[写真]政務三役補充人事の記念撮影をする、左から加賀谷健・総務政務官、西村智奈美・厚労副大臣、野田首相、大島敦・総務副大臣、高井美穂・文科副大臣、首相官邸ホームページから。
予算成立を受けて、来週からの後半国会に向けて様々な観測気球が上がりました。
政務三役の補充人事では総務副大臣に大島敦さん、厚労副大臣に西村智奈美さん、文科副大臣に高井美穂さん、総務大臣政務官に参院から加賀谷健さんが起用されました。副大臣の3人は、皇居で皇太子殿下(天皇国事行為臨時代行)から認証されました。西村さんと高井さんの認証式はこれが初めて。埼玉6区の大島総務副大臣は、以前の内閣府副大臣時代から行革を担当しており、総務省の行政管理局(筆頭行政管理官は財務官僚の指定席)や人事局(人事・恩給局)に顔が利くので、行革官庁総務省としてテコ入れが効きます。偶然に辞表を出した小沢グループ政務三役は岩手の自治体職員出身者でしたが、労組出身で民社協会の加賀谷政務官とともに、「公務員制度改革シフト」が機せずしてできたことになります。人事とは面白いですね。大島さんは政権公約を実現する会(鳩山グループ)を経て、昨年9月の代表選後に、「素交会」(鹿野グループ)の結成に参画しました。
また衆院予算委員会理事として、締めくくり質疑も受け持った新潟1区の西村智奈美さんが厚労副大臣に。政権交代後は外務省で岡田克也大臣、武正公一副大臣とともに政務官を務めました。野党時代にはネクスト・キャビネットで子ども男女共同参画の大臣か副大臣をやっていて「子ども手当(児童手当に改称)」の経緯にも詳しいと思います。
文科副大臣の徳島2区の高井美穂さんは、初代の川端達夫文科大臣、中川正春文科副大臣のもとで政務官を務めました。昨年の第177通常国会は3党合意の政策効果の検証「高校授業料無償化」について、小沢グループ(松宮勲氏)が「他の法案の修正協議を安住淳国対委員長からストップを掛けられた」との大人げない理由で筆頭理事を投げ出してしまい、小沢グループの尻ぬぐいをさせられる嫌な思いをしました。
それはさておき、公明党の井上義久幹事長は2012年4月7日(金)の後半国会最初の定例記者会見で、「公明党は平成24年度本予算に反対しており、現時点では平成24年度の特例公債法案(180閣法2号)に賛成できない。予算はすでに成立しているから、われわれの主張に沿って、補正予算なりの形で受け入れられるのではあれば、賛成して成立させるのはやぶさかではない」と述べ、特例公債法案に賛成する可能性を示唆しました。
8月9日の3党合意には、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度【以降】の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」「以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立さえることとする。以上、確認する。」としています。日本語ですから、「特例公債を発行可能とするための法案」は単数形のように思えて、複数形(-S)かもしれません。しかし、平成23年度の特例公債を発行する法律(177閣法1号、平成23年法律106号)だけでなく、平成24年度の法案も含めた複数形だったという可能性があります。この解釈については、岡田克也さんによると「それは文言ですから」ということで、石原伸晃自民党幹事長、井上義久公明党幹事長がどう判断するかに任されているそうです。民主党は幹事長・政調会長がともに交代して閣内で身動きがとれない状態ですが、城島光力・幹事長代理(兼)国対委員長が経緯を知っていることになります。民主党1期生の香川2区、玉木雄一郎さんは3月1日の本予算審査のなかで、集落営農が増えていることから「戸別所得補償」の名称を変更し恒久化する修正協議を野党に呼びかけました。
公明党政調会長の石井啓一さんと自民党政調会長の茂木敏充さんは6日、国会内で「地方自治法改正案」の要綱に合意しました。自公共同提出で来週にも国会に提出する見通し。大阪都構想で大阪市議会で維新の会と連立する公明党が大阪と構想の具体化のためにつくった法案の要綱。現行の地方自治法は東京都だけに特別区が認められているようですが、自公法案では「特別区に移行できる要件を、政令指定都市を含む総人口100万人以上の市町村」にしました。この条文ですが、東京都は政令指定都市ではないので、東京都と大阪市の2自治体を想定した条文だと考えられます。政令市でも70万~100万人の北九州市、堺市、相模原市は移行できないことになりますから、神奈川県の横浜市と川崎市をのぞけば、特別区制度は1都道府県に1制度までという限定もつきます。行政区ではなく特別区になると、「区議会」が絶対に必要になりますから、かえってコスト高になる可能性があることに配慮したと、私は考えます。横浜市議会では若干の議論がでそうですが、基本的にはこの法案は「橋下特措法案」という言い方もできるでしょう。参議院では自民党と公明党は107議席(いつも投票行動で自民党と同調している副議長1人と無所属1人含む)で、過半数「121」には及びません。地方議会で公明党と宿敵の共産党が賛成するとは思えませんから、民主党の賛成が必要になります。民主党の総務委員会筆頭理事の稲見哲男さんは当選2回生。日切れ法案を扱う総務委の筆頭理事に2回生を置かざるを得ないところが「急成長企業」である民主党の辛いところですが、稲見さんはとてもよくやっています。
昨年の第177通常国会の途中まで筆頭理事を務めた黄川田徹さん(岩手3区)は、私の感覚としては、「常に数時間~半日~1日ずつ遅れる人」という印象がありました。小沢グループ政務三役も本予算成立前に黄川田さんが辞表を出したことについて、「馬鹿野郎だよ」と激昂。「総務省提出の予算関連法案は辞表を出す寸前にすべて参議院で可決・成立したけれど、どの省庁だろうが、最大の予算関連議案は本予算(案)。それを前に辞表を出せるなんて信じられない」と怒り心頭でした。
黄川田批判は、時勢に配慮して1年以上我慢してきましたが、改めるとして、「地方自治法改正案」は民主党も修正協議のうえ、成立させた方がいいでしょう。場合によっては丸飲みもあるか。「地方自治法改正案(橋下特措法案)」が提出されることになります。
年金交付国債を取り下げる案が有力になっています。安住淳・財務大臣が予算成立を受けた記者会見で年金交付国債を取り下げると受け取れるような発言をしているようです。具体的には、衆院厚労委にある「国民年金法改正案」(180閣法10号)を撤回し、「平成24年度の特例公債法案」(180閣法2号)を修正し、国債発行額を「47兆円(建設公債含む)」にする。そして、予算書にも書いてありますから、第1次補正予算案は必須になります。これらを一括して採決するという段取りが考えられます。特例公債法案の修正は衆院でやればいいでしょう。「社会保障財源を安定させるための消費税法改正案(180閣法72号)」の衆院修正もやればいいでしょう。安住さんはオフレコ懇談なども活用して、うまくやっているようですから、閣僚とはいえ、国会のこともドンドンオフレコでしゃべればいいんですよ。で、安住さんのオフレコ懇談に出る大手報道機関の記者は経済部です。財務省担当は、政治部から「不条理」「徒労」から逃れて異動した記者も多いのですが、から政局感が分からなければ、私に聞けばいいんですね。それが日本のためです。
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