黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「虚しさ」との戦い(19)――政治家に「品性」を求めるのは、無謀か?

2015-08-27 10:30:00 | 仕事
 昔、ある人から「黒古さんは、下品だ」と言われたことがあり、それが今でもトラウマになっているのか、どんなこと(言動)に対しても、「このことは、下劣かどうか」と考える癖が付いているのだが、「安保法制=戦争法案」に関する審議の中で繰り返し言われるようになった「政治(家)の劣化」について考えるようになって、どうも僕らは「国民の代表」として「国民のために働く」政治家は、「私利私欲」を離れて「国家」「国民」のことを考える「品性上等」な人たち、と「思い違い=誤解」しているのではないか、と最近思うようになった。
 その第一番は、首相という一国を代表する指導者でありながら、日教組に支援されている野党の議員に向かって「右翼」根性丸出しの「日教組はどうした」というヤジを飛ばしたのをはじめ、「女性差別」としか思われないような態度で「早く質問しろよ」とか、「そんなことどうでもいいじゃないか」などと、国会の答弁を軽視するようなヤジを飛ばしたたことである。「品性下劣」とはこのようなことを言うのだろうが、苦労知らずの「お坊ちゃん」で育った、知性のかけらもない態度は、弾劾しても仕方がないと思いながらも、どうしても「虚しさ」と同時に「怒り」も覚えるものである。
 こんなもう「お前はアホか」と言いたくなるような安倍首相に「かしづく」家来(お友だち政治家)たちも、「主君」に似て、非道いの一言に尽きる。まず、「立憲主義」(「日本国憲法」を最高法規として、全ての国民はそれを守らなければならない、とする考え)を否定する「安保法制に関して、国際情勢の変化が優先され、法的安定性など関係ない」と発言した磯崎首相補佐官、彼は東大法学部出身だと言うが、彼の「憲法無視」の発言を、東大で教鞭を執る憲法学者たちはどう思っているのか。それに、憲法無視の暴言を吐いた磯崎補佐官を「注意」しただけで、罷免することもなく相変わらず重用し続ける安倍首相(及び、安倍内閣)の「品性」は、もう度し難いとしか言いようがない
 もう一人、学生による「安保法制=戦争法案」反対のデモや集会に対して「彼らは戦争に行きたくないだけで、利己的である」と発言し、いかにも自分は「憂国の士」であるかのごとく振る舞いながら、「カネ(蓄財)」に関しては「汚く」、友人に対して未公開株の購入詐欺を働いた(と週刊誌に書かれた)武藤議員、驚かされたのは、その後の釈明会見で、「実はその友達に1億円貸していたのだ」と言ったことである。それまでは禁酒投函系の議員秘書などをしていた36歳で2期目の国会議員が、自民党に鞍替えした途端に数年間で「1億円」もの大金を手に入れ、それを友達に貸すことができるという「政治(家)」の不思議。シールズに集まった学生たちにしてみれば、そんな「デタラメな若造政治家」に「利己的」などと言われたくないだろうし、武藤議員こそ「品性下劣」な人間とだと思うのは、僕だけではないだろう
 そんな「品性下劣」な武藤議員の「未公開株購入詐欺」について、彼がつい先日まで所属していた自民党の総裁でもある安倍首相が「調査しない」と断言する、というこれもまた武藤議員に輪を掛けた「品性下劣」な発言、もうどうしようもない、と思うしかないのだろうか。
 折しも、100歳以上の高齢者に「銀杯」を送ることになっていたが、「予算不足」になりそうなので、価格が安い「銀メッキの杯」に換えるという報道、しかし、「新国立競技場」はじめオリンピック競技場に何千億円、何百億円使える国なのに、100歳以上のお年寄りに「わずか数千万円」のお金も使えないという「品性」が疑われるこの国のやり方、指導者が指導者だから仕方がないのかも知れないが、この国で起こっているのは、まさに「ポンチ絵」でしかない。