乗車券を購入しましたが、KORAIL TOUR SERVICEでは日本語対応も不可能で、片言と筆談によるやり取りとなりましたので、日本から訪れた旅行者ともなれば、手配だけでも少々苦労するかもしれません。

この様な列車ですので、乗車券様式もKORAILの一般列車とは大きく異なっており、海沿いを走るパダ列車の写真付きとなった乗車券は、乗車記念品にも最適なものです。


乗車券には乗客氏名も印字され、MAKIKYUの様な外国人だと英文標記となりますが、その場合にはご丁寧にも(外国人)とハングルで記されているのも特徴的です。
(韓国人乗客が所持している乗車券の氏名標記は、当然ながらハングルとなっており、写真の乗車券は氏名部分を一部加工しています)

少々前置きが長くなってしまいましたが、乗車券を手にして江陵駅で列車に乗り込む際には、列車は一般列車とは別体系の特別列車ながらも、駅改札前の案内表示では「パダ列車」の表示ではなく、一般列車の一種別である「セマウル」の三陟行きとして案内されており、列車本数の少ない東海岸を走る嶺東(Yengdong)線では混合する心配こそないものの、少々紛らわしい案内方法と言えます。


改札を通ってホームに向かうと、既に列車は停車しており、パダ列車はディーゼル動車(気動車)の3両編成となっていますが、この内三陟寄りの1両だけが一般室、残る2両が特室となっています。

このディーゼル動車は現在のKORAIL現役車両では唯一の動力分散型気動車となっており、9500番台の通称CDC(都市近郊型ディーゼル動車)と呼ばれる車両の改造車となっています。

 
CDCは「統一号」→「通勤列車」の大幅減便に伴い、大量の余剰車が発生し、近年ではムグンファ号用に改造された車両(RDC)が大半を占める様になっていますが、パダ列車に改造された車両も片側2箇所に設けられた扉の一つが埋められ、その部分に痕跡が見られるのは、ムグンファ号用改造車と同様の特徴と言えます。


しかしながらパダ列車は、装いが一般列車とは大きく異なるイラスト入りである事をはじめ、側面も東海に面する側だけ窓が大きく拡大されており、この点は如何にも観光列車らしい雰囲気ですが、前面形状などは種車そのもので、元が通勤用気動車である事を強く物語っている辺りは興味深いものです。

車内や乗車中の車窓に関しては、近日中に続編として別記事で取り上げたいと思います。


JR九州・リバイバル塗装の485系

2011-04-11 | 鉄道[九州・JR]

先日「MAKIKYUのページ」では、MAKIKYUの手元にJR九州が限定発売を行った485系オレンジカードのセットが到着した事に関する記事を公開しましたが、JR九州の485系電車は先月のダイヤ改正で定期列車の運用からは離脱しており、イベント用に僅かに残るのみとなっています。

この485系は、MAKIKYUが2月に韓国まで足を運んだ際にも、途中で少し寄り道をして大分駅などでその姿を見かけると共に、如何にもJR九州らしい「RED EXPRESS」塗装などの同系に関しては、以前「MAKIKYUのページ」でも記事として公開しています。

MAKIKYUが大分で最後の活躍をしている485系を目撃した際には、派手な装いが特徴的な車両だけでなく、クリームと赤色の国鉄特急色に塗られた車両も目撃しており、こちらはまだ記事として取り上げていませんので、取り上げたいと思います。

 
JR九州の485系は、最後まで国鉄特急色を保ち、時を同じくして定期運用から離脱したJR西日本の485系とは異なり、一貫して国鉄特急色で活躍した車両は存在しておらず、国鉄特急色となった485系も、一旦特徴的なJR九州オリジナルの塗装に改められた後、今日のリバイバルブームもあって元の装いに戻されたのが大きな特徴です。

車内もJR九州らしく随分派手に改装されている事もあり、国鉄特急色になっても、昔の活躍ぶりとは随分違うと感じる向きもあるかと思いますが、2月に大分駅で姿を目撃した際には、先頭車の側面に旧国鉄を示す「JNR」マークも付けているなど、外観は往年の雰囲気を存分に感じられる様になっていました。


前面の愛称名表示窓に表示される列車名の幕も、近年では国鉄時代~分割民営化直後とは大きく異なる独特のモノが使われていますが、こちらもMAKIKYUが目撃した「にちりん」号では昔のイラスト入りに戻されており、なかなか良い雰囲気となっていたものでした。
(ただ比較的歴史の浅い「きりしま」などの列車に充当された場合、さすがに過去のイラスト入り字幕の登場は期待できませんが…)

また側面の行先表示幕も、目撃した列車の「南宮崎行き特急にちりん号」では、国鉄時代からお馴染みの表示様式となっていましたが、老朽車で車両状態も芳しくない事もあるのか、1両だけ異なる表示をしており、それも字幕が途中で止まっている状態となっている姿も目撃したものでした。


途中で止まった状態となっているこの字幕は、一般客には迷惑極まりないものかと思いますが、一方に今は無き「博多行き特急にちりん号」の幕が伺え、如何にも往年の活躍ぶりを物語る雰囲気なのは興味深いものです。

もう一方は国鉄時代には考えられなかった「鹿児島中央行き特急きりしま号」となっており、しかも国鉄時代の表示様式とは大きく異なる独自様式となっているなど、2つの字幕は趣が大きく異なる辺りも、趣味的には非常に面白いと感じたものでした。

このリバイバル塗装の485系は、イベント用としてもう少し活躍し、その活躍に注目すると共に、JR九州で幾つか存在する他形式のリバイバル塗装車両との顔合わせなども期待したいものです。


JR九州「485系さよなら記念オレンジカード」が手元に…

2011-04-08 | Weblog


余りに凄惨で未だに被害の全貌すら明らかにならない程の「東日本大震災」からもうまもなく一ヶ月、昨日は宮城沖でも余震と見られる地震(最大震度6ですので、余震といえども大地震です)が発生するなど、依然として予断を許さない状況です。

ただ首都圏では電力不足こそ続くものの、計画停電による大混乱からは抜け出しつつあり、徐々に平常の生活に戻りつつありますが、つい昨日、MAKIKYUはJR九州が発売した「485系さよなら記念オレンジカード」を入手する事が出来ました。

 
このオレンジカードは1000円券10枚で1セット、特製台紙付きとなっており、JR九州は日頃余りオレンジカード販売に熱心な雰囲気ではない事も考えると、異例とも言える豪華版と言えます。
(最近ではオレンジカード販売自体が下火で、本州各社では余り販売に熱心ではなく、会社・地区によっては販売箇所がかなり限られる状況になっていますが、北海道四国では今でも結構様々なデザインのカードが出回っており、これらの地域を訪れた際は是非購入したいものです)

当初は九州内の限られた場所で少数が発売されたのですが、余りの評判であっという間に売り切れ、当日販売箇所へ出向いても…という状況だった様です。

これでは当然ながら、日頃首都圏に身を置くMAKIKYUが販売箇所へ出向いて入手する事などとても叶いませんが、余りの盛況ぶりにJR九州では再度販売を行い、MAKIKYUが入手した「485系さよなら記念オレンジカード」もこの再度販売を行ったカードとなります。

再度の販売では特定箇所での販売ではなく、事前申し込み・代金振込による通信販売限定で販売を行い、申し込み期間内に代金の振込みを行った購入希望者全てに行き渡るように配慮しており、九州内に限らず、全国各地からの購入希望者の需要に応えるこの販売方法は大英断と言えます。

この様なカード類の販売は鉄道事業者側の増収にもつながりますので、今後のJR九州におけるオレンジカード販売をはじめ、他事業者における各種物販でも状況に応じ、柔軟な対応に期待したいと感じたものでした。

ちなみに肝心のオレンジカードは、九州内を駆け抜けた485系使用の様々な特急列車を題材としていますが、ボンネット形をはじめとする国鉄標準塗装が過半数を占めていますが、中には側面に赤いJRマークが付いた分割民営化後の姿も見られます。

また真っ赤な装いの「MIDORI EXPRESS」をはじめ、485系史上最も派手な装いでは…と感じる「ハ塗装(晩年はこの塗装できりしま号などに用いられていました)や、緑色1色となった「きりしま塗装(MAKIKYUが昨年、最後にJR九州の485系に乗車した際は、この塗装の車両に当たりました)など、如何にもJR九州らしい雰囲気に満ち溢れた晩年の姿を題材にしたカードも見られ、台紙にも「485系 JR九州オリジナルカラーバリエーション」として特徴的な各列車の装いが取り上げられている点も興味深いものです。

国鉄時代~分割民営化直後は交直流両用の汎用特急形電車として多数が活躍した485系も、老朽化で次々と数を減らし、先月のダイヤ改正ではJR九州JR西日本の2社に所属する車両が定期列車での運用を終えており、JR九州ではイベント用にごく少数が残存するのみとなっています。
(JR東日本に所属する車両は今でも活躍中で、こちらは自社内に限らずJR北海道JR西日本に乗り入れる列車にも運用されており、JR西日本でも形式こそ改めているものの、ほぼ485系そのものと言える車両が今でも活躍しています)

イベント用に残存した485系も、近い将来に退役となる公算が高く、そうなると九州内における485系の活躍は完全に幕を閉じる事になりますが、往年の活躍ぶりを末永く記憶に留めておくと共に、このオレンジカードセットもコレクションの一つとして、大事に保管して行きたいと思っています。