先週の土曜日(26日)から今週の月曜日(28日)にかけて、知床に立松和平の記念碑が建立され除幕式が行わるというので、行ってきました(記念碑建立実行委員会の呼びかけ人の一人だったので)。26日には「知床・立松和平を偲ぶ会」が開かれ、27日には記念碑除幕式と同時に立松が肝入りの一人として建立に尽力した3堂(毘沙門堂・太子堂・観音堂)の「例祭」も行われるというので、晩年の立松がその傾斜を深めていった「仏教」とどのように関係があるのか、興味があり、本土より5~6度高い知床晴れの炎天下で付き合ってきたが、疲れた。
疲れたのは、寝不足のまま炎天下で行事に参加していたということもあったのだが、それよりも土曜日の夕方から行われた「偲ぶ会」でも3堂の「例祭」でも立松の「文学」について全くと言っていいほど発言がなく、記念碑除幕式でかろうじて導師の一人上野(下谷)法相寺の住職で歌人の福島泰樹氏が、碑文の説明をして「立松文学」について説明しただけであったという事実に、どうなっているのだ、という思いを強くしたからであった。知床について何冊もの本を書き、知床を舞台にした長編小説『月光のさざ波』もあるというのに、この長編を読んだと思われる人は、知床の地元民はもとより関係者でも皆無に近く、どうなっているのだ、と思わざるを得なかったのである。
「例祭」(「偲ぶ会」も)は、法隆寺管長。大野玄妙氏、京都仏教会理事長(金閣寺・銀閣寺住職)有馬頼悌氏、中宮寺住職をはじめ僧侶が15名ほど参加し盛大に行われたのだが、そこで発せられる立松に関する言葉に「文学」の一切がなく、かろうじて記念碑除幕式で福島泰樹さんが立松の文学に言及した、という現実に、正直言ってがっかりしてしまった。あれほど立松が愛した知床で立松の文学が受け入れられていない現実、このアンビバレンスな有り様は、なんとも不思議なことであった。後で知ったのだが、版元に他ので配布するように依頼した『立松和平全小説』(全30巻)のパンフレットと関係資料、「偲ぶ会」でも結果的に配布されなかったようである。知床に「有名人・立松和平」はいても、「作家・立松和平」がいないという現実、おそらく僕の知床息もこれで最後になるだろうと思うが、非常に残念な気持ちである。
ただ、救いは、立松がこよなく愛した知床の番屋(船頭大瀬さん)は健在で、月曜日の朝早く船でその番屋に行き、前の海で取れたウニとタコの刺身などをごちそうになり、また海岸に降りてきた2頭の小熊を連れたヒグマと、ごちそうのおすそ分けを貰おうと周りをうろうろしていたキタキツネに会えたのは、知床の自然が健在であることの証であると思い、ほっとすることができた。
ともかく強行軍で疲れたが、昨日(29日)は先週下書きをしておいた朝日新聞アスパラクラブ「黒古一夫が選ぶ現代文学の旗手たち」の第3回(村上春樹)、第4回(井上ひさし)を清書し、また同じく下書きしておいた『良寛』(大法輪閣刊)の書評4枚(「週刊読書人」)を清書し、送稿した。
疲れたのは、寝不足のまま炎天下で行事に参加していたということもあったのだが、それよりも土曜日の夕方から行われた「偲ぶ会」でも3堂の「例祭」でも立松の「文学」について全くと言っていいほど発言がなく、記念碑除幕式でかろうじて導師の一人上野(下谷)法相寺の住職で歌人の福島泰樹氏が、碑文の説明をして「立松文学」について説明しただけであったという事実に、どうなっているのだ、という思いを強くしたからであった。知床について何冊もの本を書き、知床を舞台にした長編小説『月光のさざ波』もあるというのに、この長編を読んだと思われる人は、知床の地元民はもとより関係者でも皆無に近く、どうなっているのだ、と思わざるを得なかったのである。
「例祭」(「偲ぶ会」も)は、法隆寺管長。大野玄妙氏、京都仏教会理事長(金閣寺・銀閣寺住職)有馬頼悌氏、中宮寺住職をはじめ僧侶が15名ほど参加し盛大に行われたのだが、そこで発せられる立松に関する言葉に「文学」の一切がなく、かろうじて記念碑除幕式で福島泰樹さんが立松の文学に言及した、という現実に、正直言ってがっかりしてしまった。あれほど立松が愛した知床で立松の文学が受け入れられていない現実、このアンビバレンスな有り様は、なんとも不思議なことであった。後で知ったのだが、版元に他ので配布するように依頼した『立松和平全小説』(全30巻)のパンフレットと関係資料、「偲ぶ会」でも結果的に配布されなかったようである。知床に「有名人・立松和平」はいても、「作家・立松和平」がいないという現実、おそらく僕の知床息もこれで最後になるだろうと思うが、非常に残念な気持ちである。
ただ、救いは、立松がこよなく愛した知床の番屋(船頭大瀬さん)は健在で、月曜日の朝早く船でその番屋に行き、前の海で取れたウニとタコの刺身などをごちそうになり、また海岸に降りてきた2頭の小熊を連れたヒグマと、ごちそうのおすそ分けを貰おうと周りをうろうろしていたキタキツネに会えたのは、知床の自然が健在であることの証であると思い、ほっとすることができた。
ともかく強行軍で疲れたが、昨日(29日)は先週下書きをしておいた朝日新聞アスパラクラブ「黒古一夫が選ぶ現代文学の旗手たち」の第3回(村上春樹)、第4回(井上ひさし)を清書し、また同じく下書きしておいた『良寛』(大法輪閣刊)の書評4枚(「週刊読書人」)を清書し、送稿した。