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碓氷峠のトロッコ列車・シェルパ君(車両編)~居住性は決して良いとは言えませんが…

2007-09-29 | 博物館・保存施設等

   

先日「MAKIKYUのページ」では、JR信越本線・横川~軽井沢間廃線跡の一部を活用したトロッコ列車・シェルパ君に関して取り上げましたが、今日はそのトロッコ列車で使用されている車両に関して取り上げたいと思います。

トロッコ列車の編成は横川(ぶんかむら)方から順に、機関車・客車(窓ガラスあり)・オープン型客車(窓ガラスなし)の3両で構成されており、機関車の付け替えは原則として行いません(とうげのゆ駅での機回しも不可です)ので、列車がとうげのゆ方面へ向かう際は機関車が最後尾、ぶんかむら方面へ向かう際は機関車が最前部となっており、65‰もの急勾配(ぶんかむら~とうげのゆ駅間の最急勾配:営業線時代の横川~軽井沢間における最急勾配は66.7‰)となっている路線だけあって、常に勾配を下る側に機関車が連結されているのが特徴です。

機関車はさすがにJR線時代に主役として活躍したEF63形という訳には行かず(この車両は今でも体験運転用に稼動していますが、架線の保守なども考えると…)、ディーゼル機関車が牽引していますが、このディーゼル機関車はTMC-500Aと呼ばれる急勾配の碓氷峠専用に製造された貴重な車両で、下りの際に速度が出過ぎない様にする特別な装置が備えられているのが特徴です。

客車もJRの第一線で活躍していた車両となれば、いくら線路幅が1067mmで物理的に走行可能であるとはいえ、1両だけでも大型故に重量が重くなり過ぎ、保線用車両ではとても推進運転などは出来ませんので、シェルパ君運行開始に際して特別に製造された小型の2軸客車が使用されていますが、この専用客車の外観は2両共に旧型客車をイメージしたダブルルーフとなっているのが特徴です。

2両の内横川(ぶんかむら)方に連結されている客車は、側扉が引戸となっており、冷暖房完備・座席も座面にはモケットが貼られていますが、空調装置も家庭用エアコンを2台設置している点は、一般の営業線で活躍する鉄道車両ではなかなか見られないもので、先頭(とうげのゆ方)に連結されているオープン型客車に比べると居住性は優れていると言えますが、それでも客車は小型という事もあってボギー車ではありませんので、居住性は決して良いとは言えません。

先頭(とうげのゆ方)に連結されている客車は、窓ガラスのないオープン型客車(一応アクリル板の取り付けが可能な様です)となっており、こちらは側扉が折戸となっているのも隣の客車との差異ですが、オープン型客車故に当然空調なし、また座席も木製と居住性は言うまでもない状況ですので、営業用の鉄道であれば特殊な観光列車などを除くと用をなさない代物です。

ただシェルパ君はアトラクション的存在で碓氷峠鉄道文化むら内施設の一環として運営されており、列車乗車や車窓を楽しむためだけに運行されていると言っても過言ではない列車ですので、外の景色を楽しめ、先頭部での展望も楽しめるオープン型客車の方が人気がある様です。

また2両の客車間は自由に往来可能な事もあって、MAKIKYUは両者を乗り比べていましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もシェルパ君に乗車される機会がありましたら、両方の車両を乗り比べてみると面白いかと思います。

写真はとうげのゆ駅停車中のシェルパ君ぶんかむら方(先頭は機関車)・とうげのゆ方(先頭はオープン型客車)と、客車車内の様子です。


営業運転を開始した小田急4000形~29日からは千代田線直通にも…

2007-09-27 | 小田急グループ

  
   

去る22日に営業運転を開始した小田急線の新形式通勤型車両・4000形ですが、今日MAKIKYUもようやく乗車できましたので、今日はこの4000形に関して取り上げたいと思います。

小田急4000形といえば、つい数年前まで走っていた機器流用車を思い浮かべてしまう方も居られるかと思いますが、今日取り上げる4000形はこれとは全く異なる新形式で、地下鉄千代田線直通用に導入された新形式の通勤型車両です。

小田急線内での営業は22日から開始され、この形式の本領発揮とも言える地下鉄千代田線直通は29日に開始と公式アナウンスされていますが、車両自体は5月頃から納入が始まり、その後試運転も頻繁に行われている状況(今でも試運転を行っている編成が存在します)ですので、まだ乗車はしていないものの、走っている姿は何度も目撃したという方も多いかと思います。

この車両は用途がほぼ地下鉄直通運用に特化し、小田急線内での分割運用を想定していない事もあって、小田急では他には1000形の一部編成(地下鉄直通用)しか例がない10両固定編成となっており、当面は7編成が製造・就役の予定ですが、JR東日本の最新鋭通勤型車両・E233系をベースにしているのが特徴で、「故障に強い」とされるメカニズム面や、IT技術を活用した情報管理・伝送システムなどをはじめ、車両内外の造りもJR車両との類似点が多く見られ、従来の小田急通勤型車両とは随分異なる感があります。

外観は窓の四隅が角張った客扉や、先代の3000形に比べてかなり小型化されたLED式の行先表示器などがJR車両をベースにした車両である事を物語っていますが、行先表示器は種別・行先と共に次の停車駅を表示し、日本語とENGLISHが交互に表示される点もベース車両との共通点ですし、側面の車号標記もプレートなどではなく車体に直接標記しただけとなっている点も、先代の3000形などと異なる点です。

車内も扉付近を見ますと、特徴的な窓の四隅が角張った客扉に細い黄色のラインが印刷されていて、床材もドア付近のみ黄色く色分けされている事や、非常用ドアコックがドア上のLCD式車内案内表示装置脇に設置されている事、そしてドア開閉装置には小田急初の電気式(今までの車両は空気式)が採用された事などが挙げられ、ドア開閉時のチャイムも今までの小田急通勤車で使用されていたモノと異なり、JRで多用され、他に東京メトロ10000系などでも用いられているタイプになっているなど、この部分だけを見てしまうとJR車両であるかと錯覚してしまう程です。

客室に入ると天井が質素な感を受けるFRP製となっている事や、つり革を吊っている支え棒の形状が随分シンプルな形状となっている事、車号の標記が今までの小田急通勤車各形式で見られるプレートではなくステッカーとなっている事、また側引戸の形状もJRと同等の形状に変更されている事などが、今までの小田急通勤車とは異なり、座席もベース車両に比べてやや薄いものの、最近のJR車両でよく見られるラウンド形状となっているなど、この点だけを見ると何処の鉄道に所属している車両なのかと感じてしまう程です。

車内の化粧板は先代3000形の印象を受け継いだピンク色(公式には薄い赤色としていますが…)を継承しており、これは地下鉄線内走行時にも暗い印象を与えない様に配慮した事もある様で、某社レンズ付きフィルムに似た名称で呼ばれる事が多く、現在千代田線にも2編成程が乗り入れている車両などに比べると印象は良いかと感じますし、ベース車両と同様に優先席付近で床材や化粧板の配色を変える発想も悪くないと思いますが、化粧板が真っ白で素っ気無い印象を与えるベース車両と同様に無地となっている点は、少々質素な感が否めない気がします。

ただそれでも側面の窓割はベース車と異なり、車端部の窓脇に結構な空間が出来ている辺りは、ベース車両そのままではなく、窓割や扉配置に私鉄標準規格を採用した車両である事を物語っていますし、下回りも主電動機(モーター)に通勤車両では全密閉式を採用して低騒音化(MAKIKYUが敢えて電動車に乗車した際も、惰行時などはかなり静かだった印象があります)を図ると共に、高出力形のモーターを採用する事で安定した性能と高速走行時の負荷低減(某社レンズ付きフィルムに似た名称で呼ばれる事が多い車両は、モーターの出力が低出力な事もあって高速走行時に過負荷状態となり、この状況は乗客の立場からも騒音が大きく不快に感じます)を図っている点などはこの車両の注目すべき点であると感じます。

またデザインは好評を博している特急ロマンスカー・50000形(VSE)のデザイナーが担当した事もあって、ベース車とは印象が大きく異なる前面や、今までの車両の印象を継承しつつも、イメージチェンジを図ったインペリアルブルーと呼ばれる色を採用したブルー帯などはなかなか見栄えがする気がしますし、現在地下鉄に乗り入れている1000形は一部編成が4+6両編成となっており、これを置き換える事によって地下鉄直通列車のデッドスペースが減少し、その分定員が増加するという点や、バリアフリー対応の充実に繋がる点などは評価できる気がします。

この新形式通勤車・4000形は今までの小田急通勤車各形式に比べると、小田急の車両という感が随分薄く感じてしまう点は否めませんが、全くのJR車両コピーではなく、JR車両をベースにしつつも独自色を出している点は評価でき、全密閉型モーターの採用をはじめとして注目すべき点もあるこの新形式の今後の活躍を期待すると共に、出来ることであればJR車両ベースという特性を生かし、現在東京メトロ車のみの運用となっていてダイヤ上の制約が大きい千代田線を介した小田急~JR直通列車の運用にも進出(この様な仕様であれば、JRでの取り扱いも容易でしょうし…)して、更に活躍の場を広げて欲しいと願わずにはいられません。

写真は今日乗車した4052Fと試運転を行っている4054F、車外の行先表示と車内の様子、4000形運行開始を告知する駅構内ポスターです。


新カテゴリー・「鉄道[北関東]」・「路線バス[北関東]」の設定に関して(ご案内)

2007-09-26 | Weblog

 

皆様、今日も「MAKIKYUのページ」へアクセス頂きありがとうございます。

「MAKIKYUのページ」では、国内各地域及び近隣の東アジア諸国に関する鉄道・バス関連の記事を中心に、地域別にカテゴリー分類して取り扱っていますが、MAKIKYUは日頃首都圏を中心に活動している事から首都圏・関東地方関連の記事が多くなっています。

その中でも「小田急グループ」と「北総監獄(千葉ニュータウン)」に関する記事に関しては既に別カテゴリーとしておりますが、それ以外の首都圏における鉄道・バス関連の記事も増大しており、今後の増加も見込まれる事から、一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の鉄道・バスに関連する記事(小田急グループ・北総監獄に関連する記事を除く)は従来通り「鉄道[首都圏]」「路線バス[首都圏]」のカテゴリーで扱いますが、北関東3県(群馬・栃木・茨城)に関する鉄道・バスに関する記事は新カテゴリー
「鉄道[北関東]」「路線バス[北関東]」を設定し、こちらでの取り扱いに変更致しますので、ご案内致します。
(既公開記事で[北関東]に該当する記事に関しても、本日付けで新カテゴリーへ移行しています)

写真は北関東3県(群馬・栃木・茨城)を走る鉄道・路線バス(全て既公開記事で使用・各県代表として登場?)です。


碓氷峠のトロッコ列車・シェルパ君(路線編)~鉄道文化むら内施設の一環という位置づけながらも…

2007-09-26 | 博物館・保存施設等

   

MAKIKYUが今月上旬に訪問した群馬県・横川(安中市)にある「碓氷峠鉄道文化むら」では、園内に保存されている車両や、先日取り上げたアトラクション的な遊覧鉄道(あぷと君)の他に、かつて信越本線として使用された横川~軽井沢間の廃線の一部を使用したトロッコ列車も運行しており、これが今日取り上げる「シェルパ君」です。

この列車は長野新幹線開業に伴う横川~軽井沢間の廃線後にオープンした鉄道文化むらの開園当初は運行されておらず、2005年になって運行が始まったのですが、土・日・祝日や夏休み期間などに運行されるこのトロッコ列車はぶんかむら駅~とうげのゆ駅間の2.6kmを結んでおり、途中の丸山変電所跡にはまるやま駅も設けられています。

これはアトラクション的鉄道としては異例の長さを誇り、営業用鉄道の短い支線を凌ぐ程の規模ですし、、それも路線の大半はかつて国鉄~JRの営業線(信越本線下り)として使用されていた事も他に類がなく、軌道幅もこの手の鉄道としては異例の1067mmとなっていますので、かなり本格的な鉄道と言えますが、起点のぶんかむら駅周辺ではかつて横川~軽井沢間で活躍し、現在でも体験運転で活躍しているEF63形電気機関車が同じ線路を走行するのも特徴です。

そのためこのトロッコ列車「シェルパ君」はディーゼル機関車が客車を牽引する非電化路線ながらも、大半の区間は架線柱や架線が往時のまま残されており(機能は果たしていませんが…)、軌道もアトラクション的鉄道としては異例のPC枕木となっていますが、廃線後の信越本線跡から分岐してとうげのゆ駅に至る短い区間などは、シェルパ君運行に伴って敷設された区間だけあって非電化で、枕木も木製となっているなど、廃線跡を転用した区間との差異は一目瞭然です。

運賃は一乗車当り片道500円・往復900円になっており、他に碓氷峠鉄道文化むらの入園料(500円・ぶんかむら駅は鉄道文化むら内にあります)が別途必要になる点は、鉄道文化むら施設内の一環という位置づけを象徴しており、まるやま駅での途中下車も同一列車以外は前途無効になってしまいますが、アトラクション的鉄道だけあってまるやま駅では数分の停車時間が設けられていますので、列車の停車中に一旦列車を降りて変電所の姿を見る事は可能です。

最初からこの列車に乗車する予定があるならば、鉄道文化むら入園時にトロッコ列車セット券(片道・往復とも設定あり)を購入しておけば、100円割安となりますのでおススメで、MAKIKYUもこのセット券を利用しましたが、シェルパ君のみのセット券以外に終点とうげのゆ駅に隣接している温泉施設「峠の湯」の利用券(3時間)とのセット券も設定されていますので、峠の湯へ立ち寄られる予定のある方は、こちらを利用されるのも良いかもしれません。

また現在ぶんかむら駅~とうげのゆ駅間を運行している「シェルパ君」ですが、信越本線(下り)の廃線跡はとうげのゆ駅(厳密にはその手前で分岐していますが…)より更に先まで残存しており、この区間にはめがね橋などの見所も存在(MAKIKYUが訪問した際には、台風の影響で通行止めとなっていました)していますので、今後の更なる路線延長にも期待したいものです。

あとこのトロッコ列車で使用している車両に関しては、車両編として近日中に別記事で取り上げたいと思います。

写真は起点のぶんかむら駅(隣に停車している電気機関車は、体験運転で使用しているEF63形)と途中のまるやま駅(右手は丸山変電所跡・上り線部分はアプトの道と称する遊歩道として整備)、とうげのゆ駅手前の分岐(左側がとうげのゆ駅へ向かう新設軌道・右側は現在未使用の信越本線廃線)ととうげのゆ駅です。


上信電鉄6000系~自社発注の意欲作は現在でも…

2007-09-25 | 鉄道[北関東]

 

MAKIKYUが今月上旬に青春18きっぷの残りを使用し、群馬県・横川(安中市)にある碓氷峠鉄道文化むらを訪問した際には、帰りに高崎から出ている上信電鉄の電車にも数駅だけ乗車して来ました。
(以前下仁田まで乗り通した事も一度ありますが、今月上旬の訪問時には台風の影響で南蛇井(なんじゃい)以遠が代行輸送となっており、時間や運賃も考えると厳しい状況でしたので…)

その際に乗車した車両は6000系と呼ばれる車両で、MAKIKYUが上信線に乗車したのは指の数程も…という状況ながら、もう既に何度も遭遇していますので、MAKIKYUが上信線を利用すると遭遇率の高い車両でもあるのですが、今日はこの6000系に関して取り上げたいと思います。

6000系は1981年に2両1編成のみが気動車の製造などで定評のある新潟鉄工(現在の新潟トランシス:電車の製造事例は少ないです)で製造された自社発注車両で、以後上信電鉄で導入される車両は西武鉄道からの譲渡車両のみですので、同社ではこの車両が最新形式(最近導入された西武鉄道新101系の改造車・500形も車齢はほぼ同等です)となっており、前面は大きな一枚窓と下部にバンパー(?)を配した独特なデザインのこの形式は、現在でも上信線における花形とも言える存在です。

この車両は他の上信電鉄における自社発注車両と同様に、運転席が右側に設けられていますが、運転台はこの年代では大手私鉄でも導入は一部に限られ、地方私鉄の車両としては画期的とも言えるワンハンドルマスコンを使用している事が大きな特徴です。
(これは6000系登場以前に登場した1000系も同様です)

新製当初から冷房装置装備で登場しており、車内の座席配置もロングシートの他に片側に一方を向いた固定式クロスシートを配する(この部分は窓割りも異なります)など、この年代の地方私鉄における車両としてはサービスレベルはかなり高い部類に属します。

近年は上信線も整理券方式によるワンマン運転を実施しており、それに伴って運転席後部の座席が撤去され、運賃箱や運賃表示機、整理券発行機やワンマン放送用の音声合成装置などが設置される改造が行われると共に、ここ数年は日野自動車のラッピング車両となり、前面には日野自動車製バスやトラックの如く「H」マークが取り付けられています。

また最近ではこの車両の特徴とも言えるクロスシートが撤去され、ロングシートに改造されていますので、上信線の車両は現在ロングシート車のみとなりましたが、改造で新たにロングシートが取り付けられた部分はドア脇の手すりにゴムの覆い(同様のものは路線バスなどでよく見られ、この車両の大きな特徴とも言えます)が取り付けられておらず、座席間には今流行の金属製ポールが設けられているのも特徴です。

現在では特徴的なクロスシートこそなくなってしまいましたが、製造当時における意気込みの高さを感じさせると共に、同年代の西武譲渡車両が入線した現在でも決して見劣りしない感がある6000系、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もこの車両に遭遇される機会がありましたら、是非乗車されてみては如何でしょうか?

写真は高崎駅停車中の6000系と、その車内の様子です。


遠州鉄道 モハ51+クハ61号車~同社初のカルダン駆動車

2007-09-24 | 鉄道[東海]

 

先日遠州鉄道のモハ30+クハ80形車両に関する記事を取り上げ、この形式の大半は釣り掛け式駆動を採用しており、独特のモーター音を奏でる車両として注目される存在ですが、1980年に製造された最終編成だけはカルダン駆動を採用しており、それが今日取り上げるモハ51+クハ61編成です。

モハ51+クハ61編成は遠州鉄道初のカルダン駆動車として登場し、また新製当初から冷房装置を搭載(この形式の釣り掛け式駆動車の中にも、新製当初から冷房を搭載した編成も存在)していますので、この年代の地方私鉄における自社発注車両としては比較的レベルの高い車両と言え、鉄道友の会静岡支部から「おれんじ81」と称する賞を贈られた証のプレートが車内に取り付けられているのも特徴です。
(似た様なプレートは、同県を走る静岡鉄道の車両でも見られますが…)

この編成が増備された後の新車導入は1000形へバトンタッチ(他の地方私鉄では80年代以降、自社発注の新車を導入していない鉄道も多いですので、更にその後VVVFインバーター制御の2000形まで導入している同社は、地方私鉄の中では非常に元気な存在です)しており、30系列のカルダン駆動車導入は一編成だけに終わっていますが、この編成は湘南形の前面となっている他の同系とは異なり、一度見たら忘れられない様な独特の前面形状となっていますので、希少な存在とはいえ結構目立つものです。

またこの編成は冷房装備のカルダン駆動車とはいえ、他の同系と同様の2扉車となっており、その後導入された1000形などとはブレーキ方式が異なるために連結できませんので、専ら釣り掛け駆動車と併結してのラッシュ時間帯における4両編成運行時間帯に限定される状況となっていますが、MAKIKYUがラッシュ時間帯の旧型車稼動時刻に同線を訪問するといつも遭遇しますので、同系の釣り掛け駆動車に比べると稼働率は高い様で、釣り掛け駆動車と併結してやって来た時は、両者を乗り比べてみるのも面白いかもしれません。
(先月MAKIKYUが遠鉄でこの形式に乗車した際も、両者を乗り比べていました)

ただMAKIKYUが遠州鉄道を訪問しこの編成が運用されている列車に当たると、大抵4両の内の新浜松寄り2両に連結(西鹿島寄り2両は釣り掛け駆動車)されており、同線の車両は新浜松寄り車両が電動車(モーター付き車両)となっていますので、この組合でやって来ると、前面展望を楽しみながら釣り掛け駆動音を楽しむ事が出来ないのは難点です。
(一般の乗客はこんな事を考えないと思いますが…)

写真は独特な面構えの前面と、車内に貼られた「おれんじ81」のプレートです。


園内遊覧列車・あぷと君で活躍する10000形(?)DL~EC40形を模したDL

2007-09-21 | 博物館・保存施設等

 

昨日「MAKIKYUのページ」では碓氷峠鉄道文化むらの園内を走る「あぷと君」と呼ばれる軌道幅2フィート(610mm)の遊覧列車に関して取り上げましたが、この遊覧列車の牽引には、昨日取り上げた英国製の石炭焚きで走る本格的な蒸気機関車(SL)の他に、ディーゼル機関車(DL)も活躍しています。

牽引する客車は3両だけですので、運行時間帯によって機関車のみを付け替えるのですが、一般客へのインパクトはSLに比べて低い事もあってか、DLは午前中や夕方を中心に活躍し、SLに比べて稼働率が低くなっています。

ただこのDLは随分昔に碓氷峠で活躍していたEC40形電気機関車を模した形をしており、これは如何にもこの鉄道文化むらならではの感がありますが、このDLは何故か形式番号「10000」を名乗っており、この番号には何か由来があるのかどうかも気になる所です。

またこの遊覧鉄道「あぷと君」にはさほど急勾配といえる区間はなく、当然アプト式などのラックレール区間も存在していませんが、このDLは「あぷと君」という名称にはピッタリな感があり、それなりの雰囲気も出ているかと思いますし、この遊覧鉄道のバリエーションに幅を持たせるという観点でも面白い気がします。

ちなみに「あぷと君」の牽引機関車が時刻によってDLとSLのどちらであるかは、鉄道文化むら内のあぷと君乗車券売り場近くに掲示も出ていたと記憶していますが、どちらに乗車した場合でも「あぷと君」の運賃は同じですので、時間帯の関係もあってMAKIKYUはSL牽引列車の方にしか乗車していないものの、好み次第ではこちらを選ばれても良いかと思いますし、或いは両者を乗り比べてみるのもまた面白いかもしれません。

写真はSL運行時間帯に側線に留置されているDLと、ED40形の後釜とも言えるEF63形が走る軌道幅1067mmの線路と併走する区間で、3両の客車を牽引して走るDLの姿です。

追記:EC40形と表記すべき所を、ED40形と誤記していましたので訂正いたします。
またこの機関車の番号(10000)は、EC40の称号改正前にあたる形式名で、ご指摘頂いた皆様ありがとうございます。


碓氷峠鉄道文化むらの園内遊覧列車・あぷと君~石炭焚きで走る本格的なSL列車

2007-09-20 | 博物館・保存施設等

   

MAKIKYUは今月上旬に青春18きっぷの5回目を使い、群馬県・横川(現在は安中市)にある碓氷峠鉄道文化むらを初訪問して来ましたが、この園内は内容も非常に充実しており、2~3時間はあっという間に過ぎてしまう程…

そんな園内はかつての横川運転区跡地を利用したもので、広々とした園内にある数々の保存車両だけでも鉄道関連の博物館としては日本一では…と感じる程(来月開館予定の鉄道博物館も、かなりの規模になる様ですが…)で、これを取り上げるだけでブログ記事も幾つも作れそうな感がありますが、それ以外にもEF63形電気機関車の体験運転(予約制:MAKIKYUは鉄道車両の体験運転をした事があるとはいえ、ここでの運転を体験した事はありません)や園内を走る遊覧列車の運行など、お楽しみは盛り沢山で一日中居ても飽きない位ですが、今日は園内を走る遊覧列車・あぷと君に関して取り上げたいと思います。

この遊覧列車は園内をエンドレス状に周回する様に軌道が敷設され、全長約800mの環状線を一周する路線ですが、線路幅は日本国内のナローゲージ路線として知られる近鉄内部(うつべ)・八王子線や三岐鉄道北勢線、黒部峡谷鉄道の762mmより更に狭い610mm(2フィート)となっています。

これは日本国内の営業用鉄道では使われていない軌道幅ですが、部分的に横川~軽井沢間の廃線後も残された軌道(体験運転やトロッコ列車運行などで使用:当然JR在来線で用いられている1067mmです)と併走する区間では、その狭さが一目瞭然です。

使用車両は機関車1両が客車3両を牽引しており、3両の客車は「赤城」「榛名」「妙義」と群馬県の山々にちなんだ愛称が付けられていますが、客車自体に形式番号等は付与されておらず、この辺りは如何にも遊覧列車ならではという感があります。

この客車は内装に木材をふんだんに使用しており、小型車両だけあって座席は通路を挟んで2+1配列で並んでいますが、座席は硬い木製のベンチの様なものとなっており、空調装置なども備えられていませんので、居住性はお世辞にも良いとは言いがたい気がします。

ただ乗車時間は数分程度ですので、非空調+木製座席でも実害はありませんし、客車は小型とはいえ2軸車ではなくボギー車(一般的な旅客用鉄道車両の大半が使用している形態で、1車両に台車が2つ:1台車に車輪は2軸あり、1両当たりの車輪は4軸)となっている事は特徴的です。

機関車は主に「グリーンブリーズ」という名称が付けられた蒸気機関車(3950号)が用いられていますが、こちらは碓氷峠鉄道文化むら開園に合わせて準備された1998年製とはいえ、この手の遊覧鉄道ではよくあるSLもどきではなく、鉄道発祥の地・英国で製造された正真正銘のSLで、それも重油焚きではなく石炭を使用していますので、駅構内や機関車周辺は懐かしさを感じるような独特の匂いを放っている点も注目です。

ちなみにこの園内遊覧列車・あぷと君は1乗車400円で乗車可能(他に鉄道文化むら入園料が別途必要です)で、アトラクション的存在とはいえ車庫には転車台が用意され、本線上には腕木式信号機の姿も見られるなど雰囲気もなかなかですので、さすが鉄道文化むらの乗り物だけあると感じさせられ、訪問した暁には是非乗車したい列車ですが、自動券売機で購入する乗車券は食堂の食券の如く…といった感じで、これだけはもう一工夫欲しいものと感じてしまいます。

また昼間を中心に運行されるSL牽引列車の他にディーゼル機関車牽引で運行される場合もあり、こちらも別記事で追って取り上げたいと思います。

写真はSLが牽引する園内遊覧列車とその客車の車内、乗車中のワンシーンと610mm(2フィート)と1067mmの軌道が併走する箇所の様子(乗車中に客車最後尾から撮影)です。


北総監獄を走る路線バス・白井線~一応地下鉄駅を発着する路線バスですが…

2007-09-18 | 北総監獄

MAKIKYUは先日、所用で首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)へ出向く機会がありましたが、その際は余りに高額な運賃で悪評名高い「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)に乗車するのは…という事で、片道は時間の関係などもあって止む無く利用したものの、もう片道は白井線と呼ばれる路線バスを利用しまして、今日はこの路線に関して取り上げたいと思います。

この路線は現在、「北総監獄から広がる虹色網」をモットーとする大手の分社が西船橋駅~白井駅(~白井車庫)間を東中山駅・法典(船橋法典駅)・馬込沢駅・鎌ヶ谷大仏駅などを経由するルートで運行しており、大部分の区間は木下(きおろし)街道を通る経路となっています。

かつては大型車両で運行されていましたが、「北総監獄から広がる虹色網」をモットーとする分社に移管された後は、徐々に中型車による運行に切り替えられており、今では地下鉄(東京メトロ)の駅を起点とする路線にも関わらず、運行便の殆どが中型車という状況になっています。

先日MAKIKYUがこの路線に乗車した際も写真と同じタイプの中型車(写真は以前撮影したものです)が充当され、それも概ね1時間に2本程度(白井駅までの便も含めて)しか運行されない事や、夕方の帰宅ラッシュ帯だった事もあって、西船橋駅出発時は満員に近い乗車率でしたが、法典を過ぎると立ち席は殆ど見られなくなり、鎌ヶ谷大仏駅を過ぎると乗客数は数人という状況でした。

その上白井駅以遠は入出庫を兼ねて運行している様な区間で、運転間隔にバラツキがあって利用しやすいダイヤとは言えず、北総監獄内は公共交通の不毛地帯として知られ自家用車の利用率が高いエリアというという事もあってか、帰宅時間帯にも関わらず駅からの乗客は皆無(鉄道自体の不評も大きな要因ですが…)、乗客数も指の数で足りてしまう有様で、MAKIKYUが乗車した限りでは西船橋駅周辺を除けば収容力は中型車でも充分過ぎる感がありました。

またMAKIKYUは先日西船橋駅~白井車庫間の全線を乗り通したのですが、この路線の利用形態はその殆どが鉄道駅から数停留所での利用で、西船橋駅から乗車した他の乗客で白井市内まで乗り通す乗客は殆ど見られない状況でしたが、西船橋駅~鎌ヶ谷大仏間で490円(船橋~鎌ヶ谷大仏間の他社路線バスは310円)、西船橋駅~白井駅間で620円(船橋~小室間の他社路線バスは530円)などと、以前運行していた事業者の割高な運賃を継承した事もあって、近隣の他社に比べて運賃がやや割高になっています。

バス共通カードが使用可能なのはせめてもの救い(PASMOはまだ使えません)とはいえ、全区間を乗り通すと19km強の距離で所用約1時間・運賃800円と東京メトロの駅を起点とする一般路線バスの中では極めて高額な部類に入る事や、馬込沢と鎌ヶ谷大仏では鉄道の踏切を跨ぎ、その他の区間でも木下街道の慢性的な混雑によって遅延が常態化している事等を踏まえると、全線を乗り通す乗客が皆無に等しいのは止むを得ない事かもしれません。

ただそれでもこの路線で鎌ヶ谷大仏~白井駅間を乗車する場合の運賃は290円で、他社バスの鎌ヶ谷大仏~西白井駅間の180円(ちなみにこの会社の路線は三咲駅~小室駅間でも300円で乗車可能です)などに比べると割高になるとはいえ、余りに高額な運賃で悪評名高い「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道・2駅で370円程度の運賃は当たり前という状況です)に比べればまだ程度が良いと言え、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様が公共交通を用いて北総監獄へ出向く所用がある際などは、この路線の存在を知っていると便利かもしれません。
(まあ北総監獄は大した見所などもない所ですので、行かれる方は少ないかと思いますが…)


今でも新柄登場・ほくそうパッスルカード

2007-09-18 | 北総監獄

MAKIKYUが先日所用で首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)へ出向いた際には、余りに高額な運賃で悪評名高い「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)も利用したのですが、先日この鉄道を利用した際には、券売機で新柄のほくそうパッスルカード(パスネット)を発売しているのを発見し、少々驚かされました。

というのも、3月に首都圏の主な私鉄などで利用可能なICカード乗車券・PASMOが発売開始となり、パスネット自体が最近新柄の登場が少なくなっていますし、PASMOは一時品薄状況で発売が制限されたものの、現在はその発売制限も解除されつつある状況ですので、この様な時期に敢えて新柄のパスネットが登場する事自体が奇妙といっても過言ではないと思います。

そのパスネットが写真のカードで、デザインは今月上旬に北総監獄内のゴルフ場で開催されたゴルフ大会の宣伝となっており、券売機での購入時に日時や購入駅名が記載される事もあって、つい最近のカードである事を物語っていますが、今年に入ってからもΣ形と呼ばれるヘンテコな形の電車が引退するのに合わせて新柄のパスネットを発売した事や、辛うじて自動改札機はICカードに対応しているものの、自動券売機は大半がICカード未対応という状況を考えれば、まだ今後も新柄のパスネットが出てくるのかもしれません。

それにしてもこの「開発を止めた某鉄道」、最新型車は親会社と座席のモケットやドアステッカーまで同じという状況にも関わらず、運賃だけは異様に高額な有様ですし、それでいて何故か乗車券は時代に逆行するかの様に独自の地紋(これも最近変わっています)を使いたがったりと、MAKIKYUには理解し難い状況ですが、最近は他に案内放送の変更なども行っており、こんな事に精を出す位ならその余力を運賃値下げ(せめて普通運賃は近隣の地下鉄に直通している某高速鉄道程度に…)に回して欲しいと感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


遠州鉄道 モハ30+クハ80形~ラッシュ時間帯に活躍する旧型車両

2007-09-16 | 鉄道[東海]

  

先月MAKIKYUが青春18きっぷを使用して浜松へ出向き、その際に乗車した遠州鉄道の路線バスに関する記事などを既に取り上げていますが、今日は先月MAKIKYUが浜松を訪問した際にバスと共に乗車した、同社の鉄道線を走る旧型車両に関して取り上げたいと思います。

遠州鉄道の鉄道線は電化線区ながらも架線電圧は750Vと低圧で、路線も全区間が単線でありながらも、列車運行間隔は昼間12分間隔で夜も23時台まで列車が運行され、ラッシュ時間帯には4両編成に増結される列車もあるなど、大都市圏の鉄道に匹敵する利便性には定評があります。

使用車両も旧型車両や中古車両ばかりというのが地方私鉄の通例ですが、遠州鉄道の車両は全て自社発注車両で、それも最新鋭のVVVFインバーター制御車(IGBT)も走っていますし、改集札も自動改札機の設置こそないものの、近年ではICカード乗車券(ナイスパス)も導入されるなど、かなり近代的な感があり、大手私鉄の一部路線を凌ぐのでは…という感がありますが、その様な路線にも関わらず今でもラッシュ時間帯には旧型車両が活躍する姿も見られ、それが今日取り上げるモハ30+クハ80形です。

この車両は1960年頃から20年余りに渡って製造され、モハ30+クハ80形の2両で一編成を構成していますが、完全新造車と機器流用車が混在しているのが特徴で、また最終増備車の一編成だけは番号帯やデザイン、下回りなどが大きく異なります(実態は別形式の様なものです)が、この形式は全て側面の扉数が1両2箇所となっているのも特徴(主力の1000・2000形は3扉)です。

最終増備の一編成を除くと下回りは旧式の釣り掛け駆動を採用し、外観は前面が非貫通2枚窓の通称湘南形と呼ばれる形状となっていますので、見るからに古めかしい印象を受けますが、今や地方私鉄でも数少なくなった昔ながらの如何にも「電車」という感がある走行音も魅力的で、遠鉄電車は600V線区とはいえそこそこの速度を出しますし、その上この車両は減速時にもなかなか良い音を発しますので、鉄道好きにとってはなかなか魅力的な存在です。

また製造時期によって扉が片開きと両開きの双方が存在し、編成によっては同じ編成の中で片開扉車と両開扉車が混在していますし、冷房装置も新製当初から取り付けられた編成と、後から改造で取り付けられた編成があり、この両者では冷房装置の外観も異なるなど、車両による個体差が激しく、雑形車とも言える状況を呈していますので、この状況も更に通好みな車両となる要因となっています。

とはいえ旧式の釣り掛け駆動車は騒音が大きく、2扉車で乗降性も決して良いとは言えませんので、サービス面では最新型の2000形などに比べると大きく劣るのは事実で、また主力となっている3扉車の1000形・2000形との連結運転も不可能ですので、専ら平日朝夕ラッシュ時間帯の4両編成運転(土曜日にも一部あり)が行われ、3扉車だけでは車両数が不足する際に運用される程度となっています。

そのため昼間は新浜松駅にも大抵1本が留置されて姿を見るのは容易ながらも、なかなか乗車出来ない車両となっていますし、その上近年は新形式2000形の導入によって徐々に廃車も行われていますが、まだ暫くは活躍が期待出来そうです。

また同系の朝ラッシュ時間帯の運行は浜松圏在住者や、浜松市内に宿泊している場合以外には乗り難い時間帯ですが、現状では夕ラッシュ時間帯の運行は限定運用で運行時間が限られるとはいえ、乗車後にJR普通列車を乗り継いで帰る場合でも、その日の内に首都圏や近畿圏まで帰還できる時間帯に運行されており、日の長い時期であれば撮影も可能な時間帯(これからの時期は厳しいですが…)に運行されている事も魅力的ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も浜松周辺を訪問・経由される機会がありましたら、是非この希少な旧型車両に乗車されてみては如何でしょうか?

写真は西鹿島駅に停車中のクハ86(先月MAKIKYUが乗車した編成)と、編成からばらされたモハ30形、先月乗車した際の車内の様子です。


JR東日本 107系電車(100番台)~上州を走る通勤型車両

2007-09-14 | 鉄道[北関東]

昨日「MAKIKYUのページ」では臨時快速列車「お座敷ゆとり水上号」に関する記事を掲載しましたが、MAKIKYUが高崎駅でこの列車の姿を収めた後は横川へ向かう為に信越本線(本線とは名ばかりで、実態は分断された1支線ですが…)に乗車し、その際にやって来た車両が107系で、今日はこの地味な役回りとなっている同系に関して取り上げたいと思います。

この車両は国鉄の分割民営化直後に製造された近郊型電車で、2両1編成というローカル輸送に手頃な編成となっており、混雑時間帯などは2~3編成を連結して運用される姿もよく目にしますが、コストダウンの為に下回りや空調装置などはローカル輸送用としては使い勝手が悪かった165系からの転用品を用い、車体も自社工場で製造されている事は大きな特徴です。

そのため軽快なスタイルながらも、外観は空調装置などに部品流用車の特徴が見られますし、最近は急行形車両が少なくなった事もあって、横川へ向かう車中では乗客の間でも「この走行音が…」という声が聞かれる程でした。

ちなみに107系が走っているエリアは高崎地区各線(高崎以南を除く)と日光線ですので、北関東のみを走っている地域限定車両と言える存在で、両者は一応宇都宮駅で顔合わせする事もあるのですが、両者は併結も可能ながら仕様が若干異なり、所属や運用は基本的に分かれていて高崎地区用は100番台、日光線用は0番台と区分されており、塗装も両者で異なっています。

高崎地区用の100番台車は増備途中で窓割が変更されているのも特徴で、先日乗車した写真の車両は戸袋窓が省略された後期の編成ですが、車内設備などは特に変化はなく、0番台も含めて全てオールロングシートとなっているのが同系の特徴ですので、形式が語る通り通勤型車両ですが、地域性を考慮してか各編成に化粧室が設置されている事は評価できる点と感じます。

ただ2両1編成の小回りの利く編成という利点があり、ワンマン運転にも比較的対応しやすい構造でありながらも、現在の所はワンマン化改造車が全く登場していませんし、閑散時間帯の高崎地区ローカル列車では中途半端な運転間隔で107系2編成(4両)という運用などもよく見られ、現状では他形式との混用で持て余している感がありますので、今後はこの形式の特性を生かして短編成ワンマン運転を推し進め、代わりにパターンダイヤ化と運行本数の増発で分かり易く便利なダイヤ編成に期待したいものです。

とはいえ高崎近郊で運行間隔が1時間程度開く状況で、この車両が1編成2両での運用となれば、いくら通勤型で詰め込みが利くとは言っても、余り望ましい状況ではありませんし、先日高崎~横川間で乗車した際は、本数も決して多いとは言えない状況にも関わらず、2両編成だった事もあって日中にも関わらず安中辺りまで超満員、その後も終点まで立席という有様でしたので、詰め込みによる合理化の為にこの形式を短編成で運用し、混雑が常態化するする事だけは避けて欲しいものです。


快速・お座敷ゆとり水上号~先日は珍列車に偶然遭遇

2007-09-13 | 鉄道[北関東]

   

MAKIKYUは数日前に青春18きっぷの5回目を使用して群馬県・横川(現在は安中市)にある碓氷峠鉄道文化むらを訪問し、その道中で遭遇した秩父鉄道1000系のリバイバル塗装車に関する記事を先日公開しましたが、秩父鉄道に立ち寄った後に熊谷→高崎へ移動する際、熊谷駅で発車案内を見ると、「快速 水上」という見慣れない行先の列車が…

数日前にMAKIKYUが横川へ行った際は、高崎までは列車の運行本数も多く、定期列車でやって来る車両も有り触れた2種類(211系・E231系)という事もあって、時刻表も余り念入りにはチェックしておらず、臨時列車に関しては余り気に留めていなかったのですが、この行先に異様さを感じてホームへ下りてみると、通好みとも言えるEF65形電気機関車のレインボー塗装機(かつてレインボーと呼ばれるジョイフルとレイン客車があり、その塗装に合わせているのでこの様に呼ばれます)に、「ゆとり」と呼ばれるジョイフルトレインの客車を連ねた編成が…
(ちなみに「ゆとり」とは、旧国鉄末期に14系客車の改造で登場した「サロンエクスプレス東京」と呼ばれるジョイフルトレインをお座敷列車に改造した車両の事です)

この手の列車はチェックしている方も多い様で、熊谷駅は薄暗くて撮影には不適にも関わらず、何人もの方が撮影に興じており、MAKIKYUも偶然遭遇したその姿を収めて来ました。

その後MAKIKYUは定期普通列車で高崎へ移動しましたが、さすがに気になって車中で高崎線の時刻(一応遠出の際は、大抵時刻表を持参しています)を調べたら、快速・お座敷ゆとり水上号と呼ばれる上野~水上間・全車グリーン車指定席の臨時列車である事が判明するという有様でしたが、この列車は高崎駅で随分停車時間があってここでも姿を拝めると思ったら、MAKIKYUが高崎まで乗車していた列車の隣のホームにその姿が…

お座敷ゆとり水上号の高崎における異様なまでの停車時間は、わざわざ機関車を付け替える目的もあった様で、今度はEF65形のレインボー塗装機が外され、代わって現役車両は1両だけと言うEF60形電気機関車(19号機)が先頭に連結されていましたが、これは本来これまた希少な流線型の電気機関車・EF55形の登板を予定していたものが、故障で急遽変更になった様で(これも後で駅構内の掲示で知ったのですが…)、希少な動態保存機関車を複数保有している高崎支社ならではとも言える芸当には感心させられるものです。

勿論この列車が停車しているホームは祭りさながらの光景となっていましたが、これだけの大物参上ともなれば注目を集めない方が無理とも言える状況で、フィーバーぶりも納得できるもので、ノーマークでこの列車に遭遇したMAKIKYUは下調べ不足とも言えますが、高崎駅では先頭に連結されたEF60形の姿を拝むと共に、編成後部の「ゆとり」展望車や、イラスト入りの特製行先表示なども収める事ができ、偶然この様な場に居合わせ、思わぬ収穫を得られるのもまた面白いものでした。

写真は熊谷駅発車時と高崎駅停車中の「お座敷水上号」と、同列車の最後部に連結された「ゆとり」展望車、「お座敷水上号」運転に際して用意された特製行先表示
(何故か効能温泉いろどり号の行先表示もありましたが…)です。


秩父鉄道1000系電車~今でも中間車は非冷房車―これで急行だけは…

2007-09-10 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

 

MAKIKYUは先日、最後の5回(日)目だけ残っていた青春18きっぷ(有効期間は今日まで)を使用し、群馬県の横川にある「鉄道文化むら」へ日帰りで出かけていましたが、その道中では秩父鉄道にも立ち寄り、その際乗車した車両が1000系と呼ばれる車両です。

この車両は旧国鉄の101系電車(一部はJRにも継承されたものの、現在JR線上では全廃)を譲受したもので、この形式自体が1950年代後半~60年代前半にかけて製造された車両ですので、一応新性能車とはいえ、経年は40年を越えていますので、地方私鉄で現在活躍している車両の中でもかなり古い部類に入ります。

秩父鉄道には1980年代に入線し、以来1000系を名乗って現在まで活躍しており、3両1編成のこの形式は現在でも普通列車の主力なっていますが、秩父鉄道入線後にも塗装変更をはじめ、ワンマン化改造(車内での運賃収受は行わないため、運賃箱や運賃表示器の設置はなし)や冷房化改造などが行われ、先頭車パンタグラフの増設も行われていますので、入線時とは少々様相が異なるものとなっています。

とはいえ下回りや車体形状などは種車を継承しており、車内も荷棚が取り替えられるなどの小変化はあるものの基本的にほぼ原型ですし、近年行われた冷房化改造も両側の先頭車のみに限られ、中間車は「弱冷房車」ならぬ「非冷房車」となっている状況ですので、旧国鉄ムードを堪能するには充分過ぎる程ですが、今の時期は中間車だけ乗客の姿がまばらという有様は少々問題ありという気がしますし、経年もあってかなり草臥れた印象を受けるのも事実です。

そのため近年首都圏ではJRや大手私鉄などでコストダウン形新形式が続々と登場し、JRでは101系の後継車とも言える103系が首都圏から全廃となったのをはじめ、1970年代~80年代にかけて製造された冷房付きの大型(車体長20m)車両が次々と淘汰されている現状では、この草臥れた1000系の置き換えにこれらの車両を導入しても…と感じてしまいますが、それどころか最近になって、来月秩父鉄道の走る埼玉県内に「鉄道博物館」(所在地は同線沿線ではなくさいたま市)が開設される事にちなんで、旧国鉄時代のオレンジ色を再現したリバイバル塗装車も登場した程ですので、この形式に関してはまだ暫く使い続ける様です。

MAKIKYUも先日秩父鉄道に乗車した際には、時間の関係もあってこのリバイバル塗装編成に乗車こそ出来なかったものの、熊谷駅でその姿を目撃する事が出来ましたので、リバイバル塗装編成が現行秩父鉄道塗装の同系と並んだ際の写真を掲載すると共に、今でも非冷房のままで原型に近い中間車車内の様子と、他ではあまり類を見ない中間車車内に貼られた「前後の車両は冷房車です」と書かれたステッカーの写真を公開したいと思います。

また今後オレンジ色に引き続き、カナリヤとスカイブルーの塗装を纏った編成も登場する模様で、MAKIKYUは今回逆光状態の写真が少々ある程度ですので、リバイバル塗装が3編成出揃った頃にでも再度秩父鉄道も訪問したいものです。

ただいくら他に稼動車両が存在しない希少車両とはいえ、オールロングシートの通勤仕様で非冷房車が組み込まれている状況などを考えると、お世辞にも快適とは言い難い車両ですので、最近臨時で運行された有料急行での運用だけは今後控えて頂きたいもので、特別仕立ての臨時列車で通過駅を設定するにしても、せいぜい準急(普段運行されていませんが、一応種別幕だけは入っていますので、これを表示するのはなかなか面白い気がします)辺りにして頂きたいと感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


遠州鉄道で走る富士重工製車体を載せた日野車~個性の強さも魅力ですが…

2007-09-07 | バス[甲信越]

先月MAKIKYUが青春18きっぷを使用して浜松へ出向いた際には、浜松周辺に幅広く路線を持つ遠州鉄道の路線バスに何度か乗車し、既に希少なHEV(モーター駆動のハイブリッドバス)に関して取り上げていますが、今日は富士重工製の車体を載せた路線バスに関して取り上げたいと思います。

富士重工といえば最近はバス車体製造から撤退したものの、近年までバス車体製造を手がけ、また日産ディーゼル製の路線バスにおいては標準車体として採用されていた事もありますので、同社製の車体を載せた日産ディーゼル製の車両は各地で走っており、またいすゞ製のバスに関しても、首都圏などの東日本を中心に富士重工製の車体を載せたバスを好んで導入する事業者が数多くあった事から、これらは特に珍しいものではありません。

遠州鉄道においても日産ディーゼル製の一般路線車こそ走っていないものの、後者に関しては結構な数が走っているのですが、同社ではこの他に比較的年式の古い車両(地方事業者の中では、車両使用年数は短い部類に入ります)で日野製の下回りに富士重工製の車体を載せた車両が走っており、浜松駅などでも時折この車両を目にする事が出来ます。

これは全国的に見ても余り数の多くない車両ですので、三菱ふそう製ほどではないにしろ割合レアな部類に入るバス(首都圏などでも探せば乗れなくもないのですが…)ですし、その上遠州鉄道のバスは最近でこそ「オムニバス」と呼ばれるノンステップバスになっていますが、それ以前に導入された車両(2段ステップ)は引き違い式の窓に中扉4枚折戸と、整った印象を受ける特徴的な外観をしており、車内も一般路線バスにしては高級感のあるハイバックシートを採用していますので、なかなか個性が強く特徴的で、MAKIKYUとしても遠鉄を利用する際は、この車両に遭遇できると嬉しいものです。

先月浜松を訪れた際には浜松駅~サンストリート浜北(浜北区内に最近開業した大型ショッピングモール)間で乗車し、写真もその時のものですが、今後新型車両の導入に伴う代替で数を減らし、乗り難くなる車両ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も浜松へ行かれる機会があり、興味がありましたら、今ならまだまだ走っているこの車両に注目してみては如何でしょうか?